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単発 - 都市伝説と戦わない「蒼穹の神話」

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匿名ユーザー

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すぐ近くのスピーカーから流れる無粋な機内放送で私は微睡みから急速に引き戻された
僅かな苛立ちと共に窓の外を眺めればそこには故郷の青くて虚ろな空がある
機内アナウンスは大雪の為の遅延を詫びていたが長旅で鈍化した私の思考にはそれらの遅れが些事にしか感じられなかったのだ
そうして私は窓の外を行き過ぎるいくつもの雲の欠片を飽きることなく眺めていた
さて、着陸待機の為に幾度空港の上を旋回したのだろうか
私以外の乗客は口々に文句を言っている
しかしそれもまた今の私にはどうでもいいことだ
何故なら私は今まで見た夢のことで頭が一杯だったからだ
私は夢の中で少年に戻ってた
まだ若くて美しかった母が居た。そして事故で亡くなった筈の弟が居た。私たちは皆、雲の上にあるラピュタという名前の国で幸せに暮らしていた
そしてその国の王は父で、私と弟は父を崇める歌を母から習っていた
その歌を歌いながら私は弟と遊んだ
時には月の裏側やアマゾンの森の最奥にある台地なんかに行って些細な冒険を楽しんだりもした
そこに行くまでには白いカヌーを二人で漕いで空を飛ぶのだ
このカヌーは城に住む魔術師の老人が整備をしてくれた
この老人に習った魔術が私たちの旅を幾度も助けてくれたのを覚えている
懐かしい気持ちが私の身体の中に満ち溢れていた
私は人目も憚らずに夢で聞いた歌を歌い出す
すぐにCAが駆けつけてくるが私は構わずに歌い続ける
次に男性が私の歌を止めようとしたが、既に私の喉は私のものではなくなっていた
皆が頭を抑えて苦しみ始める
こんなに素敵な旋律なのに皆は何故泣き叫ぶのだろう
ついに乗客の一人が私を絞め殺そうとしたその時、機内に悲鳴が木霊した
私は首を絞められながらも視界の隅に映った窓の外の光景を見て驚いた
巨人が飛行機の隣を飛んでいた
蒼く燃え盛るだけで実体の無い頭部、無数の木の枝を束ねて作った身体、異常にひょろ長い手足
青い光を身体中の隙間から発するそれは間違いなく夢に見た私の父だったのだ
私は彼に向けて手を伸ばし笑う
彼もこちらに手を伸ばして微笑む
飛行機の壁は容易く砕けて沢山の人々が空中に投げ出されていく
どこからか聞こえる父を讃える為の大合唱の中、顔をひきつらせた沢山のなにも知らない愚者達が大地へと還っていく
しかし私一人だけは全ての美しいものが存在する場所へと行くのだ
そう、ラピュタへ

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