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単発 - うなぎづくし

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kemono

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うなぎづくし


 「組織」のとある一室に、料理を運ぶ女性黒服の姿があった。

「お昼できましたよ」
「……またうなぎか」

 男性黒服の待つ机の上に、鰻の蒲焼きと肝吸い、そして湯気をたてる白米が並べられる。

「あったかいうちに食べちゃいましょう」

 いただきます、と手を合わせ、女性黒服はうなぎに箸をのばす。
 男性黒服もしぶしぶといった形でうなぎを食べ始めた。

「このうなぎが高騰してるご時世に、毎日のようにうなぎを貪る。端から見たら贅の極みなんだろうがな……」
「まったくもって贅沢ですねぇ。いつか罰が当たるんじゃないでしょうか」
「俺にとっては現状が罰そのものだって言ってるんだよ……」
「なんでですか?こんなにおいしいのに」

 幸せそうに鰻の蒲焼きを頬張る女性黒服の顔からは、罰の要素は一切感じられない。
 それとは対照的に男性黒服の表情は苦痛そのものであり、ともすれば机をひっくり返さんばかりである。

「第一に、俺たちがこうやって毎日毎日うなぎを食べ続けるようになってどれだけ経った?」
「ええと……半年とちょっとでしょうか」
「いい加減飽きるだろ!お前はなんで毎日毎日そう美味しそうに食べ続けられるんだよっ!?」
「だって美味しいんですもん。あ、食べないなら貰っちゃいますよ」

 そう言って女性黒服は男性黒服の皿からうなぎを奪い取る。
 実に美味しそうにうなぎを頬張る女性黒服に毒気を抜かれ、男性黒服はため息を吐いて続ける。

「第二に、こいつらの餌を考えると食欲が失せる」
「んー……裏切りは蜜の味、って言うでしょう?そんな美味しいものを餌にしたうなぎ、と考えれば美味しさもひとしおです」
「……強か過ぎてぐうの音もでねぇよ」
「「組織」が仕事を行い、その廃棄物でうなぎを養殖し、私たちはこうして美味しいうなぎを食べられる。幸せしか生まれない連鎖です」

 ごちそうさまでした、と手を合わせ、女性黒服は食器を片付け始める。
 男性黒服が何とはなしに壁に埋め込まれた巨大な水槽に目をやると、ブザー音と同時に水槽に餌が投下された。
 無数のうなぎが我先にと餌に群がり、見る見るうちに肉を貪り尽くしていく。

 そしてわずかばかりの肉片が残った白い骨が、静かに水底に沈んだ。


【終】




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