「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - メリーさんと契約した男

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kemono

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メリーさんと契約した男


男「・・・・・・・・・・・・」

プルルルル

男「はいもしもし」

?「私メリーさん。今アナタの後ろに敵影確認。新手です」

男「今度はなんだ・・・・・人面犬でも出るのか?」

?「現在確認中です」

男「しかし、誰彼問わず、接触をした人間の背後にしか存在できないってのも、不便だな」

?「そうでもありません。こうやって敵の確認もできるわけです。お嫌いですか?」

男「いや、大満足さ・・・・・・ただ、一度キミの顔を見てみたいと思うけどね」

?「それは違反行為に抵触します。アナタを殺さなくてはならないかもしれません」

男「いいさ、かわいい声が聞けるだけ、オレはまだ幸せさ」

?「・・・・・・来ます。ターゲット、『白いウネウネ』とその契約者。戦闘準備を」

*



男「はぁ・・・・・・」

【契約】。
全くの偶然だった。
「彼女」と出会った時、オレは獲物で彼女の餌で。
恐怖に凍り付いて振り向けなかったオレに、彼女が持ち出したモノだった。

都市伝説と契約する。
誰がこんな話を信じるものか。

いや、それ以前に誰がこんなモノが実在すると信じるか。
だが、彼女は現に存在する。
          • 少なくとも、今・・・・・・オレの背後に。

メリーさん「今日も月が綺麗ですね」

背後からの可愛らしい声。
やはり彼女はここに存在する。
いい加減、幻聴だと疑うのはやめることにした。

男「満月の夜っていうのは、ステキだな」

メリーさん「ええ、普通のヒトにはステキですね」

引っかかる言い方をする。

メリーさん「ご存知ですか?都市伝説の中には満月の夜に活性化する話もあるのです」
男「月の狂気に当てられるってか?いよいよ少年誌じみてきたな」
メリーさん「気をつけたほうがいいですよ?特に・・・・・・人気のない、こんな綺麗な満月の夜は」


遠くで犬が鳴いている。確かに不吉な感じだ。
オレだって深夜に外を徘徊するだなんてコトはしたくはない。

だが、彼女の話ではこれも【契約】したからこそ、やらなければならないコトらしい。

勝手に歩き回る、ワルい都市伝説を止めるということ。
簡単に言えば、それがオレと彼女の【契約】。

メリーさん「今回のターゲットですが・・・・・・聞いてますか?」
男「ええ、はい。聞いてますから耳元で囁かないでください」
メリーさん「ターゲットは・・・・・・ああ、すみません。策敵を怠りました。すでに範囲内にいますね」
男「え・・・・・・?」

どこかで犬が鳴いている。どこか、どこかで。

男「・・・・・・今度はなんだ?口裂け女か!?しまっちゃうおじさんか!?もう何だよ、さっさと言ってくれ!」
メリーさん「そこ、ちょっと右」
男「?」
メリーさん「そこだと直撃です。死んじゃいますよ」

近くで犬が鳴いている。近くで。とても近くで。

瞬間、オレは彼女に襟首を掴まれた。
ひどい力だ。首元が締め上げられる。

男「ぐぇッ」

            • このまま殺されるんじゃないだろうな?

ありえなくもないぞ。彼女が何考えてるかなんていまだにわからん。

が、どうも助けてくれたようで。

?「惜しい。おっしーい・・・・惜しいナァ・・・惜しい惜しい」

目の前の、どう見ても凶暴で好戦的なソレは、今しがた頭上から頭上から突き刺した舌を抜いてニヤニヤ笑う。

男「ナニ、アレ?」
メリーさん「チュパカブラ」
男「え?」
メリーさん「チュパカブラです」
男「半魚人とかじゃなくて?」
メリーさん「チュパカブラです。血を吸われます。ちゅーちゅー」

いよいよ頭が痛くなってきた。
チュパ・・・なんだって?
いや、おまえ・・・・・・ありゃどうせ悪ふざけした学生の作り話だろう?
だからさ、こんなもんが存在することを認めたら、ダメだろ。

「ヒハハハハハ!!おめえ、面白いモン、連れてるなぁ・・・ケケケ」
男「おい、見えてるらしいぞ」
メリーさん「当たり前です。同じ都市伝説ですから」

ソイツはニヤニヤと笑いながら長い長い、まるで鞭のような長い舌を振り回す。

アスファルトの地面はいとも簡単に飛ばされ、ついでに汚い唾液が飛んでくる。

            • 最悪だ。色々な意味で。

チュパカブラ。
発祥は南米当たりだったはず。
家畜や人間の血液を吸うUMA。

            • UMAだろ?都市伝説・・・・・なのか?

