【上田明也の探偵倶楽部15~上田明也の×××?×~】
『こんにちわ、私がFBI長官……代理のケイン・マッカートニーだ。ケインと呼んでくれ。』
『こんにちわ、笛吹探偵事務所所長笛吹丁と申します。』
『君……、はてさてどこかで会わなかったかい?』
『気のせいですよ。』
『そうかね?大学の古い友人に似ていてねぇ……。
勉強では負けなかったんだが彼女の数ではいつもあいつに負けっぱなしだった。』
……世界は狭い。
俺がそう実感したのはNYのとあるホテルの一室でのことだ。
『とりあえず今回の依頼について直接聞かせて頂きたいのですが?』
父の大学時代の友人が居た。
というか今回の依頼主がそうだった。
『ああ、そうだったね。今回の依頼は単純だ。
都市伝説に占拠されている町を一つ開放して欲しい。
最悪破壊、焦土にしても構わない。』
『破壊?物騒ですね、どういうことなんですか?』
『あれはほんの一、二ヶ月程前の話だ。
日本の「組織」から一人の黒服がアメリカに送られてきた。
彼の発する兄気と呼ばれる謎のエネルギーは次々にアメリカの国土を汚染したんだ。
勿論、我々は「組織」にそれを止めるように要請したさ。
だが「組織」はその要請を無視し続けていてね。
不可侵条約の為にこちらからも下手に手出しは出来ない。困っただろ?
この事件の対処の為に二週間ほど家族との時間が持てていない。
そろそろワイフのチェリーパイが食べてくなってきたんだ。』
軽い語り口とは裏腹に彼の顔は真剣そのものだった。
『こんにちわ、笛吹探偵事務所所長笛吹丁と申します。』
『君……、はてさてどこかで会わなかったかい?』
『気のせいですよ。』
『そうかね?大学の古い友人に似ていてねぇ……。
勉強では負けなかったんだが彼女の数ではいつもあいつに負けっぱなしだった。』
……世界は狭い。
俺がそう実感したのはNYのとあるホテルの一室でのことだ。
『とりあえず今回の依頼について直接聞かせて頂きたいのですが?』
父の大学時代の友人が居た。
というか今回の依頼主がそうだった。
『ああ、そうだったね。今回の依頼は単純だ。
都市伝説に占拠されている町を一つ開放して欲しい。
最悪破壊、焦土にしても構わない。』
『破壊?物騒ですね、どういうことなんですか?』
『あれはほんの一、二ヶ月程前の話だ。
日本の「組織」から一人の黒服がアメリカに送られてきた。
彼の発する兄気と呼ばれる謎のエネルギーは次々にアメリカの国土を汚染したんだ。
勿論、我々は「組織」にそれを止めるように要請したさ。
だが「組織」はその要請を無視し続けていてね。
不可侵条約の為にこちらからも下手に手出しは出来ない。困っただろ?
この事件の対処の為に二週間ほど家族との時間が持てていない。
そろそろワイフのチェリーパイが食べてくなってきたんだ。』
軽い語り口とは裏腹に彼の顔は真剣そのものだった。
『つまりだ。俺が貴方にチェリーパイを食べさせれば良いんですよね?
偶然、通りすがりの契約者がチェリーパイの話を聞いて親切にも貴方の悩みの種を取り除いてくれた。
だから決してアメリカ政府はこの事件に関与していない……と。』
『まあこれもアメリカ政府の陰謀論の一つってことでヨロシク。
あくまで陰謀論であって陰謀ではないぞ?』
『解っていますよ。』
アメリカ側はこれから起きる「事件」は自分たちと何ら関わりがないと言うことにしたいようだ。
『じゃあ、俺一人でその町を解放してくれば良いんですよね?』
『いや、一人善意の協力者が居る。
FBI捜査官であり模範的なアメリカ国民であるユナ君が君と一緒に“偶然”、
その町に行くそうだ。』
『だから彼女と話す時間が与えられていたんですか?
先に行ってくれれば口説き落とすくらいはしてたんですけど……。』
『ハッハッハ、そいつぁ面白いジョークだ。
…………彼女は私のワイフだよ。』
『ハハ……、ジョークですよジョーク。
ずいぶん若々しい奥様でいらっしゃるようですね、羨ましい。』
背中を滝のように汗が流れる。
ケインさん、目が笑っていないよー!
