ああ。これが俺の運命なのか。
友達もできないクラス内透明人間にして臆病者な上に童貞といった駄目人間極まりない俺の。
生きるという事には不条理ってことだ。誰かが確かそう言っていた。
まったく、実にその通りだと思う。しかし。だがしかし。
生きるという事には不条理ってことだ。誰かが確かそう言っていた。
まったく、実にその通りだと思う。しかし。だがしかし。
いかれた暴走車に轢き殺されて死ぬなんて。ましてや無人の。
いくら人生が不条理だからって
いくら人生が不条理だからって
「納得いかないいいいいいいいいいい!!!」
叫んで、俺は全力でママチャリをかっ飛ばし田舎道を疾走していた。
すぐ後ろからは中型自動車が猛スピードで迫ってくる。
あんなのに跳ね飛ばされたらひとたまりも無い。即死だって即死!
おかしなことにその運転席には人の姿が見られないのだ。
すぐ後ろからは中型自動車が猛スピードで迫ってくる。
あんなのに跳ね飛ばされたらひとたまりも無い。即死だって即死!
おかしなことにその運転席には人の姿が見られないのだ。
何?何?何なんだ!?何で俺は無人の自動車に追い掛け回されてるんだ?
俺は夜中に少し離れたコンビニへジャンプを買いに行っただけだぞ!?
おかしいよ!おかしいって!どっからおかしくなったんだよ!
おかしいといえばなんで道に人の姿がまったく無いんだよ!
夜中とはいえ車が凄い勢いで少年をひき殺そうとしてんだぞ!誰か気づくだろ!気づいてよ!
てかここまでチャリで車から逃げ切れてる俺もおかしくね?俺こんな体力あったけ!?
これが火事場の馬鹿力ってやつか?すごいなっ人体の不思議万歳!!
俺は夜中に少し離れたコンビニへジャンプを買いに行っただけだぞ!?
おかしいよ!おかしいって!どっからおかしくなったんだよ!
おかしいといえばなんで道に人の姿がまったく無いんだよ!
夜中とはいえ車が凄い勢いで少年をひき殺そうとしてんだぞ!誰か気づくだろ!気づいてよ!
てかここまでチャリで車から逃げ切れてる俺もおかしくね?俺こんな体力あったけ!?
これが火事場の馬鹿力ってやつか?すごいなっ人体の不思議万歳!!
などと混乱した頭で考えながら必死こいて自転車を飛ばしていると、
おもむろにペダルがぶっ飛んだ。
おもむろにペダルがぶっ飛んだ。
「え?」
自転車の耐久力も俺の体力も、限界だったらしい。
ガシャーン!!盛大な音を立てて、俺は自転車と一緒に地面に叩きつけられた。
その瞬間、視界が二つの目のようなライトで真っ白になった。
その瞬間、視界が二つの目のようなライトで真っ白になった。
死ぬ瞬間、全てのものがスローにみえるって話は本当らしい。
その一瞬の間に俺は色んな事を考えた。
その一瞬の間に俺は色んな事を考えた。
最初は、「あ、死ぬ。」とだけ思った。極度のビビリの俺なのに、不思議と恐怖はない。
次に「こんなヘマで死んでしまうなんて、最後まで俺はダメな奴だなぁ」と思った。
そして「俺が死んだって、世の中は何も変わりはしないんだよなぁ」そんなことを考えた。
「無人自動車にひき殺されるなんて。もしかしたら俺、恐怖のあまり頭がおかしくなったのかもなぁ」、とも思った。
次に「こんなヘマで死んでしまうなんて、最後まで俺はダメな奴だなぁ」と思った。
そして「俺が死んだって、世の中は何も変わりはしないんだよなぁ」そんなことを考えた。
「無人自動車にひき殺されるなんて。もしかしたら俺、恐怖のあまり頭がおかしくなったのかもなぁ」、とも思った。
だから、真っ白な光の中、バイクに乗った人影が車に突っ込んで助けてくれたのを見ても、
その時は「あぁやっぱり俺黄色い救急車に乗るべきなんだ」としか思わなかったんだ。
その時は「あぁやっぱり俺黄色い救急車に乗るべきなんだ」としか思わなかったんだ。