目はどこかで聞いたとおり、大きな赤い瞳。
体長は人間より低い程度だろうか?
爬虫類のような外見でありながら、どこか魚っぽいような。

            • 毛むくじゃらで翼があるんじゃなかったけ?

男「噂だもんな。姿なんぞいくらでも変わるってか」
メリーさん「そういうことです」

「ッハァ~・・・・・・なぁにをブツクサ言ってるンダ?ていうか、よう?」

そいつは親しげに話しかけてくる。

「よう、オレはよ、腹が減ってんだ、な?」
男「・・・・・・そうか」
「でよ、オレのな?聞いてるか?知ってるか?俺がナニを飯にしてるか?な?」
男「ブロッコリーだったら平和的で助かるんだが」

ゲラゲラゲラ。
ソイツは本当に愉しそうに笑う。
カエルの鳴き声のようで、のどが潰れた子供のようで。

            • さすが、外国産ってか。
笑い声も、笑い方もオーバーリアクションだ、

「ちがうなぁ?それも健康的かもしれねえけどなぁ?ちがーうんだナ?」

ゆっくりと、そいつはオレに指・・・・・・ではなく、舌を向ける。

「血だよ?血。健康的だろう?血がいいんだ。生き物の血だぞ?赤いヤツだ。ドロドロしてるアレだ」

ああ、嫌な予感がします、メリーさん。
帰っていいでしょうか?

ああ、ダメですか。そうですか。

「おまえ、健康そう、だな?健康だな?お散歩中だもんな?健康じゃないわけないな?」

夜中にほっつき歩く不健康な若者です。

メリーさん「目標、戦闘態勢。機動力と長射程の舌による刺突を利用した戦法が予測されます」
「カカカカッカカカ。おお、やるか?やってみるか?やるんだな?いいな、おまえの後ろにいるヤツ?」
男「よくはないな。悪いが健康のため、今日は帰って眠らせていただく」

聞いちゃいない。
ソイツはすでに、跳んでいた。

そう、彼女と契約して一番困るのはこういう状況だ。

どう考えても人間様の常識の外にいるようなヤツに襲われる。

そしてあろうことか。

彼女は、オレに、そういうものと戦えと、言ってくる。

それが【契約】だと。

メリーさん「わかっていますね?背後です。一度でも、一瞬でもいいです。背後から【接触】してください」
男「アレを?背後から触る?馬鹿なこと言っちゃいけないよキミ!!」

狭い住宅街を我が物顔で飛び回る某UMAはどう考えても原チャリぐらいないと機動力うんぬんでは勝てない。
おまけに10mは伸びるであろう、あの舌。
どこかで見たな。ああ、バイオハザードにあんなヤツいたような。

メリーさん「それをどうにかするのが、アナタの仕事です。幸運を」

言うだけいって、彼女はオレに全権を任せた。

            • ああ、今日も長い夜が始まる。

男「・・・・・・ヤツは電話なんて持ってないし、持ってたとしても番号なんか知らん」

男「残るはヤツに直接触るか、憑依したという条件付け・・・・・・さぁてどうする」

相変わらずヤツはぴょんぴょん跳ね回っている。
深夜なのが幸運だ。
誰かいたら大騒ぎだろう。

「ウッヒャハヒャヒャヒャヒャ!!もーいーかーい!もーいーな!?もーいーくよ!?ケケケケ!!」

            • 見てて面白いが、あまり人前に出せたもんじゃないな。

メリーさん「最悪、相打ちという手段もありますが」
男「向こうが攻撃を命中させればこちらに無条件で【接触】ですって?勘弁してください」

さすがにあの爪、あの舌で一発やられれば「痛い」では済まないだろう。
どこかのゲームのように、オレ専門的なハンターではないし、武器も訓練もナシ。
魔法もなければ、ヒーローでもない。

