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天より他に知るものもなし

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天より他に知るものもなし◆EA1tgeYbP.



 RRRRRRRR

 ――1回

 RRRRRRRR

 ――2回

 特に深い意味もなく、呼び出し音の数を数えながら浅上藤乃は思い出す。
 最初の晩は――確か2回、ちょうど今のコール音で湊啓太は電話を取った。

 確かあの日殺したのは昭野とか言う男だったか。
 あの日は湊啓太を殺せなかった、そして男は彼の場所を知らなかった、ただそれだけの理由で殺した男。

 どんな相手だったけ、3回、4回と増えていくコール音を数えながら、ぼんやり頭の片隅で殺した相手のことを思い出そうとして、すぐに藤乃は諦めた。
 ああいう類の人達はどれもこれも似たり寄ったりのあたまの悪さと性格で、正直あまり区別がつけられなかったし、無理矢理区別しても無駄なんだろうなと思ったのだ。

 RRRRRRRR

 ……これで、5回。
 機械的にコール音は聞こえてくる。

 最初の日の電話でよほど怯えてしまったのか、湊啓太が次の日の晩に藤乃からの電話をとったのは、9回目のコール音がなり終わった直後のことだった。

 昨日……といっていいのだろうか、あの日の自分を思い出して、くすくすと小さく藤乃は笑う。
 あの日も彼の友達らしい男を殺した後に、彼に電話をかけた。
 ところが、湊啓太がなかなか電話に出ないのだ。
 正直な話、あの時は少しだけ藤乃も焦った。
 もちろん、彼のような人間に自らにとっての命綱、実際には藤乃にとっての釣り糸であるはずの携帯電話を捨てたりするだけの勇気や、
あたまのよさはないはずだとは思ったが、万が一ということもある。
 もしかしたら、そう藤乃が不安になり始めた直後、我慢しきれなくなったのか湊啓太は電話をとり、藤乃は安心したのだった。

 RRRRRRRR 

 ……これで6回目。

 今日は彼は何回目で電話を取るのだろうか。
 そう藤乃は考える。
 ここに彼がいないかもしれないという考えは藤乃にはない。
 彼がいないというのなら、彼女は一体どうやってこの傷の痛みを消せばいいのだろう。ずくりと疼いたお腹に藤乃は手を当てる。

 ……痛い、……痛い、……痛い。

 痛みが消えない。消えたはずの傷はいつまでも痛みを残している。

 それはきっと、痛みの原因が残っているからだと藤乃は考える。
 無痛症である彼女は痛みというものをよく知らなかった。だから、きっとそういうものなのだと彼女は思った。
 例え傷が治っても、傷の原因が消えない限りは傷は治っていないのだ。

 だからこの痛みを消さないと。

 RRRRRR……ガチャ

『えーっと……もしもし?』

 ――やっぱりいた。

 電話から聞こえてきたのは男の声。
 藤乃が感じたのは二つの感情。

 殺すべき存在が確かに電話の先にいることを感じ取り浅上藤乃は安心する。やっぱり殺さないといけないんだと浅上藤乃は苛立つ。

 痛みを与える自分、与えられた痛みに苦悶の声を上げる男。
 この2日、いや、ついさっきの男も含めればこの3日間、繰り返された光景を藤乃は思い出す。
 またあんなことをしなくてはならないかと思うと、藤乃はやりきれない奇妙な苛立ちを感じる。

 ――でも、それはやらなくてはいけないこと。

 だから今日も浅上藤乃は電話の向こうにいる相手に優しく告げるのだ。

 ――今日もあなたの友達を殺したと。
  ――あなたが出てこない限り、この殺人は止まらないのだと。

 電話する藤乃の表情は、ひどい事をしているという自覚と共に苦悶に歪んでいる。

 ……はっきりと笑みの形に歪んでいる。



 ◇ ◇ ◇


 RRRRRRRR!

「うわっ!?」

 突然なり始めた機械音に、僕は思わず声をあげていた。
 僕、坂井悠二が式さんと行動し始めてから数時間。
 二人の間で交わされる会話は、最初の自己紹介やお互いの知り合いに関する物を除けばほとんどなく、やや気まずい思いを感じていたところへの不意打ちのような突然の呼び出し音。
 自己弁護になってしまうけれど、僕が変な声を上げてしまったのも正直無理のないことだと思う。

 RRRRRRRR! 

