「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-31

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「はい……ん、そうか。通帳と印鑑とか、貴重品は回収できたのな?それと、服少しと学校の教科書類とノート一部……うん、わかった伝えとく」

 卵焼き用に卵をかき混ぜつつ、青年は黒服からの電話に対応していた
 少女は、ソファーに腰掛けて新聞を読んでいる
 昨日の、「夢の国」関連などの事件が記事になっていないか、チェックしているようだ
 部屋に備え付けているテレビも、一応ニュースにチャンネルをあわせて見ている
 さて、味付けは少し甘めにして……よし

「…それで、お前、大丈夫か?いい加減休んだ方が…………あぁ、うん。わかった、今日はひとまず休めるのな?………おい、それって休みになってないんじゃ……わかったわかった。ただし、俺たちも傍にいるからな?」

 携帯の通話を切る
 と、そこで、少女が声をかけてきた

「…もしかして、黒服から電話?」
「あぁ、お前の家の跡地から、通帳とかそこら辺の貴重品とか、ある程度回収できたってよ。後で、渡しに来るって言ってたぞ」
「…もしかして。彼、休んでない?」
「本人は、仮眠はとってる、って言ってたけどよ…」

 …休んでない
 ぜったい、あいつ休んでない
 こんな事態だからこそ、休んでいられない、と考えているのかもしれない
 いや、休め
 頼むから、休んでくれ、という状況なのだが
 それでも、きっとあの黒服は気軽に休んではくれないのだろう
 あいつは、あぁいう奴だから

「一応、今日は大体の指示を出し終わったら休みらしいぜ…ただ、あいつ自身は街の復興状況とかの確認も兼ねて祭を見て回るつもりらしいが」
「……無理するんだから」

 俯く少女
 黒服の事が、心配なのだろう
 それは、こちらとて同じだ

 ずっと休んでいない事、だけじゃない
 「組織」から、黒服がどんな扱いを受けてしまうか?
 それも、また心配だ
 青年たちと契約した事、そして、彼自身が半分は「夢の国の黒服」であったという、事実
 …それらの要素から、彼が「組織」からどんな扱いを受けてしまうか
 あんな「組織」、さっさと抜けてしまえばいいのに…まだ、あの黒服は「組織」を抜けるつもりがない
 「組織」を、内部から変えようと…努力し続けている

「…だから、俺は今日はあいつの傍にいるぞ。心配だし」
「………」

 じろり
 少女が、青年を睨む
 そして、ぼそりと告げた

「…私も、傍にいるわよ。あの黒服が心配なのは、あんただけじゃないんだからね」
「わかってるよ」

 ふんわりと、卵焼きを焼き上げる
 米も炊けたし、味噌汁もできたし…
 あとは、サラダでも作るか
 ドレッシングは、確か作り置きがあったはず、まだ痛んでいないはずだ
 卵焼きを皿に移し、冷蔵庫からドレッシングを取り出す

「あいつ、ここにお前の物運んでくるって言ってたから……そっから、あいつと行動するぞ」
「えぇ」

 …護ってやるのだ
 あの、黒服を
 「組織」の悪意から、護ってやるのだ
 その為にも、あの黒服と契約したのだから…

「…あ、そうそう。これ」
「?」

 ぽい、と
 青年は、少女にそれを渡す
 …それは、鍵
 この部屋の予備の鍵だ

「この部屋、鍵持ってないと、内側から空けられない限り一人で出入りできないからな。お前がいつまでここにいるかはともかく、いる間はないと不便だろ」
「……受け取っていいのね?」
「?あぁ」

 そんなの、当たり前だろう
 共に、黒服と契約した時点で、青年にとってこの少女は仲間である
 仲間なのだから、ここの鍵を渡しても問題はあるまい
 自分たちは、いつでも共に行動しているわけではないのだ
 この部屋を使う以上、互いに鍵をもっていないと不便だろう

「まぁ、新しい住処が決まったら返してもいいけどよ。緊急避難場所としては便利だからな、ここ。持ってて損はないと思うぜ?」
「……じゃあ、受け取っておく」

 そう言って、鍵を握り緊めた少女
 その様子を見届けて、青年はぱっぱと、手早くサラダを作っていくのだった



 終わっておけばいい


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