『なーんてな!これが本場のアメリカンジョークさ!』
……俺は力なく笑うしか無かった。
偶然、通りすがりの契約者がチェリーパイの話を聞いて親切にも貴方の悩みの種を取り除いてくれた。
だから決してアメリカ政府はこの事件に関与していない……と。』
『まあこれもアメリカ政府の陰謀論の一つってことでヨロシク。
あくまで陰謀論であって陰謀ではないぞ?』
『解っていますよ。』
アメリカ側はこれから起きる「事件」は自分たちと何ら関わりがないと言うことにしたいようだ。
『じゃあ、俺一人でその町を解放してくれば良いんですよね?』
『いや、一人善意の協力者が居る。
FBI捜査官であり模範的なアメリカ国民であるユナ君が君と一緒に“偶然”、
その町に行くそうだ。』
『だから彼女と話す時間が与えられていたんですか?
先に行ってくれれば口説き落とすくらいはしてたんですけど……。』
『ハッハッハ、そいつぁ面白いジョークだ。
…………彼女は私のワイフだよ。』
『ハハ……、ジョークですよジョーク。
ずいぶん若々しい奥様でいらっしゃるようですね、羨ましい。』
背中を滝のように汗が流れる。
ケインさん、目が笑っていないよー!
『なーんてな!これが本場のアメリカンジョークさ!』
……俺は力なく笑うしか無かった。
『まあそういう冗談は抜きにして、彼女は占拠された町の出身者だ。
道の案内も出来るし彼女自身も都市伝説と契約しているから戦力にはなる。
君の監視もしておきたいしな。我々の用意したホテルを断ったそうだね?
まだ君がどのような人間かつかめない以上、我々も信用しづらい。』
『お互い様ですよそこは。
こっちも未だに使い捨てられるんじゃないかとハラハラしています。』
『率直に物を言うね。日本人らしくない。』
『この国では労働者の権利を主張した方が良いと聞いていますから。』
『成る程、それじゃあ依頼は受けて貰えるね?』
『勿論です。』
『ありがたい。前金は指定の口座に振り込んでおくよ。』
『それじゃあ、今日は帰らせて貰います。
娘を待たせているので。』
『解った、それじゃあ仕事については明日からお願いする。』
『はい、解りました。それじゃあ失礼します。』
俺がホテルの一室を退出しようとした時だった。
『ああ、そうだ。待ってくれ。』
『ちょっと、ポーカーでも や ら な い か。』
急にポーカーに誘われた。
『良いですよ。』
びびらされた仕返しだ、この爺さんに少し冷や汗かかせるのも悪くはない。
それにカードゲームで発動する都市伝説なんて聞いたこともない。
聞いたこともないしもしそうでも俺が負けるわけがないのだ。
道の案内も出来るし彼女自身も都市伝説と契約しているから戦力にはなる。
君の監視もしておきたいしな。我々の用意したホテルを断ったそうだね?
まだ君がどのような人間かつかめない以上、我々も信用しづらい。』
『お互い様ですよそこは。
こっちも未だに使い捨てられるんじゃないかとハラハラしています。』
『率直に物を言うね。日本人らしくない。』
『この国では労働者の権利を主張した方が良いと聞いていますから。』
『成る程、それじゃあ依頼は受けて貰えるね?』
『勿論です。』
『ありがたい。前金は指定の口座に振り込んでおくよ。』
『それじゃあ、今日は帰らせて貰います。
娘を待たせているので。』
『解った、それじゃあ仕事については明日からお願いする。』
『はい、解りました。それじゃあ失礼します。』
俺がホテルの一室を退出しようとした時だった。
『ああ、そうだ。待ってくれ。』
『ちょっと、ポーカーでも や ら な い か。』
急にポーカーに誘われた。
『良いですよ。』
びびらされた仕返しだ、この爺さんに少し冷や汗かかせるのも悪くはない。
それにカードゲームで発動する都市伝説なんて聞いたこともない。
聞いたこともないしもしそうでも俺が負けるわけがないのだ。
『何を賭けるんですか?昼飯代とか?』
『こんな老人と昼飯を食ってくれるとはありがたいね。
だがその必要は無い。私はいくらでも出せるんだよ、ほら。』
ケインは財布から真っ黒なカードを出して俺に見せる。
『私の都市伝説は「ブラックカードは何でも買える」だ。
賭けの代金の話だが……、
もし私がこのゲームで勝ったら君の契約している都市伝説について全て教えて欲しい。』
――――――こいつ、いきなり何を言っているんだ!?