派手な装飾のバイクは車に乗り上げフロントを踏み潰した後、勢いのまま空中で一回転し綺麗に俺の横に着地した。
「貴様!私の出没場所で何をしている!」
男がライトが消えフロントガラスが粉々になった車に向かって叫んだ。
なんて浪々とし、そして響く声。なにゆえこんなに通る声をしてるんだ?俺は疑問に思った。
なんて浪々とし、そして響く声。なにゆえこんなに通る声をしてるんだ?俺は疑問に思った。
だってそもそも男の体には首が無かったのだから。
あかん。何だか感覚が麻痺してきた。もう何がおかしくて何がおかしくないのか。
すると男が無い顔をこちらに向けた。
すると男が無い顔をこちらに向けた。
「時に少年、お前は何者だ?ふむそうか。あの当たり屋に狙われてしまった身か」
いや、俺なんも言ってないんだけど勝手に一人で納得しちゃったよ。
「乗るのだ少年。このままでは危険だ」
首の無い男が尻餅をついている俺に手を差し伸べた。
いや、俺なんも言ってないんだけど勝手に一人で納得しちゃったよ。
「乗るのだ少年。このままでは危険だ」
首の無い男が尻餅をついている俺に手を差し伸べた。
しかし、ここでよーやく俺は今までの実感がじわじわと沸いてきたのだった。恐怖の。
「うっわああああああああああああああああ!?!」
「うっわああああああああああああああああ!?!」
我ながら本当に情けないが、無人の暴走車に首なし男。あまりにも非現実的でホラーなこの状況。
根っからの臆病者でヘタレの俺が叫ばずにいられない。
すると男はおもむろに俺の頬をバシッと叩いた。
い…いたひ。
根っからの臆病者でヘタレの俺が叫ばずにいられない。
すると男はおもむろに俺の頬をバシッと叩いた。
い…いたひ。
「落ち着くのだ少年!私はお前に害を与えたりはしない!」
お、落ち着けったってンな状況で首の無い人に言われても…
でも少なくとも目の前のこの男は、俺をあの車から助けてくれた。
でも少なくとも目の前のこの男は、俺をあの車から助けてくれた。
その時、男の後ろで煙を上げていた車のライトが点滅しながら付いた。
まるで気を失っていた者が目を覚ますように。
まるで気を失っていた者が目を覚ますように。
「むむっいいから私の後ろに乗るのだ少年!何、腰が抜けただと?貴様、それでも玉がついた男か!」
あ、頭がついてない奴に言われたかないなぁー
それにしてもこんな化け物男にさえ喝を入れられるなんて、本当に俺ってダメな奴…
おとこは凄い力で俺の腕をグイっと引っ張り、後ろに乗せた。
あ、頭がついてない奴に言われたかないなぁー
それにしてもこんな化け物男にさえ喝を入れられるなんて、本当に俺ってダメな奴…
おとこは凄い力で俺の腕をグイっと引っ張り、後ろに乗せた。
「しっかりつかまっていろ」
轟音と共にバイクが発進した。
バイクは人通りの無い夜の道路を走り続けていた。
広い背中に遠慮しがちにしがみつき、こっそり俺は前の人をまじまじと見た。
なるべく首の断面図が見えないように。
なるべく首の断面図が見えないように。
「何だ。聞きたいことがあるならハッキリといってみるがいい」
「ヒィッ!?な、何でもないです!!」
「臆するな。私はお前を傷つける気など無い」
「ヒィッ!?な、何でもないです!!」
「臆するな。私はお前を傷つける気など無い」
こ、怖いのは変わんないけど、どうやらこの人は本当にいい人みたいだ。
俺はありったけの勇気を振り絞り質問する。
「…い、色々ありすぎるんだけど…まず始めに、おっさん何者?」
「おっさんだと!?けしからん!私には『首なしライダー』という立派な名がある!」
ヒィィッなんか怒らせちゃったよぉぉぉどうすれば…………ん?
「おっさんだと!?けしからん!私には『首なしライダー』という立派な名がある!」
ヒィィッなんか怒らせちゃったよぉぉぉどうすれば…………ん?
