ラノロワ・オルタレイション @ ウィキ

この身汚し頷く強さと、いつも前を見つめたい弱さを

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この身汚し頷く強さと、いつも前を見つめたい弱さを ◆UcWYhusQhw









なんだか、もう。

凄く、大変のように聞こえる。

別の世界が存在する事。

薬師寺天膳の忍法がもし、不死に関することだというのなら。

他にも存在するという魔法、超能力とはどのような現実離れしたものなんだろうね?


しかも、彼が言うようにあの狐の人はとても恐ろしい力を持っているようだ。
そんな相手に反抗して、果たして生き残れるのかな?

エルメス。君が居たらボクにどう言うかな?


ああ、何かもう考えるのすら面倒だ。
朝比奈さんの話はまだ続いてるけど。
何か気の遠くなる話だなぁ。
正直、ボクには想像つかないや。
脱出なんて。

吉井さんがいった姫路さん。
彼女ならぱっぱと脱出できる方法でも思いつくのかな。
あれだけ自身もっていったんだからきっと考えているの……




…………うん?
吉井さん。
今……君、こういったよね。


頭がいいといってもただの学生って。

なんだ、結局その程度なのか。
あの時、考え無しに言ったのかな。
そのまんま信じちゃったや。

…………うん。ってことは。

誰も脱出の手立てなんて無いのか。



ああ、なんというか……もう。

脱出方法のプロセスとして。

 ①この場所からの脱出方法を見つけ出す。この場所の解明。
 ②狐さんを何とかする方法を探し出す。狐さんの情報集め

と提示していたけど漠然して、そして余りにも無策すぎる。

出来るわけ無いと思うけど。
ボクが思うに。
正直、こんなプロセスを3日以内に出来るとは思えない。
そして、余りにも手立てが無いし難しい。
情報すら与えられていないのに。
砂漠の上で針を探すようなものだ。


ああ……なんかもう。

うん……。


希望……かぁ。

希望だけで脱出できるのかな?
希望だけで人は生きれるのかな?
希望だけで全てが解決できるのかな?

そんな縋りの言葉で。

脱出できるのかな?






―――有り得ない。


現実を見ていないだけの言葉。


うん。


ああ――もう、いいや。



決めたよ、エルメス。




――――もう、面倒だ。




そんな甘い言葉より。


もっともっと



――――現実的な道をとろう。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「は~い、お茶汲んできましたよ~」

朝比奈さんの言葉に皆が伸びを始める。
あの後、少し休憩を取る事になった。
ロビーの事務室にあった所にお茶があったらしい。
それを朝比奈さんとムッツリーニが汲んでくれる事に。
荷物は僕と薬師寺さんが預かってロビーの一つのテーブルにまとめて置いておいた。
お茶汲むときに邪魔になるだろうし。
そして今、二人がお盆にお茶を載せて持ってきている。

僕はそんな、明るい光景に少し満足していた。
うん……希望を持っていればなんとかなる。

「しかし、この世界は面白いのう」

薬師寺さんはそう呟く。
まるで子供のように辺りを見回して、そして何処か楽しそうだ。
殺し合いの舞台である事を忘れているように。

「もっと見たいものだ……この世界の全てをな」

そう言って大きく笑っていた。
うん、大丈夫。
姫路さん、待ってて。
今、護りに行くからね!

「………………ジー」

ムッツリーニはお茶を運びながらずっとみくるさんを見つめている。
何かいつもと変わらないようだ。
そんな光景に僕は安心して。


「………………かはっ」


お茶を入れた湯呑みが割れる音と。


ムッツリーニの断末魔を。



聞いてしまった。







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






土屋康太、ムッツリーニは見ていた。
己がヴィーナスといった朝比奈みくるを。

ムッツリーニにとって今の朝比奈みくるは

癒しであり、
エロスであり、
とても可愛いものだった。


そんな朝比奈みくるをビデオカメラで取り続けていた。

正直鼻血が溢れそうである。

というか溢れ出てきていた。

何故なら、ナースみくるを妄想していたから。

そしてその着替えのシーンを。

なんというか、もう最高である。

こうなったら最後まで撮り続ける気である。

彼女の姿を。

そんな、エロスにまみれた思考をしながら。


ムッツリーニの首に、無骨なナイフが突き刺さっていた。


鼻血以外に溢れる赤い赤い血。


もし、荷物を持っていたのなら。
もし、お茶汲みなど行ってなかったら。
もし、キノをもっと警戒していたのなら。
もし、『非常手段』の入ったデイパックが手元にあったなら。