 呼び出し音は続く。
 慌てて僕は、服のポケットなどを調べてみるが持っていたはずの携帯電話は出てこなかった。

 RRRRRRRR!

 3回、4回と呼び出し音は続いていく。

「何をやってるんだ悠二」
「ご、ごめん」

 呆れたような顔でこちらを見てくる式さんに謝りながら、僕はようやくこの呼び出し音が普段ぼくの持っている携帯の着信音とは違っていることに気が付いた。

「えーっともしかして……」

 慌てながら僕はさっき名簿を取り出したデイパックの中を調べる。

 RRRRRRRR!

「……あった!」

 すぐにそれは見つかった。やはりぼくの持っている携帯とは機種が違っている。
 ……つまりどうやらこれが僕に支給された「武器」の一つであるらしい。自分の運のなさに苦笑しながら、僕はどこから電話がかかってきたのかを見る。
 液晶画面にはナンバーは表示されずに、代わりに「警察署」と表示されている。
 そんなところから一体誰が、いやそもそもその誰かはどうやってこの番号がわかったんだろう。

 RRRRRRRR!

 そんな疑問を思い浮かべる暇もなく、呼び出し音は鳴り続ける。さすがに電話の向こうの誰かを待たせつづけるというのも悪い気がする。

「えーっと……もしもし?」

 電話先にいる相手がわからない不安からか、僕の声は自分でもちょっと聞き取り辛いんじゃないかと思うくらい小さかった。 
 もしもしという僕の言葉に電話の向こうの誰かは特に言葉を返してこない。
 向こうも不安に思っているのか、それとも僕の言葉が聞こえなかったのか。僕がもう一度電話に向かって喋ろうとしたその時だった。

 ――…………。

 何か、聞こえた。
 僕は目を閉じて、じっと耳を済ませる。 
 耳に神経を集中させると、小さく聞き取りづらいけれどはっきりと聞こえた。

 ――…………。

 くすくすと笑っている声がはっきりと聞こえた。
 どうしてだろう、僕はその笑い声に

 ――ひどく不吉な物を感じた。



 ◇ ◇ ◇


『もしもし? もしもし?』

 今日の彼は前の二日間の声と比べると少し違って聞こえた。
 最初に藤乃はそう感じた。
 この二日間の彼はそれこそ今にも死にそうな声を出していたというのに。
 どうしてだろう、何か彼に変化でもあったのだろうか。少し藤乃は考えて、彼女への恐怖を和らげる何かを手に入れたのだろうと予想した。
 この手の不良少年の考えとしては、知り合いから銃か何かでも手に入れることができたのだろうか。それとも彼の友人とやらが持っていた麻薬の類でも手に入れたのだろうか。
 そう考えて、藤乃は目の前にはいない少年を嘲る。

 ――ばかなひと、例え銃を手に入れたところで自分に勝てるはずなんてないのに。

 あるいはせめて、その事実を隠して藤乃の不意をつけば何とかなったかもしれないというのに。
 まあ別にどうでもいいことである、彼と相対する時にそうしたものを持っているかもしれないと用心していればいいだけのことだ。 
 そう藤乃は割り切ると、いつものように彼に告げようとして、ふと思い出す。
 そういえばあの時代劇風の男は、彼とは交流を持っていなさそうな雰囲気であった。
 ほんの一瞬藤乃は悩み、まあいいでしょうと結論する。
 どうせ、あの男が湊啓太のせいで死んだという事実には違いあるまい。ならばせめて友人であったという役目くらい背負ってもらってもいいだろう。
 そして、藤乃は今度こそ電話の向こうにいる「湊啓太」に向かって告げた。 