「く、首なしライダーってあの…?」
「ほう、知っていたか。あとでサインをやろう」
「ほう、知っていたか。あとでサインをやろう」
あるライダーが事故で首を失ってしまったが、バイクは体を乗せたまま走り続けた。
亡霊となったライダーは夜な夜な道を走っている。という、あの話。
確か俺の地元でもかなりはやった。当時の俺は小便ちびる程その話が怖く、
通学路のその道を通れなかった。おかげでしばらく毎日学校に遅刻してしまった。
亡霊となったライダーは夜な夜な道を走っている。という、あの話。
確か俺の地元でもかなりはやった。当時の俺は小便ちびる程その話が怖く、
通学路のその道を通れなかった。おかげでしばらく毎日学校に遅刻してしまった。
「おいスルーをするのではない」
「ん、んじゃ、さっきの車は…?」
「当たり屋ファックスだ。話によっては当たり屋グループともいうがな。知っているか?」
「ん、んじゃ、さっきの車は…?」
「当たり屋ファックスだ。話によっては当たり屋グループともいうがな。知っているか?」
知っている。「○○地方に当たり屋グループが出没しました。
以下のナンバーに注意して下さい」といった内容の回覧板、もしくはファックスが送られてくるといった話。
これも結構はやったなぁ。でも確かファックスが来るだけで車は実在しないはずじゃ…
以下のナンバーに注意して下さい」といった内容の回覧板、もしくはファックスが送られてくるといった話。
これも結構はやったなぁ。でも確かファックスが来るだけで車は実在しないはずじゃ…
「で、でも、それは噂話…誰かが回したただの怪談だ」
こんな男を目の前にしているというのに、俺はそんな理屈をこねる。
すると、ライダーが言った。
こんな男を目の前にしているというのに、俺はそんな理屈をこねる。
すると、ライダーが言った。
「そういった噂話が、回りまわって全国に伝わり、言霊という力を持った。そうして存在を得たのが、今お前の目の前に居る私だ」
― そういえば。さっきこの男が「私の出没場所」と言っていた道。
俺が小学生の時、首なしライダーが出ると噂になった所だ。
俺が小学生の時、首なしライダーが出ると噂になった所だ。
俺は首なしライダー名乗る男の顔をまじまじ見ようとする。
しかし首があるはずのそこにはただ夜の真っ暗な空間が存在するだけ。
しかし首があるはずのそこにはただ夜の真っ暗な空間が存在するだけ。
「お前ら…一体?」
その時俺は、無いはずの口元が不敵な笑みを浮かべた気がした。
その時俺は、無いはずの口元が不敵な笑みを浮かべた気がした。
「都市伝説だ」
そう言った首なしライダーの声は心なしか得意げだった。
「まったく。しつこい奴だ」
「え?」
「こんな話をしているうちにもう奴が来てしまったようだ」
「え?」
「こんな話をしているうちにもう奴が来てしまったようだ」
振り向くと、ずっと後ろの方から二つのライトが迫ってくるのが見えた。
「で、でも普通の乗用車かも…」
「それはない。先ほどから辺りに人の気配が全く無いのには気づいているだろう。
いまやここは奴のテリトリー、いわば結界のようなものだ。
だからここに存在するのは当たり屋と私と、少年。お前だけなのだ。
そして結界を破るためには、その都市伝説の存在が消滅しなければならない」
「そんな…で、でも何で?おっさ…首なしライダーは俺を助けてくれるのに、あいつは…」
「人間の中には、悪い者もいれば良い者もいるだろう。都市伝説もまた然り。私は人間を傷つけないが、あの者は悪の心に捕らわれてしまった都市伝説なのだ」
「そ、それじゃあ俺を助けて!お願いだよ!」
「そうしてやりたいのはやまやまだ。しかし向うの方が数段上と見た。私の力では、奴を一時的なダメージを与えることが出来ても倒す事はできないであろう」
「そんなっ!?じゃ、じゃあ、一体どーすりゃ…」
「私と契約しろ、少年」
「へっ?」
「それはない。先ほどから辺りに人の気配が全く無いのには気づいているだろう。
いまやここは奴のテリトリー、いわば結界のようなものだ。
だからここに存在するのは当たり屋と私と、少年。お前だけなのだ。
そして結界を破るためには、その都市伝説の存在が消滅しなければならない」
「そんな…で、でも何で?おっさ…首なしライダーは俺を助けてくれるのに、あいつは…」
「人間の中には、悪い者もいれば良い者もいるだろう。都市伝説もまた然り。私は人間を傷つけないが、あの者は悪の心に捕らわれてしまった都市伝説なのだ」
「そ、それじゃあ俺を助けて!お願いだよ!」
「そうしてやりたいのはやまやまだ。しかし向うの方が数段上と見た。私の力では、奴を一時的なダメージを与えることが出来ても倒す事はできないであろう」
「そんなっ!?じゃ、じゃあ、一体どーすりゃ…」
「私と契約しろ、少年」
「へっ?」
契…約?