結果は変わっていたのかもしれない。

でも、それもただの仮定。

だからこそ

彼は結局、殺し合いを理解する事ができず。

そして彼の欲望のまま。


最期に思ったのは朝比奈みくるの姿。


これも着せたいと思いながら。


「…………バニー」


そんな普段通りの妄想と共に。


土屋康太―――ムッツリーニは命を散らしたのだった。



【土屋康太@バカとテストと召喚獣 死亡】





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「きゃあぁああああああああ!?!?」

朝比奈さんの悲鳴が響く。
よく……わからなかった。

僕の目線の先には首にナイフをさしたまま壁によっかかっているムッツリーニ。

赤く染まりながら……息絶えていた。

どうして?
どうして?

そして、物陰から現れる人。


「貴様っ……あの小娘っ!」


その姿は見慣れたされた黄色いコート。
黒装束の少年。

木野君。

明確な殺意を持って僕らに迫ってくる。

僕はその場に動く事ができずソファーの上で座っているばかりだった。
朝比奈さんも、動けず尻餅をついている。

「あの時、し止めていればっ……!」


薬師寺さんが木野君に向かって駆け出す。
薬師寺さんは尋常でない速さで向かうが武器も無い。

右、左、はたまた上と跳びながら木野君に迫っていく。
木野君はその動きに対応できないのかその場から動かない。

あわや、木野君に襲いかかろうとした瞬間。


「……がっ!?……小娘……おのれ……」

一発の銃声が響いた。

結末はあけなく。

薬師寺さんは倒れ伏せる。


……違う、対応できていないんじゃない。
ただ、おびき寄せて狙いが定まるのを待っていただけだったんだ。

…………あぁ。

どうしてなんだ?
木野君?


僕は自分の体に動け、動けというけど動きやしない。


木野君はそのまま、朝比奈さんの方に駆けて行く。
朝比奈さんは気付いて背を向けて逃げ出そうも。

「あぁぁああああああ!!!…………ど、どうして……キノ君」

そのまま、取り出した刀で切り伏せた。
朝比奈さんは……そのまま動かなくなってしまう。


僕は。

僕は動けなかった。
怖くて。
怖くて。

動く事なんて出来やしない。

畜生……

僕は何で弱いんだ。


木野君が此方を向かい駆け出していく。
次は僕の番なのかよ。

何か。
何か出来ないのか!

僕は必死になってディバックを漁ってみる。
まだ、一つ支給品があったはず。

そして、取り出したのは。


無骨な黒い銃。

重たくて大きい黒い散弾銃だった。
僕はそれを木野君に向け声を張り上げる。

「う、動くな!」

木野君は気だるそうに止まって僕を見つめる。
僕は……僕はどうしても聞きたかった。

「なんで……?……希望を信じれば皆で脱出を……」

そう言い掛けた瞬間。
木野君は本当にどうでもいい風に。
詰まらなさそうな表情を向けて。

「……希望? 信じるだけで生き延びる事ができますか?」
「……きっと、できるよ!」
「……そうですね。そんな淡い幻想を抱き続けてください」
「……木野君!」

木野君はそういって、僕に向かってくる。
……え?
じゅ、銃が怖くないのか!

ど、どうして!?

僕は戸惑うばかりで。

木野君は相変わらず向かってくる。
距離にして5メートルぐらい。

「う、撃つよ!」

僕は気丈に威嚇する。
でも、歩みを止めることは無い。
僕はトリガーにかけた指が強くなって。

「撃つからな!」

そういって。

震える指で。


トリガーを



「――――あれ?」


引けなかった。


「……それ、安全装置ついたままですよ。それに見た所、ポンプアクション式ですから一度引かないと撃てないです」


そう、木野君は僕の目の前に立って。
淡々と言って僕の銃を奪う。


「それと希望なんて信じるより―――ボクは生き延びる確実な道を選択します」

安全装置を外して。
弾を装填して。

「ああ、ついでに言っとくと……不味かったですね。姫路さんという人物がただの学生だったと言った事。それで、もう利用する気も信じる気も無くなりました」

ああ……!?

