―とある町
「ねぇね、クリスマスプレゼント、何頼んだの?」
「私はWiiU!あと、あのソフトがやりたかったから、一緒に頼んじゃった」
「よくばり~わたしは、おっきなぬいぐるみ」
「私は―――」
「私はWiiU!あと、あのソフトがやりたかったから、一緒に頼んじゃった」
「よくばり~わたしは、おっきなぬいぐるみ」
「私は―――」
小学生ぐらいの女の子達3人が楽しくお喋りをしていた
今日はクリスマスイブ
サンタさんが子ども達にプレゼントを届けてくれる日
…というのは、もう過去の話かもしれない
今の子ども達は現実的だ
おそらく親や恋人にプレゼントをねだっているのだろう
サンタさんが子ども達にプレゼントを届けてくれる日
…というのは、もう過去の話かもしれない
今の子ども達は現実的だ
おそらく親や恋人にプレゼントをねだっているのだろう
ふと、一人の少女が彼女は呟く
「クリスマス、か」
「どうしたの?カメ娘」
「どうしたの?カメ娘」
『カメ娘』と呼ばれた少女は、カバンから何かを取り出し、じっと眺める
それを見て、他の女の子が質問を投げかける
それを見て、他の女の子が質問を投げかける
「なに、デジカメ?」
「首からも掛けてるのに、まだあるの?」
「首からも掛けてるのに、まだあるの?」
少女が『カメ娘』と呼ばれる由縁
それは他でもなく、この首に掛けられたデジタルカメラである
それは他でもなく、この首に掛けられたデジタルカメラである
少女は毎日、肌身離さずそれを持っている
そして自分がいいと思ったものや、他人から頼まれたもの、色々なものをそれで撮ってきた
そして自分がいいと思ったものや、他人から頼まれたもの、色々なものをそれで撮ってきた
普通の学校なら、授業に関係ないものを持ち込むなと言われかねない
しかし少女の学校は、逆に少女の写真を学校の配布物で使っていた
児童の自主性を考慮し、学校をより良くするという狙いがあるらしい
事実、少女の写真は、余所でカメラマンを頼むのと引けを取らないほど、いいものだった
しかし少女の学校は、逆に少女の写真を学校の配布物で使っていた
児童の自主性を考慮し、学校をより良くするという狙いがあるらしい
事実、少女の写真は、余所でカメラマンを頼むのと引けを取らないほど、いいものだった
そんなカメ娘のもう1つのデジカメ
あまり不思議とも言えない状況だが、そのデジカメが少し気になった
あまり不思議とも言えない状況だが、そのデジカメが少し気になった
「あぁこれ?これはね、普通のデジカメとは違うの」
「うん、知ってる。若干大きいし」
「すごい機能でもあるの?」
「うん、知ってる。若干大きいし」
「すごい機能でもあるの?」
2人から質問攻めを受けたカメ娘は、その特殊なデジカメの電源を入れた
「映るかな…?」
カメ娘がデジカメの画面を見ると、制服を来た女子高生が写っていた。
「え、ちょ、え、えぇ!?」
「こ、これって…」
「こ、これって…」
横から覗き込んでいた2人は、デジカメの画面とその向こう側を見比べて驚きの声を上げた
いないのだ
デジカメには映っている、女子高生が
「心霊…現象?」
「なわけないでしょ」
「なわけないでしょ」
そう切り返し、カメ娘は写真を撮ろうとする
「笑って…はい、ポーズ」
画面の中の女子高生は、笑顔でピースする
カメ娘はシャッターボタンを押し、撮影した
デジカメには、女子高生の写真がしっかり保存された
撮影されたことを確認すると、女子高生は手を振り、画面外へと消えていった
カメ娘はシャッターボタンを押し、撮影した
デジカメには、女子高生の写真がしっかり保存された
撮影されたことを確認すると、女子高生は手を振り、画面外へと消えていった
「これはね、ゲームができるデジカメなの」
呆然としている2人に、カメ娘は説明を始めた。
「ここで普通の撮影モードから切り替えて、『ARモード』っていうのにするの
そしたらさっきみたいな人や、変な動物とか怪物が写り込むの」
「な、なんかすごいハイテクなデジカメね」
