ウェルカム!ミス、メリー
都市伝説や幽霊、そういったオカルトを信じる人間は愚かだ。
自分で見たもの意外を信じるなど、余程の暇人か狂人だ。
私は、今までの人生をそう思って生きてきたのだが――――
自分で見たもの意外を信じるなど、余程の暇人か狂人だ。
私は、今までの人生をそう思って生きてきたのだが――――
『私、メリーさん。今、駅前にいるの』
突如携帯電話ににかかってきたその台詞に、私は思わず震えてしまった。
都市伝説「メリーさん」。
ある日突然メリーと自称する少女から電話が掛かって来る事から
始まるその都市伝説の内容は、メリーと名乗る少女が電話の度に徐々に
電話の持ち主に接近してきて、最終的には背後に立っているメリーさんからの
電話の後、命を落とすといったものだ。
ある日突然メリーと自称する少女から電話が掛かって来る事から
始まるその都市伝説の内容は、メリーと名乗る少女が電話の度に徐々に
電話の持ち主に接近してきて、最終的には背後に立っているメリーさんからの
電話の後、命を落とすといったものだ。
『私、メリーさん。今○×公園にいるの』
名前の出た公園は、私の家の近所にある公園だ。
体の震えが増した。『メリーさん』は確実に私に接近してきている。
都市伝説など信じられないと公言していた私だが、ここにきてその
考えは大きく揺らいでしまっていた。
私は、自分で見たもの以外は信じない。故に、自分で体験して
しまったら……信じざるを得ないじゃないか。
名前の出た公園は、私の家の近所にある公園だ。
体の震えが増した。『メリーさん』は確実に私に接近してきている。
都市伝説など信じられないと公言していた私だが、ここにきてその
考えは大きく揺らいでしまっていた。
私は、自分で見たもの以外は信じない。故に、自分で体験して
しまったら……信じざるを得ないじゃないか。
『私、メリーさん。今、あなたの家の前にいるの』
その台詞を聞いた私は思わず駆け出していた。
その台詞を聞いた私は思わず駆け出していた。
『私の家の玄関』に向けて。
「ウェルカムだ!ようこそミス、メリー!私は君を歓迎しよう!!」
『ひゃああっ!?』
『ひゃああっ!?』
バタン!と、挨拶と供に勢い良く開いたドアの先には、
驚いて電話を取り落とした「メリーさん」がいてくれた。
私は震える。嬉しくて震える。
何せ、オカルトやファンタジーの存在を見る事が叶ったのだ。
これで、オカルトを信じることが出来るのである。
私は、自分で体験した事以外は信じない。
しかしながら、私はずっとオカルト的な物事が好きだったのだ。
呆然としているメリーさんに勢い良く握手をし、ブンブンと上下に振る私。
そんな私と、『メリーさん』を完遂し損ねたメリーさんは『契約』し、
他の様々な都市伝説たちと関わっていくのだが……それを話すのはまた別の機会にしよう。
驚いて電話を取り落とした「メリーさん」がいてくれた。
私は震える。嬉しくて震える。
何せ、オカルトやファンタジーの存在を見る事が叶ったのだ。
これで、オカルトを信じることが出来るのである。
私は、自分で体験した事以外は信じない。
しかしながら、私はずっとオカルト的な物事が好きだったのだ。
呆然としているメリーさんに勢い良く握手をし、ブンブンと上下に振る私。
そんな私と、『メリーさん』を完遂し損ねたメリーさんは『契約』し、
他の様々な都市伝説たちと関わっていくのだが……それを話すのはまた別の機会にしよう。
*
私が、都市伝説『メリーさん』との契約を行ってから一ヶ月が経過していた。
その時間はとても濃厚で、私は様々なことを知り、経験した。
人に都市伝説が物理的な危害を与えている事。
それを阻止する為にその都市伝説と契約し、都市伝説を狩る契約者の存在。
新たな出来事に出会い、その度に私の世界は広がっていった。
そして多少の苦難はあったものの、それらは総じて私にとって楽しい物であり
その時間はとても濃厚で、私は様々なことを知り、経験した。
人に都市伝説が物理的な危害を与えている事。
それを阻止する為にその都市伝説と契約し、都市伝説を狩る契約者の存在。
新たな出来事に出会い、その度に私の世界は広がっていった。
そして多少の苦難はあったものの、それらは総じて私にとって楽しい物であり