僕があの時言った一言。

そのせいで……。

ああ……僕はなんて馬鹿なんだろう……


「それじゃあ……さようなら」


そう簡単に言って。


何も感慨も無い顔をして。


銃を撃ち放った。


散弾によって貫かれる僕の体。

僕の意識は闇に落ちていく。


ああ、こんな銃の使い方も知らないなんて……馬鹿だなぁ僕も。

姫路さん。

逢いたかったな。



ううん……もう一度。

Fクラスの皆と。

ムッツリーニと。
秀吉と。
雄二と。
美波と。
姫路さんと。


「……馬鹿騒ぎが……したかった……なぁ」




【吉井明久@バカとテストと召喚獣 死亡】





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





痛い。
痛い。

痛みが私を襲う。

キノ君に斬られた傷が痛い。
致命傷らしい。
ああ、あの時もっと警戒していれば。
ああ、あの時キノ君が離れた事に疑問を抱いていれば。

こんな事にならなかったかもしれない……

けど私はまだ生きている。
だから、何かを残したい。

SOS団の皆に。
脱出を目指している皆に。

何かを残したい。

何か……
何か……


何か……無い?


え……何にも無い?
私がこの島でやってきた事。
何か残せるものは…………無い……?

そ、そんな

ふぇ…………



な、なら他の事!



あ、でも……【禁則事項】が【禁則事項】で……


これも【禁則事項】で……


あぁ……

何にも無い。


何も残せない。

私は………………誰にも何も……残せない。


あ……あぁ


ああああああああああぁぁああぁああああああああああぁぁああああああああああああああああぁぁああああああああ
ああああああああああぁぁああぁああああああああああぁぁああああああああああああああああぁぁああああああああ
ああああああああああぁぁああぁああああああああああぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



「私は……何も……残せ……ない……んです………………か?」




【朝比奈みくる@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡】





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






陽がやや、動いた。――薬師寺天膳の変化は続いている。
じくじくした分泌物の中に、病理学的に言う肉芽組織発生しつつあった。
つまりいわゆる「肉が上がってくる」という状態になってきたのだった。
普通の人間では三日ぐらい掛かるこの治療過程が彼の肉体のうえでは既に始まっていた。
しかも彼は完全な死人だ。

――― いや、耳をすませて聞くがいい。
とどめを刺されたはずの彼の心臓が、かすかにかすかに拍動をしている音を。

ああ、不死の忍者!
いかなる驚天動地の秘術を体得した者も、これを知れば呆然たらざるをえまい。
深き森の中でキノが撃つ銃に心臓を打ち貫かれ、赤い十字の館の中、浅羽直之の毒に毒殺されたはずなのにふたたび、けろりとし顔でこの世に現れた秘密。
それこそが薬師寺天膳の絶大な自信の根源であったのである。

彼は、まだ動かぬ。目は白く、日にむき出されたままである。

しかし何やら、音がする。
鬼哭しゅうしゅうとも言うべき音が。

――

それは天膳ののどのおくから、かすかに鳴り出した喘鳴であった。
そして見開かれたまぶたが、ぴく、ぴく、と動きだしはじめた……。



だが、それは突如響く轟音によって遮られてしまった。
それは天膳の体に迫り来る無数の鉄の弾。
すぐさまに着弾し、天膳の、眼、鼻、耳、口、腕、足、脳髄、五臓六腑、全てを蹂躙し尽くしていったのである。
またその衝撃によって首と胴体は弾け跳んでしまい離れてしまったのだ。

ああ、なんという事か。
薬師寺天膳の体は未知の武器により凄惨に破壊されつくされてしまったのである。
千切れに千切れたその体では不死の忍術も叶わない。

そう、薬師寺天膳は胸に野望を秘めたまま、まだ見ぬ世界に胸を躍らせたまま。


ああ、不死鳥はついに翼を失い、煉獄へと堕ちたのである。



【薬師寺天膳@甲賀忍法帖 死亡】





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「ふう……」

溜息が静謐な病院に響く。
そのロビーに立っているのはたったの一名。
彼の周りには遺体が四つ並んでいる。
その一つ薬師寺天膳の遺体を手に入れた散弾銃で完膚なきまでに破壊した。