「いくらしたの?高いんじゃない?」
そしたらさっきみたいな人や、変な動物とか怪物が写り込むの」
「な、なんかすごいハイテクなデジカメね」
「いくらしたの?高いんじゃない?」
値段を聞かれ、カメ娘の体がびくりとする
「…これね、何年か前のクリスマスに貰ったの。だから値段とか…よく分からない」
「ふぇ、クリスマスプレゼント。このカメラが」
「うん、これが私の最初のカメラ」
「ふぇ、クリスマスプレゼント。このカメラが」
「うん、これが私の最初のカメラ」
これがカメ娘の原点、全ての始まり
このカメラを貰ってからというもの、カメ娘はがむしゃらに写真を撮っていた
やがて写真を撮る事に意識を持ち、今の、カメ娘と呼ばれる少女がいる
このカメラを貰ってからというもの、カメ娘はがむしゃらに写真を撮っていた
やがて写真を撮る事に意識を持ち、今の、カメ娘と呼ばれる少女がいる
「最初ってことは、本当に高いカメラなんだね」
「でもそれ使ってるところ見たことないよ」
「でもそれ使ってるところ見たことないよ」
またカメ娘の体がびくりとする
「そ、れれはね、えと、壊れないから!小さい時、何度も落としちゃって
水の中に落とした事もあったけど、無事なの!だから…その…」
「それに、大事なものだし、お守りみたいな?」
「そ、そう!これはお兄ちゃんから貰った大事な…」
水の中に落とした事もあったけど、無事なの!だから…その…」
「それに、大事なものだし、お守りみたいな?」
「そ、そう!これはお兄ちゃんから貰った大事な…」
そこで言い淀む
何かを察したのか、2人はニヤニヤする
何かを察したのか、2人はニヤニヤする
「な、なによ!」
「なんでもないよ~」
「いいなぁ~と思っただけ」
「なんでもないよ~」
「いいなぁ~と思っただけ」
心中をわずかでも知られたと、カメ娘は赤面した
2人は、カメ娘に実兄がいない事を知っているからである
きっと2人は『お兄ちゃん』が誰なのかと予想を膨らませているに違いない
2人は、カメ娘に実兄がいない事を知っているからである
きっと2人は『お兄ちゃん』が誰なのかと予想を膨らませているに違いない
カメ娘の『お兄ちゃん』とは、従兄のことだ
親が機械に関する仕事をしているせいか、従兄も機械に詳しい
幼稚園ぐらいの頃から、色々なおもちゃをプレゼントしてくれた
そんな優しい従兄を、カメ娘は『お兄ちゃん』と呼び慕っていた
親が機械に関する仕事をしているせいか、従兄も機械に詳しい
幼稚園ぐらいの頃から、色々なおもちゃをプレゼントしてくれた
そんな優しい従兄を、カメ娘は『お兄ちゃん』と呼び慕っていた
そんな従兄に―――
「あ、そうだ」
ふと、女の子の1人が手を打つ
その瞬間、カメ娘は我に返り、勢いよく声の方を向く
その瞬間、カメ娘は我に返り、勢いよく声の方を向く
「ほら、廃病院があるじゃん?」
「あぁ、あの心霊スポットね」
「あぁ、あの心霊スポットね」
廃病院―
『人の生死が関わる場所』と『誰もいない空間』が組み合わさるせいか
そこに関する怪談は数えられないほどある
『人の生死が関わる場所』と『誰もいない空間』が組み合わさるせいか
そこに関する怪談は数えられないほどある
彼女達の学校では『あの廃病院はなんらかの原因で医者も看護師も死んでしまった』という噂が広まっている
それに付随し、『【幽霊】が出る』『看護師が【ゾンビ】となって襲いかかる』という話も出ている
それに付随し、『【幽霊】が出る』『看護師が【ゾンビ】となって襲いかかる』という話も出ている
「そのデジカメで写真を取ったら、どんなのが写ると思う?」
「うわぁ、どんなのが写っちゃうんだろうね…」
「もし写らなくても、ゲームモードで撮ったやつを見せれば!」
「どっちに転んでも面白い、いいじゃん!」
「うわぁ、どんなのが写っちゃうんだろうね…」
「もし写らなくても、ゲームモードで撮ったやつを見せれば!」
「どっちに転んでも面白い、いいじゃん!」
2人だけではしゃいで、ふとカメ娘の方を見ると、1人だけ真面目そうな顔をしていた。
