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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代ーズ-EX05

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kumaa

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EX 七尾時代の年越し




 数年前の元日の話だ



 つい先ほど日付が変わり、新しい年を迎えたばかりの真夜中

 「七尾」チャイルドスクール、研究棟の一室
 テーブルにはピザや寿司の食い残しや、掛け蕎麦の空椀が乱雑に置かれている

 そして、テーブルから離れた側では
 西陣織紬を着込んだ男子と、Yシャツの上から白衣を羽織った男が
 今しがた入室してきた鏡餅の着ぐるみを着用した男子を見て爆笑していた


 「早渡wwお前wなんだその格好はよwww」
 「アッハハハハハ! おい早渡、一体誰にやられた! アハッ!」


 腹を抱えて笑いに笑う二人組を、早渡と呼ばれた男子は半ば憔悴した半眼で睨みつけた


「うるせえぞ一伐、大体こういうのはお前の仕事だろうが……!」
「いやwww早渡wお前、良く似合ってるぜwww最ッ高だよwww」
「ハハハッ! で、誰にやられたよ早渡、空七ちゃん達か?」
「オメーのお仲間にだよ! トランジ! あのアマども、日頃の恨みとばかり寄ってたかって揉みくちゃに……!!」


 彼ら、ANクラス関係者がこんな時間まで起きているのはさほど珍しいことではない
 ましてや年末年始だ
 この時期は冬休みとして設定されており
 特に年明けから三箇日にかけては、普通クラス寮も消灯時間が平時より若干緩めになる

 これから彼らは普通クラス高学年を対象として、サプライズのお年玉配布へと向かう所であった
 通常のお年玉配布は元旦夜明け後に個々の生活指導教員から一人千円ずつ支給されるが
 研究棟からのお年玉ということで別途二千円札の配布が電撃的に決定したのである

 無論、金の出所に関してロクでもない経緯があったりするのは此処だけの秘密だ


「脩寿――、ちょっ、何その格好!」


 早渡の背後から部屋に入って来たのは
 ANクラス同級生の女子二名、空七とふわるだ

 二人とも早渡の格好を見るなり、一伐やトランジに負けず劣らずの爆笑を始めた
 特にふわるはツボに嵌ったらしく、しゃがみ込んで両手で顔を隠しつつお腹から湧き出る笑いに全身を揺すっていた

 不意にふわるが片手をずらして早渡を見た ――目が合う
 片手を振り上げてこのッ!! と凄むと
 体格に似合った小さな悲鳴を上げて空七の後ろに隠れ、爆笑し続けていた


「でも、本当に、その格好、脩寿が、自分で、着たの?」
「違えよ笑うな空七! 女子研究員どもが無理やり着せやがったんだぞ!?」


 笑いで切れ切れになった空七の問いに、早渡は噛みつくように応じる

 連中、女性研究員達はトイレ帰りの早渡を事前警告もなく急襲した
 本格的な捕獲デバイスを装備して殴り込んで来たので事前から計画でも練っていたんだろう


「それだけじゃねえ!! これ見ろ!! ご丁寧に首輪まで嵌めやがって!!」


 着ぐるみと顔の隙間に手を突っ込み、無理やり押し広げて首筋を見せつける
 首には言葉通りの首輪が装着されていた。緑のLEDが規則的に点滅しているやつだ

 この首輪は普段からセクハラ大魔王などとありがたくない称号で専ら有名な早渡脩寿が
 新年早々女子寮へ乗り込んで悪いことをしないようにと女性研究員達が強制的に装着した一品だ

 具体的に言うと、早渡が女子寮のテリトリーに足を踏み入れた瞬間
 神経活動妨害パルスが彼の全身を襲い、激痛と共に七転八倒の末、行動不能にする物騒な代物である


「そんなに信用ないのかよ、俺は!!」
「お前の場合自業自得でしょ」
「んーぬぬ……!! 俺はガキには興味無えんだよッ!! 大人のお姉さん一択だろおがァァッッ!!」


 新たに入室してきた円伶が早渡に至極真っ当な意見を突き刺してきた
 後ろに続く飛鳥博士は早渡の格好に目を丸くしている

 早渡は密かに空七を睨んだ
 彼女は顔を背けて隠している積りだろうが肩を震わせている
 未だに笑い足りないらしく、爆笑を必死に押し留めているものと見える

 着ぐるみはともかく首輪の方は十中八九佳川の特製品だろう
 あの女、きっと安全な場所からワイン片手にこのザマをモニターしているに違いない

 悪いが佳川、お前の好きなようにはさせねえ
 オレ様の名に懸けて年頭から早速伝説を残してやるぜ
 首輪なんざ怖くねえ、初っ端から女子寮にブッ込んでやるからよ、覚悟しとけよ女子職員ども

 早渡の中に黒い獰猛な笑みが広がった瞬間であった


「普通クラスの先生達って、まだ理事に呼び出されてんの?」
「そ、だからサプライズは俺達でやんなくちゃいけないってワケだ」
「クリスマスの機材トラブルの件、大問題になってるみたいだな」


 ひとしきり笑った後の一伐とトランジ、そして円伶の会話は早渡の耳になど入っていない


「じゃ、女性陣も揃ったことだし。E5の普通クラスにサプライズお年玉、行くか!」
「「「おー」」」
「あ、早渡。お前一応初っ端から飛ばしていくのは控えろよ? この時期のお姉様方はちょっと優しくないぞ?」
「それが怖くて早渡ハーレム王国が築けるかッつー話だろうがよ!!」
「お前マジでやめときな早渡、大河内研究員が今度お前が問題起こしたら去勢するって公言してたの忘れたの?」


 音頭を取るトランジこと星虎次博士、それに応じる一伐、空七、ふわるの三人
 そして早渡に釘を刺すトランジと、それに吼える早渡、に再度釘を打ち込む円伶
 ついでにそのやり取りを呆れたような笑いと共に見守る飛鳥博士
 彼らはわいのわいのやりながら部屋を後にする


 この後、期待通りというかやっぱりというか
 お年玉を個々の部屋長へ渡す道中、普通クラスの男子達に煽られた早渡は
 「男を見せてやらあ!!」などと理解不能な絶叫を上げながら女子寮への突撃を実行した

 無論、首輪の効果は抜群であったのは言う間でも無い話だ





 これが、「七尾」が襲撃を受け、そして解体する、その年の元日の出来事だ

 今にして思えば、あのときの俺、こと早渡脩寿は
 久し振りに屈託なく爆笑する九宮空七を、本当に久し振りに見たのだ










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