「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - おいしいカレーの作り方

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だれでも歓迎! 編集
「なあ新田、ノート写させてくれね?」
 俺の必死かつ丁寧な頼みを、あいつは「嫌です」の一言で却下しやがった。ムカつく野郎だ。
 あ、俺は「キスすると顔が似てくる」の契約者だ。知ってる奴は知ってると思う。
 時は期末テスト3日前。アイツにノートを借りられないとなると、3学期の単位が危うくなる。高校入学一発目からそれは避けたいってもんだ。
 別にあいつと違って彼女が居ないだけのリア充であるところの俺には、友達なんて沢山居るが新田の奴ほど点取れる奴は居ないからな。
「こーゆー時だけ利用してやるぜ!ざまーみろ!」
 と、けっせせせー!と高笑いを上げる俺の目の前に。
「・・・あの、どいて・・・もらえます?」
 あの子の姿が。
 ・・・泣かねえったら、泣かねえ。

「うー、ノート、ノートー」
 信じらんねえ。普通高校生にもなったらノートやら教科書なんか学校に置いて帰るだろ!
 あのヤロー、きっちりプリントの一枚も残さず持ち帰ってやがって机もロッカーも空っぽだ。
「ちっきしょー」
 いっそ誰かに化けて、あいつん家までノートやなんか取りに行くか?
 神崎に化けりゃ新田のヤローはノートぐらい喜んで差し出すだろ。いやその前に黄昏に殺されそうな気がするが。
 じゃ先公の誰かか?いやそこまでするぐらいだったら、職員室に忍び込んで問題用紙盗んだ方が早いような・・・
 そんな事をぐるぐる考えて立ち往生する俺の前に、ひりと落ちた一枚の紙。
「なんだこれ?」
 眺めてみるとそこには
「 都市伝説 仮契約書 美味しいカレーの作り方 」
 とある。
 細かいその仮契約書の中の一文だけが、まるで天啓のように俺には浮かび上がって見えた。

「当該都市伝説との契約効果:各種試験答案に『美味しいカレーの作り方』を書き込むと、いかなる試験にも合格する」

 ・・・天国への片道キップゲットおぉぉぉぉ!
 新田のヤローざまぁ見ろ!これでテメーに頭なんか下げなくたって俺も今日から成績優秀!吠え面かかせてやるぜー!

 その辺の机でテキトーに契約書にサインする・・・と、下の方に小さく但し書きが。

「※なお、これはあくまで仮契約であり、一度試験に於いて使用すると自動的に消滅します」

 まーいーか。重要なのは期末試験だ。
 かくして俺は意気揚々と仮契約書を携え、図書館で料理の本を借りて家路につくと、カレーの作り方を一晩かけて暗記した。なんせただのカレーじゃねえ、「美味しいカレー」の作り方だからな。
 これで俺に恐いもんはねー!ウェルカム期末試験!


「な、ナゼだ・・・」
 返ってきた答案用紙には、でかでかと
「0点」
 なんでだよ!ちゃんとカレーの作り方書いたぜ!?スパイスの調合から隠し味の細けー分量やら微妙なタイミングまで・・・
「なのに・・・なのに、なんでだあぁぁ!!」
「それはだな」
 声に振り向けば、そこにはテストを採点した先公が。

「お前のカレーには、ジャガイモが入っていないからだ」

 ・・・ジャガ・・・イモ?
 ああ、確かに俺ジャガイモ嫌いだから、レシピからハブいたっけ。
「ジャガイモの入ってないカレーなんぞカレーじゃない!ジャガイモ好きな俺に対する挑戦と受け取って、粛々と点数を付けさせて貰った」
 な・・・俺の・・・俺の一晩の努力が・・・

「こんなオチありかあああああ!!!!」

―そして。
「なあ新田ー。明後日追試・・・」
「全てお断りです」



END







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