「どうだろうね…」
カメ娘は一度、山の中で遭難したことがあった
その時、気分を紛らわそうとしてこのデジカメを使っていた
その時画面に映った狐のような生き物を追いかけていたら
いつの間にか脱出していて、そこには親がいた
その時、気分を紛らわそうとしてこのデジカメを使っていた
その時画面に映った狐のような生き物を追いかけていたら
いつの間にか脱出していて、そこには親がいた
その一件以来、このデジカメに映るものは、現実の場所や状況に関係すると思うようになった
このデジカメで、廃病院を写す
『何かが写る』というだけで済むのか、その疑問が晴れなかった
このデジカメで、廃病院を写す
『何かが写る』というだけで済むのか、その疑問が晴れなかった
「でも、そういう事やるなら夏にしない?」
「それもそうね。じゃあ夏休みのスケジュール、開けとくように!」
「もう来年の予定?気が早いね」
「それもそうね。じゃあ夏休みのスケジュール、開けとくように!」
「もう来年の予定?気が早いね」
そう言って、今日はパーティの準備があるからと、5時になる前に3人は別れた
そしてカメ娘は…
そしてカメ娘は…
「…行ってみよう」
1つは、好奇心
何が写るのかが気になって仕方がなかったから
1つは、証明
自分の考え―現実と映像はリンクしている―は正しいのかを試すいい機会だから
何が写るのかが気になって仕方がなかったから
1つは、証明
自分の考え―現実と映像はリンクしている―は正しいのかを試すいい機会だから
もし恐ろしい事態になったら申し訳ないから、と、他の2人には内緒にする事にした
きっと、何も起きはしないだろうが
きっと、何も起きはしないだろうが
―廃病院
「…着いた」
若干町から離れた、変な場所にある病院
かつては町中にあったが、いつしか人が離れていったのだろうか
かつては町中にあったが、いつしか人が離れていったのだろうか
カメ娘は、臆せず病院の中に入る
「うっ…汚い。掃除してないとかもあるだろうけど…」
病院という清潔な印象と対になる汚れた印象、『廃』
それに引き寄せられるのは虫や小動物だけではない
その好奇心が、都市伝説なるものを生む原因となるのだろう
それに引き寄せられるのは虫や小動物だけではない
その好奇心が、都市伝説なるものを生む原因となるのだろう
少なくとも、今はカメ娘もその一員だ
「とりあえず、それっぽいところに行こう」
…ある程度歩いていると、一部屋一部屋写真を撮ることを思いつき、手近な病室を見つける
さっそく電源を入れようと取り出している最中、ふと頭にある言葉が流れる
さっそく電源を入れようと取り出している最中、ふと頭にある言葉が流れる
(「いいか?これに怖いものが写ったら、絶対に逃げるんだぞ」)
従兄の言葉、このゲームの説明だった
特にペナルティは教えてもらっていないが、そう聞いたカメ娘はそれに従った
それががむしゃらに撮る理由の1つでもあった
特にペナルティは教えてもらっていないが、そう聞いたカメ娘はそれに従った
それががむしゃらに撮る理由の1つでもあった
今回は、逆に怖いものが写ったら追いかける
つまり従兄の忠告を無視する事になる
それが心に引っ掛かったという事だろうか
つまり従兄の忠告を無視する事になる
それが心に引っ掛かったという事だろうか
「…何も、起きないよね?」
誰に言い聞かせるでもなく、カメ娘は呟いた
電源が入ったのを確認し、ゲームモードに切り替え、デジカメを通して部屋を覗き込む
電源が入ったのを確認し、ゲームモードに切り替え、デジカメを通して部屋を覗き込む
いた
看護師らしい人が、窓の方を見ている姿が、デジカメ『には』映っている
これで、場所に影響を与える事が確定した
それに満足し、その証拠を残すため、シャッターボタンを押す
フラッシュが部屋中に瞬き、撮れた看護師の写真が数秒間だけ画面に表示された
これで、場所に影響を与える事が確定した
それに満足し、その証拠を残すため、シャッターボタンを押す
