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単発 - “更生者”

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集
「……した………の、に……」

住宅街の一角にて
両手を目に当て泣きじゃくる少女
溢れては流れ、拭われる涙は夕陽を反射して美しく輝いていた

「約束、したのに……どう、して……?」

手と手の間から目を覗かせて見た先は、眼前の男
腰を抜かしてキョロキョロと周囲を何度も見回している

「お、おおお、お、おま、お前、今何しやがった!?」

彼の傍で浮いている棒状の身体に大きな鰭のついたものは、恐らく「スカイフィッシュ」
そして彼の周りには、身体の中から大量の縫い針が溢れ出て破裂した「スカイフィッシュ」の死骸が散乱している
光となって消えゆく死骸を目にしながら、男は涙声で訴え始めた

「ふ、ふざけんなよ!? 「スカイフィッシュ」のスピードについて来れる訳ないだろ!?
 何だあの針は!? あんなもんいつ細工しやがったんだ―――――」
「昨日約束したのに……人はもう襲わないって、言ってたのに……」

ぐしぐしと、少女は尚も涙を拭って男に歩み寄る
ひっ、と情けない声を上げて男は逆に後退った

「く、来るな」
「ちゃんと指切りして、約束したのに……」
「来るんじゃねぇ、来るなっつってんだろ!?」
「指切りしたのに……」
「わ、分かった、もう、人は襲わない!心から誓うから、頼むから許しt」
「嘘吐き」

豹変
少女はアスファルトを蹴って男に急接近し、拳を振り上げる
危険を察知した男は、まだ残っていた「スカイフィッシュ」に指示を与えようとした

「や、やれっ!あいつを切り刻め―――」
「“指切拳万”」

彼が指示を出す前に高くジャンプした少女は、高く振り上げた拳を勢い良く男の脳天に叩きつけた
まるで突風にでも煽られたかのように、はたまた鉄の塊にでもぶつかったかのように、
男の身体は強く地面に叩きつけられた

「か、は………!?」
「“嘘吐いたら針千本飲ーます”」

指示を待たずに動き出した「スカイフィッシュ」が、体内から縫い針を剥き出しにして破裂
力尽き、ゆっくりとその小さな身体が落下し始める
少女は男の傍でしゃがみ込み、小ぶりのナイフを取り出すと、
彼の右手を押さえ込んで手を無理矢理に広げさせ、

「“指切った”」

小指に、ちく、と切っ先を刺した
じわりと血が溢れだすと同時に、ぷつん、と男の中で何かが切れた
と同時に、彼はぐったりと、眠るようにその場で気絶した
ぺたん、とその場に座り込むと、少女は再び大粒の涙を溢れさせながら携帯電話を取り出した

「ぐすっ………もし、もし、黒服、さん? 嘘、吐いた、悪い人、殴っちゃった、から……うん、東区……
 ちゃんと「ゆびきりげんまん」したのに…………なんでみんなうそつくの?ねぇ、黒服さん……」

泣きじゃくって訴えかける少女の持つ電話の向こう側から、黒服と呼ばれた人物のおろおろした声が聞こえた



   ...end





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