宿縁 ◆x/rO98BbgY
「「ゴー! バインッ!!」」
古ぼけた洋館の庭で、少年と少女の声が唱和する。
月明かりすら届かない世界は、まるで影絵の中のようであった。
月明かりすら届かない世界は、まるで影絵の中のようであった。
「違う違うっ! こう、振り上げた腕を勢いよく下ろして……ゴー! バインッ!!」
「こ、こうか!? ゴー! バインッ!!」
「こ、こうか!? ゴー! バインッ!!」
小楯衛が見せたように、ルーシーは腰を落とした姿勢で拳を中段に構える。
「上手い上手い! ルーシーさん、カノンよりも見込みあるよっ!」
「カノン……お前の仲間だったな……」
「カノン……お前の仲間だったな……」
しっかりと格好良く決まった機動侍のシルエットを見て、衛が拍手する。
その表情は暗くてよく見えないが、声の調子から喜んでいる事がルーシーにも感じ取れる。
その表情は暗くてよく見えないが、声の調子から喜んでいる事がルーシーにも感じ取れる。
「うん、あんまり長く一緒には居られなかったけどね……でも打ち解けてみたら凄くいい子だった。
不器用な子で、お祭りの時は……」
不器用な子で、お祭りの時は……」
嬉しそうに生前の思い出を話している衛の声を聞きながら、ルーシーもまた己の過去を振り返る。
(祭りか……コウタと一緒に行けたなら、楽しかっただろうな……)
コウタと、共に行けなかった夏祭り。
あの時、コウタは小さな嘘をついた。
一緒にお祭りを見に行く従兄弟は、男の子だと。
本当は、ユカという同い年の従兄妹と行ったくせに。
あの時、コウタは小さな嘘をついた。
一緒にお祭りを見に行く従兄弟は、男の子だと。
本当は、ユカという同い年の従兄妹と行ったくせに。
たわいもない、小さな嘘だった。
だが、初めて出来た、自分の角を怖がらない友達。
その友達との楽しい毎日に夢中になっていた自分には、それが手酷い裏切りに思えたのだ。
そして、ルーシーは取り返しのつかない過ちを犯してしまう。
だが、初めて出来た、自分の角を怖がらない友達。
その友達との楽しい毎日に夢中になっていた自分には、それが手酷い裏切りに思えたのだ。
そして、ルーシーは取り返しのつかない過ちを犯してしまう。
夏祭りを楽しむ人々を虐殺し、故郷に帰ろうとしたコウタの父と妹を殺した。
赦してもらえるはずもない、過去の大罪。
それでも一度知った人の温もりは忘れ難く、ルーシーは求めてしまう。
再び出会えたコウタに、縋りついてしまう。
過去の記憶を失ったコウタには、謝る事さえ出来ないというのに。
赦してもらえるはずもない、過去の大罪。
それでも一度知った人の温もりは忘れ難く、ルーシーは求めてしまう。
再び出会えたコウタに、縋りついてしまう。
過去の記憶を失ったコウタには、謝る事さえ出来ないというのに。
「ルーシーさん、聞いてる?」
「あ、ああ。聞いてるぞ」
「あ、ああ。聞いてるぞ」
今もそうだ。
姿が見えない闇夜をいい事に、久しぶりの人との対話を楽しむ自分がここにいる。
他人のぬくもりを欲しがる自分が、ここにいる。
守ってくれると、衛は言うが、それはルーシーを同じニンゲンだと思えばこそだ。
フェストゥムという化け物と戦っていたという衛にとって、化け物は敵のはずなのに。
姿が見えない闇夜をいい事に、久しぶりの人との対話を楽しむ自分がここにいる。
他人のぬくもりを欲しがる自分が、ここにいる。
守ってくれると、衛は言うが、それはルーシーを同じニンゲンだと思えばこそだ。
フェストゥムという化け物と戦っていたという衛にとって、化け物は敵のはずなのに。
角が生えている。
ただ、それだけの事でルーシーは絶え間ない迫害を受け続けてきた。
そうしてルーシーの中で育まれてきた憎しみは、ホモ・サピエンスを同じヒトではないと断ずるまでに大きくなっている。