フラッシュが部屋中に瞬き、撮れた看護師の写真が数秒間だけ画面に表示された
保存を確認しようと操作する前に、ふと止まる
看護師が、こちらを見ていた
看護師が、こちらを見ていた
不気味なほど、満面の笑みで
その笑みを保ったまま、看護師がこちらに近寄ってくる
もちろん、画面の中の話であって、現実ではない
だが、そのあまりの恐ろしさと、第六感が、逃げろとささやく
もちろん、画面の中の話であって、現実ではない
だが、そのあまりの恐ろしさと、第六感が、逃げろとささやく
そのまま後ずさろうとした瞬間だった
看護師が何かを投げつけた
とっさに体が動いてしまい、カメ娘は床に伏せるように倒れた
看護師が何かを投げつけた
とっさに体が動いてしまい、カメ娘は床に伏せるように倒れた
倒れた瞬間、金属が落ちる音が鳴り響く
振り返ると、床にナイフのようなものが落ちていた
TVによる知識から、メスだろうかと予想する
それよりも、あの看護師が投げたと同時に、音が鳴った
これは『現実の場所や状況がゲームとリンクしている』とは言うより、むしろ…
TVによる知識から、メスだろうかと予想する
それよりも、あの看護師が投げたと同時に、音が鳴った
これは『現実の場所や状況がゲームとリンクしている』とは言うより、むしろ…
ふと部屋の方に目をやると、人の手が見えた
そしてゆっくりと、頭が、人が出てくる
たしかに看護師だが、肌の色がおかしい
そしてゆっくりと、頭が、人が出てくる
たしかに看護師だが、肌の色がおかしい
まるで…【ゾンビ】のような…
そう考えて、カメ娘は我に返る
デジカメは手元にあり、『あれ』は肉眼で見える
デジカメ越しに覗いてみると、目の前の光景と変わらず、看護師が写っている
デジカメは手元にあり、『あれ』は肉眼で見える
デジカメ越しに覗いてみると、目の前の光景と変わらず、看護師が写っている
つまり…これは…
「みぃツけタ…エサ…」
「ひっ」
「ひっ」
声を聞いた瞬間、カメ娘は確信した
これは、このデジカメはゲームでもなく、現実とリンクしているわけでもない
『肉眼では見えないバケモノを視認できるようにする装置』だったんだ、と
これは、このデジカメはゲームでもなく、現実とリンクしているわけでもない
『肉眼では見えないバケモノを視認できるようにする装置』だったんだ、と
何故こんなものが、と疑問したが、答えは分かっていた
(「いいか?これに怖いものが写ったら、絶対に逃げるんだぞ」)
「(お兄ちゃんは知っていたんだ…こんなバケモノがいる事を)
(そして、バケモノから私を遠ざけるために、これをくれたんだ…)」
(そして、バケモノから私を遠ざけるために、これをくれたんだ…)」
そして、その従兄の言いつけを破り、今に至る
これは因果応報に他ならない
これは因果応報に他ならない
「ふふふ…」
「あ…」
「あ…」
これは罰だ
そう自戒し、カメ娘は目を瞑った
そう自戒し、カメ娘は目を瞑った
カメ娘の頭の中に、また従兄の声が流れてくる
(「いいか?これに怖いものが写ったら、絶対に逃げるんだぞ」)
(「もし襲われたら、このボタンを長押しするんだ。絶対に人には向けるなよ
悪い人だったら、別にいいけど」)
悪い人だったら、別にいいけど」)
はと見開くと、【ゾンビ看護師】がメスを構えていた
とっさにカメ娘はフラッシュのON・OFFを変更するボタンを長押しする
とっさにカメ娘はフラッシュのON・OFFを変更するボタンを長押しする
数秒後、【ゾンビ看護師】がメスを振り落とそうとした瞬間、
デジカメはすさまじい明るさの光を放った
思わず目を瞑っていたカメ娘のまぶたを通しても、驚くほど明るい光
あまりの眩しさに、【ゾンビ看護師】は悶え苦しんでいた
デジカメはすさまじい明るさの光を放った
思わず目を瞑っていたカメ娘のまぶたを通しても、驚くほど明るい光
あまりの眩しさに、【ゾンビ看護師】は悶え苦しんでいた
一瞬固まっていたが、すぐさまカメ娘はその場を離れた
「ぐおぉぉぉ…」
―――逃げる、もう帰る!ここから離れて、早く!