――――故に、この事件は私が都市伝説と関わって初めて経験した、辛い事件となった。
*
『ヒキコさん?』
私の部屋に敷かれた絨毯の上で漫画を読んでいた少女――――メリーさんは、
怪訝そうな言葉と共に顔を上げ、その視線を私へと向ける。
私はPCのモニターに目を向けたままの姿勢で、そんなメリーさんに答えた。
怪訝そうな言葉と共に顔を上げ、その視線を私へと向ける。
私はPCのモニターに目を向けたままの姿勢で、そんなメリーさんに答えた。
「ああ。この近辺で起きた連続児童傷害事件の経緯と被害状況を見れば、
恐らく間違いないだろう。事件の犯人は『ヒキコさん』だ」
恐らく間違いないだろう。事件の犯人は『ヒキコさん』だ」
都市伝説『ヒキコさん』
雨の日、白いぼろぼろの着物を着て、人形のようなものを引きずっている女と出会う。
よく見ると、女の目はつり上がり、口は耳元まで裂けている。
そして女が引きずっていたものは人形ではなく、小学生ほどの子供そのものだった。
彼女は自分が受けた酷いいじめに対する恨みから、子供を捕まえては肉塊と化すまで
引き摺り回しているのだ、というもの。
雨の日、白いぼろぼろの着物を着て、人形のようなものを引きずっている女と出会う。
よく見ると、女の目はつり上がり、口は耳元まで裂けている。
そして女が引きずっていたものは人形ではなく、小学生ほどの子供そのものだった。
彼女は自分が受けた酷いいじめに対する恨みから、子供を捕まえては肉塊と化すまで
引き摺り回しているのだ、というもの。
『ふーん……聞いたこと無いわね』
「だろうね。ヒキコさんは君のようにメジャーな都市伝説ではない。
しかし、その凶悪性と生々しさは、多くの都市伝説の中でも群を抜いている。
正直に言えば、オカルト大好きな私でさえ軽く引くエグさだ。
出来れば戦いたくなどない相手だよ」
そんな私の台詞を弱気と捉えたのか、メリーさんの声に少し不機嫌な色が混ざる。
「だろうね。ヒキコさんは君のようにメジャーな都市伝説ではない。
しかし、その凶悪性と生々しさは、多くの都市伝説の中でも群を抜いている。
正直に言えば、オカルト大好きな私でさえ軽く引くエグさだ。
出来れば戦いたくなどない相手だよ」
そんな私の台詞を弱気と捉えたのか、メリーさんの声に少し不機嫌な色が混ざる。
『あのね……仮にも私の契約者がそんなヘタレでどうするのよ。
いい?私は『メリーさん』なの。この私がそんなマイナーな都市伝説如きに負ける訳ないじゃない。
ほら、犯人が判ったのならさっさと退治に行くわよ!』
「……むぅ」
いい?私は『メリーさん』なの。この私がそんなマイナーな都市伝説如きに負ける訳ないじゃない。
ほら、犯人が判ったのならさっさと退治に行くわよ!』
「……むぅ」
渋る私の襟首を掴んで引き摺り、メリーさんは外へと向かう。
どういうカラクリか、体格差があるにも関わらず私は腕力でメリーさんに敵わないらしい。
どういうカラクリか、体格差があるにも関わらず私は腕力でメリーさんに敵わないらしい。
*
逢魔ヶ刻。昼と夜の狭間の時間。
生徒たちが下校し、人のいなくなった小学校の前にある通学路。
粘り付くような橙色に支配されたその道に、私とメリーさんは立っていた。
生徒たちが下校し、人のいなくなった小学校の前にある通学路。
粘り付くような橙色に支配されたその道に、私とメリーさんは立っていた。
『……で、なんで私がランドセル背負って黄色帽被らなきゃいけないのよ!?』
私の目の前にいるのは、真っ赤なランドセルに黄色帽子。
おまけに胸に「めりー」と書かれたワッペンを貼ったメリーさん。
おまけに胸に「めりー」と書かれたワッペンを貼ったメリーさん。
「先も言ったが、ヒキコさんが狙うのは小学生だ。
故に、遭遇するには小学生に偽装する必要があるのだよ。
そしてそれをする場合、適任は君しかいなかったのだ、ミス、メリー。
私がランドセルなど背負ったら、偽装だとバレバレな上、気持ち悪いだろう?」
『……だからって、こんな格好してたら花子さんとかと被るじゃない』
故に、遭遇するには小学生に偽装する必要があるのだよ。
そしてそれをする場合、適任は君しかいなかったのだ、ミス、メリー。