力を得て、今まで何の躊躇いもなく大勢の人を殺してきた自分は、まぎれもなく連中の敵だ。
五年もあれば現人類を絶滅へと追い込む、新人類『ディクロニウス』
その女王こそが、自分なのだ。
ただ、それだけの事でルーシーは絶え間ない迫害を受け続けてきた。
そうしてルーシーの中で育まれてきた憎しみは、ホモ・サピエンスを同じヒトではないと断ずるまでに大きくなっている。
力を得て、今まで何の躊躇いもなく大勢の人を殺してきた自分は、まぎれもなく連中の敵だ。
五年もあれば現人類を絶滅へと追い込む、新人類『ディクロニウス』
その女王こそが、自分なのだ。
故に。
朝日が昇り、衛が自分の角を見てしまったら――。
怯えや驚き、侮蔑の表情を見せてしまったら――自分はその瞬間に、この少年を殺してしまうだろう。
そこにルーシーの意思や、想いが介在する余地などない。
それは、人間が纏わりつく蚊を叩き潰すようなものだ。
半ば、本能。
自分を不快にさせる虫けらを、力任せに叩き潰そうとする原初の衝動だった。
朝日が昇り、衛が自分の角を見てしまったら――。
怯えや驚き、侮蔑の表情を見せてしまったら――自分はその瞬間に、この少年を殺してしまうだろう。
そこにルーシーの意思や、想いが介在する余地などない。
それは、人間が纏わりつく蚊を叩き潰すようなものだ。
半ば、本能。
自分を不快にさせる虫けらを、力任せに叩き潰そうとする原初の衝動だった。
だから、もう時間はあまりない。
この慣れ合いの時間を、終わらせる時が来たのだ。
この慣れ合いの時間を、終わらせる時が来たのだ。
「衛」
「何? ルーシーさん」
「何? ルーシーさん」
黎明の闇の中で、イガグリのような衛の頭に声を投げる。
ルーシーをまるで警戒していない、その様子はあまりにも無防備で。
うっかりベクターで引っこ抜いてしまいそうだと、影絵の中の少女は思う。
ルーシーをまるで警戒していない、その様子はあまりにも無防備で。
うっかりベクターで引っこ抜いてしまいそうだと、影絵の中の少女は思う。
「頼みがあるんだ」
「頼み?」
「頼み?」
だからこそ、遠ざけなければならない。
他でもない、この自分から。
他でもない、この自分から。
「ああ、コウタって奴を探して、そいつを守って欲しいんだ」
人は、人同士でいるのが、一番いい。
コウタと衛なら、お人好し同士。きっと気が合うだろう。
なるべく遠くに行ってくれ。ベクターが届かないほど、遠くまで行ってくれ。
コウタと衛なら、お人好し同士。きっと気が合うだろう。
なるべく遠くに行ってくれ。ベクターが届かないほど、遠くまで行ってくれ。
「え……? 探しに行くのは別にいいけど……ルーシーさんは一緒に行かないの? 一人じゃ危ないよ」
「大丈夫だ。これでも私は強いからな……並の奴に負けたりはしないさ。
頼む……大切な……とても大切な奴なんだ」
「大丈夫だ。これでも私は強いからな……並の奴に負けたりはしないさ。
頼む……大切な……とても大切な奴なんだ」
想いを込めて、ルーシーは訴える。
その声はとても切実で、コウタへの強い感情を窺わせるものだった。
衛は思わず、自分の大切な人たちの事を思い浮かべる。
剣司と咲良。
衛が守りたいと願ったのは、誰か特定の個人ではない。
誰一人欠ける事のない全員だ。
誰かがいなくなってしまえば、そこには埋めようもない悲しみが残る。
二度と塞ぐ事の出来ない、傷が残る。
剣司だけでも、咲良だけでも駄目なのだ。
だから、ルーシーを守りたいと思うなら、その大切な人をも助けなければならない。
その声はとても切実で、コウタへの強い感情を窺わせるものだった。
衛は思わず、自分の大切な人たちの事を思い浮かべる。