そう心の中で唱えながら、カメ娘は廃病院の中を駆けていく
しかし、ある事を思い出してしまい脚を止める
しかし、ある事を思い出してしまい脚を止める
「逃げても…追いかけられる?」
そんな事を誰かが言っていた、気がした
事実でもそうでなくても、『現実』を壊されたカメ娘を止めるには充分だった
事実でもそうでなくても、『現実』を壊されたカメ娘を止めるには充分だった
「追われて、家まで来たら…お父さんやお母さんにも…」
カメ娘の選択肢から、『逃げる』が取り消された
壁に背負向け、力尽きたように座り込んだ
壁に背負向け、力尽きたように座り込んだ
どうすればいい?ゲームなら倒せるだろうが、これは現実だ
自分には力も武器もない、あるのはカメラだけ
フラッシュだけでは倒せるわけもないだろう
自分には力も武器もない、あるのはカメラだけ
フラッシュだけでは倒せるわけもないだろう
カメラを強く握りながら、カメ娘は頭を抱えていた
―――ケイヤク、せよ
どこからか、謎の声が聞こえる
辺りを見回しても、誰もいない
念のためデジカメを通して見てみるが、やはり何も映らない
辺りを見回しても、誰もいない
念のためデジカメを通して見てみるが、やはり何も映らない
《ワレとケイヤクせよ…》
また聞こえた時、やっとカメ娘は気付く
このデジカメのスピーカーから、声が出てくるのだ
このデジカメのスピーカーから、声が出てくるのだ
「…誰?契約って何?」
《ワレとケイヤクせよ…さすればイノチはスクわれるだろう…》
「命を救う?」
《ワレとケイヤクせよ…さすればイノチはスクわれるだろう…》
「命を救う?」
藁にもすがる思いだったが、言いかける手前で冷静になる
まず何故デジカメが喋るのか、それ以上に、何故契約を持ちかけたのか
まず何故デジカメが喋るのか、それ以上に、何故契約を持ちかけたのか
「あなた何者なの?私を助けてどうする気?」
《ワレは…》
《ワレは…》
《このキカイのセイレイだ…》
「…嘘」
《ばれた…》
《ばれた…》
『精霊』なんてあまりにも可愛らしい嘘と、おまけに『バレた』とまで言ってしまう
この哀れな謎の声を、カメ娘は信じてあげようと思った
この哀れな謎の声を、カメ娘は信じてあげようと思った
「言ってよ、契約って何?内容によっては考えてあげるけど」
《ケイヤクすれば、ワレはナンジとともにイきることができる…》
「契約しなかったら?」
《ワレはやがてワスれられ、キえるだろう…》
「可哀想…でも、わたしはどうなるの?命をもらうとか言わない?」
《イノチなどいらぬ…ホしいのはコトバだけだ…》
《ケイヤクすれば、ワレはナンジとともにイきることができる…》
「契約しなかったら?」
《ワレはやがてワスれられ、キえるだろう…》
「可哀想…でも、わたしはどうなるの?命をもらうとか言わない?」
《イノチなどいらぬ…ホしいのはコトバだけだ…》
あまりにムシのいい事しか言わない謎の声
カメ娘は、もう少し突っ込んだ話を試みる
カメ娘は、もう少し突っ込んだ話を試みる
「ねぇ、あのバケモノとあなたは関係あるの?