「ついさっき、あなたの友人を殺しました」 
「……え?」

 ……なんて薄っぺらい。
 たった一言告げただけだというのに、彼の声にはいつものように不安が混じる。


「殺したって……」
「よかったわね、あなたは無事で」

 優しく優しく、藤乃は告げる。彼に向かって祝福の言葉を言う。

 今日もまた、あなたは隠れて出てこなかった。
 そのおかげであなたは生き延びることができた。
 だからまた、あなたのせいで一人、あなたの友達は死んでしまった。
 あなたが私の前に出てくるまで、あなたの友達は死んでいく。

「殺したって……誰を! いや、大体君は誰なんだ!?」

 そんな藤乃の言葉が聞こえていなかったのか、「湊啓太」は叫ぶような声でこちらに尋ねてきた。
 ――おかしな事を言う。
 彼にこんな電話をかけるのは浅上藤乃以外にありえないというのに。

(……きっと、あたまが悪いせいでしょう)

 ただそれだけだと藤乃は思う。
 きっとあたまが悪いせいで、そんな子供めいた言い訳で、藤乃が許してくれると思ったのだろう。
 それともあたまがわるいせいで、たった3日、藤乃に会っていないというだけでほんとうに彼女のことを忘れてしまったのか。
 そのどちらであろうとも藤乃がするべきことは変わらない。

 ……また少しお腹が痛んだ。

 もうすこし、もう少しでこの傷も消えてくれる。
 だから、今だけはこの痛みを、浅上藤乃が生きているという実感を味わおう。

『……!』

 電話の向こうの「湊啓太」はまだ何か言っている。 
 けれど彼が何を言おうとも、例えどれほど情けなく、あるいは真摯に謝罪をしようとも藤乃が彼を許すことはない。
 電話を切ると藤乃はゆっくり歩き出す。

 もうそろそろ夜も明ける。
 そろそろいつものように休息を取るべきだろう。

 ――目的地は決まっている。

 確かに浅上藤乃は彼女に支給された地図を確認してはいない。
 しかし、彼女の動きに迷いはない。何故ならばつい先ほど彼女は署内で地図を見たのだから。
 そして、休息するのにふさわしい場所がそう遠くない地点にあることがわかったのだから。 




【D-3 警察署/一日目/黎明】




【浅上藤乃@空の境界】
[状態]:腹部に強い痛み※1
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:湊啓太への復讐を。
1:ひとまず休憩のためにホテルへ向かう。
2:ホテルへ向かう途中、あるいはホテルで他の参加者から湊啓太の行方を聞き出す。
3:後のことは復讐を終えたそのときに。
[備考]
※1腹部の痛みは刺されたものによるのではなく病気(盲腸炎)のせいです。
※「歪曲」の力は痛みのある間しか使えず、不定期に無痛症の状態に戻ってしまいます。
※そもそも参加者名簿を見ていないために他の参加者が誰なのか知りません。
※「痛覚残留」の途中、喫茶店で鮮花と別れたあたりからの参戦です。
※「痛覚残留」ラストで使用した千里眼は使用できません。
※湊啓太がこの会場内にいると確信しました。
※警察署内で会場の地図を確認しました。ある程度の施設の配置を知りました。




 ◇ ◇ ◇



「もしもし! もしもし!」

 すでに耳に入る音はツーツーという機械音に変わっている。
 とっくに電話が切れたことを認識していながらも、僕は何度も電話に向かって呼びかけていた。

 アレは一体誰だったんだろう。
 電話先の聞き覚えのない声をした誰かは優しく、そして小さく笑いながら『あなたの友人を殺した』と宣言してきた。

「どうしたんだ? 悠二」
「……」

 僕の様子を不審に思ったのか、式さんが僕に声をかけるが、僕にその問いに答えるだけの余裕はなく、僕はじっと考え込む。

 ――僕の友達。
 少なくとも名簿に載っている名前の中で、知り合いという区分からそう呼ばれても不思議ではないのがシャナ、吉田さん、ヴィルヘルミナさんの三人だろう。
 その三名のうち誰かを殺した?
 そう考えた瞬間、背筋にぞっと冷たい物が走り抜ける。

(……いや、待て、落ち着け)
 彼女達が殺されるところをリアルに想像してしまい、不安のあまり、がちがちとなる歯を僕は必死になってこらえる。
 そう、落ち着かなくてはならない。

