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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-14b

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
   知らぬままの幸福を貴方は知らない
   その幸福は、知ってしまえばもう二度と手に入らない




               Red Cape






 廃墟と化した建物の中で、複数の人影が蠢いている
 それらは、一応は「人間」のように見えなくもない
 しかし、それらは明らかに「人間」ではなかった

 筋骨隆々な体つき、までは良いとしよう
 しかし、その口元から覗く鋭い牙は明らかに人間のものではない
 彼らは「オーガ」と呼ばれる存在、ないしそれらに「飲まれた」元契約者だ
 人喰いの化け物であり、悪魔の一種等とも呼ばれている
 単体で活動する事も多い彼らが、こうして一箇所に集まる、と言うのは少々珍しい
 それも、彼らが本来語られるヨーロッパではなく、日本と言う国で

「この街で、間違いなかったな?」
「あぁ。問題ない」
「ここでは、好き勝手暴れれば良いのだったな」
「ここでは、好きなだけ人を喰うて良いのだな」
「あぁ、あぁ、楽しみだ」
「この街を我らの牧場としようか」
「それが良い、それが良い」

 ぼそぼそと、しかしがやがやと、オーガ達は会話する
 人喰いの化け物達は、この街を「餌場」にすると決めていたようだった
 この街には都市伝説契約者が多い、それを彼らはわかっていない訳ではない
 わかっていて、その上で餌場にしようとしているのだ
 彼らは人間に化ける力を持っている
 その力でもって、人間に化けて隠れ住み、人間たちを食らうつもりなのだ

 彼らは、何者かによって導かれて、この学校町へとやってきた
 ここならば、餌に困ることはない、と
 人喰いであるが故に、人間の味方をする都市伝説達に退治されやすく、餌に困る場合が多い
 だからこそ、彼らはいつでも、安定した餌場を求めているのだ


 ここならばうまくいくだろう
 久々に、腹いっぱい食事ができるだろう
 そんな人喰い化け物の願いは、しかし、あっさりと打ち壊される事になる


「…………なるほど。人喰いをやめるつもりは毛頭ない訳だ」

 冷えきった声が、その空間に響いた
 はっ、とオーガ達はその声の方向に視線を向ける

 そこにいたのは、一人の男性だった
 長身のその男性は司祭服を着ており、眼光鋭くオーガを睨みつけている。胸元には、銀の聖印が揺れていた

「「教会」の人間かっ!?」
「もう追手が来たのか………まぁ、いい。「教会」の坊主共の肉は、女子供の柔らかい肉に次いで美味い。こいつから食らってやろう」

 これだけの数のオーガで、あの男一人を分けるとなると、一人が食える量は少ないが…………前菜にでもしてやろう
 オーガ達はそう考えた
 たとえ、「教会」の人間であろうとも、これだけの数でかかったならば、負けるはずがない
 そう、負けるはずなどない
 ……しかし、オーガの一人は気づいた
 その男が、何者であるかを

「……っいかん!あいつは………」

 逃げるよう、促そうとした
 しかし、遅かった

 司祭服を着た男の手元に、出現したそれ
 それは、一見するとただの鞭のように見えた
 しかし、男が軽く振るったその瞬間、鞭の姿が変貌する
 鞭の先が、一瞬にして60にも枝分かれし、そして………鞭全体が、燃え上がった

 男の正体に気づいていたオーガの悲鳴が、響き渡る

「あの男は、「アナフィエル」の契約者…………っ「教会」の異端審問官だ!!」

 悲鳴が終わるか終わらないかのうちに、再び振るわれた鞭
 炎をまとったそれは、そこに集まっていたオーガ達へと、一切の容赦なく襲いかかり、彼らを打ち据え、その身を焼き焦がした



 オーガ達の絶叫を、彼、ジェルトヴァは冷たい表情のまま聞いていた
 ジェルトヴァが炎に包まれた鞭を振るう度、オーガ達は悲鳴をあげて倒れていく
 ジェルトヴァが契約している天使は「アナフィエル」
 水を司ると言われる天使であるが、同時に炎の鞭を武器に使う存在でもある
 かつて、メタトロンにその鞭で持って罰を与えた事があるのがアナフィエルだ
 ジェルトヴァはその鞭を振るい、彼らにとっては悪魔の一種でもあるオーガ達を屠っていく

 このオーガ達は、今回ジェルトヴァが学校町にやってきた理由の一つであった
 ヨーロッパ中あちらこちらのオーガ達がこぞって日本の………それも、学校町へと集まっている
 その報告を受けて、彼らが人喰いを続けるようであればそれを討伐する事
 アナフィエルクラスとなると、この程度のオーガ、いくら群れようとも敵ではない
 暴風のように荒れ狂う鞭から逃れるのは、至難の業なのだ

「っと………ジェルトヴァさん、ちょろっと攻撃範囲絞ってくれないと、この廃墟が止め刺されそうなんすけど!?」

 ………が、アナフィエルの炎の鞭の攻撃には、欠点もあった
 攻撃範囲が広い、のはいい。威力が高いのもいい………ただ、少々、手加減が苦手であった
 よって、このような屋内で攻撃を繰り出した場合、辺りへの被害が甚大すぎるのだ
 ジェルトヴァの背後で待機していた憐が指摘した通り、廃墟に止めを刺しかねない
 すでに攻撃によって、辺りはかなり破壊されており、大小様々な欠片があちこちを飛び散っている

「……わかってはいる。だが、オーガ共を逃がす訳にはいかない。元々ここは廃墟だ。いっそ壊しても問題あるまい」
「微妙に問題ある気がするんすけど!?っつか、天井落ちてきたら俺っち達もアウトっすよね!?」
「問題ない。我々の頭上に瓦礫が落ちてきたとしても、私が破壊する」
「普段はそうでもないのに、どうしてこう、戦闘の時は脳筋全開っすか!?」

