「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 我が願いに踊れ贄共・頭のあったかい子-16

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
 すらりと、エイブラハムは手元に巨大な大鎌を出現させた
 軽く振るうと、ドックウッド伝説の表面が引き裂かれる
 しかし、それはすぐに再生し、中で護っているニーナと星へと、攻撃と視線を届かせない

「そんな子供を護って何の意味があると言うのです?ドックウッド伝説。情でも移りましたか?」


 ----怖い


 エイブラハムの声を聞くのが、怖い
 ニーナは、必死に耳をふさいでいた

 怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い

 エイブラハムの声が聞こえる
 ただそれだけで、恐ろしい

 思い出してしまったその記憶がより鮮明になってニーナの心に襲い掛かる
 星に抱きしめられていなければ、その記憶に押しつぶされていたかもしれない

 エイブラハムによって与えられ、隠されてきた深い心の傷
 それが、エイブラハムの言葉によって、抉られる

 怖い、恐ろしい
 逃げなければ、とニーナは考える
 星と一緒に、ここから逃げなければ

 だが、体は動かない
 恐怖で硬直してしまっているからだ
 足が、震えている

 ここから逃げなければ
 そうしなければ、きっと、自分達は殺される
 せめて、星だけでも逃がさなければいけないのに

 ガッ、ガッ、と聞こえてくる音
 エイブラハムが、ドックウッド伝説を攻撃している音だ
 今のところ、ドックウッド伝説はニーナと星を護れている
 だが、それもいつまで続くかわからない
 エイブラハムが本気になれば、ドックウッド伝説は即座に破壊されてしまうだろう

 星の腕の中で震え続けるニーナ
 どうする事も出来ず、ただただ、震えている事しかできない

 せめて
 せめて、星に、自分を置いて逃げるように伝えようとした


 その時、だった


「…………ぬ!?」

 聞こえてきたのは、エイブラハムが驚いているような、声
 何か、異変が起きたらしい

 ……ざわり、ドックウッド伝説が元の形に戻り、再びニーナの胸元に納まった

 エイブラハムの姿は……ない
 正確に言えば「見えない」

 エイブラハムがいるであろう場所には…何か、人の形にまとめられている、真っ赤な鎖のようなものが見えた
 そして
 その鎖の前に、人影
 ローブを着た、長身の人影があった

 その手に持つ杖に、見覚えがある
 カラミティ・ルーン
 災厄の魔法使い

 それが、ちらり、とニーナと星を見てきた
 金色の瞳に射抜かれたような錯覚を覚え、ニ-ナは震えた

 ぽい、と
 カラミティが、何かを放り投げてくる
 星がキャッチしたそれは、短剣のように見えた

「…カラミティ・ルーンですか?あなたが何故、私の邪魔を?」

 エイブラハムが、カラミティに問いかけている
 だが、カラミティはそれを無視して、星に告げる

「念の為にアゾット貸してやるから、その餓鬼連れてさっさと逃げろ……あ、アゾットは俺様のだから、後で返せよ」
「…どういう事だ?」
「細かい説明、面倒くせぇ。その餓鬼に死なれたり発狂されたら、こっちに都合が悪いんだよ」

 ニーナを見つめてくる金色の目
 その目は、ニーナの事を「どうでもいいもの」と認識していて
 ただ、自分の都合に悪いから死なれては困るだけ、と
 それが、はっきりと伝わってくる

「あのおっさんは縛ったけど、声は届くから。その餓鬼、怯えて面倒だろ。さっさと逃げろ」
「………」

 ニーナを抱えた星が、走り出す
 その星に、ニーナは必死に捕まった

 離れたくないとそう考える
 傍にいてほしいと考える


 今の、ニーナにとって
 星は、壊れそうになる心を支えてくれる、唯一の存在で

 その星と離れてしまうことを、ニーナはただ、恐れる


 ニーナの首元のドックウッド伝説は
 そんなニーナの様子に、小さく震えたのだった





to be … ?






タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー