「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 万物の創造主

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Retsuya

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「き、貴様……これはどういうことだ!?」

青年は激昂した
目の前で地に伏している2人の男女は、彼の仲間だろうか
胸を貫かれたらしい焦げ跡からは、紅い血が際限なく噴き出していた

「どう、って、決まってるじゃないか。“処罰”だよ」

そう答えたのは、光線銃を片手に持って、返り血を浴びた少年だった
というのも、“少年”というのはその身長と声の幼さから判断したものであり、
肝心の彼の顔は、分厚い鉄仮面によって隠されていた
しかし、唯一見えていた歪んだ目と口から、この状況を喜んでいる事は容易に理解できる

「処罰だと……!? 俺達がお前等に何をしたと!?」

「うん、“何もしてない”よ。でも僕達が君に依頼した事は覚えてる?」

「ッ……『「バビロンの空中庭園」の捜索』……じゃないのか?」

「そうだ、よく覚えてたね。じゃあ何でまだ見つけられてないの?」

「なっ!? まだ3日しか経ってねぇだろうが!!」

「3日もかけてるのに都市伝説の一つや二つも探し出せない屑なんて必要ないよ
 だから“上”との会議の結果、君達の解雇と処刑が決まったのさ
 ま、後は君だけ、なんだけど」

「ふざけんな……俺達を信用してなかったってのか!?」

「……信じてる訳ないだろ?」

吊り上がった口角
他人を蔑む眼
そして、かつて仲間だった者達の骸
目に映る何もかもが、彼の怒りを頂点に迎えさせた

「……このクソガキがあああああああああああああ!!!」

じゃきっ!と青年が構えた物は銃火器のようだった
両手で持たねばならぬ程の大きさだが、その重量の半分は液体で満ちたタンクだろう
そのタンクには、ハチの絵が描かれていた

「「スティング・ミー」……ハチの警報フェロモンを噴霧して、相手をハチに襲わせる計画のみに終わった兵器…
 面白いけど、それは赦されない事だねぇ」

「はぁ? 何言って―――――」

「 そ れ は 僕 が 創 っ た も の だ か ら 君 に 使 う 資 格 は 無 い 」

何秒経っただろう
少年が言った直後、「スティング・ミー」と呼ばれた兵器が手元から忽然と消えた
否、「スティング・ミー」は少年に奪われていた
何時の間に、どうやって奪ったのかは分からない
ただ確実なのは、少年が言い終わったと同時に、青年と「スティング・ミー」の契約が切れた事だ
ぶつん、という音と共に

「な…………なん、で………?」

「ギヒヒヒヒヒ……僕はジャップが大嫌いでね。君はこの元相棒の手で殺してあげるよ」

少年が引金を引くと、銃口からぶわっ、と桃色の霧が噴射された
フェロモンの霧は容赦無く、青年を包み込んだ
青年がフェロモンを浴びるや否や、ぶぅぅぅぅぅん、と物騒な音が何十、何百、いや何千と聞こえ始めた
黄色と黒のカラーリング、薄くとも丈夫な4枚の翅、大きな顎に鋭い毒針
世界最大にして最凶と名高い蜂…オオスズメバチだ
声も出せず、青年の中で警鐘が鳴った
その恐怖は彼もよく知っている
元々この兵器を使って都市伝説やその契約者を撃退していたのだから
オオスズメバチは毒針を持っているが、刺すばかりでなく毒液を噴射する事も出来、目に入れば最悪失明する
たとえ逃げに走ろうとも、1日80kmの飛行をこなす彼女達から逃げきれるかどうか
さらに蜂毒は2度以上刺されれば、アナフィラキシーショックが発生し、死に至る場合もある
本来非殺傷兵器として計画されていた「スティング・ミー」だが、自然の力が人を死に追いやらない訳が無い
計画に終わった為に実戦使用は無かったとは言え、自然を舐めきっていた人類の愚かさの象徴だ

「今まで君がどんなに都市伝説と戦ってきたか知らないけど、それらの気持ちがよく分かるだろう?」

青年の断末魔を聞きながら、少年は笑って彼に背を向けた
そして、がちゃん、と「スティング・ミー」を足元に放り投げた

「こんな他人任せの兵器、僕には必要無い」

ばきっ!と「スティング・ミー」は真っ二つに踏み折られた
少年は溜息を吐くと、ゆっくりと歩き始めた
その場に残ったのは、躯に群がるオオスズメバチの大群だけだった



   ...END





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