今日は特に誰かと一緒に帰る、とかはせず、一人で帰ることにした
まぁ、実際は、商店街辺りであちこち寄り道して帰るから、なのだけど
雑貨屋を覗いたり、ついでに夕食の材料をちょっと買ったり、のんびりと歩いていると
まぁ、実際は、商店街辺りであちこち寄り道して帰るから、なのだけど
雑貨屋を覗いたり、ついでに夕食の材料をちょっと買ったり、のんびりと歩いていると
「…………あ」
ラッキー、かもしれない
あちらも、学校帰りそのままに寄り道していたのだろうか、Lの姿を見かけた
辺りにHの姿は見当たらない。よしっ、つっこみを入れる仕事をしなくてすむ!いや、待て、別にツッコミは自分の仕事ではない!!
自らセルフツッコミしつつ、Lに声をかけようと近づいていって
あちらも、学校帰りそのままに寄り道していたのだろうか、Lの姿を見かけた
辺りにHの姿は見当たらない。よしっ、つっこみを入れる仕事をしなくてすむ!いや、待て、別にツッコミは自分の仕事ではない!!
自らセルフツッコミしつつ、Lに声をかけようと近づいていって
「…あれ?」
気づいた
Lは誰か、こちらの知らない男の人と一緒に歩いている
思わず、こちらが注目してしまったのは、その男の人の服装だ
その人の服装は……一言で表すならば「神父」とか「司祭」とか、そんな感じだろう
Lは教会に手伝いをしに行く事が結構あるみたいだから、その関係での知り合いだろうか?
なんとなく気になって、近づいていってみた、その時だった
Lは誰か、こちらの知らない男の人と一緒に歩いている
思わず、こちらが注目してしまったのは、その男の人の服装だ
その人の服装は……一言で表すならば「神父」とか「司祭」とか、そんな感じだろう
Lは教会に手伝いをしに行く事が結構あるみたいだから、その関係での知り合いだろうか?
なんとなく気になって、近づいていってみた、その時だった
Lの隣に居た男性が、くるり、と、こちらに視線を向けてきて
…………ぞくりっ、と、悪寒がした
…………ぞくりっ、と、悪寒がした
(……え?な、なんで?)
悪寒
そう、悪寒だ
男性からの視線で、悪寒を感じるなんて…………それに、この悪寒の種類はなんというか、背筋をつぅ、と、冷たいものがおりていったような
…………まるで、喉元に鋭い、危険なものをつきつけられているような、そんな…………
そう、悪寒だ
男性からの視線で、悪寒を感じるなんて…………それに、この悪寒の種類はなんというか、背筋をつぅ、と、冷たいものがおりていったような
…………まるで、喉元に鋭い、危険なものをつきつけられているような、そんな…………
「…あれ、ジェルトヴァさん、どうかなさったっす?」
と、Lが、その男性に話しかけた
どこか固い表情をしたその弾性は、Lへと顔を向けて、表情が見えなくなる
どこか固い表情をしたその弾性は、Lへと顔を向けて、表情が見えなくなる
「………こちらを見ていた少女がいた」
「え?…………あれ、そちらも寄り道、っすー?」
「え?…………あれ、そちらも寄り道、っすー?」
ぱっ、とLがいつものへらんっとした笑みをこちらに向けてきた
だいぶ馴染んできたこの笑顔に、なんとなくほっとする
だいぶ馴染んできたこの笑顔に、なんとなくほっとする
「えぇ、そうよ。えっと、そちらの人は……」
「こちらの人はー、俺っちが普段お手伝いに行ってる教会に派遣された方っす」
「こちらの人はー、俺っちが普段お手伝いに行ってる教会に派遣された方っす」
どうやら学校帰りに、駅から出てきたところに出くわして、合流していたらしい
今日は教会に手伝いに行く日ではないようだが、教会まで一緒に行くつもりらしい
Lによって紹介され、その男性は改めて、こちらを見つめてきた
……やはり、視線から悪寒を感じる
突き刺さるような、そんな感覚
こちらの反応に気づいたのか、Lはくい、と、男性の服の袖を軽く引っ張った
今日は教会に手伝いに行く日ではないようだが、教会まで一緒に行くつもりらしい
Lによって紹介され、その男性は改めて、こちらを見つめてきた
……やはり、視線から悪寒を感じる
突き刺さるような、そんな感覚
こちらの反応に気づいたのか、Lはくい、と、男性の服の袖を軽く引っ張った
「ジェルトヴァさん、初対面の人睨んじゃ、めっ、っす」
「…………睨んでいるつもりは、ないのだが」
「…………睨んでいるつもりは、ないのだが」
Lの言葉に、少し困ったような表情を浮かべた男性
……どうやら、単に目つきが鋭かっただけのようだ
それでも、なんとなく、突き刺さる視線を怖く感じてしまう
……どうやら、単に目つきが鋭かっただけのようだ
それでも、なんとなく、突き刺さる視線を怖く感じてしまう
…………不思議だ、と、そう思った
男性からの視線を、ここまで「怖い」と感じるなんて、初めてな気がする
それも、「怖い」の種類がなんというか………
男性からの視線を、ここまで「怖い」と感じるなんて、初めてな気がする
それも、「怖い」の種類がなんというか………
(……命の危険を、感じる、ような)
気のせいだと思うのだけど、どうしても、そんな感覚を覚える
あぁ、本当に、初めてだ
初めてだから、こそ。どうしたらいいのか、わからなくなってしまう
あぁ、本当に、初めてだ
初めてだから、こそ。どうしたらいいのか、わからなくなってしまう
「……っと、ジェルトヴァさん。俺っち、ちょっと本屋さん、よっていくっす」
「…あぁ、わかった」
「…あぁ、わかった」
ちょっとだけお待ちをー、と言って、Lは本屋さんに入っていった
結果、この弾性と二人、取り残されてしまう
結果、この弾性と二人、取り残されてしまう
………
っく、空気!
