「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 結界都市『東京』-49

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―第49章 嵐の前の静けさ―
 秋祭り期間中、しかもたった1日だけで俺のPDAにはたくさんの情報が溢れていた。
 仮面○イダーっぽいのが現れただの色々あるが、その中で一際目立っていたものがあった。
 「結界都新聞」と名付けられ、スポーツ新聞のようにレイアウトされたその情報の見出しには「「黒服」の一人、ついに『組織』を離脱か?」と書かれていた。
 内容を噛み砕いて咀嚼すると「とある黒服が契約者2人と契約を果たし、『組織』からほぼ独立した存在となった。」と書かれている。
 更に読み進めると、「その黒服は契約の際に全ての記憶を取り戻す事に成功、なんとあの≪夢の国≫の黒服と『組織』の黒服のハーフだったことも判明した。」とある。
 「なお、この黒服はたびたび『組織』に反目していた事もあり、周囲からは「いつか消されるだろう」と言われていたらしい。」…ん?まさか、あの黒服さんか?
 「また、先日お伝えした流れ星の件だが、正体は体長2mでピンク色のオーラをまとった全裸の筋肉ダルマだったようだ。既に行方をくらましており、国連では宇宙人とみて行方を追っている。記者:月読」
 ……祭りは楽しむものだが、≪夢の国≫の侵攻を明日に控え、更に『組織』による「鮫島事件」の発動がいつ起こるか分からない現状では楽しめという方が無理である。
 「嵐の前の静けさ」っていうのはまさにこの事を言うんだろうな。…余計にトランプを買い込む必要がありそうだ。
 俺はとりあえずトランプを11箱買う事にした。買ったトランプを全部攻撃用に回す事にしよう。全く我ながら数の暴力って素晴らしいね。
 そう思ってると、不意に後ろから視線を感じる。振り向いてみると、そこにはハンバーグを持った少年がこちらを見ていた。
 …明らかに怪しい。俺を見ているようで後ろの月読・天照・建速を見ているようにも見えた。
 少し警戒して見つめ返すと、少年がこちらに近づいてきた。
 「…迷子か?」
 そう言うと、少年は首を振って
 「うー、違うよ。迷子のなのはパパだよ」
 5,6歳くらいの少年だ。流石に保護者がついてないと不味いような気がするが、少年曰くあくまでも「自分は迷子じゃない」の一点張りだ。
 「おにーちゃんこそ、迷子じゃないの?」
 この子は一体何を言ってるのだ?少なくとも俺は迷子になるような歳じゃない。だから俺ははっきりと言った。
 「迷子なんかじゃないぞ」
 だが、少年はいきなり態度を一変させ、
 「……きひひっ、違うよ。お兄ちゃんは、迷子だよ」
 !?何なんだ、この少年は?
 「知ってる?万能の力なんて、そんなものはありえない。万能に見えても、必ず弱点があるんだよ?……きひひっ」
 この少年、何故俺の事を…?
 怖くなった俺は距離をとってポケットに忍ばせていたジョーカーのカードを掴んだ。
 だが…、相手は子供だ。未来ある子供に傷をつけるのは趣味じゃない。
 「万能に近い力があったとしても。だとしたら、それは人間の身に余る力だ。必ず代償が発生する。
  お兄ちゃん…人間じゃなくて、都市伝説に近くなってるよ?……きひひひひっ
  駄目じゃない?黒服にも、とっくに注意されてるでしょ?」
 そして何故その事を知っている?近い間柄の奴らにしか話をしてないはずだ!
 「…何者だ、お前は」
 「………きひひひひひっ、僕のことなんて、構ってる暇、ないんでしょ?」
 少年は手に持ったハンバーグをほおばりながら話を続けた。
 「僕の正体なんて、お兄ちゃんには関係ないし、知っても意味がない。
  お兄ちゃんは、それよりも、自分が迷子になってるのをどうにかした方がいいんじゃないの?」
 …確かに俺は迷子なのかもしれない。人間と都市伝説の間で彷徨い続ける迷子。
 「強い強い、万能ともいえる都市伝説。それに加えて、トランプの結界…お兄ちゃんの身には、重すぎるんじゃない?
  お兄ちゃんは人間なんだから、そんなに重たい物を背負っても、いつか潰れちゃうだけだよ?」
 確かにこいつらは万能かもしれない。しかし、元々は5人一組だったのだ。5人のうち2人をあいつ等に任せ、最初は3人だったから平気だろうとは思っていたが…
 どうやら融合の影響で徐々に都市伝説に引き込まれていくのを薄々と感じている。
 いつの間にか少年のハンバーグはなくなりかけていた。
 「そんなに、警戒しなくてもいいんだよ…この学校町は、将門様が護ってくれるから」
 将門だと?じゃあこの少年は―
 「--っ、お前、「首塚」の…」
 そう言いかけた矢先、
 「○○ちゃーん!?どこー!!??」
 「……うー!パパー!」
 …どうやら少年の探し人が来たようだ。
 「パパー!うー!」
 「あぁ、もう、この子は……少し目を放すと、どこかに行ってしまうんだから…!」
 どうやら俺の事は既にアウト・オブ・眼中って奴らしい。
 俺は親子仲睦まじく手を繋いで人波の中に消えるのをただ黙って見ていた。とりあえず言わせていただきたい。
 「………パパ?」
 あれはどう見てもパパじゃないだろ?どこかのスナックのママって格好だったぞ!?
 それよりも…あの少年、一体なぜ俺の事を…
 「…分かってるさ、今俺が人間と都市伝説の瀬戸際にいることぐらいな。」
 一人呟く。そう、このまま融合を続けるといつか自分が都市伝説になり果てる事くらいは。
 でも俺はここで退く訳にはいかない。護るべきものがあるから。例えばこの町。町は護れなくとも人々は護りたい。
 その果てに何が待っていようと―決して退く訳にはいかないのだ。
 例え俺の存在が消え去ったとしても―



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