剣司と咲良。
衛が守りたいと願ったのは、誰か特定の個人ではない。
誰一人欠ける事のない全員だ。
誰かがいなくなってしまえば、そこには埋めようもない悲しみが残る。
二度と塞ぐ事の出来ない、傷が残る。
剣司だけでも、咲良だけでも駄目なのだ。
だから、ルーシーを守りたいと思うなら、その大切な人をも助けなければならない。
「判ったよ。ルーシーさん」
衛は頷き、自分の鞄を背に背負う。
「行ってくれるのか?」
「うん。でも約束して欲しいんだ。一人で探しに行ったりしないって。
僕が絶対コウタさんを探してくるから、それまではこの屋敷で隠れてて。いい?」
「うん。でも約束して欲しいんだ。一人で探しに行ったりしないって。
僕が絶対コウタさんを探してくるから、それまではこの屋敷で隠れてて。いい?」
最後に出した条件に、ルーシーは少し躊躇う様子を見せたが、頷く。
だから衛は、その『約束』を無邪気に信じて、館を出たのだ。
空が白み始めたのは、その直後の事だった。
振り向くと、遠景に血のように紅い髪の女性が見える。
その肩口で切り揃えられた髪の毛を見て、やっぱりカノンに少し似てるなと、衛は思った。
だから衛は、その『約束』を無邪気に信じて、館を出たのだ。
空が白み始めたのは、その直後の事だった。
振り向くと、遠景に血のように紅い髪の女性が見える。
その肩口で切り揃えられた髪の毛を見て、やっぱりカノンに少し似てるなと、衛は思った。
坂東は、地面に横たわる顔のない男の死体を見下ろしていた。
ダイイング・メッセージのように残された『ハ イ テ ナ イ』という言葉。
その意味が、今の坂東にはよく判る。
ダイイング・メッセージのように残された『ハ イ テ ナ イ』という言葉。
その意味が、今の坂東にはよく判る。
サングラスに隠された表情が、ニヒルに歪んだ。
そう。最初に出会った痴女のような格好の少女。
自身に支給されたストライカーという装備。
そして先程、高高度にいた自分に攻撃を仕掛けてきたハイテナイ少女。
そう。最初に出会った痴女のような格好の少女。
自身に支給されたストライカーという装備。
そして先程、高高度にいた自分に攻撃を仕掛けてきたハイテナイ少女。
これだけの材料が揃えば、推察は容易であった。
ハイテナイ奴とは、このストライカーという兵装を扱う兵士の事を言うのだ。
謂わば機械化航空歩兵とでも呼ぶのだろうか?
坂東は、今や同じ兵種となったその少女たちに、同じ釜の飯を食ったかのような親近感を抱く。
だから先ほどの接触にも、さほど怒りを覚えてはいないのだった。
ハイテナイ奴とは、このストライカーという兵装を扱う兵士の事を言うのだ。
謂わば機械化航空歩兵とでも呼ぶのだろうか?
坂東は、今や同じ兵種となったその少女たちに、同じ釜の飯を食ったかのような親近感を抱く。
だから先ほどの接触にも、さほど怒りを覚えてはいないのだった。
「しかし、マウザー砲を壊しちまったのは不味かったな」
今の坂東が持つ武器は、ブローニング・ハイパワー一丁である。
並の格闘戦であれば、坂東にとって充分すぎる武器ではあるが、有効射程の短いハンドガンでは先程のような攻撃は出来ないし、
対ルーシー戦への備えにも不安が残った。
並の格闘戦であれば、坂東にとって充分すぎる武器ではあるが、有効射程の短いハンドガンでは先程のような攻撃は出来ないし、
対ルーシー戦への備えにも不安が残った。
とはいえ、これは坂東にとって教訓でもある。
高高度からの攻撃に頼っていては、他の参加者を倒した時に頂ける御褒美……他者の持つ支給品を奪えない。
自分が先細りする一方で、何もしていないハイエナ野郎に武器を持って行かれてしまう恐れまである。
その事を、先程の先輩は教授してくれたのだ。