「まぁ……これでいいかな」

立っているのはキノ。
この四つの遺体を作った張本人である。
今は薬師寺天膳の蘇生をしないように遺体を木っ端微塵にした所なのである。
そのまま、キノは散弾銃をディバックにいれ、他三名の道具も回収した。

「さてと……どうしようかな?」

キノは顎に手を当て思案する。
いくら薬師寺天膳の遺体を木っ端微塵に破壊したからといって再び蘇る可能性だってあるのだ。
その可能性を考えて、放送まで病院で待機するのも一つの手。
しかし、ここまで破壊したのだからもう大丈夫だろうと思い、このまま当初の通り南下するのも有りとも考えた。
どっちにしようかと少し考え

「まぁ……後でいいか」

そのまま、ロビーのソファーに倒れるように寄りかかった。
特に疲れることもしてないのだけれども、何となく。
そんな気分でキノは座った。

「……希望か。そんなもの信じて何になるのかな……?」

ふと、吉井の言葉を思い出す。
希望を信じてと言った。
希望とは何だろう?
希望を妄信して何がなるのだろうとキノは考え。

「……生きていれば、食えるものになれば何でもいいか」

そこで思考をやめた。
今、キノが目指すのは一つのみ。
最後の一人になるまで生き残る事。
理由は簡単、そっちの方が手っ取り早く生き残りになると判断したから。
脱出など、あんな面倒な事より手っ取り早く終わる方を選んだだけ。
今まで、停滞していたのが歯痒く感じるくらいに。

まぁそれもいいやと今は置いておく。

今やるべき事は、この身を汚し前を生きていく事。
いつも前を向いて、前を進んで殺し尽くす事。

それだけである。

キノはそう思って大きな欠伸をして。

一つ思い出す。

「…………ああ、お腹減った。何も食べてないや」

ここにきて、まだ一度も食事をしていない事を。

それは一大事だとキノは思い。


「ご馳走があるといいな……」


何かを食べようと思い行動を始めたのだった。



【B-4/病院内ロビー/一日目・午前】

【キノ@キノの旅 -the Beautiful World-】
【状態】:健康、空腹
【装備】:エンフィールドNo2(4/6)@現実、九字兼定@空の境界、トルベロ ネオステッド2000(11/12)@現実
【道具】:デイパック、支給品一式×5 暗殺用グッズ一式@キノの旅、ボン太くん改造型@フルメタル・パニック、12ゲージ弾×72
    :ロケット弾(1/1)@キノの旅 、カメラの充電器、非常手段(ゴルディアン・ノット)@灼眼のシャナ
    :ブラジャー、リシャッフル@灼眼のシャナ
【思考・状況】
基本:生き残る為に最後の一人になる。
0:一先ずご飯
1:南下するか病院に待機するか選択する。病院に待機の場合、放送の後に南下。
2:エルメスの奴、一応探してあげようかな?
[備考]
※参戦時期は不詳ですが、少なくとも五巻以降です。
※「師匠」を赤の他人と勘違いしている他、シズの事を覚えていません。


【トルベロ ネオステッド2000(11/12)@現実】
トルベロ・マニュファクチャラーズ社のアーモリー部門が、2001年より製造しているブルパップ・ポンプアクション方式の散弾銃。
デュアルチューブマガジンを採用し、装弾数は片側チューブに6発づつの計12発である。
装弾は上部のチューブマガジンを跳ね上げて行い、中折れ式散弾銃のように扱える。
排莢は後方レシーバー下部より行われる。照準はチューブマガジン上のキャリングハンドルに付けられた大型サイトで行う。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





撮っている。

その眼鏡は今も撮っていた。

四人の軌跡と生き様を。

そして一人の人間の三分ほどの殺戮を。

ただ、克明に撮り続けていた。

それは誰にも気付かれる事が無く。

ただ、ただ、今もなお。

映像を撮り続けていた。


【「悪いことは出来ない国」の眼鏡@キノの旅は一部始終をとり、今もなお撮り続けています】



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