これを答えてくれないと、とてもじゃないけど無理だからね」
これを答えてくれないと、とてもじゃないけど無理だからね」
非現実的な事が2度も起こった以上、おそらく関係があるのではないか
安直な発想だが、どうやら正解だったようだ
安直な発想だが、どうやら正解だったようだ
《カノジョはトシデンセツ…ワレもまた、トシデンセツ…》
「都市伝説…?」
《そう…ワレワレはヒトのコトバよりウまれ…そのコトバドオりにイきるモノ…
ユエにコトバがないとワレワレはショウメツする…いずれ…》
「…あいつと、同類なのね」
《ケイベツしてもいい…だがヤツをタオしたいならトシデンセツとケイヤクしなければなるまい…
ヒトのチカラではタオせぬだろう…》
「都市伝説…?」
《そう…ワレワレはヒトのコトバよりウまれ…そのコトバドオりにイきるモノ…
ユエにコトバがないとワレワレはショウメツする…いずれ…》
「…あいつと、同類なのね」
《ケイベツしてもいい…だがヤツをタオしたいならトシデンセツとケイヤクしなければなるまい…
ヒトのチカラではタオせぬだろう…》
彼の言葉を整理しよう
1、彼らは都市伝説
おそらく噂を元に作られたなにか、だろう
2、彼らは人に忘れられると消えてしまう
彼も、忘れられそうな都市伝説なのだろうか
3、契約すれば、彼らは生存できる
おそらく契約した人が憶えている、という意味だろう
おそらく噂を元に作られたなにか、だろう
2、彼らは人に忘れられると消えてしまう
彼も、忘れられそうな都市伝説なのだろうか
3、契約すれば、彼らは生存できる
おそらく契約した人が憶えている、という意味だろう
そして、なにより重要な
契約すれば、あの【ゾンビ看護師】を倒せる、ということ
カメ娘に『倒す』という選択肢が1つ増えた
と言うよりも、それ以外に選択肢は無い
カメ娘はデジカメを見つめる
と言うよりも、それ以外に選択肢は無い
カメ娘はデジカメを見つめる
「もし、あいつを倒したら…」
従兄は、このデジカメによって私を守ろうとしたのなら―――
「あのバケモノを倒す事が…お兄ちゃんへの恩返しになるなら…」
もしこのデジカメが、あのバケモノ達と戦うために作られたというなら―――
「私と一緒に、戦って!」
《ケイヤク、セイリツ…!》
謎の声が頭の中にも響く
デジカメの画面が一瞬輝き、やがて元に戻る
デジカメの画面が一瞬輝き、やがて元に戻る
「…で、あなたには何ができるの?」
《いってナかったな…ワレのチカラは…》
《いってナかったな…ワレのチカラは…》
ふと、正面から何かが聞こえた
顔を上げると、半透明の人間がこちらへゆっくりと迫ってくる
顔を上げると、半透明の人間がこちらへゆっくりと迫ってくる
「ゆ、幽霊…?」
《カレもトシデンセツだ…チョウドいい、ジツエンしよう…》
「実演?」
《シャシンをとれ…ハヤく!》
《カレもトシデンセツだ…チョウドいい、ジツエンしよう…》
「実演?」
《シャシンをとれ…ハヤく!》
謎の声に言われるがまま、デジカメのシャッターボタンを押す
フラッシュが瞬いた後、【幽霊】を見ると…
フラッシュが瞬いた後、【幽霊】を見ると…
「あれ、いない…?逃げたの?」
《ガメンをミよ…》
《ガメンをミよ…》
言われるがまま、デジカメの画面を見ると、そこにはたしかに【幽霊】が写っていた
《ワレのチカラだ…カレのタマシイをすいとり、フウインした…》
「カメラに魂を吸い取られるって…あ!」
「カメラに魂を吸い取られるって…あ!」
その時やっと、カメ娘はすべてを理解した
謎の声の正体は【写真を撮られると魂を吸い取られる】という都市伝説…というか俗説