突然ライダーの口から出てきた言葉に俺はきょとんとする。
「人間のお前と契約すれば、私は今まで以上の力を持ち、奴を完全に葬ることができよう」
「ほっ本当!?」
「しかし」
「人間のお前と契約すれば、私は今まで以上の力を持ち、奴を完全に葬ることができよう」
「ほっ本当!?」
「しかし」
突然ライダーは県境の大きな鉄橋の前で、バイクを止めた。
「え、何、どうしたの?」
「少年。お前も契約者として供に戦わなければならない。」
「!?」
「え、何、どうしたの?」
「少年。お前も契約者として供に戦わなければならない。」
「!?」
な、何いってんだよ…
この俺にあの車の化け物と戦えと!?ばっ馬鹿ゆーなって!!!
そうしている間に当たり屋ファックスはどんどんこちらに迫って来ている。
この俺にあの車の化け物と戦えと!?ばっ馬鹿ゆーなって!!!
そうしている間に当たり屋ファックスはどんどんこちらに迫って来ている。
「私と契約すれば、少年。お前を救ってやることができる」
「でっでも、無理だよ!!戦うなんて…!」
「可能性の限界など本人が決めるものではない」
「むっ無茶いうなよ!やれるわけないじゃん!」
「無茶をしてこそが真の男だ。己を信じろ!」
「でっでも、無理だよ!!戦うなんて…!」
「可能性の限界など本人が決めるものではない」
「むっ無茶いうなよ!やれるわけないじゃん!」
「無茶をしてこそが真の男だ。己を信じろ!」
当たり屋はもう眼前に迫っていた。
「信じるったって…俺みたいな奴なんかに出来るわけないよ!」
「腹をくくれ少年!都市伝説に遭遇したその瞬間、
お前の平穏な日常は跡形も無く消え去ったのだ!」
「腹をくくれ少年!都市伝説に遭遇したその瞬間、
お前の平穏な日常は跡形も無く消え去ったのだ!」
なっ…なんつー理不尽な…………でも。
ライダーのその言葉で俺はふと思った。
クラスでは無視され、勉強も運動もろくに出来ず打ち込める事も何も無い
こんな冴えない俺の人生、最初からもう終わってるも同然なんだ。
クラスでは無視され、勉強も運動もろくに出来ず打ち込める事も何も無い
こんな冴えない俺の人生、最初からもう終わってるも同然なんだ。
「わかった…!俺、お前と契約する。あの化け物と、た、戦うよ!」
「その言葉が聞きたかった」
「その言葉が聞きたかった」
瞬間、辺りが神々しい光を放った。
その光が当たり屋のライトだったのか、
はたまたライダーの体が放った光なのか、俺には分からなかった。
その光が当たり屋のライトだったのか、
はたまたライダーの体が放った光なのか、俺には分からなかった。
気が付くと、俺とライダーを乗せたバイクは鉄橋の入り口に直角にそびえ立っている
巨大な鉄柱を、凄いスピードで駆け上っていた。
巨大な鉄柱を、凄いスピードで駆け上っていた。
「ぬあああぁぁぁあああああぁぁぁぁあqwせdrftgyふじこlp;」
一瞬前に俺たちが立っていたところを、
当たり屋が猛スピードで通過したのを何とか残像で捕らえた。
もしも一瞬でも遅かったらと思うと……ひっひぃぃぃぃっ!!!
当たり屋が猛スピードで通過したのを何とか残像で捕らえた。
もしも一瞬でも遅かったらと思うと……ひっひぃぃぃぃっ!!!