『全て、ですか?
それは貴方、フリーの契約者にとっては廃業レベルの掛け金じゃないですか。』
動揺を隠すことに集中する。
只の警察内部のお偉いさんでは無いらしい。
『今回の仕事出来次第では君と長く付き合うことになるからね。
私の都市伝説の情報も公開したんだからアンフェアではないと思うよ。
どうせ部下にするなら君のことはできるだけ多く知っておきたい。』
先手を打たれた、こいつ俺を飼っておく気か?
下手に勝負なんぞ受けなければ良かった。
尻尾を巻いて逃げるか?
しかしここで逃げれば確実に侮られる、それはそれでこれから仕事がやりづらい。
俺が行動を決めかねているとケインは更に畳みかける。
『君にだって悪い話じゃない筈だよ?
どうせ日本に帰れば君を親族や友人の仇と狙う人は居るんだ。
なぁ、ハーメルンの笛吹き、否、上田明也君よ。』
決めた。
こいつ殺す。
『こんな老人と昼飯を食ってくれるとはありがたいね。
だがその必要は無い。私はいくらでも出せるんだよ、ほら。』
ケインは財布から真っ黒なカードを出して俺に見せる。
『私の都市伝説は「ブラックカードは何でも買える」だ。
賭けの代金の話だが……、
もし私がこのゲームで勝ったら君の契約している都市伝説について全て教えて欲しい。』
――――――こいつ、いきなり何を言っているんだ!?
『全て、ですか?
それは貴方、フリーの契約者にとっては廃業レベルの掛け金じゃないですか。』
動揺を隠すことに集中する。
只の警察内部のお偉いさんでは無いらしい。
『今回の仕事出来次第では君と長く付き合うことになるからね。
私の都市伝説の情報も公開したんだからアンフェアではないと思うよ。
どうせ部下にするなら君のことはできるだけ多く知っておきたい。』
先手を打たれた、こいつ俺を飼っておく気か?
下手に勝負なんぞ受けなければ良かった。
尻尾を巻いて逃げるか?
しかしここで逃げれば確実に侮られる、それはそれでこれから仕事がやりづらい。
俺が行動を決めかねているとケインは更に畳みかける。
『君にだって悪い話じゃない筈だよ?
どうせ日本に帰れば君を親族や友人の仇と狙う人は居るんだ。
なぁ、ハーメルンの笛吹き、否、上田明也君よ。』
決めた。
こいつ殺す。
「蜻蛉切!」
腰につけていた刀のキーホルダーが一瞬で日本刀に変形した。
この都市伝説だけは日々着実に俺の身体に馴染み始めている。
『動くな、君の刀より私の戦車の方が速い!』
ケインの首を落とすまであと二歩の距離に踏み込んだ瞬間だった。
轟音と共に俺の真後ろのドアが吹き飛んでいた。
『嘘だろ………?』
ホテルの廊下には小型ながらも立派な戦車が配備されていた。
『知っているだろ?ブラックカードは戦車も買える。
自らの素性を知る相手と見るなり戸惑わずに殺しに行くその判断力、
ますます欲しいね。人を殺すことに躊躇いが無いと言うよりは家族に累が及ぶのを恐れているんだろ?
家族思いなのはお父上そっくりだ。
私の話、受けたまえよ。彼も心配して居るぞ?』
「親父……!?」
『さぁ、どうする!君が勝ったら私の出来る範囲内で好きな条件を飲もう!』
戦車の砲塔は相変わらずこちらを向いている。
『お互い負けても勝っても損はないぞ!
