かちっ
かちっ
かちっ
かちっ
「………さっきから何? この音……」 かちっ
時計の針が秒を刻むような音
はっきりとそんな音を聴きとった大きなマスクの女性が、眉を顰めて辺りを見回す
ここは住宅街、周囲に時計らしきものは無いし、家の中からにしては音がはっきりし過ぎている
陽が落ちかけ空が夜に染まり始めている事も相まって、不気味な雰囲気を醸し出す
未だ音は聴こえるが、女性は気にする事をやめ、艶やかな黒髪を揺らし再び歩き出した
はっきりとそんな音を聴きとった大きなマスクの女性が、眉を顰めて辺りを見回す
ここは住宅街、周囲に時計らしきものは無いし、家の中からにしては音がはっきりし過ぎている
陽が落ちかけ空が夜に染まり始めている事も相まって、不気味な雰囲気を醸し出す
未だ音は聴こえるが、女性は気にする事をやめ、艶やかな黒髪を揺らし再び歩き出した
「それは死神の時計が時を刻む音だ」
かちっ
ハッとした女性が咄嗟に振り返る
何時からそこに居たのだろうか、一人の少女が立っていた
金髪をツインテールにし、冷たい眼は美しい翠色
漆黒のスーツとは対照的に肌は絹のように白く、まだあどけなさが残っている
かちっ
ハッとした女性が咄嗟に振り返る
何時からそこに居たのだろうか、一人の少女が立っていた
金髪をツインテールにし、冷たい眼は美しい翠色
漆黒のスーツとは対照的に肌は絹のように白く、まだあどけなさが残っている
「……あら、もしかして貴方、契約者?」
「その通りだ。だったらどうする?」 かちっ
「フフフ、じゃあもう一つ―――――――――私ってキレイ?」
少女が答える間もなく、女性――「口裂け女」はマスクを剥ぎ取り、
何処からともなく取り出した包丁を片手に、少女に襲いかかった
かちっ
「アハハハハハハハ! 貴方も同じ顔にしてあげるぅ!!」
何処からともなく取り出した包丁を片手に、少女に襲いかかった
かちっ
「アハハハハハハハ! 貴方も同じ顔にしてあげるぅ!!」
100メートル3秒の速さで距離を詰め、包丁を振り上げる
何人の犠牲を出したか分からない血濡れた刃は、少女の白い肌をいとも容易く――――
何人の犠牲を出したか分からない血濡れた刃は、少女の白い肌をいとも容易く――――
「なって堪るか」 かちっ
がきぃんっ!!
火花と金属音が飛び散り、刃は止まる
火花と金属音が飛び散り、刃は止まる
「なっ……何よその腕!?」 かちっ
「言っただろ。私は契約者だ、と」
包丁を止めたのは、少女の腕だった
だがそれは人間の腕ではない
若葉のような緑色で、無数の棘が生えた鎌状の腕
自然のものに例えるならば、“蟷螂”の腕だった かちっ
だがそれは人間の腕ではない
若葉のような緑色で、無数の棘が生えた鎌状の腕
自然のものに例えるならば、“蟷螂”の腕だった かちっ
「死の秒読みは死の前兆……生きて帰れると思うな」
瞬間、少女の姿が異形のものとなる
人の形は辛うじて残っているが、新緑色の甲殻や腕や脚の形、背に生えた薄い翅、 かちっ
そして翡翠色に輝く大きな眼は正に“蟷螂”そのもの
少女だった“蟷螂”の怪人は、腕の鎌で包丁を押し返し、「口裂け女」との距離を取った
人の形は辛うじて残っているが、新緑色の甲殻や腕や脚の形、背に生えた薄い翅、 かちっ
そして翡翠色に輝く大きな眼は正に“蟷螂”そのもの
少女だった“蟷螂”の怪人は、腕の鎌で包丁を押し返し、「口裂け女」との距離を取った
「くっ……でも姿が変わったところで所詮は人間!!」
かちっ
空いた手に草刈り鎌を持ち、彼女は再び刃を振るう
少女は鎌を折り畳んだ状態で鎌、包丁の順に殴って勢いを止め、
腹部に素早い拳――と言えるのか分からないが――を入れる かちっ
さらに少女はよろけた「口裂け女」の横に回り込んで、姿勢を低くし草を刈るように彼女の足を払った
バランスを崩し仰向けに倒れそうになる「口裂け女」に待っていたのは、背中からの衝撃 かちっ
少女に蹴り上げられ、ふわりと一瞬宙に浮く かちっ
かちっ
空いた手に草刈り鎌を持ち、彼女は再び刃を振るう
少女は鎌を折り畳んだ状態で鎌、包丁の順に殴って勢いを止め、
腹部に素早い拳――と言えるのか分からないが――を入れる かちっ
さらに少女はよろけた「口裂け女」の横に回り込んで、姿勢を低くし草を刈るように彼女の足を払った
バランスを崩し仰向けに倒れそうになる「口裂け女」に待っていたのは、背中からの衝撃 かちっ
少女に蹴り上げられ、ふわりと一瞬宙に浮く かちっ
「がはっ!? こっ…こんな……」
「時間だ」
音も無く、鎌が縦一文字を描く
「口裂け女」は少女の目の前まで落ちてきたところで腰部から上半身と下半身に真っ二つに割れ、
“黒い血”を噴き出しながらどさりと無惨な姿を晒し、光となって消滅した
「口裂け女」は少女の目の前まで落ちてきたところで腰部から上半身と下半身に真っ二つに割れ、
“黒い血”を噴き出しながらどさりと無惨な姿を晒し、光となって消滅した
「任務完了……ふっ、今日も難なく片付けられたな」
蟷螂怪人の姿が徐々に変わっていき、元の少女のものになる
はふ、と一息吐くと、彼女は宵闇に身を隠すように立ち去ろうとした
はふ、と一息吐くと、彼女は宵闇に身を隠すように立ち去ろうとした
「――――――――ッ!?」
ふと目の前に視線を向けた時、彼女は目が合ってしまった
下校途中らしい、1人のセーラー服を着た少女
鞄を足元に落とし、茫然と立っていた少女と
下校途中らしい、1人のセーラー服を着た少女
鞄を足元に落とし、茫然と立っていた少女と
(み……見られた……!?)
