学校、と言うものに通った経験はない
「組織」内部で教育自体は問題なく受けられるし、表向きの学歴も「組織」によって用意される
都市伝説事件に関わる上での心構えも当然のように教えられる。「組織」の一員として生きていくのであれば、学校に通う必要性等全くない
「組織」内部で教育自体は問題なく受けられるし、表向きの学歴も「組織」によって用意される
都市伝説事件に関わる上での心構えも当然のように教えられる。「組織」の一員として生きていくのであれば、学校に通う必要性等全くない
……そう、考えていたのだが
「日常に溶け込むんだったら、やっぱ学校は通った方がいいと思うぜ」
花屋にて、花束を作ってもらうのを待っている間に直斗はそう言ってきた
花の種類は色々とあるようだが、店員が一人だけと言う店だ。店員が花束作りに集中している間なら、多少きわどい話題でも大声でなければ大丈夫そうだ
花の種類は色々とあるようだが、店員が一人だけと言う店だ。店員が花束作りに集中している間なら、多少きわどい話題でも大声でなければ大丈夫そうだ
「潜入捜査とかもやるんだったら、余計にな。「一般人」装えるかどうかは重要だろ」
「まぁ、そうだけどよ………俺だって、一般人装うくらいは」
「できてないぞ」
「まぁ、そうだけどよ………俺だって、一般人装うくらいは」
「できてないぞ」
さらり、と直斗は断言してきた
むっ、としたくなるが、直斗は一応「一般人」と言う枠組みに入れても良い人間だろう
そんな人間から見て、自分は「一般人」と言うには違和感がある、そういう事か
直斗が、言葉を続けてくる
むっ、としたくなるが、直斗は一応「一般人」と言う枠組みに入れても良い人間だろう
そんな人間から見て、自分は「一般人」と言うには違和感がある、そういう事か
直斗が、言葉を続けてくる
「一般人、っつーには隙がないっつか……空気が違うんだよ。一般人が考えるところの「裏の人間」みたいな雰囲気がある」
「……そんなにか?」
「そんなに。やっぱ気づいてなかったか」
「……そんなにか?」
「そんなに。やっぱ気づいてなかったか」
断言され、考え込む
何故、そのような違和感がでてしまっているのか
原因があるとすれば
何故、そのような違和感がでてしまっているのか
原因があるとすれば
「…俺が、「一般人の生活」を経験した事がほとんどないせいか」
「「組織」の一員になったのって、小学生の頃だろ?それ以来学校に通ってないなら、どうしても考え方とかでも違い出るんだろうな」
「「組織」の一員になったのって、小学生の頃だろ?それ以来学校に通ってないなら、どうしても考え方とかでも違い出るんだろうな」
……やはり、そのせいか
10歳で両親が死んで以降、そのまま学校にも通わなくなった
「組織」の一員として学び、生き続けた
そうか、そんなに、自分はあの頃と思考がズレているのか
10歳で両親が死んで以降、そのまま学校にも通わなくなった
「組織」の一員として学び、生き続けた
そうか、そんなに、自分はあの頃と思考がズレているのか
「「組織」の方でも、あんまそこら辺ズレすぎないように、とはしているはずだろうけれど、それでもどうしても「違和感」は出るもんだよ。一般人の「日常」とは、どっかズレてるんだ」
「じゃ、お前はどうなんだよ」
「じゃ、お前はどうなんだよ」
直斗とて、都市伝説に関わり続けている
自身が契約者ではないにしろ、契約者と、都市伝説と当たり前のように接し続け、都市伝説事件に巻き込まれたことも一度や二度ではない
そんなこいつは、一般人の日常とやらとは剥離した日常を過ごしているはずだ
こちらの問いに、直斗は笑う
自身が契約者ではないにしろ、契約者と、都市伝説と当たり前のように接し続け、都市伝説事件に巻き込まれたことも一度や二度ではない
そんなこいつは、一般人の日常とやらとは剥離した日常を過ごしているはずだ
こちらの問いに、直斗は笑う
「間近で、都市伝説知らない人間の生活も見てきているからな。そこまでズレてるつもりはないぜ。少なくとも、都市伝説知らない奴らと接する時は一般人のつもりだし」
「……そんなもんか」
「そんなもんだよ」
「……そんなもんか」
「そんなもんだよ」
そうやって話しているうちに、花束ができたようだ
直斗が、やけに色々花の種類を選んでいたせいで時間がかかったらしい
直斗が、やけに色々花の種類を選んでいたせいで時間がかかったらしい
「おまたせいたしました。オダマキ、ユリ、ロベリア、マリーゴールド、ラベンダー、カンナ、ホオズキ、ザクロ。以上でよろしいですね?」
「はい……うん、黄色いユリだ。これで問題ないです」
「はい……うん、黄色いユリだ。これで問題ないです」
出来上がった花束を受取り、直斗が料金を払っている
しかし、本当、色々と選んだものだ
一種類でもいいだろうに
しかし、本当、色々と選んだものだ
一種類でもいいだろうに
(まぁ、こだわりがあるんだろうな)
……なにせ、直斗が買った花束は、死者へ手向ける為の物なのだから
三年前のあの事件、「土川 咲李」の死の瞬間を見てしまったこいつらは、よく事件現場である中学校に行って、花を手向けているらしかった