君のお父さんについてはこのゲームを受けるだけで全て話そう!』
『解った。勝負は受けましょう。俺が勝った時の条件は三つ。
昼飯代と日本警察によるハーメルンの笛吹きへの指名手配の解除です。
解除まで行かなくても追っかけてこなけりゃ良いです。
あと任務終了後のアメリカ国内での俺の安全保障。』
『指名手配の解除………、それは厳しいなあ、おい。』
『FBIの権力者なんだから何とかして下さいよ、できなきゃそれは良いんですけど。』
これ以上先手を取られるわけにはいかない。
俺はその勝負に乗ることにした。
腰につけていた刀のキーホルダーが一瞬で日本刀に変形した。
この都市伝説だけは日々着実に俺の身体に馴染み始めている。
『動くな、君の刀より私の戦車の方が速い!』
ケインの首を落とすまであと二歩の距離に踏み込んだ瞬間だった。
轟音と共に俺の真後ろのドアが吹き飛んでいた。
『嘘だろ………?』
ホテルの廊下には小型ながらも立派な戦車が配備されていた。
『知っているだろ?ブラックカードは戦車も買える。
自らの素性を知る相手と見るなり戸惑わずに殺しに行くその判断力、
ますます欲しいね。人を殺すことに躊躇いが無いと言うよりは家族に累が及ぶのを恐れているんだろ?
家族思いなのはお父上そっくりだ。
私の話、受けたまえよ。彼も心配して居るぞ?』
「親父……!?」
『さぁ、どうする!君が勝ったら私の出来る範囲内で好きな条件を飲もう!』
戦車の砲塔は相変わらずこちらを向いている。
『お互い負けても勝っても損はないぞ!
君のお父さんについてはこのゲームを受けるだけで全て話そう!』
『解った。勝負は受けましょう。俺が勝った時の条件は三つ。
昼飯代と日本警察によるハーメルンの笛吹きへの指名手配の解除です。
解除まで行かなくても追っかけてこなけりゃ良いです。
あと任務終了後のアメリカ国内での俺の安全保障。』
『指名手配の解除………、それは厳しいなあ、おい。』
『FBIの権力者なんだから何とかして下さいよ、できなきゃそれは良いんですけど。』
これ以上先手を取られるわけにはいかない。
俺はその勝負に乗ることにした。
『では、このカードを受け取ってこれからゲームをすることに同意してくれ。』
『ブラックカードによる売買を契約書代わりに使うんですか?』
『ああそうだ、私は一ドルを払って君にゲームに乗って貰うという契約を交わす。』
『なかなか応用が利きますね。』
『戦車以外は基本的に双方の合意の上で成り立つ能力だよ。』
嘘だな。
カードさえ渡せれば何でも買える筈だ。
『解りました。いつでもどうぞ。』
『それでは、【私が1ドルを払うことで君は私とゲームをする】。』
そういって彼はテーブルの上にカードを置く。
『これを受け取れば良いんですね?』
『ああ。』
俺はカードを手に取った。
『これ、預からせて貰いますよ。
トランプの時にさりげなくカードに紛れて渡されるとゲームどころじゃないですから。』
『ああ、だがそれを盗んだり破壊したりすれば即再発行されることは覚えておいてくれ。』
『解りました。』
ケインは新品のトランプを取り出し、俺にイカサマが無いかどうかチェックを促す。
『トランプにはイカサマが無いことを確認した。それじゃあ勝負しましょう。
ジョーカーも使うんですか。』
『ああ。』
『………解りました。』
ケインと俺は交互にトランプのシャッフルを始めた。
『ブラックカードによる売買を契約書代わりに使うんですか?』
『ああそうだ、私は一ドルを払って君にゲームに乗って貰うという契約を交わす。』
『なかなか応用が利きますね。』
『戦車以外は基本的に双方の合意の上で成り立つ能力だよ。』
嘘だな。
カードさえ渡せれば何でも買える筈だ。
『解りました。いつでもどうぞ。』
『それでは、【私が1ドルを払うことで君は私とゲームをする】。』
そういって彼はテーブルの上にカードを置く。
『これを受け取れば良いんですね?』
『ああ。』
俺はカードを手に取った。
『これ、預からせて貰いますよ。
トランプの時にさりげなくカードに紛れて渡されるとゲームどころじゃないですから。』
『ああ、だがそれを盗んだり破壊したりすれば即再発行されることは覚えておいてくれ。』