 力一杯のツッコミを憐が口にするが、ジェルトヴァは気にした様子を見せない
 実際、頭上から瓦礫が降ってきたとしても、己の鞭で全て粉砕できると強い確信を持っているのだ
 無論、己の背後にいる憐を守りきれる自信もある
 オーガ達の討伐に加え、他にも多数の使命を一人で同時に任命されるだけの実力を、この男は確かに兼ね備えていた

「……!一匹、逃げるっす」

 と、憐が、この場から命からがら逃げようとしているオーガを見つけた
 ひゅんっ、と、ジェルトヴァは鞭を構える

「……少し遠いが、この程度なら」
「………残り一体だけなんだし、俺っちで十分、っす」

 攻撃を繰りだそうとしたジェルトヴァを言葉で制して、憐はその弓を構えた
 輝くその弓から放たれた光り輝く矢は、逃げ出そうとしていたオーガへと、目にも留まらぬスピードで吸い込まれるように飛んで行く

「ぐ、がぁっ!?」

 どすっ、と
 矢はオーガを背中から貫き、その生命を燃やし尽くした
 ほぅ、とジェルトヴァは小さく感嘆の声をあげる

「さすがだな、「シェキナーの弓」の威力は」
「俺っちが契約してんのじゃなくて、母さんからの借り物っすけどね。母さんが使えば、もっとちゃんとした威力になるっすよ」

 ……そう、憐が母親から借りているその都市伝説は「シェキナーの弓」と呼ばれるもの
 それは、天使ケルビムの長ケルビ得るが構えていると言われる弓だ
 太陽の36万5000倍明るいと言われる、聖なる光輝シェキナーの弓は、その本来の使い手にふさわしい威力を持っている
 母親から借りる形で使っている憐が使用しても、十分な威力を持っていた

(…とは言え。レンにこの武器を使わせるのは、あまり良くない事だな)

 優しい憐には、この武器は似合わない
 三年前に学校町に来た時にも憐と交流があったジェルトヴァは、憐の優しい性格を知っていた
 その性格ははっきりと言って、戦闘に向いていないとジェルトヴァはそう感じている
 いざ戦いともなれば怯える事なく戦うとはいえ、相手を傷つける事に躊躇してしまう面があるのだ

(……今後の学校町での任務でも、レンと行動する機会はあるだろうが。なるべく、戦わせないようにしなければ)

 優しい憐に戦わせたくはない、と
 ジェルトヴァは、そう結論付けた
 戦闘力は、どう考えたとしても自分の方が高い
 憐を無理に戦わせる必要性はないのだ

「………あ、ジェルトヴァさん、怪我」
「うん?………あぁ、大した怪我ではない」

 憐が、ジェルトヴァの頬についていた傷に気づいた
 鞭でもってオーガ達を倒していっていた際に辺りの廃墟まで破壊してしまい、その小さな破片が掠ったのだろう
 放置して問題ない、と判断したジェルトヴァだったが、憐はそう判断しなかったようだ

「駄目ー、っす。せっかくのいい男が台無しっすよ。ほら、じっとして」

 す、と憐が手を伸ばす
 身長差的にぎりぎり、その傷の辺りに手が届いた
 憐が軽く意識を集中すると、ぽぅ、と、その掌から光が溢れだした。暖かで優しい、白い光。それが、ジェルトヴァの頬に出来たかすり傷を一瞬で癒やし、傷跡すら残さない

「…はい、綺麗に治ったっすよー」
「あぁ、すまない………さすがは、「ラファエル」の治癒能力だな。この程度なら、一瞬か」
「ふふー、俺っち、ちゃーんと訓練して、一杯怪我治せるようになってきたっすよ」

 ジェルトヴァの言葉に、へろんっ、と気の抜けたような笑みを浮かべる憐
 憐が真に契約しているものの正体は、「ラファエル」
 四大天使が一人に数えられる程の存在であり、さらに言えば聖書聖典に登場する三人の天使の一人でもある。「旅の守護者」や「若者の守護者」、「悪魔祓い」「病気の治療者」等様々な呼び名が存在している
 はっきり言って、天使の中ではかなりの大物である
 普通に契約すれば飲まれかねない存在だが、憐は飲まれる事なくきちんと人間のままだ
 それは、憐が「ラファエル」と相性が良かった、と言うのもあるが、契約により扱える「ラファエル」の力を制限しているから、と言うのが大きいだろう
 憐は「ラファエル」との契約において、使用するのは「ラファエル」の治癒能力のみとしているのだ
 戦闘力も高いと言われる「ラファエル」だが、憐はその戦闘力を扱う事は出来ない
 だからこそ、戦闘に巻き込まれた時に供えて、母親から「シェキナーの弓」を借りているのだ

「……さて、では帰るか。家まで送ろう」
「?帰るのはさんせーっすけど、俺っち、一人で帰れるっすよ?」

 ジェルトヴァの言葉に、きょとん、と首を傾げて見せる憐
 この軽い調子の話し方に、ジェルトヴァは微かに表情を険しくする
 「三年前」の件以来、会うのは久しぶりだが………以前は、こんなちゃらけた話し方では、なかった
 あの時の件が憐の心に深い傷を残した結果がこれなのだ、とジェルトヴァはそう考える

(あの時は、力になってやることができなかったが……)

 ………だが、今回こそは
 憐をそのような目に合わせないし、万が一そのような事になったならば………今度こそ、護ってみせる
 ジェルトヴァはそう強く、決意したのだった








    芯が強ければ強いほどに
    それがぽきりと音たて折れた時の衝撃は




               Red Cape





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