カリブ危機

カリブ危機(かりぶきき)とは、統一歴136年4月に、カリブ海でタルトディッシュ連邦十洲連合王国影響下のラズベリー王国間で行われた一連の紛争のこと。

カリブ危機
imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。戦場となったカリブ海地域と当時の周辺国家
戦争:カリブ危機
年月日:統一歴年 月日~ 年 月日
場所:カリブ海(キューバ、ケイマン諸島地域)
影響




背景

蒼星連邦国と十洲連合王国は、らずべりぃ国における争乱により中米地域に進出、拠点を置いていた。統一歴144年、両国が拠点を置くパナマ、ホンジュラスに近いキューバに親タルトディッシュ政権が誕生。支援の名目でタルトディッシュは艦隊を派遣、更にはミサイル基地の建設を開始。これに蒼星十洲両国が激しく反対し、紛争が始まった。
<詳細>
141年頃から顕著になった諸国のラズベリー地域への進出により、中米情勢は諸外国の利権が絡みあう複雑な勢力構造となっていた。
十洲連合王国はグアテマラ地域を占領していた「ラズベリー王国」政権に顧問を派遣し、鉄道や大規模炭鉱の開発などによって同地域への影響力を高めていた。また143年の偽旗戦争媋朝継承戦争によってトンガ帝国舞羅帝国との協力関係を強化し、中央ラズベリー地方は三国の影響下で一旦の安定をみせていた。
蒼星連邦国は139年に経済破綻した旧ラズベリー連邦からパナマ運河を接収し、翌々年には周辺領域を併合、蒼星連邦政府の直轄地として北部パナマ地域を事実上統治していた。142年より、現地人の手による国家として西すとろべりぃ共和国が成立するも、特に軍事面において蒼星に大きく依存しており、蒼星軍もまた依然としてパナマに駐留を続けていた。
144年10月、事実上の無政府状態であったキューバ島において欧系住民らによる広域の占領が勃発、同島の最大都市を首都と定め、ハバナ臨時政府が成立した。
同政府は即日タルトディッシュ連邦からの独立承認を受け国交を正常化、タルト軍の進駐が行われた。
この一連の政治運動をキューバ動乱と呼称するが、これらの運動は中米地域への警戒を強めるタルト政府によって支援されたとみられ、国際社会ー特に中米地域に利権をもつ国家ーから多くの避難を受けることとなった。
まもなくしてタルト軍はキューバ島西部にミサイル基地を建設、これを感知した蒼星連邦は軍事行動を開始し、両国間の緊張は極限まで高まるところとなった。

展開

統一運動とハバナ政権の成立

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ハバナの旧議事堂を占拠する白人系キューバ人
統一紀元前にスペイン人が去って以来、キューバ島では統一国家は成立せず、山間村落の先住民と都市跡に群住する白人系集落との交易がおこなわれていた。
しかしながら、近隣の中米地域に海外諸国が入植をはじめると、キューバを中心にアンティル諸島地域でも統一国家建設の機運が徐々に高まってきていた。
旧ハバナ市街に拠点を構えて統一運動の陣頭に立っていたディエゴ・クエリャルは当初、近代国家建設の模範として北米大陸に位置するタルトディッシュ連邦を選び、これに使節を派遣するなどして関係を深めていった。
中米地域の入植事業に遅れを取っていたタルト政府は、ディエゴらの運動を後見することによってカリブ海への進出を目論み、ハバナ政権に武具を贈呈するなど、支援を進めていった。
だが、統一運動の過程において、キューバ島内の人口比率に対するインディオやメスティソの割合が非常に高いことが、白人主義を標榜するタルト政府にとって、統一への支援に二の足を踏ませていた。
144年10月、白人系住民による各地の占領宣言が頻発し、高らかに国家統一の旗印が掲げられた。また、ハバナ市に「サンクリストーバル・デ・ラ・キューバ国臨時政府」の成立が宣言され、同時に憲法が公布されたが、これはタルト政府の強い影響を受け、交易の優先権を都市部の白人集団に持たせるなど、先住民コミュニティの人間に対し抑圧的なものであった。
この宣言の発布に、統一運動を支持してきた白人系の多くの住民が賞賛の声をあげたが、統一宣言の翌日にはタルト軍がキューバ島に駐留をはじめ、政府高官や顧問にタルト人が就任するなど、実際にはタルトの傀儡政権的性格の強い政府であった。
この頃から既に先住民は元より白人系住民からも、新政府に対して不満を滲ませる声が上がっていたが、直接の抗議をする者はあまり多くなかった。

