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単発 - 招き猫の恩返し

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だれでも歓迎! 編集
我が輩は猫である。名前はミケ。三毛猫だからミケ。
ひねりも工夫もないが、拾われて早2年、我が輩はこの名が気に入っている。
思い返せば2年前、死にかけの子猫だった我が輩を拾って帰ったご主人はまだ小学生。
定食屋を営む両親からは飲食店に猫なんてとこっぴどく叱られていたものだ。
それでも我が輩を家に置きたいと必死に庇ってくれたご主人のために、我が輩は一肌脱いだ。
「招き猫」―そう。我が輩はただの猫ではなかったのだ。
「ミケー!」
時刻は夕方。ご主人がセーラー服のスカートを翻して帰ってきた。
「ただいま、ミケ」
ご主人にぎゅっと抱きしめて貰う時間は、我が輩にとって何にも代え難いものだ。
「にゃあ」
我が輩は一声鳴いて店の入り口に向かう。食事時は我が輩の時間だ。

「あ、あの定食屋さん、猫がいるー!」
「可愛いじゃん」
「そういえばお腹空いたね、ここで食べていこうよ」
学校や会社帰りの人の足が、ご主人の両親の店に向く。
我が輩は彼らをちらりちらりと眺めながら時折ちょいちょいと顔を洗うふりなどして彼らを手招きする。
2年前、味は良いのだが近所の安価なファミレスに押されて潰れかけていた店を救うには、それで充分だった。
「あ、ねこちゃんだー」
「かわいー!」
夕飯時の店の喧噪には子供の声も混じりにぎやかなことこの上ない。
我が輩は満足して、ご主人の部屋にある猫ベッドで体を丸めた。
「今日もお店、大繁盛だったよ」
これならお前を大学まで行かせられるって、お母さんが言ってた。
「みんなお前のお陰だよ、ありがとう」
そういってご主人は、我が輩の長い毛をもふもふと撫でくった。
・・・我が輩の方こそ。ありがとう。ご主人。



END






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