 そもそも電話してきた相手は一体誰だったんだろう。
 少なくともあの声に僕は聞き覚えはなかった。知らない相手からそこまでの恨みを買うようなことをした覚えは……無いとはいえないのだろう。
 例えそれが正当防衛のようなものであるとはいえ、僕は今まで何人かの『紅世の徒』という、名の歩いて行くことのできない隣の世界からの来訪者達をシャナと共に倒してきた。
 今まで僕たちが倒してきた従の仲間達からしてみれば、僕やシャナ、ヴィルヘルミナさんなんかは殺したいほどの復讐の対象に……。

 そこまで考えた瞬間、ぞっとした。

 もしも電話の相手が僕を誰かと勘違いしたわけじゃなく、純粋に僕、坂井悠二という『フレイムヘイズに力を貸す存在』に対しての恨みを持っているとするならば――ここに呼ばれた僕の友達の中で、真っ先に誰を狙うのかなんて決まっている。

 僕はデイパックから地図を取り出した。
 電話がかかってきた場所は警察署だった。
 すぐ近くに見える海、そして遠くに見えるお城から僕が今どこにいるのかは大体わかる。

「ごめんなさい、式さん! いかなくちゃならない場所ができました!」 

 それだけ言うと僕は全力で走り出した。
 きっと何かの勘違いだと思いたい。でも、今から僕が向かう警察署には確実にこの殺し合いに乗ってしまった「誰か」がいて、彼女はひょっとしたら僕に対して恨みを持っている相手なのかもしれない。
 ……だとしたら、そんな僕の都合に式さんを巻き込むわけにはいかない。
 でも、勘違いかもしれないということを確かめるためだけに、後少し、2、3時間後には流れる放送を待つ気もなかった。
 だって、「彼女」が次に狙うのはシャナなのかもしれないのだから。

 だから僕はただ全力で警察署を目指す。
 きっと、もう少しで流れる放送では僕の知り合いの名前が呼ばれることなどなく、この不安は僕の早とちりということになるのだと信じて。


 ――そんな言葉ではごまかしきれないぐらいに絶望的な不安感を胸に抱きながら。





【B-6/一日目・黎明】



【坂井悠二@灼眼のシャナ】
[状態]:健康、強い不安
[装備]:無し
[道具]:デイパック、支給品一式、湊啓太の携帯電話@空の境界(バッテリー残量100%)、不明支給品0~2個
[思考・状況]
基本:シャナ、吉田一美、ヴェルヘルミナを捜す。
1:警察署を目指す
2:他の参加者と接触しつつ、情報を集める。
[備考]
※清秋祭~クリスマスの間の何処かからの登場です(11巻~14巻の間)
※警察署に殺し合いに積極的な殺人者がいると思っています

【湊啓太の携帯電話@空の境界】
正確に言うと「湊啓太が持ち出した彼のチームのリーダーの携帯電話」
元々入っていたデータに加えて天文台、病院、飛行場、神社、ホテル、百貨店、図書館、警察署、ホール、教会、学校、温泉、映画館、診療所、水族館、灯台以上の施設の番号が入っている。



 ◇ ◇ ◇


「やれやれ……」

 何か黙り込んだかと思ったら、不意にどこかへと走り去っていった悠二の奴を、私は黙って見送った。
 元々奴が勝手についてきただけだったのだから、悠二が自分の意志でどこかへ行くというのなら私が止めることはできないし、それに――

「で? 何の用なんだオマエ」
「とりあえず、うごかな――」

 誰何の声と警告の言葉とはほぼ同時に。
 もしかしたら近寄ってきているのを気付かせていないつもりだったのか、機先を制された男はなんともばつが悪そうな表情を浮かべた。

「まいったな……まあいい、とりあえず俺は殺し合いには乗ってない。少しばかり聞きたいことがあるだけだ。……だからお前さんも変な動きはしないでもらえるか? 
 あんまり撃ちたくはねえんだ」
「人に銃を突きつけて言う言葉か? それは」

 男の言葉にそんなふうに返しながら、私は男との距離を測る。
 距離は大体23、いや24メートルだろう。
 刀を持っているのならば一瞬で詰める事のできるその間合いも、今の私にとってはやや遠い。