見よ、この死体には武器など何も残されていないではないか。
高高度からの攻撃に頼っていては、他の参加者を倒した時に頂ける御褒美……他者の持つ支給品を奪えない。
自分が先細りする一方で、何もしていないハイエナ野郎に武器を持って行かれてしまう恐れまである。
その事を、先程の先輩は教授してくれたのだ。
見よ、この死体には武器など何も残されていないではないか。
「兵器の威力に酔ってるようじゃ兵士としては三流って事か……まぁ、次はこうはいかねえぜ。先輩さんよぉ」
坂東は死体からズボンを奪うと、それを履いた。
ストライカーの力に守られていた先程までとは違い、地表から立ち昇る朝の冷気はパンツ一丁の身にはキツかったところだ。
すぐにストライカーを履けないような格好は、航空歩兵としてまだ未熟だとは思ったが、背に腹は代えられない。
まったく新しい兵器の扱いに習熟するには、坂東と言えども時間が必要だ。
今はまだ、先輩たちとの衝突を避け、坂東は森の中を北上する。
ストライカーの力に守られていた先程までとは違い、地表から立ち昇る朝の冷気はパンツ一丁の身にはキツかったところだ。
すぐにストライカーを履けないような格好は、航空歩兵としてまだ未熟だとは思ったが、背に腹は代えられない。
まったく新しい兵器の扱いに習熟するには、坂東と言えども時間が必要だ。
今はまだ、先輩たちとの衝突を避け、坂東は森の中を北上する。
そして空が白く染まる頃、坂東は出会う。
己の人生をめちゃくちゃにした女。
そして最高のスリルを味わえるハンティング・ターゲットである、ルーシーと。
己の人生をめちゃくちゃにした女。
そして最高のスリルを味わえるハンティング・ターゲットである、ルーシーと。
出会いは唐突だった。
遠ざかる衛の姿を見送った後、ルーシーは森の中にぽっかりと空いた屋敷の敷地内から出て行こうとして、そこで偶然、坂東とはち合わせたのだ。
遠ざかる衛の姿を見送った後、ルーシーは森の中にぽっかりと空いた屋敷の敷地内から出て行こうとして、そこで偶然、坂東とはち合わせたのだ。
両者とも、まったく意図せぬ遭遇。
少し呆けたような表情を晒した一瞬の後、坂東はその場から大きく飛び退き、戦闘に備えて身構える。
少し呆けたような表情を晒した一瞬の後、坂東はその場から大きく飛び退き、戦闘に備えて身構える。
「会いたかったぜェ! 害虫女ァーーーッ!!」
「また貴様か……しぶとい奴だ」
「また貴様か……しぶとい奴だ」
うんざりしたような声をあげながらルーシーが鞄の中から拳銃を取りだすと、射線上に捉えた坂東に向けて連続して発砲する。
木々を利用して、それを避けながら坂東は考える。
ルーシーを見つけたはいいが、今は火力不足だった。
ベルトに突っ込んである9ミリの豆鉄砲だけでは、ルーシーを守る見えない腕――ベクターを突破する事は不可能だ。
標的の居場所がわかっただけで良しとして、ここは一旦退却するべきかと。
ルーシーを見つけたはいいが、今は火力不足だった。
ベルトに突っ込んである9ミリの豆鉄砲だけでは、ルーシーを守る見えない腕――ベクターを突破する事は不可能だ。
標的の居場所がわかっただけで良しとして、ここは一旦退却するべきかと。
「ボケがぁ、そんな弱気で奴と戦えるかよっ!」
だが、その考えを坂東は一瞬で破棄する。
見れば、ルーシーはゴミでも見るかのような目付きで、こちらを睥睨している。
その余裕に満ちた澄まし面を、屈辱と苦痛に歪ませてやりたいと坂東は思った。
見れば、ルーシーはゴミでも見るかのような目付きで、こちらを睥睨している。
その余裕に満ちた澄まし面を、屈辱と苦痛に歪ませてやりたいと坂東は思った。
先程履いたばかりのズボンを忙しなく脱ぎながら、男は木々の合間を縫うように走る。