カメラが日本にやってきた頃からあるが、今となってはもう誰も信じない話
だから消える事を恐れて、私のところへ来たのか、と
謎の声の正体は【写真を撮られると魂を吸い取られる】という都市伝説…というか俗説
カメラが日本にやってきた頃からあるが、今となってはもう誰も信じない話
だから消える事を恐れて、私のところへ来たのか、と
そしてその能力は、『被写体の魂を封印する』というもの
カメ娘にとっては、うってつけの能力だった
カメ娘にとっては、うってつけの能力だった
《だが…ピントをあわせないとフウインできず、
なによりトれなければイミがナい…カノウなかぎり、チカいホウがいい…》
「ピントは大丈夫。このデジカメはすごいんだから。問題は…」
なによりトれなければイミがナい…カノウなかぎり、チカいホウがいい…》
「ピントは大丈夫。このデジカメはすごいんだから。問題は…」
あいつを目の前に、デジカメを構える事ができるだろうか?
…と、またある話を思い出す
今回は絶望的な内容ではなく、希望を掴める内容だった
…と、またある話を思い出す
今回は絶望的な内容ではなく、希望を掴める内容だった
「そうだ…!」
―【ゾンビ看護師】視点
「ドこへ…きエた?」
未だに【ゾンビ看護師】はカメ娘を探し回っていた
しかし勘がいいのか何かの能力か、【ゾンビ看護師】は確実にカメ娘に近づいていた
しかし勘がいいのか何かの能力か、【ゾンビ看護師】は確実にカメ娘に近づいていた
「ゾンビさーん!こっちーだよっ!」
急に大声が鳴り響く
声の方に向くとカメ娘が見え、【ゾンビ看護師】は嬉しさの余りに顔をゆがめる
そのまま走って向かうと、カメ娘が横へ逃げる
カメ娘が曲がったところを見ると、そこにはトイレがあった
声の方に向くとカメ娘が見え、【ゾンビ看護師】は嬉しさの余りに顔をゆがめる
そのまま走って向かうと、カメ娘が横へ逃げる
カメ娘が曲がったところを見ると、そこにはトイレがあった
トイレの個室は4つあり、【ゾンビ看護師】は1つずつ扉を開けて見ていく
わざと大きな音を立てて
わざと大きな音を立てて
わずかな音のおかげで、本当はどこにいるか分かるのだ
だがあえて、すぐには開けない
最後まで怯えさせて、一瞬だけ安心させる
そして静かに壁を這い上がって、そこから侵入する
だがあえて、すぐには開けない
最後まで怯えさせて、一瞬だけ安心させる
そして静かに壁を這い上がって、そこから侵入する
それが、「ゾンビ看護師」のやり方だ
とうとう最後の扉
静かによじ登り、ゆっくりと覗き込むと、そこには―――
静かによじ登り、ゆっくりと覗き込むと、そこには―――
こちらにカメラを向けるカメ娘がいた
「はい、ポーズ!」
シャッターボタンを押した瞬間、「ゾンビ看護師」の体が消えてゆく
状況を察し、抵抗を試みようとしたが、手遅れ
「ゾンビ看護師」の体から青白い光が飛び出し、カメラの中に封印された
状況を察し、抵抗を試みようとしたが、手遅れ
「ゾンビ看護師」の体から青白い光が飛び出し、カメラの中に封印された
「や、やった…」
カメ娘は、安堵の息を漏らした
―帰路
《よくカノジョのテグチがわかったな…》
「あなたのおかげでもあるわ。噂話の多くで、そういうシチュエーションが多かったの
噂通りの行動をするって思わなかったら…できなかったと思う」
《とにかく、よくやった…これでナンジもリッパなケイヤクシャだ…》
「あなたのおかげでもあるわ。噂話の多くで、そういうシチュエーションが多かったの
噂通りの行動をするって思わなかったら…できなかったと思う」
