「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - かつては悪魔の木の実だった

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「まいどありー!」
威勢の良い掛け声と共に、移動販売のトラックから、トマトの入った紙袋を抱えた人々が散ってゆく。
よく売れた。今日はもう店じまいだ。男は軽トラのエンジンをかけた。
カーラジオからは今日も、原因不明の奇病や、食中毒と思われる一家死亡のニュースが連続して流れてくる。
「怖い世の中だよなぁ」
男は呟いて欠伸をすると、軽トラを路肩に寄せて、しばし目を閉じる。居眠り運転などしてはいけないからだ。
男は数年前に、居眠り運転のトラックにはねられて、臨月の妻と腹の子を失った。
紆余曲折あって、はねた運転手は大した刑も受けなかった様な気もするが、どの道妻子は帰ってこないので、大した問題ではない。
それからの男は職を辞し、田舎に小さな家と土地を買い、トマトを育ててそれを売り、生活の糧とする暮らしを始めた。
同時に、ある都市伝説と契約をした。
「トマトは毒のある悪魔の果実」
とうに廃れて文献上だけの存在となっていたこの都市伝説を、一応は支払われた慰謝料を使って探し出し、契約までこぎつけた。
カーラジオからは相変わらずニュースが流れてくる。一連の原因不明の食中毒について政府の無策を追求している。
「ま、原因なんてわかりゃしないさ」
男はもう一度欠伸をすると、トマトの乗ったトラックのエンジンを掛けた。
あしたはどれくらい売れるだろうか。



end











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