連続失踪事件
あの子は少し変わった子だった。オカルトに傾倒しすぎておかしくなった。
俺はそうは思わないけど、周囲の評価は揺らぐことがなかった。
そんなあの子が失踪してから一週間が経った。色々な噂が立ち警察も動いたが、未だに見つかってはいない。
学校中……町中が……いや、日本中が今この話題で持ちきりになっている。
珍しい事ではないが、女の子が一人失踪するぐらいなら普通の事件として済まされたと思う。ここまで騒ぎが大きくなる事はなかっただろう。
何故ここまで事件が有名になったか?
僅か一週間で同じ学校に通う女子生徒が四人も立て続けに行方不明になったからだ。
俺はそうは思わないけど、周囲の評価は揺らぐことがなかった。
そんなあの子が失踪してから一週間が経った。色々な噂が立ち警察も動いたが、未だに見つかってはいない。
学校中……町中が……いや、日本中が今この話題で持ちきりになっている。
珍しい事ではないが、女の子が一人失踪するぐらいなら普通の事件として済まされたと思う。ここまで騒ぎが大きくなる事はなかっただろう。
何故ここまで事件が有名になったか?
僅か一週間で同じ学校に通う女子生徒が四人も立て続けに行方不明になったからだ。
学校への道を新聞片手に歩く。新聞にはでかでかと連続失踪事件の記事が載っているが、進展は全くないようだ。毎日同じような内容を少しだけ変えて掲載しているだけだ。
こんな大きな事件なのに学校は閉鎖することなく平常運転。身も蓋もない奇妙な噂を聞くぐらいなら冬休みに登校したほうがましだ。
奇妙な噂――。
「よ! 新聞読みながら歩くと危ないぜ。それとおっさん臭い」
振り返るとちょっとイラっとくる全然爽やかじゃない笑顔を引っさげたクラスメイトの姿があった。
スポーツもダメ、勉強もダメ、ルックスは悪くないけどよくもない。だけど中途半端に高校デビューしちゃったという黒歴史の代表みたいなやつだ。だが、根はわりといいやつなので嫌いではない。
「何読もうがお前には関係ないだろう?」
「高校生が新聞なんか読むんじゃねーよ。ほらファッション誌とか読もうぜ」
影で勘違い君と呼ばれるようにはなりたくない。背伸びしてもいい事はない。
「ま、お前があの事件の事が気になるのはわかるけどな」
どういう頭をしているのだろうか? こいつの中ではそうなっているらしい。
「そんなんじゃない」
「どうだかね」
勘違いは歩調を合わせて横に並び新聞を覗き込みはじめた。
こいつも何だかんだいって興味はあるのだろう。
だが、この事件は一体いつまで世間を騒がせるのだろう? 今は話題を独占しているが、このまま進展がなければ結果問わず忘れ去れるかもしれない。
芸能人の浮気ニュースなどのほうが持て囃される世の中だ。そして俺もきっと忘れるに違いない。
この時はまだそう思っていた。一生忘れられない。将来を決定付けるような事件になるとは思ってもいなかった。
こんな大きな事件なのに学校は閉鎖することなく平常運転。身も蓋もない奇妙な噂を聞くぐらいなら冬休みに登校したほうがましだ。
奇妙な噂――。
「よ! 新聞読みながら歩くと危ないぜ。それとおっさん臭い」
振り返るとちょっとイラっとくる全然爽やかじゃない笑顔を引っさげたクラスメイトの姿があった。
スポーツもダメ、勉強もダメ、ルックスは悪くないけどよくもない。だけど中途半端に高校デビューしちゃったという黒歴史の代表みたいなやつだ。だが、根はわりといいやつなので嫌いではない。
「何読もうがお前には関係ないだろう?」
「高校生が新聞なんか読むんじゃねーよ。ほらファッション誌とか読もうぜ」
影で勘違い君と呼ばれるようにはなりたくない。背伸びしてもいい事はない。
「ま、お前があの事件の事が気になるのはわかるけどな」
どういう頭をしているのだろうか? こいつの中ではそうなっているらしい。
「そんなんじゃない」
「どうだかね」
勘違いは歩調を合わせて横に並び新聞を覗き込みはじめた。
こいつも何だかんだいって興味はあるのだろう。
だが、この事件は一体いつまで世間を騒がせるのだろう? 今は話題を独占しているが、このまま進展がなければ結果問わず忘れ去れるかもしれない。
芸能人の浮気ニュースなどのほうが持て囃される世の中だ。そして俺もきっと忘れるに違いない。
この時はまだそう思っていた。一生忘れられない。将来を決定付けるような事件になるとは思ってもいなかった。
授業も平常運転。休み時間になると噂で持ちきり。そんな妙なバランスのまま瞬く間に昼休みになってしまった。授業の内容はあまり頭に入っていない。だがまあ、こんな事にならなくてもそれは同じ事だろう。
だが教室とは違い屋上は静かだ。のんびり食うほどいい飯ではないが、飯ぐらいゆっくり食べたいものだ。
ギィっと錆び付いた扉が開かれた。騒がしくなるかもしれないが、それに文句つける権利は俺にはない。
入ってきたのは団体さんではなく一人だ。それも知っている顔。クラスの中では上物だと勘違い君が言っていた。名前は確か……村木だっただろうか。
「藤堂君……ご一緒してもいい?」
「別にいいよ」
もう少し気の利いたことがいえないのかと自分でも思うが仕方ない。女慣れなどしてないから。
整髪料の香りか整汗剤の香りかはわからないが、いい香りが風に乗って漂ってくる。こういう気取った香りはあまり好きではない。その点あの子は飾らず悪くはなかった。
村木は横に座ると何を言うわけでもなく、弁当も持っておらずただ黙っている。気取った女がよくやる話され待ちというやつだろうか。
「どうかしたのか?」
「ん……何でもないよ」
むかつく言い回しだ。こんな女のどこがいいんだか。
「何もなしに俺の横には来ないだろう?」
「そうでもないよ。藤堂君は結構人気あるから」
「おだてても何も出ないぞ」
「そっか……」
そのままお互い無言になった。村木は俺が何か言うのを待っているといったところだろう。だが、話してやる気はない。
だが、村木が俺に会いにきた理由は検討もつかない。接点はクラスメイト以外何もない。強いて言うなら……静空の事だろうか?