ラズベリー王国」と蒼星連邦の対応

当然、キューバ政府の成立は中米地域に既に入植していた諸国を刺激したが、特に明確な抗議意思を表明したのは、蒼星連邦国とラズベリー王国であった。
蒼星連邦国は、旧ラズベリー連邦から西部パナマ地域を接収し、パナマ管理領として統治を行っていた。パナマ運河の莫大な利権を握っていた蒼星政府は、特に中米での権益争いに熱心で、キューバ政府の成立を「カリブ海地域の平和と安定を著しく乱す行為であり、到底受け入れられない。彼らの態度が変わらぬようであれば、武力をもって応えることを厭わない。」として激しく非難した。
ラズベリー王国は、先の媋朝継承戦争によって新たに設立された「媋家の王冠領」を統治する国家であったが、実際には十洲国トンガ帝国舞羅帝国などの干渉を強く受けており、これも傀儡政権であった。ラズベリー王国政府は、カリブ海に関して「如何なる国家も領有する権限を持たない」として抗議した。

ミサイル基地建設

144年12月、タルト政府は、カリブ海地域おける橋頭保を確固たるものとするために、フヘントゥド島ヌエバ・ヘロナ市跡にミサイルサイロの設営を決定。またこれに付随する防衛拠点も設営計画に組み込まれた。この基地建設に際し現地人とキューバ島本島から大量の労働者を動員し、連邦本土から建築資材や弾道ミサイルを搬入。基地建設は着々と進んでいた。
この基地建設はもとより緊張度が高かったカリブ海情勢に油を注ぐような行為であり、蒼星連邦が艦艇を沿岸に派遣した際は連邦海軍の哨戒艦が警告射撃をするなど一触即発の事態になった。
imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。ミサイルを運搬する輸送艦と護衛任務中のDE フアン・アルメイダ

危機事態の収束

連邦海軍と蒼星連邦の砲撃事件(ダハマ砲撃事件)を境に海上では、連邦海軍と蒼星海軍のチキンレースが続いていたが、キューバ本島のデモ隊により港を占領され、キューバにおける補給基地を喪失したため連邦海軍はキューバでの任務を縮小せざる得なくなった。
また陸上でもデモ隊の活性化に警備隊のみならずキューバ陸上本隊を動員しなければならず、
対外的な活動ができずにいた。

ハバナ政権の瓦解とタルトディッシュの中米撤退


ミサイル基地の建設のための大規模な土木事業は、結果としてハバナ政権の信用を失墜させ、政権の崩壊に直結する原因となった。
政権の設立に大きく介入したタルト政府であったが、政府成立後はキューバ島の軍事開発を推し進め、キューバ人を低賃金で労働に徴用したり、ハバナ政権を通して高い税を納めさせるなど、キューバ人への支援は徐々に減少し、むしろ彼らへの負荷は増加していた。
また、ミサイル基地建設に動員されたのは原住民のみならず、現地の白人系住民も同様であった。
こうした政策は、新政府とタルトに期待を寄せていたキューバ住民らに多大な失望感を与えた。
145年2月には、新政府の経済政策がキューバにおける従来通りの交易を阻害しているなどして、サンティアーゴ・デ・クーバを中心に大規模なデモが発生し、タルト軍は警備隊を派兵するなどしたものの鎮圧しきれず、翌月にはキューバ島から全面撤退、これとともにハバナ政権も事実上統治能力を喪失し、キューバ島は再び集落ごとの自給自足と交易を中心とした社会に帰していくこととなる。

参考文献

●john nickel「連邦におけるキューバ戦略とその軌跡」425年
● Escritoro Libra「近代ラズベリー史」245年
●Benito Casillas「キューバ島民族史」230年
●Jokel Zacharias「世界アイセル人王朝興亡史」262年
●Micha Remington・鵜足礼「札幌京の黄昏」148年
●近山冬望「アラスカ千年王国」425年
最終更新:2021年02月05日 23:55