さて、どうしようか
現れた「組織」の黒服を見下ろし、エイブラハムは考える
正直、ニーナの事はどうでもいい
彼女は、あの逃げ出した淫魔を揺さぶるだけの餌なのだから
現れた「組織」の黒服を見下ろし、エイブラハムは考える
正直、ニーナの事はどうでもいい
彼女は、あの逃げ出した淫魔を揺さぶるだけの餌なのだから
ただ
ここで、ニーナの精神を完全に破壊しきるのも一興か、と
どこまでも邪悪に、笑みを浮かべた
ここで、ニーナの精神を完全に破壊しきるのも一興か、と
どこまでも邪悪に、笑みを浮かべた
どうしよう
ニーナの心は、恐怖に支配される
ニーナの心は、恐怖に支配される
思い出してしまった、忌まわしい記憶
こんなにも穢れている自分を抱きしめてくれた、優しい腕
恐怖と混乱で、思考が安定しない
こんなにも穢れている自分を抱きしめてくれた、優しい腕
恐怖と混乱で、思考が安定しない
どうしよう
ニーナは、ただ恐怖する
ニーナは、ただ恐怖する
エイブラハムと言う男がどんな存在なのか、思い出した、今
自分を救おうとしてくれている星が、危ないのだと
…殺されるかもしれないと
その事実に、恐怖する
自分を救おうとしてくれている星が、危ないのだと
…殺されるかもしれないと
その事実に、恐怖する
嫌だ
自分はどうなってもいい
こんなに穢れきっている自分、いっそ、死んだ方がいい
けれど、星は
星には、死んでほしくない
自分はどうなってもいい
こんなに穢れきっている自分、いっそ、死んだ方がいい
けれど、星は
星には、死んでほしくない
「……誰、か」
誰か
誰か、誰か、誰か
誰か、誰か、誰か
助けて
めきっ、と
鈍い音が、聞こえた
音の発信源は…ニーナの、胸元
鈍い音が、聞こえた
音の発信源は…ニーナの、胸元
彼女が、首から下げている「ドッグウッド伝説」
それは、鈍い音を立てて一瞬光ったかと思うと……急速に、形を変えていった
それは、鈍い音を立てて一瞬光ったかと思うと……急速に、形を変えていった
まるで、木の根が広がるかのように、伸びる、伸びる、伸びる
そして、それはニーナと星をすっぽりと包みこんだ
外側から見れば、木の枝か木の根が球のような形となって、二人を包み込んでいるように見える
そして、それはニーナと星をすっぽりと包みこんだ
外側から見れば、木の枝か木の根が球のような形となって、二人を包み込んでいるように見える
「な…!?」
「…おや」
「…おや」
その様子に
エイブラハムは、どこか見下したように、笑う
エイブラハムは、どこか見下したように、笑う
「お前の声を聞こうともせず、お前の考えに反した使い方ばかりしてきた小娘を庇いますか、「ドッグウッド伝説」」
そう
明らかに、「ドッグウッド伝説」はニーナ達を護っている
「ドッグウッド伝説」のおかげで、エイブラハムの視界から、ニーナと星の姿が消えた
これでは、魔眼でとらえる事はできない
大鎌で引き裂こうにも、都市伝説であるそれが、簡単に引き裂かれるだろうか?
明らかに、「ドッグウッド伝説」はニーナ達を護っている
「ドッグウッド伝説」のおかげで、エイブラハムの視界から、ニーナと星の姿が消えた
これでは、魔眼でとらえる事はできない
大鎌で引き裂こうにも、都市伝説であるそれが、簡単に引き裂かれるだろうか?
「はて、困りましたねぇ」
そう口には出しながらも、エイブラハムは笑う
……この男がその気になれば、「ドッグウッド伝説」の護りとて、無駄になってしまうだろう
……この男がその気になれば、「ドッグウッド伝説」の護りとて、無駄になってしまうだろう
……ひらり
エイブラハムの視界届かぬ、その背後で
一羽の漆黒の蝶が、踊った
エイブラハムの視界届かぬ、その背後で
一羽の漆黒の蝶が、踊った
to be … ?