そして、ルーシーと距離を開けると木の幹に立て掛けたストライカーに飛び乗り、魔力によって生まれたプロペラを回転させた。
今再び、史上初であろう男性の航空歩兵が、大空へと飛び立ったのだ。
そして、ルーシーと距離を開けると木の幹に立て掛けたストライカーに飛び乗り、魔力によって生まれたプロペラを回転させた。
今再び、史上初であろう男性の航空歩兵が、大空へと飛び立ったのだ。
葉っぱを撒き散らしながら、森の中から上昇した坂東の狙いは一つだ。
一撃離脱。
位置エネルギーを運動エネルギーに変換する高速移動で、敵のベクターの動きをも上回る速度で強襲をかけるつもりなのである。
一撃離脱。
位置エネルギーを運動エネルギーに変換する高速移動で、敵のベクターの動きをも上回る速度で強襲をかけるつもりなのである。
一瞬、似たような戦術で散って行ったゴランという男の姿がちらついたが、坂東に残された戦術はそれしかなかった。
ルーシーにとっても、こんな兵器は初めて体験するはず。
それで駄目なら――大人しく、敗北を受け入れるまで。
ルーシーにとっても、こんな兵器は初めて体験するはず。
それで駄目なら――大人しく、敗北を受け入れるまで。
その覚悟を、天が祝福したのか。
坂東は、思いもかけない援護射撃を受け取る。
ルーシーへと突撃をかけた坂東の背に重なるように、朝日が昇ったのだ。
坂東は、思いもかけない援護射撃を受け取る。
ルーシーへと突撃をかけた坂東の背に重なるように、朝日が昇ったのだ。
「――っ!?」
「貰ったぁーーー!!」
「貰ったぁーーー!!」
突如飛び込んできた朝の光に、ルーシーが目を眇める。
そんな幸運の後押しを得て、坂東はルーシーのベクターが蠢く制空圏を突破した。
追いすがるベクターも、空を切る。
再び空へと舞い上がった坂東の腕の中には、狙い通りにルーシーが三つ所持していた鞄の内の二つがあった。
坂東は、ルーシーからこれをひったくる為に、決死の突撃を敢行したのである。
そんな幸運の後押しを得て、坂東はルーシーのベクターが蠢く制空圏を突破した。
追いすがるベクターも、空を切る。
再び空へと舞い上がった坂東の腕の中には、狙い通りにルーシーが三つ所持していた鞄の内の二つがあった。
坂東は、ルーシーからこれをひったくる為に、決死の突撃を敢行したのである。
「ヒャッホーーーーーーゥ!! あるある、あるじゃねェーか! 一杯よぉーー!!」
考えた通り、ルーシーの鞄の中には、武器が沢山あった。
刃物、拳銃、PDWなどなど。ルーシーが元から所持していたものか、他者から奪ったであろう武器が大量に貯蔵されていたのだ。
坂東はその中から、制圧力と貫通力に優れたP90を選択すると、地上五メートル程度まで急降下して一斉射をかける。
刃物、拳銃、PDWなどなど。ルーシーが元から所持していたものか、他者から奪ったであろう武器が大量に貯蔵されていたのだ。
坂東はその中から、制圧力と貫通力に優れたP90を選択すると、地上五メートル程度まで急降下して一斉射をかける。
フルオートでばら撒かれるSS190弾であったが、いつか見た光景を焼き直すかのようにルーシーのベクターはその攻撃を弾いてしまう。
「やっぱりかよっ!」
だが、それを予期していたかのように、坂東は義手となっている右手を閃かせる。
その手に握られていたのは、今は既に失われたマウザー砲の弾丸であった。
ベルトリンクによって連結されたそれを投げつけると、そこへと向かって集中射。
爆発の勢いに乗るかのように、急上昇をかける。
その手に握られていたのは、今は既に失われたマウザー砲の弾丸であった。
ベルトリンクによって連結されたそれを投げつけると、そこへと向かって集中射。
爆発の勢いに乗るかのように、急上昇をかける。