 さてと、どうするか……。
 私がじりと足に力を込めた瞬間

「ま、もっともな話だな」
 あっさりと男は銃をしまった。

「……いいのか?」
「いいさ。ま、このくらい離れてりゃ、嬢ちゃんがいきなりやる気になってもなんとかできるしな」

 相手がやる気がないというのに私だけが本気でいるというのも馬鹿馬鹿しい、とりあえず警戒はしたまま全身から力は抜く。

「で、聞きたいことって何なんだ」
「そうだな……とりあえずこの場所で目がさめてから、今までの間にどんな奴に会ったか教えてもらえるか」
「オマエを除けば坂井悠二って奴一人だけだ」

 別に隠すまでのこともない。私の返答に男はへっ、と小さく笑った。
 ……面倒くさい、私は次に男が聞いてくる言葉が何なのかわかってしまった。

「じゃあ、なんでお前は一人なんだ?」
「さあな、あいつは自分でどっかに行ったんだ。オレの知ったこっちゃない」

 予想通りの問いかけに、私は面倒に感じながらも正直に答えてやる。
 私の答えに男は納得したのかうん、と軽く頷いた。

「逆にオレもも聞くぞ、オマエはどんなヤツに会ったんだ?」
「俺が会った……といっていいのかどうかは知らんが、会ったのは飛行場にいた眠り姫みてえにねこけたまんまの金髪の外人が一人きりだ。……なんだ、お前も誰か探しているのか」
「オマエに教えてやる必要があるのか?」
「さあな、ただ別に俺は殺し合いに乗っていないってだけだから、相手が殺し合いに乗っているようなら殺すかも知れんぜ」

 言われて俺は考える、幹也や鮮花が殺し合いに乗っている可能性……?

「好きにしろ、オレの知り合いはそこまでバカじゃない」

 そう言うと私はまた適当に歩き出した。

「なるほど、じゃあな。ここで出会ったのも何かの縁だ。お互いと、お互いの無事でも祈っといてやるよ」

 男もまた別の方向へと歩き出した。

 ……そういえば、男の姿が見えなくなって私はふと気が付いた。
 私も、男もお互いの知り合いがどんなヤツなのかはおろか、お互いの名前さえ知らなかったということに。

 まあいいか。
 どうせむこうがやる気じゃなければ、私とは関係ないのだろうし。



 ◇ ◇ ◇

 ――そして辺りから人の姿はなくなった。

 浅上藤乃は知らない。彼女が捜し求める少年はこの地に招かれてはいないということを。

 坂井悠二は知らない。彼が無事を祈る少女はすでにこの地で命を落とし、その敵は彼の目指す場所とは別の場所にいることを。

 そして両儀式と榎本も知らない。 黒桐幹也を除いては彼らが探している相手は皆、この殺し合いに乗っているということを。

 彼らは全員知りはしない。
 今、それらに関する真実を知りうるものがいるとすれば、それはこの殺し合いの舞台装置たる西東天より他にない。

 では彼らがこの物語でどのような役割を果たしていくのか、それを知りうるものは



 ――天より他に知るものもなし。




【B-6/一日目・黎明】

【榎本@イリヤの空、UFOの夏】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタ M92(16/15+1)
[道具]:デイパック×1、べレッタの予備マガジン×4支給品一式ランダム支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
1:浅羽、伊里野との合流。
2:水前寺を見つけたらある程度裏の事情をばらして仲間に引き込む。
  (いざとなれば記憶はごまかせばいい、と考えているためにかなり深い事情までばらしてしまう可能性があります)
3:できるだけ殺しはしない方向で
[備考]
※原作4巻からの参戦です。
※浅羽がこちらの話を聞かない可能性も考慮しています。
※両儀式と面識を持ちました(名前は知らない)


【両儀式@空の境界】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品1~3個
[思考・状況]
基本:主催者とやらを殺す。
1:黒桐幹也、黒桐鮮花を捜す。
2:フレイムヘイズというのに興味、殺せるならば……?
[備考]
※坂井悠二が走っていった方向までは知っていますが、目的地は知りません
※榎本と面識を持ちました(名前は知らない)



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