「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-44a

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匿名ユーザー

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 学校、と言うものに通った経験はない
 「組織」内部で教育自体は問題なく受けられるし、表向きの学歴も「組織」によって用意される
 都市伝説事件に関わる上での心構えも当然のように教えられる。「組織」の一員として生きていくのであれば、学校に通う必要性等全くない

 ……そう、考えていたのだが

「日常に溶け込むんだったら、やっぱ学校は通った方がいいと思うぜ」

 花屋にて、花束を作ってもらうのを待っている間に直斗はそう言ってきた
 花の種類は色々とあるようだが、店員が一人だけと言う店だ。店員が花束作りに集中している間なら、多少きわどい話題でも大声でなければ大丈夫そうだ

「潜入捜査とかもやるんだったら、余計にな。「一般人」装えるかどうかは重要だろ」
「まぁ、そうだけどよ………俺だって、一般人装うくらいは」
「できてないぞ」

 さらり、と直斗は断言してきた
 むっ、としたくなるが、直斗は一応「一般人」と言う枠組みに入れても良い人間だろう
 そんな人間から見て、自分は「一般人」と言うには違和感がある、そういう事か
 直斗が、言葉を続けてくる

「一般人、っつーには隙がないっつか……空気が違うんだよ。一般人が考えるところの「裏の人間」みたいな雰囲気がある」
「……そんなにか?」
「そんなに。やっぱ気づいてなかったか」

 断言され、考え込む
 何故、そのような違和感がでてしまっているのか
 原因があるとすれば

「…俺が、「一般人の生活」を経験した事がほとんどないせいか」
「「組織」の一員になったのって、小学生の頃だろ?それ以来学校に通ってないなら、どうしても考え方とかでも違い出るんだろうな」

 ……やはり、そのせいか
 10歳で両親が死んで以降、そのまま学校にも通わなくなった
 「組織」の一員として学び、生き続けた
 そうか、そんなに、自分はあの頃と思考がズレているのか

「「組織」の方でも、あんまそこら辺ズレすぎないように、とはしているはずだろうけれど、それでもどうしても「違和感」は出るもんだよ。一般人の「日常」とは、どっかズレてるんだ」
「じゃ、お前はどうなんだよ」

 直斗とて、都市伝説に関わり続けている
 自身が契約者ではないにしろ、契約者と、都市伝説と当たり前のように接し続け、都市伝説事件に巻き込まれたことも一度や二度ではない
 そんなこいつは、一般人の日常とやらとは剥離した日常を過ごしているはずだ
 こちらの問いに、直斗は笑う

「間近で、都市伝説知らない人間の生活も見てきているからな。そこまでズレてるつもりはないぜ。少なくとも、都市伝説知らない奴らと接する時は一般人のつもりだし」
「……そんなもんか」
「そんなもんだよ」

 そうやって話しているうちに、花束ができたようだ
 直斗が、やけに色々花の種類を選んでいたせいで時間がかかったらしい

「おまたせいたしました。オダマキ、ユリ、ロベリア、マリーゴールド、ラベンダー、カンナ、ホオズキ、ザクロ。以上でよろしいですね?」
「はい……うん、黄色いユリだ。これで問題ないです」

 出来上がった花束を受取り、直斗が料金を払っている
 しかし、本当、色々と選んだものだ
 一種類でもいいだろうに

(まぁ、こだわりがあるんだろうな)

 ……なにせ、直斗が買った花束は、死者へ手向ける為の物なのだから



 三年前のあの事件、「土川 咲李」の死の瞬間を見てしまったこいつらは、よく事件現場である中学校に行って、花を手向けているらしかった
 以前、ちらりとかなえに聞いてみたが、かなえは墓参りはしているが、現場へ花を手向けには行っていないらしい
 ……「行けない」、と、そう言っていた。彼女が死んだその現場へと足を踏み入れる事自体が怖いようだ
 まだ中学生だった頃も、その場には近づかないようにしていたそうだから
 とにかく、こいつらは花を手向けによく行っている
 全員で行ったり、2,3人の都合がついた者で行ったり………ただ、今の直斗のように、当時の関係者でもない者と行く事はほぼないはずだ

(「三年前の事件について、改めて聞きたい」って言ったらこれだからな……)

 現場で話す、と、直斗はそう言っていた
 だから、自分もこれに付き合う事にしたのだ

(愛百合には、黙っていた方がよさそうだな。これ)

 このところ、愛百合に黙っていることが増えた気がしないでもないが、仕方あるまい
 どうにも、愛百合は直斗を警戒しているような節がある。「あぁ言う、勘のいい子はちょっと苦手」と言っていた
 直斗の方は………一見、あからさまに警戒しているようだが、実際はそれほどでもないのだが
 愛百合の元で知ることができない情報は、今のところ直斗から仕入れていることが多い
 直斗からは「他にも情報源作っておけ」とは言われているが……

「情報源の候補、いるだろ。ほら、今から行く中学校にも通ってる……」
「あいつだけは嫌だ」
「即答かよ」

 情報源の話になったら、こんな流れになった
 即答にきまっている
 誰が、あんなクソ生意気な奴に

「そう嫌うなよ、あいつ、情報収集は優秀なんだろ?」
「確かにそうだが……そうだが、やっぱ嫌だ」
「そこまで嫌いか」

 直斗は苦笑してくるが、人間、どうしても馬が合わない相手と言う奴はいる
 そういう事だ

「まぁ、あいつはやめとくとしても他に見つけとけって。俺からの情報は、なるべくそうしないようにはしてるけど俺の色眼鏡入る事あるし…………」

 ……と
 直斗が、足を止めた

「どうした?」
「……あそこの奴」

 直斗が視線を向けた先
 そこにいたのは……中学生、には見えなかった
 放課後の、帰宅している中学生逹よりも年上。高校生くらいだろうか。直斗と同年代くらいのように見える
 足を止めて、中学校の校舎の方を見ている

「お前みたいな、卒業生じゃないのか?」
「……いや、覚えがない」

 そう言って、少し、探るように直斗はそいつを見ていた
 が、ふと、何か思い付いたような顔をすると、そのまますたすたと、そいつに近づいてく

「なぁ、あんた。ここに用あんの?」
「え?」

 突然話しかけられ、そいつが驚いたように直斗を見る
 こちら側から、直斗の表情は見えないのだが……恐らく、笑っているんじゃないだろうか

「用事あるんなら、俺逹と一緒に入るか?俺、ここの卒業生だから、入るんだったら俺の用事にちょこっと付き合うなら入れるぜ」

 まるで、取引を持ちかけようとするかのように、直斗はそいつに告げる

「「三年前」に死んだ彼女に花供えるのに、ちょっと付き合ってもらうだけだから、すぐに終わるよ?」

 「三年前」、と
 直斗がそこを強調するように言ったのも
 …そこにいるそいつが、その「三年前」と言う単語に一瞬、反応を見せたような気がしたのも

 気の所為、では、ないのだろう





to be … ?



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