「やったかっ!?」
振り返り、戦果を確かめようとする坂東の視界を影が遮る。
爆発の瞬間、己が持つ四本のベクターを大地に叩きつける事で、ルーシーもまた凄まじいまでの跳躍を見せ、坂東の上を取っていたのだ。
爆発の瞬間、己が持つ四本のベクターを大地に叩きつける事で、ルーシーもまた凄まじいまでの跳躍を見せ、坂東の上を取っていたのだ。
「チィィーッ!!」
P90の残弾を叩きつけてルーシーのベクターを防御に使わせながら、坂東は足を無様にバタつかせて旋回へと持って行く。
いまだ複雑な空中機動が出来ない坂東にとって、空での格闘戦は未知の領域だ。
背筋を凍らせる思いで危機を切り抜けると、P90の上部に刺さった空のマガジンを引き抜き、新たなマガジンを挿入する。
レバーを引いて、初弾装填。
いまだ複雑な空中機動が出来ない坂東にとって、空での格闘戦は未知の領域だ。
背筋を凍らせる思いで危機を切り抜けると、P90の上部に刺さった空のマガジンを引き抜き、新たなマガジンを挿入する。
レバーを引いて、初弾装填。
「楽しいねェーーー! おいっ! ルーシイィィィーーーー!」
大気を切り裂く轟音の中で、坂東は喚いた。
落下しながらルーシーが撃った弾丸が、男の頬を切り裂く。
溢れだした鮮血を舐めながらも、坂東は心の高揚を抑えきれなかった。
落下しながらルーシーが撃った弾丸が、男の頬を切り裂く。
溢れだした鮮血を舐めながらも、坂東は心の高揚を抑えきれなかった。
やはり、衛を離しておいて正解だった。
自分は、拭いきれないほどの宿業を背負っている。
今更、誰かと共に歩く事など不可能なのだ。
ルーシーは常識外の兵器を操る坂東と交戦しながら、自分の判断の正しさに胸を撫で下ろしていた。
自分は、拭いきれないほどの宿業を背負っている。
今更、誰かと共に歩く事など不可能なのだ。
ルーシーは常識外の兵器を操る坂東と交戦しながら、自分の判断の正しさに胸を撫で下ろしていた。
一瞬の油断から鞄を奪われてしまったのは失策だったが、蠅叩きなら慣れたものだ。
この小五月蠅い蠅を叩き潰すのに、なんの支障もない。
しかし、再びその身を宙に打ち上げようとした瞬間、ルーシーは自分を呼ぶ声を聞く。
それは、先程見送ったはずの衛のものだ。
この戦闘の音を聞きつけて、戻ってきたのだろうか。
この小五月蠅い蠅を叩き潰すのに、なんの支障もない。
しかし、再びその身を宙に打ち上げようとした瞬間、ルーシーは自分を呼ぶ声を聞く。
それは、先程見送ったはずの衛のものだ。
この戦闘の音を聞きつけて、戻ってきたのだろうか。
(バカ、来るな……危ないのが、判らないのか)
既に陽が昇った今、空を飛ぶ坂東の異様な姿は遠目からでも見えるだろう。
もしかすると、自分が人外の跳躍を見せた所も、見せてしまったかも知れなかった。
もしかすると、自分が人外の跳躍を見せた所も、見せてしまったかも知れなかった。
「ルーシーさん! ルーシーさーん!」
それでも衛は、こちらへと近付いてきている。
来るなと、叫びたかった。
自分の角を、見られたくなかった。
楽しい一時を過ごした衛には、奇異の目で見られたくなかったのだ。
なぜ、このまま放っておいてくれないのか。
だが、叫んで位置を知られたら、あのお人好しのバカは来てしまうだろう。
だからルーシーは、心の中で叫ぶしかなかった。
来るなと、叫びたかった。
自分の角を、見られたくなかった。
楽しい一時を過ごした衛には、奇異の目で見られたくなかったのだ。
なぜ、このまま放っておいてくれないのか。
だが、叫んで位置を知られたら、あのお人好しのバカは来てしまうだろう。
だからルーシーは、心の中で叫ぶしかなかった。
(お前が、私を見て怖がる顔なんて見たくないんだ。だから来ないでくれ……っ!)