空気が!重たい!!
こんな時こそ、今まで男性相手に培ってきた技術を使うべきなのだと思う
が、それをうまく使えない程に、この弾性は妙なプレッシャーを持っていた
それでも、なんとか言葉を紡ぎ出そうとする
っく、空気!
空気が!重たい!!
こんな時こそ、今まで男性相手に培ってきた技術を使うべきなのだと思う
が、それをうまく使えない程に、この弾性は妙なプレッシャーを持っていた
それでも、なんとか言葉を紡ぎ出そうとする
「………え、え、っと。こ、今度から、この学校街に派遣される、って事は………学校街に住むん、ですか?」
「そうだ。学校街に派遣されるのは、三年ぶりになる。レンと会うのも、三年ぶりになる」
「そうだ。学校街に派遣されるのは、三年ぶりになる。レンと会うのも、三年ぶりになる」
なるほど、前にも、学校町に住んでいた事があったのか
少しでも言葉を交わせば、少し落ち着いた
もうちょっと、この男性を観察してみる
少しでも言葉を交わせば、少し落ち着いた
もうちょっと、この男性を観察してみる
名前からして日本人ではない事は明らかな訳だが………この顔立ち、どっちかと言うとロシア系、だろうか
背は高い。ひょろ長いと言う訳でもなく、ごついと言う訳でもない。バランスのとれた体格、とでも言うべきなのだろうか
顔立ちは特別整っている訳でも、醜い訳でもない。ただ、目つきが鋭く厳しい。表情の硬さが、それに拍車をかけているようにも見える
背は高い。ひょろ長いと言う訳でもなく、ごついと言う訳でもない。バランスのとれた体格、とでも言うべきなのだろうか
顔立ちは特別整っている訳でも、醜い訳でもない。ただ、目つきが鋭く厳しい。表情の硬さが、それに拍車をかけているようにも見える
「憐君とも、三年前からお知り合いなんですね」
「あぁ、そういう事になる」
「あぁ、そういう事になる」
………「三年前」
以前から気になって、仕方ないキーワード
…この人は、知っているだろうか
以前から気になって、仕方ないキーワード
…この人は、知っているだろうか
好奇心にかられる
と、同時に、踏み込んではいけないような、そんな思いも感じていて
二つの感情がぐるり、と頭のなかで混ざり合う中、こう、口にしてみる
と、同時に、踏み込んではいけないような、そんな思いも感じていて
二つの感情がぐるり、と頭のなかで混ざり合う中、こう、口にしてみる
「三年前、大変なことがあった、らしいですね」
今、口に出して
この男性が「そんな事はなかった」とでも言えば、諦めるつもりだった
もしかしたら、本当に三年前、何もなかったのかもしれないし
この男性が「そんな事はなかった」とでも言えば、諦めるつもりだった
もしかしたら、本当に三年前、何もなかったのかもしれないし
……けれど
「………………あぁ。あれは。痛ましい事件だった」
ぼそり、と
男性は、こちらの言葉にそう答えてきた
厳しいその眼差しの内側に、一瞬、何かの感情が揺らいだように見えたのは、気のせいだろうか
男性は、こちらの言葉にそう答えてきた
厳しいその眼差しの内側に、一瞬、何かの感情が揺らいだように見えたのは、気のせいだろうか
「三年前のあの件以来、レンもずいぶんと、変わったように見える」
………え?
「憐君、が?」
いつもへらへらとした態度、表情、話し方。でも実際は真面目で優しいL
…三年前は、そうじゃなかった?
変わった、と言うのは………何が?
…三年前は、そうじゃなかった?
変わった、と言うのは………何が?
この人からなら、聞けるんじゃないだろうか
そう考えて、もっと聞き出そうとしたのだけど
そう考えて、もっと聞き出そうとしたのだけど
「すみません、おまたせしましたー、っす」
本屋から、Lが戻ってきた
こちらと男性を見つめて、きょとん、と首を傾げてくる
こちらと男性を見つめて、きょとん、と首を傾げてくる
「なんか、お話してたっす?」
「え、えぇ、ちょっとね」
「え、えぇ、ちょっとね」
「三年前」の件に関して聞こうとしていたことをLに知られてはいけない気がして、適当にごまかした
………つきつき、と、小さく、心が傷んだ気がする
やはり、「三年前」、何かあったのだ
それも、痛ましい事件、と呼ばれるような、何かが
そして、それが原因でLは「変わった」と言う
やはり、「三年前」、何かあったのだ
それも、痛ましい事件、と呼ばれるような、何かが
そして、それが原因でLは「変わった」と言う
自分には知らせてもらえなかった事
なんとなく、自分がのけものでしかないような
…所詮は、つい最近学校町に来たばかりの、高校に通うためだけにここにいるよそ者でしかないような
なんとなく、自分がのけものでしかないような
…所詮は、つい最近学校町に来たばかりの、高校に通うためだけにここにいるよそ者でしかないような
そんな、寂しさにも似たものを、感じたのだった
to be … ?