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赦しは少女仕掛けの…-04

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「お父さん・・・」
「エリザベス、はやく其奴等を始末しろ」
 いつの間に現れたのか、少女によく似た面差しの、若い女性を模した人形が男の傍らに立っている。
「おとうさん!おかあさん!」
 エリザベスが身を翻す。一瞬、エディは身構えた。
「エリザベス!何を」
 アルバートの言葉が途中で途切れる。
 エリザベスは男に駆け寄りしがみついた。まるで子が親に縋るように。
「おとうさん、もう止めよう!」
「エリザベス・・・?お前、何故」
「あの人が言ってた。わたしたちのしてた事は、悪いことなんだって!」
「エリザベス」
「わたしが罰を受けるから!お父さんの分も、わたしが代わりに罰を受けるから!だから、もう止めよう、あの人を信じて、みんなで救ってもらおう?」
 エディもアルバートも、固唾をのんで男を説得する少女人形を見つめている。
「わたし、お父さんが殺されちゃうのいやだ!」
「・・・エリザベス!」
 男が、縋りつく少女を抱きしめ返した、その時。

「やれやれ・・・とんだ三文芝居だ」

 嘲笑する声と共に響いた轟音。
「危ない!」
 男がエリザベスを突き飛ばした次の瞬間。
 男と、女性の人形を劫火が包み込んだ。
「!!」
 夕暮れの紅によく似た色の光が降り注ぎ、エディもアルバートも呆然と立ち尽くした。

「我が『ソドムの劫火』で『悪』たるものは浄化された・・・いや、まだ残っているか」
 夕闇から出ずるように現れたのは、赤い法衣を纏った数人の男―「教会」の忠実な走狗たちと、薄い唇をわずかに吊り上げて笑む、白いスーツ姿の痩せた男。
「ロゼレム、てめぇ・・・」
 光が消え、炎が弱まった其処に見えたのは。
 砕け焼け焦げた白磁の欠片と、かつてヒトだった一塊の炭だった。
「あ・・・あ・・・お、おとうさーん!おかあさーん!」
 少女の悲痛な叫びが、夕闇を切り裂くように響く。
「エリザベス!無事か!」
 アルバートが少女に駆け寄り、その白磁の身体を両腕で包んだ。
「おとうさんが・・・おかあさんが」
 呆然と呟くエリザベスを強く抱きしめ、アルバートがロゼレムと呼ばれた白スーツの男を睨む。
「もう少しで罪を悔いて自首するところだった者を、何故殺した!」
「これは申し訳ありません・・・手加減はしたつもりだったのですがね」
 ロゼレムは気障ったらしい仕草で一礼する。

「悪の浄化ときたか。てめぇは俺と同じで、正義なんて代物には熱心じゃなかったはずだがな」
 油断なく銃を構えるエディに、ロゼレムは大袈裟に肩をすくめてみせる。
「たまには詩人を気取るくらいいいだろう?それに僕は、君より好奇心が旺盛でね。力加減に失敗したせいで危うく失われるところだったが」
 ロゼレムはエリザベスに向き直る。
「その人形だ。ただ動くだけでなく、言葉を紡ぎ、心を持つ。実に興味深い。何の『伝説』か是非解明したいね」
 アルバートがエリザベスを抱く腕に力を込めた。
「渡して貰おうか、アルバート・ルイス・・・いや、大英帝国君主にしてインド女帝、アレクサンドリナ・ヴィクトリア女王陛下」



続く

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