『解りました。』
ケインは新品のトランプを取り出し、俺にイカサマが無いかどうかチェックを促す。
『トランプにはイカサマが無いことを確認した。それじゃあ勝負しましょう。
ジョーカーも使うんですか。』
『ああ。』
『………解りました。』
ケインと俺は交互にトランプのシャッフルを始めた。
『お互いにチップは十枚。三回勝負した時点でチップ数が少ない方が敗北だ。
私が最初は親になる。一番最初にパスしたゲームは勝負に含まない。
ビッドは一枚までにしよう。
あと三回目だけは君が親になってくれ。』
『解った。』
ケインは慣れた手つきでカードを配る。
俺の手元に来たのはハートとスペードのQ(クイーン)二枚、ジョーカー、クローバーの2とハートの6だ。
世に言うスリーカードである。
『ビッド?それとも……』
『ビッド。』
ビッドとは場にチップを出すことである、念のため。
俺は即答した。
手札はイマイチだが最初は軽い勝負をして相手の様子を探る……振りをするつもりだ。
そうみせかけて一気にむしり取る。
ちなみに子がビッドをしてしまえば親はパスができない、念のため。
『ok、それじゃあ私はレイズする。3枚だ。』
レイズとは出ている数より多くチップをかけることね、念のため。
私が最初は親になる。一番最初にパスしたゲームは勝負に含まない。
ビッドは一枚までにしよう。
あと三回目だけは君が親になってくれ。』
『解った。』
ケインは慣れた手つきでカードを配る。
俺の手元に来たのはハートとスペードのQ(クイーン)二枚、ジョーカー、クローバーの2とハートの6だ。
世に言うスリーカードである。
『ビッド?それとも……』
『ビッド。』
ビッドとは場にチップを出すことである、念のため。
俺は即答した。
手札はイマイチだが最初は軽い勝負をして相手の様子を探る……振りをするつもりだ。
そうみせかけて一気にむしり取る。
ちなみに子がビッドをしてしまえば親はパスができない、念のため。
『ok、それじゃあ私はレイズする。3枚だ。』
レイズとは出ている数より多くチップをかけることね、念のため。
それにしてもいきなり2枚増やしたか……。
『じゃあレイズ。4枚』
『余程自信があるようだね?』
『そりゃあもうねえ?コールしますか?』
コールとは出ている数と同じだけチップをかけるということね、念のため。
これをやるとお互いの手札交換が始まる。
『いいや、レイズにしようか。』
『――――――――――――!』
『君は今コールと言っただろう?どうして勝負を急ぐんだ?
さらにレイズの時、増やしたのは一枚だけだったねえ。
あまり最初から勝負に出たくないんじゃないか?
微妙な手札だが、最初だからすこし勝負して探ってみるか、と思っているとか。
自信があるか?と聞かれて馬鹿正直にイエスと言うのもまた怪しい。』
かかったか、爺さんめ。
俺の狙い通りにケインは俺の手札がイマイチな物だと思っている。
この勝負、どうやら頂いたようだ。
『じゃあレイズ。4枚』
『余程自信があるようだね?』
『そりゃあもうねえ?コールしますか?』
コールとは出ている数と同じだけチップをかけるということね、念のため。
これをやるとお互いの手札交換が始まる。
『いいや、レイズにしようか。』
『――――――――――――!』
『君は今コールと言っただろう?どうして勝負を急ぐんだ?
さらにレイズの時、増やしたのは一枚だけだったねえ。
あまり最初から勝負に出たくないんじゃないか?
微妙な手札だが、最初だからすこし勝負して探ってみるか、と思っているとか。
自信があるか?と聞かれて馬鹿正直にイエスと言うのもまた怪しい。』
かかったか、爺さんめ。
俺の狙い通りにケインは俺の手札がイマイチな物だと思っている。
この勝負、どうやら頂いたようだ。
『…………。』
無表情を貫いて相手に感情を隠す。
正しくポーカーフェイス。
『わかったよ、私は降りる。』
『え?』
『君さ、今すごく上手に表情を隠したよね。
仕事柄犯罪者とも良く会うんだが、
君の無表情はプロの詐欺師に尋問する時くらい心が読めなかった。
だがね、だからこそ君の今の手札が解る。
良いだろ、その手札?