「ねえ、静空さんと仲良かったんだよね?」
「別に仲良くないよ」
「そっか……えっとね。噂とかって知ってる?」
「知ってるよ。教室にいれば嫌でも聞こえてくるからね。幽霊だか何かに攫われたってやつだろ?」
実に馬鹿馬鹿しい。静空がオカルト好きだからっているはずもない幽霊何かに攫われるわけがない。
だが教室とは違い屋上は静かだ。のんびり食うほどいい飯ではないが、飯ぐらいゆっくり食べたいものだ。
ギィっと錆び付いた扉が開かれた。騒がしくなるかもしれないが、それに文句つける権利は俺にはない。
入ってきたのは団体さんではなく一人だ。それも知っている顔。クラスの中では上物だと勘違い君が言っていた。名前は確か……村木だっただろうか。
「藤堂君……ご一緒してもいい?」
「別にいいよ」
もう少し気の利いたことがいえないのかと自分でも思うが仕方ない。女慣れなどしてないから。
整髪料の香りか整汗剤の香りかはわからないが、いい香りが風に乗って漂ってくる。こういう気取った香りはあまり好きではない。その点あの子は飾らず悪くはなかった。
村木は横に座ると何を言うわけでもなく、弁当も持っておらずただ黙っている。気取った女がよくやる話され待ちというやつだろうか。
「どうかしたのか?」
「ん……何でもないよ」
むかつく言い回しだ。こんな女のどこがいいんだか。
「何もなしに俺の横には来ないだろう?」
「そうでもないよ。藤堂君は結構人気あるから」
「おだてても何も出ないぞ」
「そっか……」
そのままお互い無言になった。村木は俺が何か言うのを待っているといったところだろう。だが、話してやる気はない。
だが、村木が俺に会いにきた理由は検討もつかない。接点はクラスメイト以外何もない。強いて言うなら……静空の事だろうか?
「ねえ、静空さんと仲良かったんだよね?」
「別に仲良くないよ」
「そっか……えっとね。噂とかって知ってる?」
「知ってるよ。教室にいれば嫌でも聞こえてくるからね。幽霊だか何かに攫われたってやつだろ?」
実に馬鹿馬鹿しい。静空がオカルト好きだからっているはずもない幽霊何かに攫われるわけがない。
「うん……実はね私達も同じ事しちゃったの。ちょっと興味本位でね」
「同じ事?」
「あ、そこは知らないんだ……じゃあ静空さんからも何も聞いてない?」
「俺はエスパーじゃないから言ってくれないとわからないぞ」
「んー……、わからないならいいや。ごめんね時間とらせて」
女でなければ殴っていたかもしれない。いや、例え男でも俺にはそんな勇気はないが。
「わたしね……消えちゃうかも」
「は?」
意味深な言葉を残し村木は去っていった。少し寂しげな笑顔を残して。
「同じ事?」
「あ、そこは知らないんだ……じゃあ静空さんからも何も聞いてない?」
「俺はエスパーじゃないから言ってくれないとわからないぞ」
「んー……、わからないならいいや。ごめんね時間とらせて」
女でなければ殴っていたかもしれない。いや、例え男でも俺にはそんな勇気はないが。
「わたしね……消えちゃうかも」
「は?」
意味深な言葉を残し村木は去っていった。少し寂しげな笑顔を残して。
昼休みが終わると教室に村木の姿はなかった。そして放課後まで彼女の姿を見た人はいない。
時期が時期だけに学校内は騒然としたが、抜け出して遊びにいったんだろうということでケリがついた。
だが、何人かは攫われたんだと騒いでいた。驚くほど悲痛に。まるで何かに怯えるように。
あの日の屋上から一週間。村木も失踪し、あの時騒いでいた女子も同じく姿を消した。あの時はあまり気にしなかったが村木の言い残した言葉が胸に引っかかった。
時期が時期だけに学校内は騒然としたが、抜け出して遊びにいったんだろうということでケリがついた。
だが、何人かは攫われたんだと騒いでいた。驚くほど悲痛に。まるで何かに怯えるように。
あの日の屋上から一週間。村木も失踪し、あの時騒いでいた女子も同じく姿を消した。あの時はあまり気にしなかったが村木の言い残した言葉が胸に引っかかった。