「終わりっと」
少年はそう言ってため息を吐く。
目の前には発狂した人間。
少年は『放送終了後のテレビを見続けると気が狂う』という都市伝説の契約者だった。
とはいえ、別に一般人を襲ったわけではない。
発狂しているのは契約者であり、能力で悪事を働いていた人間だ。
少年はそういう悪人を見つけては退治をしていた。
「流石に、毎日夜遅くまで町をパトロールしてると疲れる…………うん?」
トンッ トンッ トンッ トンッ
ふと、妙な音に気がつく。
音のする方向を振り向くと
「やあ、こんばんは、少年」
見知らぬ中年の男が微笑んでいた。
笑顔のわりに、何かいらついているのか靴のつま先で地面を叩き、そのたびにトンッっと音をたてている。
「少年は、なんでそんな事をしてるんだい?」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
「なんでって……俺は正義の味方だからな」
発狂した男を指さしながらした中年の質問に、靴音が五月蝿いなと思いながら少年は答える。
「で、おっさんは?誰?悪者?」
「いや~、おじさんは悪人でも正義の味方でもないなぁ。ただの社会人だね」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
「ああそうですか。その社会人さんは俺に何か用なんすか?」
「いやなに、最近忙しくてね。正義の味方ならアフターケアもしてくれないかな、と」
「はぁ?」
「簡単に言うとね。おじさんのお仕事のお手伝いをしてくれないかな、と。最近、重度の人が急増してね」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
「仕事?どんなすか?」
五月蝿い靴音にいらいらしながら少年が尋ねる。
「精神がおかしかったり、脳に障害があったりで、自分で自分の世話ができない人達のお世話をする仕事。
つまり、少年が今まで狂わせた人達のお世話だよ」
「嫌ですよ。なんでそんな事俺が。そいつら悪人じゃないすか」
「その悪人さんにも、家族とか知り合いとかがいてねぇ」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
「知らないですよ。なんなんですか、あんた。そういう施設に寄付でもすりゃ良いんですか」
「寄付?寄付ね……いやぁ、寄付だけして良い事した気分になるのを、おじさん悪いとは言わないよ?
でさぁ、少年…………」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
「家族でもないオッサンのゲロの掃除とかできる?」
「何……言っ、て…………」
欝陶しい靴音に頭痛を覚えながら、中年の言葉に少年は戸惑う。
「ババアに糞投げ付けられたり、二十歳のニーチャンのオムツ交換したり、ジジイをお風呂に入れたり…………
なあ少年、そんな事を文句も言わず笑顔で、薄給で、やっていられる人材って少ないんだよ。人手不足なんだよ。
だから、な?」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
中年の能力で、靴先から発生する超低周波の音が少年の頭に焼き付く。
「ぅ……あ………………ァ……イィ」
「これ以上仕事増やすなクソガキ」
『低周波音を聞き続けると気が狂う』の契約者である、中年の男はそう言った。
少年はそう言ってため息を吐く。
目の前には発狂した人間。
少年は『放送終了後のテレビを見続けると気が狂う』という都市伝説の契約者だった。
とはいえ、別に一般人を襲ったわけではない。
発狂しているのは契約者であり、能力で悪事を働いていた人間だ。
少年はそういう悪人を見つけては退治をしていた。
「流石に、毎日夜遅くまで町をパトロールしてると疲れる…………うん?」
トンッ トンッ トンッ トンッ
ふと、妙な音に気がつく。
音のする方向を振り向くと
「やあ、こんばんは、少年」
見知らぬ中年の男が微笑んでいた。
笑顔のわりに、何かいらついているのか靴のつま先で地面を叩き、そのたびにトンッっと音をたてている。
「少年は、なんでそんな事をしてるんだい?」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
「なんでって……俺は正義の味方だからな」
発狂した男を指さしながらした中年の質問に、靴音が五月蝿いなと思いながら少年は答える。
「で、おっさんは?誰?悪者?」
「いや~、おじさんは悪人でも正義の味方でもないなぁ。ただの社会人だね」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
「ああそうですか。その社会人さんは俺に何か用なんすか?」
「いやなに、最近忙しくてね。正義の味方ならアフターケアもしてくれないかな、と」
「はぁ?」
「簡単に言うとね。おじさんのお仕事のお手伝いをしてくれないかな、と。最近、重度の人が急増してね」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
「仕事?どんなすか?」
五月蝿い靴音にいらいらしながら少年が尋ねる。
「精神がおかしかったり、脳に障害があったりで、自分で自分の世話ができない人達のお世話をする仕事。
つまり、少年が今まで狂わせた人達のお世話だよ」
「嫌ですよ。なんでそんな事俺が。そいつら悪人じゃないすか」
「その悪人さんにも、家族とか知り合いとかがいてねぇ」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
「知らないですよ。なんなんですか、あんた。そういう施設に寄付でもすりゃ良いんですか」
「寄付?寄付ね……いやぁ、寄付だけして良い事した気分になるのを、おじさん悪いとは言わないよ?
でさぁ、少年…………」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
「家族でもないオッサンのゲロの掃除とかできる?」
「何……言っ、て…………」
欝陶しい靴音に頭痛を覚えながら、中年の言葉に少年は戸惑う。
「ババアに糞投げ付けられたり、二十歳のニーチャンのオムツ交換したり、ジジイをお風呂に入れたり…………
なあ少年、そんな事を文句も言わず笑顔で、薄給で、やっていられる人材って少ないんだよ。人手不足なんだよ。
だから、な?」
トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ トンッ
中年の能力で、靴先から発生する超低周波の音が少年の頭に焼き付く。
「ぅ……あ………………ァ……イィ」
「これ以上仕事増やすなクソガキ」
『低周波音を聞き続けると気が狂う』の契約者である、中年の男はそう言った。