やるねえやるねえまだ表情を崩さないか。
そんな顔できる人間はさっきみたいに調子にのって自信満々のイエスは言わないものさ。
だから私は降りる。
チップの損害は三つに抑えられるしね。
私は降りる。さあ、そのカードを寄越してくれ給え。』
「意外とやるねえ!」
俺は思わず日本語で呟いていた。
「だろう?」
ケインは“日本語”でそう言うと俺から渡されたカードをチラッと見て笑った。
「日本語できたのか?」
「君のお父上から少しばかり習ったんだ。はは、それにしても良い手札じゃないか。
それとこの山札の一番上見てみたまえよ。スペードのQだ。君はフォーカードを引くところだったんだぜ?」
「そういうアンタの手札は?」
「見るか?ほら。」
驚いた。
彼の手札は見事なまでにノーペアだった。
この男、思った以上に上手いらしい。
無表情を貫いて相手に感情を隠す。
正しくポーカーフェイス。
『わかったよ、私は降りる。』
『え?』
『君さ、今すごく上手に表情を隠したよね。
仕事柄犯罪者とも良く会うんだが、
君の無表情はプロの詐欺師に尋問する時くらい心が読めなかった。
だがね、だからこそ君の今の手札が解る。
良いだろ、その手札?
やるねえやるねえまだ表情を崩さないか。
そんな顔できる人間はさっきみたいに調子にのって自信満々のイエスは言わないものさ。
だから私は降りる。
チップの損害は三つに抑えられるしね。
私は降りる。さあ、そのカードを寄越してくれ給え。』
「意外とやるねえ!」
俺は思わず日本語で呟いていた。
「だろう?」
ケインは“日本語”でそう言うと俺から渡されたカードをチラッと見て笑った。
「日本語できたのか?」
「君のお父上から少しばかり習ったんだ。はは、それにしても良い手札じゃないか。
それとこの山札の一番上見てみたまえよ。スペードのQだ。君はフォーカードを引くところだったんだぜ?」
「そういうアンタの手札は?」
「見るか?ほら。」
驚いた。
彼の手札は見事なまでにノーペアだった。
この男、思った以上に上手いらしい。
チップ数 俺13枚 ケイン7枚
絶妙だ。
この程度の差なら一回の勝負で逆転が十分可能なのだ。
このゲームは三回目の時点で勝負が付く。
それはすなわち二回目までに自分のチップの数が相手のチップの数の三倍以下ならば敗北決定と言うことだ。
そして敵味方合わせてチップの総数は20枚。
つまりこのゲームで15枚よりとれば最低で引き分けなのだ。
そうすれば相手が全チップをかけて勝ったとしても相手のチップ数には届かない。
さらに、この状況において6枚ではなく7枚であるということが効いてくる。
ポーカーというのはそもそも勝負に乗るだけで少なくとも一枚使ってしまうのだ。
ここでもし俺が偶然ロイヤルストレートフラッシュなどそろえてしまえば、
そうでなくとも4カードや5カードなど偶然出てしまえば、
彼はゲームに参加した時点で勝利の目はなくなる。
しかし7枚ならば一枚だけ出してすぐに降りれば次の回に全てのチップを賭けて逆転することだって出来る。
とまあここまで言って気がついた。
このゲーム、俺に無償のパスを許すゲームに見せておいてまったく別の物だったのだ。
俺は最初の一回で彼のチップを完全に奪えなければ何時でも逆転されてしまう。
それどころか第三戦では彼が好きなだけパスを使える。
予想通り、彼は一枚だけチップを出すとすぐにゲームを降りた。
完全に嵌められたようだ。
絶妙だ。
この程度の差なら一回の勝負で逆転が十分可能なのだ。
このゲームは三回目の時点で勝負が付く。
それはすなわち二回目までに自分のチップの数が相手のチップの数の三倍以下ならば敗北決定と言うことだ。
そして敵味方合わせてチップの総数は20枚。
つまりこのゲームで15枚よりとれば最低で引き分けなのだ。
そうすれば相手が全チップをかけて勝ったとしても相手のチップ数には届かない。