「みぃーっつっけたぞ?ケケケケケケケ!!ケケ!!」
男「まずった」

さぁ、どうするか?
夜が明けるまで逃げる?
コイツは日中だろうがおかまいなしだろう。

なにか弱点は?
チュパカブラの弱点?
そんなもの聞いたこともない。

「ウケケケケ!!ニーゲロ逃げろ!!最後のツックのは!いきっどまり!!ケケケケ!!」

相手が余裕かましてるのはありがたい。
住宅街の屋根屋根を跳ねるように跳んでいる。
おかげでこちらは何か使えそうなモノを探しながら逃げれるというもの。

男「・・・・・・でも、住宅街にそんな便利なモノ、おいてないよなぁ」
メリーさん「あるモノでなんとかしてこその都市伝説です」
男「ポマードが万能なら助かるんだがねぇ・・・っと」
メリーさん「どうしました?」
男「・・・・・・アレ、使えるか?」

必要なモノは、背後を取るという【コト】。
そして、【接触】。
そういう。都市伝説の【舞台】。

無理矢理でもいい。
どうせ連中の存在が無理矢理なんだ。

メリーさん「また、無理がある提案ですね。できなくもないですが」
男「余裕ぶっこいてくれてる内にハメれる方がいい。やってみよう」

そして、オレはあえて行き止まりに背中を預けた。

「オーニごっこは?もう終わりか?おわるな?にげれないもんな?ケケケケ」

街頭に照らされて、ソイツはご丁寧に真正面から来た。

「おっと?ケケケケ・・・・・・【携帯電話】。おいとけば俺が触ると思ったかい?思ったか?ケケケケ」

オレの目の前に置かれた携帯電話にヤツが反応する。

「あっぶないな?危ないな?これに触ったらおまえの後ろのアイツがくるんだろ?ケケケケ」
男「そんなことないさ。なんてことはないから、取ってみろよ」
「ケケケケケケ!!それはおっかねーな?おっかねー。いやだヨー?ケケケケ」

ソイツが、一歩。行き止まりに踏み込む。
だから言ってやる。

「そこ。動かない方がいいぞ。危ない」

「あ?」
男「そこ。一歩でも前に出たら危ない。下がったほうがいいぞ」
「ケケケケケケケ!!地雷?地雷でもあるのか?ケケケケケ!!」
男「・・・・・・言ったからな、一応」

大きく、大きく、ソイツはクチを開く。
鋭い歯と長い舌が、汚い涎とともにオレを捉える。

「ごっはん!ごはん?メシ!血!!ッハァー!!ガマンできねえ!!」

そして一歩、踏み出した。

「いっただっき!!まぁぁぁぁっす!!!」

だろうな。こういう展開だ。だから言ったんだ。

男「一歩でも前に出たら危ないって」

嬉々として跳ぶかかるソイツの姿が、オレの目と、ソレに浮かぶ。
ソイツの背中はハッキリと映った。

どこにでもよくある、道路反射鏡に。

背後は取った。

置いてある携帯電話から声が流れる。

            私、メリーさん。
                   いま、アナタの後ろにいるの。

目を瞑る。
うまくいかなければ、オレは血を吸われミイラに。
うまくいけば・・・・・・どうなる?
彼女は・・・・・・どうするのだろう?
衝撃は来ない。痛みもない。

メリーさん「終わりましたよ」

目を開けて・・・・・・オレはミイラにはなっていなかった。

男「・・・・・・どうなったんだ?」
メリーさん「片付けました。それだけです」

そこにUMAの姿はなく。さっきまで誰もいないかと思った住宅街にはチラホラと車や若者がいた。
怪異が終わってから、突然現実に引き戻される、この・・・・・・ぬぐいようのない違和感。

            • 慣れない。

男「・・・・・・あと何回、こんなことをすれば済むんだ?」

疲れてへたれこむ俺は、携帯電話を回収することも忘れて彼女に問う。

メリーさん「私達の存在を、誰もが忘れれば・・・・・・それで終わりです」
男「・・・・・・なんだ、終わりは、ないじゃないか」

そう。そんなもんだろう。ヒトはいつだって、そういう存在をどこかで望む。
常識の外で。科学の法則の外で。未知や謎、噂という結界の中で自由に生きる彼らを。

とりあえず、まぁ・・・・・オレは死ぬまで、彼女のコトを忘れられそうにないというのは確かだ。
                                                           完




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