以前、ちらりとかなえに聞いてみたが、かなえは墓参りはしているが、現場へ花を手向けには行っていないらしい
……「行けない」、と、そう言っていた。彼女が死んだその現場へと足を踏み入れる事自体が怖いようだ
まだ中学生だった頃も、その場には近づかないようにしていたそうだから
とにかく、こいつらは花を手向けによく行っている
全員で行ったり、2,3人の都合がついた者で行ったり………ただ、今の直斗のように、当時の関係者でもない者と行く事はほぼないはずだ
以前、ちらりとかなえに聞いてみたが、かなえは墓参りはしているが、現場へ花を手向けには行っていないらしい
……「行けない」、と、そう言っていた。彼女が死んだその現場へと足を踏み入れる事自体が怖いようだ
まだ中学生だった頃も、その場には近づかないようにしていたそうだから
とにかく、こいつらは花を手向けによく行っている
全員で行ったり、2,3人の都合がついた者で行ったり………ただ、今の直斗のように、当時の関係者でもない者と行く事はほぼないはずだ
(「三年前の事件について、改めて聞きたい」って言ったらこれだからな……)
現場で話す、と、直斗はそう言っていた
だから、自分もこれに付き合う事にしたのだ
だから、自分もこれに付き合う事にしたのだ
(愛百合には、黙っていた方がよさそうだな。これ)
このところ、愛百合に黙っていることが増えた気がしないでもないが、仕方あるまい
どうにも、愛百合は直斗を警戒しているような節がある。「あぁ言う、勘のいい子はちょっと苦手」と言っていた
直斗の方は………一見、あからさまに警戒しているようだが、実際はそれほどでもないのだが
愛百合の元で知ることができない情報は、今のところ直斗から仕入れていることが多い
直斗からは「他にも情報源作っておけ」とは言われているが……
どうにも、愛百合は直斗を警戒しているような節がある。「あぁ言う、勘のいい子はちょっと苦手」と言っていた
直斗の方は………一見、あからさまに警戒しているようだが、実際はそれほどでもないのだが
愛百合の元で知ることができない情報は、今のところ直斗から仕入れていることが多い
直斗からは「他にも情報源作っておけ」とは言われているが……
「情報源の候補、いるだろ。ほら、今から行く中学校にも通ってる……」
「あいつだけは嫌だ」
「即答かよ」
「あいつだけは嫌だ」
「即答かよ」
情報源の話になったら、こんな流れになった
即答にきまっている
誰が、あんなクソ生意気な奴に
即答にきまっている
誰が、あんなクソ生意気な奴に
「そう嫌うなよ、あいつ、情報収集は優秀なんだろ?」
「確かにそうだが……そうだが、やっぱ嫌だ」
「そこまで嫌いか」
「確かにそうだが……そうだが、やっぱ嫌だ」
「そこまで嫌いか」
直斗は苦笑してくるが、人間、どうしても馬が合わない相手と言う奴はいる
そういう事だ
そういう事だ
「まぁ、あいつはやめとくとしても他に見つけとけって。俺からの情報は、なるべくそうしないようにはしてるけど俺の色眼鏡入る事あるし…………」
……と
直斗が、足を止めた
直斗が、足を止めた
「どうした?」
「……あそこの奴」
「……あそこの奴」
直斗が視線を向けた先
そこにいたのは……中学生、には見えなかった
放課後の、帰宅している中学生逹よりも年上。高校生くらいだろうか。直斗と同年代くらいのように見える
足を止めて、中学校の校舎の方を見ている
そこにいたのは……中学生、には見えなかった
放課後の、帰宅している中学生逹よりも年上。高校生くらいだろうか。直斗と同年代くらいのように見える
足を止めて、中学校の校舎の方を見ている
「お前みたいな、卒業生じゃないのか?」
「……いや、覚えがない」
「……いや、覚えがない」
そう言って、少し、探るように直斗はそいつを見ていた
が、ふと、何か思い付いたような顔をすると、そのまますたすたと、そいつに近づいてく
が、ふと、何か思い付いたような顔をすると、そのまますたすたと、そいつに近づいてく
「なぁ、あんた。ここに用あんの?」
「え?」
「え?」
突然話しかけられ、そいつが驚いたように直斗を見る
こちら側から、直斗の表情は見えないのだが……恐らく、笑っているんじゃないだろうか
こちら側から、直斗の表情は見えないのだが……恐らく、笑っているんじゃないだろうか
「用事あるんなら、俺逹と一緒に入るか?俺、ここの卒業生だから、入るんだったら俺の用事にちょこっと付き合うなら入れるぜ」
まるで、取引を持ちかけようとするかのように、直斗はそいつに告げる
「「三年前」に死んだ彼女に花供えるのに、ちょっと付き合ってもらうだけだから、すぐに終わるよ?」
「三年前」、と
直斗がそこを強調するように言ったのも
…そこにいるそいつが、その「三年前」と言う単語に一瞬、反応を見せたような気がしたのも
直斗がそこを強調するように言ったのも
…そこにいるそいつが、その「三年前」と言う単語に一瞬、反応を見せたような気がしたのも
気の所為、では、ないのだろう
to be … ?