さらに、この状況において6枚ではなく7枚であるということが効いてくる。
ポーカーというのはそもそも勝負に乗るだけで少なくとも一枚使ってしまうのだ。
ここでもし俺が偶然ロイヤルストレートフラッシュなどそろえてしまえば、
そうでなくとも4カードや5カードなど偶然出てしまえば、
彼はゲームに参加した時点で勝利の目はなくなる。
しかし7枚ならば一枚だけ出してすぐに降りれば次の回に全てのチップを賭けて逆転することだって出来る。
とまあここまで言って気がついた。
このゲーム、俺に無償のパスを許すゲームに見せておいてまったく別の物だったのだ。
俺は最初の一回で彼のチップを完全に奪えなければ何時でも逆転されてしまう。
それどころか第三戦では彼が好きなだけパスを使える。
予想通り、彼は一枚だけチップを出すとすぐにゲームを降りた。
完全に嵌められたようだ。
チップ数 俺14枚 ケイン6枚
『………くそ。』
さっきまでの勝負は勝ったのではなく勝たされていた。
だが今度は奴が勝ちに来る。
『パス』
『パス』
『パス』
何度も繰り返されるパス。
恐らく彼が良い手札になるまで粘っているのだろう。
仕方がないので俺はカードが傷つかないように丁寧にシャッフルしながら自分に良い札が来るように願う。
神様に願えばもしかしたら俺に良いカードを運んでくれるかもしれない。
『よし、それでは始めようか。
私は6枚のチップをビッドする。』
満面の笑みでケインは勝負の開始を宣言した。
『じゃあレイズのしようが無いのでコールだ。』
『オーケー、それじゃあ私は一枚変えて貰おうかな?』
『解りました。一枚どうぞ。』
俺も一枚だけ変えることにした。
手札を見る。
ため息が漏れる。
『ねえケインさん。こんな運任せの勝負ってポーカーらしくないですよね。』
『さて?何のことだか解らないな。』
『こういうのって神頼みって言うんですかね?
ケインさんが良い役引けなきゃ結局勝てないじゃないですか。』
『ふふ、確かにな。しかし私はここ一番に強いんだ。試してみようか?』
さぁ、――――――勝負だ。
『………くそ。』
さっきまでの勝負は勝ったのではなく勝たされていた。
だが今度は奴が勝ちに来る。
『パス』
『パス』
『パス』
何度も繰り返されるパス。
恐らく彼が良い手札になるまで粘っているのだろう。
仕方がないので俺はカードが傷つかないように丁寧にシャッフルしながら自分に良い札が来るように願う。
神様に願えばもしかしたら俺に良いカードを運んでくれるかもしれない。
『よし、それでは始めようか。
私は6枚のチップをビッドする。』
満面の笑みでケインは勝負の開始を宣言した。
『じゃあレイズのしようが無いのでコールだ。』
『オーケー、それじゃあ私は一枚変えて貰おうかな?』
『解りました。一枚どうぞ。』
俺も一枚だけ変えることにした。
手札を見る。
ため息が漏れる。
『ねえケインさん。こんな運任せの勝負ってポーカーらしくないですよね。』
『さて?何のことだか解らないな。』
『こういうのって神頼みって言うんですかね?
ケインさんが良い役引けなきゃ結局勝てないじゃないですか。』
『ふふ、確かにな。しかし私はここ一番に強いんだ。試してみようか?』
さぁ、――――――勝負だ。
『それじゃあ勝負だ。私から見せてあげるとしよう。』
ケインの手札は4カード。
ジョーカー1枚も含めてキング3枚のフォーカードだ。
なんて奴だ、ここ一番で本当に勝負札を……!
『どうやら私の勝ちのようだね。二回も負けるとは私もついてなかったが……。
まあ良い。
最終的な勝利こそが肝要だ。』
『いや、まったくですよ。
重要なときに一回勝てば良い。
それ以外はくれてやれ。
孫子の教えにも通じますよね。』
『君のお父様にもこれで顔向けが出来るよ、彼は私に孫子も勧めてくれてね。
彼は読書家だったんだぜ?