一歩、足を背後に運ぶ
動揺の色が隠せないまま、セーラー服の少女の口が開く
動揺の色が隠せないまま、セーラー服の少女の口が開く
「…か………」
黒い服の少女は彼女に背を向け、
一秒でもこの場から離れようと走り出そうとした
しかし
一秒でもこの場から離れようと走り出そうとした
しかし
「かっこいいいいいいいいいいいいい!!!」
ずてーん!!
黒い服の少女は盛大に、前のめりに崩れ落ちうつ伏せになって倒れた
黒い服の少女は盛大に、前のめりに崩れ落ちうつ伏せになって倒れた
「い…痛つつつつつ……」
「ねぇねぇ今のなになに? もしかして仮面ライダーとか? 悪を倒すヒーローとか!!」
起き上がりつつ黒い服の少女が鋭い目線を送る先には、
幼子のように表情をきらきらとさせたセーラー服の少女が期待したような眼差しを向けていた
幼子のように表情をきらきらとさせたセーラー服の少女が期待したような眼差しを向けていた
(……子供か、とりあえず適当にビビらせて追い払おう)
「年近そうだね、でもこの辺りの子?」
「……私にあまり関わるな。私は殺し屋だぞ」
「え……!?」
(ふっ、所詮はガキか――――)
「すっごおおおおい!! ねぇ殺し屋ってどんな事やるの?てゆうかさっきの女の人消えてったけど何で??」
苦虫を噛み潰したような表情とはこの時彼女が浮かべた顔が近しいだろう
裏目に出てしまい焦りに焦った彼女がとった行動は
裏目に出てしまい焦りに焦った彼女がとった行動は
「……あー分かった分かった、分かったから黙ってろ」
「?」
パッと彼女の姿が、蟷螂の怪人の姿に変わる
パッと少女の顔が、太陽のように眩しくなる
パッと彼女は翅を広げて、住宅街の空を飛んでいった
パッと少女が見た先では、蟷螂がどんどんと小さくなって消えていった
パッと少女の顔が、太陽のように眩しくなる
パッと彼女は翅を広げて、住宅街の空を飛んでいった
パッと少女が見た先では、蟷螂がどんどんと小さくなって消えていった
「おおおおおっほおおおおお!! すごーいかっこいー!
……あ、あれ? ちょ、ねぇねぇ! 何処の国の子だったのー!?」
……あ、あれ? ちょ、ねぇねぇ! 何処の国の子だったのー!?」
少女の声は、空しく黄昏の空に響いた
「ッハァ、ハァ……くそっ、何なんだあいつは……」
肩で息をし、彼女は路地裏の物陰に隠れていた
とは言えここは繁華街、住宅街からは結構な距離がある為、隠れる必要は皆無なのだが
その時、バイブレーションの音に反応し、彼女は懐から携帯電話を取り出した
とは言えここは繁華街、住宅街からは結構な距離がある為、隠れる必要は皆無なのだが
その時、バイブレーションの音に反応し、彼女は懐から携帯電話を取り出した
「……こちら“Reaper”」
《随分連絡が遅かったので。何かあったのですか?》
「…民間人に見つかった。私の不注意だ。幸い何とか振り切ったが――――」
《振り切った? 殺さなかったのですか?》
「ッ!?…まだ子供だぞ?」
《関係ありません。今すぐにでも探し出して始末して下さい》
「…あぁ、了解した。だが――――」
《とは申しましたが、流石にすぐにというのは難しいでしょう
目立った行動を取って穏健派に目をつけられるのも困りますし…
その町で暫し待機して貰いましょうか》
目立った行動を取って穏健派に目をつけられるのも困りますし…
その町で暫し待機して貰いましょうか》
「どういうことだ?」
《住居を手配します。4月からは高等学校にも通って頂きましょう
その町…学校町の住人となり、普通の学生を装い、ターゲットを暗殺して下さい
学校町は排除すべきターゲットも多い…その方が好都合でしょう》
その町…学校町の住人となり、普通の学生を装い、ターゲットを暗殺して下さい
学校町は排除すべきターゲットも多い…その方が好都合でしょう》
「住居はすぐに手配できるのか?」
《残念ながら、すぐにとは行きません
暫くかかると思いますので、連絡があるまでは今までの拠点で待機して下さい》
暫くかかると思いますので、連絡があるまでは今までの拠点で待機して下さい》
「了解。我儘を言うつもりはないが、汚い部屋は勘弁してくれ、R-No.7112」
《善処します。では》
通話を切り、携帯電話を懐に仕舞う
ふぅ、と溜息を吐いて、彼女は壁に凭れかかった
ふぅ、と溜息を吐いて、彼女は壁に凭れかかった
「………暗殺、か……」
―――すっごおおおおい!! ねぇ殺し屋ってどんな事やるの?
「…あんなに楽しそうに話しかけられたのは、初めてだったな……」
ふと、彼女はそんな事を考えていると、
ぶんぶんと首を横に振ってそれを忘れようとした
ぶんぶんと首を横に振ってそれを忘れようとした
...Please kill me