私がランドセルなど背負ったら、偽装だとバレバレな上、気持ち悪いだろう?」
『……だからって、こんな格好してたら花子さんとかと被るじゃない』
説明を聞いて尚、ブツブツ不満を呟くメリーさん。
……そんなに不満なのだろうか。可愛いらしい格好だと思うのだが。
そして、そんな私たちの間の抜けたやり取りを知ってか知らずか
……そんなに不満なのだろうか。可愛いらしい格好だと思うのだが。
そして、そんな私たちの間の抜けたやり取りを知ってか知らずか
『――――! 来たわよ』
「……来たか」
「……来たか」
夕闇の向こうから『それ』はやってきた。
噂される、都市伝説そのままの姿で。
噂される、都市伝説そのままの姿で。
都市伝説「ひきこさん」
一度認識してしまった事で、歯車は急激に動いた。
その存在『ひきこさん』は、メリーさんの姿を認識するや否や襲い掛かってくる。
人ではあり得ない速度での疾走。 そして、子供を手に持ち町中を引きずり回すという
人間離れした腕力の一撃が、メリーさんのいる空間を薙ぐ。
しかし、いくら人間離れしているといっても、
対するメリーさんも都市伝説の身、交わせない事は無い――――
その存在『ひきこさん』は、メリーさんの姿を認識するや否や襲い掛かってくる。
人ではあり得ない速度での疾走。 そして、子供を手に持ち町中を引きずり回すという
人間離れした腕力の一撃が、メリーさんのいる空間を薙ぐ。
しかし、いくら人間離れしているといっても、
対するメリーさんも都市伝説の身、交わせない事は無い――――
『きゃあっ!?』
「ミス、メリー!!」
だが次の瞬間、メリーさんは確かに回避した筈のヒキコさんの腕に掴まれていた。
「ミス、メリー!!」
だが次の瞬間、メリーさんは確かに回避した筈のヒキコさんの腕に掴まれていた。
私は私自身の目を疑った。確かにメリーさんはヒキコさんの腕を回避したのだ。
この目でそれを確認したのだから間違いない。
であるのに、メリーさんは捕まったこれはどういう事か……。
この目でそれを確認したのだから間違いない。
であるのに、メリーさんは捕まったこれはどういう事か……。
この時の私に知る由はなかったのだが、この現象は呪いの一種だったらしい。
『子供に対しての強制的な捕獲能力』。例え回避しても、捕まったという結果が
事実よりも優先される、概念すら捻じ曲げる呪い。
それは都市伝説が広がるにつれて付加された特殊能力……。
『子供に対しての強制的な捕獲能力』。例え回避しても、捕まったという結果が
事実よりも優先される、概念すら捻じ曲げる呪い。
それは都市伝説が広がるにつれて付加された特殊能力……。
私の驚愕を他所に、メリーさんを掴んだヒキコさんは、
メリーさんの身体を都市伝説の内容通り、コンクリートの地面で鑢のように削り、
引き釣りまわすべく、まずは地面に叩き付けようとし
メリーさんの身体を都市伝説の内容通り、コンクリートの地面で鑢のように削り、
引き釣りまわすべく、まずは地面に叩き付けようとし
「もしもし!私は君の契約者だ!ミス、メリー『君は今何処にいる』!!」
しかし突如、バランスを崩し倒れた。
それは、メリーさんが忽然とヒキコさんの腕の中から掻き消えた事結果。
それは、メリーさんが忽然とヒキコさんの腕の中から掻き消えた事結果。
『……あ、危ないわね!!もう少し早く連絡しなさいよ!?』
「すまない。なにせ思いもよらない事態だったのでね」
「すまない。なにせ思いもよらない事態だったのでね」
声がしたのは携帯電話を耳に当てた私の背後。そこに、メリーさんが立っていた。
『空間移動能力』。それは、メリーさんの持つ特殊能力の一つだ。
例えどれだけ物理的、空間的、霊的な障害があろうと、契約者がメリーさんと通話をすれば、
その全てを透過し、契約者の背後に出現出来る。
対象を異次元へ引きずり込む都市伝説への殺し技だが、今役に立つとは思わなかった。
『空間移動能力』。それは、メリーさんの持つ特殊能力の一つだ。
例えどれだけ物理的、空間的、霊的な障害があろうと、契約者がメリーさんと通話をすれば、
その全てを透過し、契約者の背後に出現出来る。
対象を異次元へ引きずり込む都市伝説への殺し技だが、今役に立つとは思わなかった。
ここまで書いて疲れたから打ち切り