「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - ヤンデレ太郎君

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kemono

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ヤンデレ太郎君 01


私は男子トイレに踏み込むと、3番目のドアをノックした。
「たーろうくん! あっそびましょー!」
やけくそ気味に「彼」を呼ぶ言霊を叫ぶ。非常事態だ、恥ずかしがってる余裕などない。

ややあって、

「はーあーいー♪」

と、高校に似つかわしくない、少年の声が聞こえてきた。

やがてふわりと現れたのは、半ズボンをサスペンダーで吊るした、白いシャツの少年だった。――太郎君だ。
色々あって私と彼は契約しているのだが……
「おねえちゃん! どうしたの? こんな時間に来るなんてめずらしいね!」
太郎君はニコニコしながら話しかけてきた。
機嫌はいいらしいが、それ故に今からこんな話をするのは気が引けた。
それでも話さなければならない。

「あのね、太郎君」
「うん!」
「太郎君、ここに来たお兄ちゃんに、何かした?」
太郎君は、満面の笑みで頷いた。
「うん! おねえちゃんのにおいがしたからやっつけたんだ!
ザクッてやったら血をぴゅーって出したよ!」
……ああ。やっぱり……太郎君も、悪霊の類いか。
いや、ちゃんと制御出来なかった、私が悪いんだけど。

「あのお兄ちゃん……私の弟なの」
途端、ぴたりと、太郎君の表情が凍りついた。
「……おねえちゃんの弟はボクだよね、おねえちゃん? ボクだけが、おねえちゃんの大切だよね?」

私は、違う、とかぶりを振った。
「確かに、太郎君も大切よ? でも、弟も大切なの。……家族、だから」

途端に、太郎君の目が、赤く、鈍く光った。
「カゾクって何? それ……」
空中で体育座りをしながら、太郎君は爪を噛んだ。
「しらないよ、カゾクなんて。そんなのしらない……しらない、しらない……」
しらない、が、まるで呪詛のように、空間を満たしていく。
脳が痺れるような違和感が、胃を焼く吐き気が、私を襲った。
「おねえちゃんの大切は、ボクだけなんだよ。だからカゾクなんて、しらない。いらない……!」

……まずい。言葉の選択を誤ったか。
このままじゃ、私は……契約した相手に、祟り殺される……!

しかし、ふいにピタリと、全てが治まった。
吐き気も痛みも、まるで紙が剥がれ落ちたようになくなっている。
私は頭をあげ、辺りを見回し――入ってきた男子と、目があった。
「……」
「……」
「…………!?」
「……えっと……ご、ごめん!」
私は面食らった男子を突き飛ばすように、トイレから飛び出した。

「一人で男子トイレに入ると、太郎君が出る」……それが、うちの噂だった。
つまり太郎君は、誰かがトイレに一人きりの時でないと、現れられないし、力を発揮出来ない。
男子が入ってきたことにより、「一人きり」ではなくなったため、彼を顕現させる環境がなくなったのだ。

私は闖入者に少し感謝しながらも、太郎君をどう説得するか、そして男子トイレにいた言い訳をどうするか、頭を悩ませ始めた。


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