バイクは鉄柱のてっぺんまで一気に駆け上り、
一瞬夜の空を舞った。そして見事鉄橋の真ん中に着地。衝撃など全く無い。
一瞬夜の空を舞った。そして見事鉄橋の真ん中に着地。衝撃など全く無い。
「なっなんだよ今の動きっ!?てかっ鉄橋には入れないんじゃなかったのか!?」
ゼェッ ゼェッ ゼェッ
「今まで私のバイク技術は人間の身体能力までだったが、契約したことにより
常軌を逸したバイクコースを走ることも可能になったのだ。
そして契約は都市伝説がテリトリーに捕らわれることも無くす」
ば、ばいくぎじゅつ…今のはもう技術ってかもうなんつーか…
ゼェッ ゼェッ ゼェッ
「今まで私のバイク技術は人間の身体能力までだったが、契約したことにより
常軌を逸したバイクコースを走ることも可能になったのだ。
そして契約は都市伝説がテリトリーに捕らわれることも無くす」
ば、ばいくぎじゅつ…今のはもう技術ってかもうなんつーか…
「くるぞ、少年。身構えろ」
ライダーの肩越しに、キュキュキュとタイヤのきしむ音を響かせて
当たり屋がこちらに向き直るのが見えた。
ライダーの肩越しに、キュキュキュとタイヤのきしむ音を響かせて
当たり屋がこちらに向き直るのが見えた。
「ど、どうやって倒すの?ライダー」
「私が当たり屋の動きを封じる。その間にお前は車に乗り込み、運転席を破壊するのだ」
「ええええええっ何それ!?んなこと出来ないよ!てか破壊って…」
「私が当たり屋の動きを封じる。その間にお前は車に乗り込み、運転席を破壊するのだ」
「ええええええっ何それ!?んなこと出来ないよ!てか破壊って…」
凄いスピードで当たり屋がまた突っ込んでくる。
「や、ヤバイっ来たよ!!」
「しっかり掴まっていろ少年!」
「しっかり掴まっていろ少年!」
ライダーがそう叫ぶと、またもやバイクは華麗にジャンプし、突っ込んできた車を避ける。
宙に舞ったその瞬間、ライダーが車に手をかざした。
すると突如ライダーの手から幾本もの光る筋が伸び、当たり屋を縛り付けた。
地に着地し、ライダーが叫ぶ。
「今のうちだ!私のワイヤーでくくりつけられた者に
契約者のお前が攻撃を加えれば、大きなダメージとなるのだ!
案ずるな、私の首を切り落とした程のワイヤーだ。簡単にちぎれはしない、
と、言いたい所だが、相手が相手だ。残念なことに長くは持たない!
急げ少年!成すべきことをしろ!」
宙に舞ったその瞬間、ライダーが車に手をかざした。
すると突如ライダーの手から幾本もの光る筋が伸び、当たり屋を縛り付けた。
地に着地し、ライダーが叫ぶ。
「今のうちだ!私のワイヤーでくくりつけられた者に
契約者のお前が攻撃を加えれば、大きなダメージとなるのだ!
案ずるな、私の首を切り落とした程のワイヤーだ。簡単にちぎれはしない、
と、言いたい所だが、相手が相手だ。残念なことに長くは持たない!
急げ少年!成すべきことをしろ!」
アクセルのかかる音がひっきりなしにしている車を、
今にも切れそうに張り詰めたワイヤーが押さえつけている。
今にも切れそうに張り詰めたワイヤーが押さえつけている。
怖くないといえば嘘だ。しかし。
次の瞬間俺はライダーの後ろから飛び降り、無我夢中で当たり屋に向かって駆け抜けていた。
割れたフロントガラスから運転席に滑り込む。
次の瞬間俺はライダーの後ろから飛び降り、無我夢中で当たり屋に向かって駆け抜けていた。
割れたフロントガラスから運転席に滑り込む。
しかし、破壊するっつったてどうすれば…
もたもたしていると、頑丈なはずのワイヤーがきしむ音が聞こえた。
「急げ少年!時間はないぞ!!」
ええいっこのさい適当だっ
焦りと混乱で頭がいっぱいだった俺は、力任せにハンドルを殴った。その瞬間。
焦りと混乱で頭がいっぱいだった俺は、力任せにハンドルを殴った。その瞬間。
ハンドルが、砕けた。
「あ……?」
突然のことに目が点になる俺。ま、まさかこれがライダーが言ってた能力…
ライダーのワイヤーでくくりつけられた者を俺が殴ると大ダメージになる…!?