《とにかく、よくやった…これでナンジもリッパなケイヤクシャだ…》
廃病院から出ようと、ゆっくりと歩きながら、カメ娘はデジカメの中の彼と話していた
あまりにも自分を褒める彼に、忘れかけていた疑念を投げかける
あまりにも自分を褒める彼に、忘れかけていた疑念を投げかける
「…あなたは、人を襲わないの?」
《…マレにだが、ワレのようにヒトをオソわないものもいる…
オソうイミをジモンジトウし…やがてヒトとキョウセイをハカろうとする…》
「そうなんだ…」
《…マレにだが、ワレのようにヒトをオソわないものもいる…
オソうイミをジモンジトウし…やがてヒトとキョウセイをハカろうとする…》
「そうなんだ…」
やっと出口に辿り着き、出たと同時に空を見上げる
もう暗くなっている空を見て、今日がクリスマスだった事を思い出した
もう暗くなっている空を見て、今日がクリスマスだった事を思い出した
「早く帰らなきゃ!」
《アシモトにキをつけろ…クラいから…》
「ありがとう。倒してくれたことを含めてね」
《…こちらからもレイをいう…ありがとう》
《アシモトにキをつけろ…クラいから…》
「ありがとう。倒してくれたことを含めてね」
《…こちらからもレイをいう…ありがとう》
少し早足で、カメ娘は家へと向かう
「あ、家ではなるべく喋らないでね」
《わかった…》
「あと…またあんな悪い都市伝説と出会ったら…一緒に戦ってね」
《…リョウカイ…》
《わかった…》
「あと…またあんな悪い都市伝説と出会ったら…一緒に戦ってね」
《…リョウカイ…》
それだけ告げ、デジカメの電源を切り、カバンの中にしまう
そして全力で家へと駆けていく
そして全力で家へと駆けていく
今日はとても散々な日々だった
でももし、このデジカメが無かったら
あのバケモノに襲われることは無かったのだろうか
それどころか、私はこのデジカメに何度も救われている
その上、今日、とても変だけどちょっと面白くて、頼もしい友達ができた
何よりも、今の私がいるのは、このデジカメのおかげだ
後悔はない。『カメ娘』というあだ名は、私の誇り。
数年前の今日、私にこのデジカメをくれた、あの人に…
「(お兄ちゃん…ありがとう)」
―――数年後・車の中
「お父さん、まだ着かないの?」
「まだまだだ、ゆっくり座ってろ」
「まだまだだ、ゆっくり座ってろ」
とうとうカメ娘は中学生になろうとしていた。
しかし諸々の事情で、カメ娘たちは学校町と呼ばれる町へ引っ越す事となった
しかし諸々の事情で、カメ娘たちは学校町と呼ばれる町へ引っ越す事となった
「むぅ、早く着かないかな…」
どうもカメ娘は学校町が楽しみで仕方がないらしい
その様子を見て、母親が微笑む
その様子を見て、母親が微笑む
「そんなに会いたいの?勇弥くんに」
「あぁ、しばらく会ってないっけ」
「あぁ、しばらく会ってないっけ」
その瞬間、カメ娘は顔を真っ赤にして否定する
「ちょ、違っ!な、その!」
「そういえば、今もあのデジカメ大事に使ってたもんな」
「肌身離さず、よほど嬉しかったのねぇ…」
「そういえば、今もあのデジカメ大事に使ってたもんな」
「肌身離さず、よほど嬉しかったのねぇ…」
カメ娘をよそに、思い出話に浸る両親を前に、カメ娘は疲れ果てたように頬杖をつく
従兄との再会、新しい生活、そしてこれから起こる様々な出来事。
多くの期待に胸が膨らむカメ娘であった
多くの期待に胸が膨らむカメ娘であった
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