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単発 - ベッドの下の男

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ベッドの下の男


仕事が終わり家に帰ってきてみたら、変なおっさんがベッドの下から顔を覗かせててビビった。

男「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!???」

おっさん「よう」

見たところ、年の頃は三十代から四十代くらい、そしてその手には……ぎらりと光る出刃包丁が握られている。

男「あ、あ……」

こういう緊急事態には、体が硬直して動けないとよく言うが、その時の俺は自分でも情けないほどに
何も出来なかった。

強盗?それしか考えられない。けれど目の前のおっさんは、俺を見て動揺するでも逆上するでもなく
ただただニヤニヤと笑うばかりである。

おっさん「家主さんよ、ちょっと包丁かりてるぜ?」

よくよく見ればその包丁は、俺の愛用している台所用品だった。
なんだこいつ、何が目的なんだ?

男「……あの」

おっさん「なんだ」

男「あんた、どちらさんで?」

おっさん「見ての通りのしがないオジサンだよ」

いやだから、そのしがないオジサンが人様の家のベッドの下で何をしてるのかを聞きたいのだが。

おっさん「別にお前に危害を加えたりしねーから。ただもうちょいここにいさせてくれればそれで良い」

何を抜かすかこのハゲ。

男「り、理由を言えよ理由を! 突然あんたみたいなハゲ親父に居座られちゃ、こっちだって困るんだよ!」

おっさん「おっ、危害を加えないと分かってちょっと強気になったな」

図星だよチクショウ。

おっさん「いいよ、こっちも間借りさせてもらう身だ。理由くらい教えてやってもいいだろう」

おっさん「まぁ簡単に言うと、おっさんは逃走兵なんだわ」

男「は?」

どういう意味なんだろうか。

おっさん「おっさんな、実は人間じゃない。都市伝説の『ベッドの下の男』っていう話しの登場人物なの」

男「はぁ?」

ますます何を言ってるのか分からない。

おっさん「聞いたことないか? 友達が自分ちに泊まりに来て、急に外に連れ出されたと思ったら
  『ベッドの下に誰かいた!』って言うオチのやつ」

男「あ、あぁー」

その話しなら知っている。あまりにも有名で、俺が小学生だった頃から伝わっているくらいだ。

おっさん「あの話しの、ベッドの下の男が俺なのよ」

男「はぁ……」

このおっさん、頭がおかしいんじゃあるまいか。

俺の困惑を無視して、おっさんは話しを進めていく。

おっさん「そんでさぁ、なんか近々この辺りで、大規模な戦争があるらしいんだわ」

男「はぁっ!?」

おっさん「つってもあんたら人間には、一部のもん以外関知できないような戦争なんだけどな」

おっさんは鼻毛を抜きつつ話し続ける。

おっさん「風聞が具体的な力を持つにつれ、それを悪用して人間に取って変わろうとした馬鹿がいるんだよ」

おっさん「で、それを止めるために、俺らみたいなイイモンの都市伝説数名に召集がかかったんだけどさ」

あれれ?話しが現実から遠ざかっていくぞ?

おっさん「正直、おっさんダルいんだよね」

おっさん「おっさんも都市伝説としては古参の部類だし、あんまり若くないわけよ」

おっさん「だから悪者と戦えとか言われても、あんまり必要性感じないんだよね」

必要性って……いまいちよく分からないが、それは不味いのではないだろうか。

おっさん「俺一人いなくても、戦局に大した変化はないよ」

おっさん「だから武器である自前の包丁も捨てて、こうしてあんたんちに逃げ込んで来たって寸法よ」

おっさん「本来は女の部屋に潜んでる設定だから、まさか上の連中もこんなとこにいるなんて
  思ってもみないだろうし」

男「……包丁、持ってんじゃん。俺のだけど」

おっさん「捨てたはいいけど、長年愛用した武器をなくしたら落ち着かなくてさ。さっきも
  言ったけど、勝手に借りてるから」

俺にはこいつの言ってることが、何一つ理解出来なかった。

おっさん「ま、そういう訳だから。戦争が終わるまで、包丁とベッドの下借りとくよ」

男「……」

おっさん「~♪」

引きずり出して追い出す度胸もなく、なぁなぁなまま俺とおっさんの嫌な同居生活は始まってしまった。

その後俺たちは、都市伝説たちの争いにおいていつの間にか重要な局面を任されることになるのだが、
それはまた別の話しである。

今はただこのだらしない中年男性の処遇を、決めかねる俺がいるばかりであった。


<了>




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