ライダーのワイヤーでくくりつけられた者を俺が殴ると大ダメージになる…!?
その時、ライダーの叫び声が聞こえた。
「逃げろ!!少年!!!」
「逃げろ!!少年!!!」
ブチブチブチッ!!
― え?
― え?
ワイヤーがぶち切れる音と供に、俺を乗せた車は再び動き出した。
橋の入り口にそびえ立つ、鉄柱に向かって。
橋の入り口にそびえ立つ、鉄柱に向かって。
「ぎゃあああああああああああああ!!?!?」
半狂乱で俺はシートにつかまって絶叫した。グングンと目の前に巨大な鉄柱が迫る。
「長くは持たないって、全く持たないじゃないかああああああああ!!!」
「長くは持たないって、全く持たないじゃないかああああああああ!!!」
かなり長い鉄橋だが、激突すんのは時間の問題。
しかもハンドルはさっき俺が破壊してしまったので利かない。
しかもハンドルはさっき俺が破壊してしまったので利かない。
こんな事になるんなら、コンビニなんか行かなきゃよかったーーーー!!!
すると、運転席のドアがガゴっとこじ開けられ、後方に飛んでいった。
「無事か少年!!」
「無事じゃないいいいいいいいいいいいいい」
当たり屋の横につき同じスピードでバイクをかっ飛ばすライダー。
彼はこちらに手を差し伸べた。
「早く!!」
「え?」
「こちらに飛び移るのだ!」
「無事か少年!!」
「無事じゃないいいいいいいいいいいいいい」
当たり屋の横につき同じスピードでバイクをかっ飛ばすライダー。
彼はこちらに手を差し伸べた。
「早く!!」
「え?」
「こちらに飛び移るのだ!」
とっ飛び移る!?!?
運転席とライダーの間には結構な距離があるのだ。こんなスピードの中飛び移るなんて…
運転席とライダーの間には結構な距離があるのだ。こんなスピードの中飛び移るなんて…
「むっ無理無理無理無理無理無理」
「先ほども言っただろう!たやすく己の可能性を否定するのではない!」
猛スピードの中、叫ぶライダー。しかし。
「先ほども言っただろう!たやすく己の可能性を否定するのではない!」
猛スピードの中、叫ぶライダー。しかし。
「でっできるわけないだろっ!俺みたいな臆病なダメな奴に!!」
俺はシートに抱きついて泣き叫んだ。
もうダメだ。これで俺は17年間の短い一生を終えるんだ。
もうダメだ。これで俺は17年間の短い一生を終えるんだ。
「しかし、お前は私と契約する勇気を持ってくれた。
確かに臆病ではあるかもしれない。しかしこれだけは確かだ。
少年、お前は決してダメな奴などでは無い!!」
確かに臆病ではあるかもしれない。しかしこれだけは確かだ。
少年、お前は決してダメな奴などでは無い!!」
振り返り、さっきから無茶な事と説教ばかり言っている、首の無いこの男を見た。
そして差し伸べられた手を見つめた。
そして差し伸べられた手を見つめた。
俺は…ダメな奴なんかじゃない…?
その言葉は不思議と俺に勇気を持たせた。
よ、よーし。や、やってやるっての!やってやろーじゃねーかっ!!!
俺は意を決した。
どっちみち、やらなきゃ死ぬんだ ― !!!
よ、よーし。や、やってやるっての!やってやろーじゃねーかっ!!!
俺は意を決した。
どっちみち、やらなきゃ死ぬんだ ― !!!