まあ君みたいな人間を部下に出来て嬉しいよ。
そのうち日本に帰ってお父様に顔を見せたまえ、きっと喜ぶ。』
『そうですね、ところでこれってなんて言う役でしたっけ?』
俺は自らの手札を彼に見せた。
ケインの手札は4カード。
ジョーカー1枚も含めてキング3枚のフォーカードだ。
なんて奴だ、ここ一番で本当に勝負札を……!
『どうやら私の勝ちのようだね。二回も負けるとは私もついてなかったが……。
まあ良い。
最終的な勝利こそが肝要だ。』
『いや、まったくですよ。
重要なときに一回勝てば良い。
それ以外はくれてやれ。
孫子の教えにも通じますよね。』
『君のお父様にもこれで顔向けが出来るよ、彼は私に孫子も勧めてくれてね。
彼は読書家だったんだぜ?
まあ君みたいな人間を部下に出来て嬉しいよ。
そのうち日本に帰ってお父様に顔を見せたまえ、きっと喜ぶ。』
『そうですね、ところでこれってなんて言う役でしたっけ?』
俺は自らの手札を彼に見せた。
『――――――――――――5カード!
イカサマしたな!?何時やった!』
『まさかよ、イカサマなんて無理ですよ。
さしずめカードの神様が俺にプレゼントをくれたんじゃないですかね?』
俺の手札はジョーカー1枚を含んだ2の5カードだった。
『……嘘はついていない。嘘を吐いている人間の目ではないが……!?』
そう、俺は全くイカサマなどしていない。
しかし俺は意図的に手札のカードを捜査できた。
そう、先程から言っているとおり、神様に手伝って貰ったのだ。
俺の契約している都市伝説に『付喪神』という物がある。
そいつは物を大切にしている人間の所にしか現れないそうで、
道具が一人でに動き出して仕事するは大体こいつの仕業らしい。
トランプに付喪神が憑いていればシャッフルの時、俺の手札に最高の物が有り、
ケインの手札に次善が来ているという状況にも十分出来る。
最初から彼は俺に親などやらせるべきではなかったのだ。
常に逆転の可能性を確保しようとしたから彼は失敗したのだ。
重ねて言おう。
俺は何もしていない。
神様が俺にチャンスをくれただけである。
『賭けに勝った時の条件、忘れてないですよね?
ステーキハウス行きましょうや、良さげな店見つけたんですよ。
親父の昔話も聞きたいですし。』
『ステーキか、老人の身体には辛いねえ。太ったらまたワイフに怒られる。』
ケインは額をペチンと打つとのっそりと立ち上がって俺と一緒にホテル近くのステーキハウスに向かった。
【上田明也の探偵倶楽部15~上田明也の×××?×~fin】
イカサマしたな!?何時やった!』
『まさかよ、イカサマなんて無理ですよ。
さしずめカードの神様が俺にプレゼントをくれたんじゃないですかね?』
俺の手札はジョーカー1枚を含んだ2の5カードだった。
『……嘘はついていない。嘘を吐いている人間の目ではないが……!?』
そう、俺は全くイカサマなどしていない。
しかし俺は意図的に手札のカードを捜査できた。
そう、先程から言っているとおり、神様に手伝って貰ったのだ。
俺の契約している都市伝説に『付喪神』という物がある。
そいつは物を大切にしている人間の所にしか現れないそうで、
道具が一人でに動き出して仕事するは大体こいつの仕業らしい。
トランプに付喪神が憑いていればシャッフルの時、俺の手札に最高の物が有り、
ケインの手札に次善が来ているという状況にも十分出来る。
最初から彼は俺に親などやらせるべきではなかったのだ。
常に逆転の可能性を確保しようとしたから彼は失敗したのだ。
重ねて言おう。
俺は何もしていない。
神様が俺にチャンスをくれただけである。
『賭けに勝った時の条件、忘れてないですよね?
ステーキハウス行きましょうや、良さげな店見つけたんですよ。
親父の昔話も聞きたいですし。』
『ステーキか、老人の身体には辛いねえ。太ったらまたワイフに怒られる。』
ケインは額をペチンと打つとのっそりと立ち上がって俺と一緒にホテル近くのステーキハウスに向かった。
【上田明也の探偵倶楽部15~上田明也の×××?×~fin】