「うわあああああああああああああああああああああああ」
そして。
真夜中の鉄橋を、俺は跳んだ。
真夜中の鉄橋を、俺は跳んだ。
それは一瞬の出来事のようで、とても長く感じられた。
ライダーの力強い腕が俺の体を受け止めた。
次の瞬間、数十メートル先で、鉄柱に激突した当たり屋が爆発した。熱風が肌を撫でる。
次の瞬間、数十メートル先で、鉄柱に激突した当たり屋が爆発した。熱風が肌を撫でる。
お、俺…生きてる…
「やったぞ、少年。見事悪の都市伝説を葬ることに……どうしたのだ」
情けないことに、今更になって、体の震えが出てきた。
「う…う…うわああああああ怖かったよおおおおおおおおおおお」
夜空に向かって思いっきり絶叫した。
さっきは無我夢中で何がなんだかって感じだったけど、今思い返すだけで…
ヒイイイィィィィィイイイイっっ
あかん、こんなんでいたらまたライダーに説教っぽいことを言われ…
情けないことに、今更になって、体の震えが出てきた。
「う…う…うわああああああ怖かったよおおおおおおおおおおお」
夜空に向かって思いっきり絶叫した。
さっきは無我夢中で何がなんだかって感じだったけど、今思い返すだけで…
ヒイイイィィィィィイイイイっっ
あかん、こんなんでいたらまたライダーに説教っぽいことを言われ…
― ポンっ
「さぞかし恐ろしかっただろう。よく頑張ったな、少年」
俺は、鉄橋の上で真っ赤に照らされながらライダーの大きな手を頭の上に感じた。
そうすると、不思議と恐怖が薄れ、俺の心は落ち着くのだった。
俺に兄貴は居ないけど、居たらこんな感じなのかな…。
俺は、鉄橋の上で真っ赤に照らされながらライダーの大きな手を頭の上に感じた。
そうすると、不思議と恐怖が薄れ、俺の心は落ち着くのだった。
俺に兄貴は居ないけど、居たらこんな感じなのかな…。
その時、さっきまで感じていた熱風が徐々に感じられなくなった。
振り返り見ると、爆発の炎や当たり屋の残骸が、少しずつ消えていくのが見えた。
振り返り見ると、爆発の炎や当たり屋の残骸が、少しずつ消えていくのが見えた。
も、もう、何があっても驚かないぞ。うん。絶対に。
「奴が消滅した。と言うことは、結界も消えたということだ。
町に戻れば人の姿も見られるだろう。
それにしても、初めての敵からかなりの強敵を相手にしてしまったな。
本当によく頑張ったぞ少年」
町に戻れば人の姿も見られるだろう。
それにしても、初めての敵からかなりの強敵を相手にしてしまったな。
本当によく頑張ったぞ少年」
…………ん?
「…『初めての』?」
「そうだ。これから私とお前は、様々な都市伝説と戦っていかねばならないのだ」
「そうだ。これから私とお前は、様々な都市伝説と戦っていかねばならないのだ」
めまいが、した。
ちょ…今、なんつった…?頭がクラクラする。
「すまない。あの状況下で言うのを忘れてしまった」
あ、ヤバ…本格的にめまいが…
私とお前が契約してしまった今、これからも様々な都市伝説に遭遇するだろう。
しかし、そうやって悪の心に取り付かれてしまった者達を」
「すまない。あの状況下で言うのを忘れてしまった」
あ、ヤバ…本格的にめまいが…
私とお前が契約してしまった今、これからも様々な都市伝説に遭遇するだろう。
しかし、そうやって悪の心に取り付かれてしまった者達を」
バッターン!
多分、今までの疲労感と取り合えず助かったという安堵感と今聞いた事実の衝撃が、一気に来てしまったのだろう。
俺は倒れた。
俺は倒れた。
これからずっとこんな死ぬような怖い思いしなきゃなんないのか?
冗談じゃない。
冗談じゃない。
「おい、しっかりするのだ!少年!少年ーーーーーーーーーーーー!!!!」
薄れていく意識の中で、ライダーの叫び声を聞いた。
生きるということは不条理ということだ。
それは普通の高校生を突如、首の無い男と供に都市伝説と戦うという日常に放り込む程に。
それは普通の高校生を突如、首の無い男と供に都市伝説と戦うという日常に放り込む程に。
いつの日か、この「不条理」極まりない現実を受け入れて、
そんな毎日を臆することなく過ごせる度胸が、はてして俺に付くのだろうか。
そしてその日は来るのだろうか。
そんな毎日を臆することなく過ごせる度胸が、はてして俺に付くのだろうか。
そしてその日は来るのだろうか。
来るといいなぁ