そんなルーシーの心の乱れを突くように、坂東が上空から放つ弾丸の雨。
集中力を乱したルーシーは、その中の一つを逸らし損ねて腕に掠らせてしまう。
集中力を乱したルーシーは、その中の一つを逸らし損ねて腕に掠らせてしまう。
「うっ!」
焼けるような衝撃に、思わず苦痛の声が漏れる。
その声を聞きつけたのか。
周囲の草むらを、靴が踏みつけて駆け寄ってくる音が近付いて来る。
その声を聞きつけたのか。
周囲の草むらを、靴が踏みつけて駆け寄ってくる音が近付いて来る。
「ルーシーさん、そっちにいるの!?」
(来るな、見るな、来るな、見るな)
ルーシーは、もはや身動き一つ取れなかった。
審判を待つ罪人のように、項垂れた前髪が美貌を隠す。
自分を狙う弾丸よりも、衛の足音のほうが怖かった。
その足音が、遂に立ち並ぶ木の向こう側にまで来てしまったのを感じて、ディクロニウスの少女は絶望に震える叫び声を上げた。
審判を待つ罪人のように、項垂れた前髪が美貌を隠す。
自分を狙う弾丸よりも、衛の足音のほうが怖かった。
その足音が、遂に立ち並ぶ木の向こう側にまで来てしまったのを感じて、ディクロニウスの少女は絶望に震える叫び声を上げた。
「来るなーーーーーーーーっっっ!!」
「ルーシーさん!?」
「ルーシーさん!?」
木の合間から飛び込んできた小さな影に、無音でルーシーのベクターが伸びる。
まっすぐに前を向いていた顔を、捩じる様に無理矢理後ろに振り向かせた。
人体の稼働範囲を超えた事を告げる、鈍い音が響く。
そして、圧搾。
果実を砕くように潰した顔面は、もはや直前にどんな表情を浮かべていたのかすら判らない。
まっすぐに前を向いていた顔を、捩じる様に無理矢理後ろに振り向かせた。
人体の稼働範囲を超えた事を告げる、鈍い音が響く。
そして、圧搾。
果実を砕くように潰した顔面は、もはや直前にどんな表情を浮かべていたのかすら判らない。
ああ、それなら安心だ。
ネジ切られ、圧搾された小楯衛の頭部は、もはや人体の名残すら止めてはいない。
目は潰れ、頭蓋骨は粉砕され、雑巾のように絞られた肉からは、たっぷりとした血が滴っているのだから。
目は潰れ、頭蓋骨は粉砕され、雑巾のように絞られた肉からは、たっぷりとした血が滴っているのだから。
「ガーハッハッハッハッハッハ、さすがだなオイ。瞬殺かよっ!」
それを見て気が狂ったような哄笑をするのは、上空を飛んでいる坂東だ。
「まったく、バカなガキもいたもんだなっ! こんな鉄火場に飛び込んでくるなんてよ。
ヤル気が削がれちまうぜ」
「あ……ああ……わ、私は……」
ヤル気が削がれちまうぜ」
「あ……ああ……わ、私は……」
少年の取った行動を、理解出来ないという坂東の台詞に、ルーシーは正気を取り戻す。
心の中を悔恨が埋め尽くすが、一瞬の情動に身を任せた結果は、既に翻るものではない。
ギリリと、奥歯を噛み締める。
心の中を悔恨が埋め尽くすが、一瞬の情動に身を任せた結果は、既に翻るものではない。
ギリリと、奥歯を噛み締める。
「お前の……せいだぞ……」
「あん?」
「お前が、くだらないちょっかいなんて出してくるから……こんな事にっ!」
「あん?」
「お前が、くだらないちょっかいなんて出してくるから……こんな事にっ!」
俯いていたルーシーが顔を上げる。
堪え切れない苦痛に歪むその表情は、坂東が見たいと願っていた顔そのものだった。
だというのに、坂東の腰が引ける。
それは、ルーシーが激情と共に鞄の中から引き抜いた、一つの武装が原因だった。
堪え切れない苦痛に歪むその表情は、坂東が見たいと願っていた顔そのものだった。
だというのに、坂東の腰が引ける。
それは、ルーシーが激情と共に鞄の中から引き抜いた、一つの武装が原因だった。
マインブレード。
ここに事切れた小楯衛が見ていれば、その武器の名称を正しく言い当てただろう。
竜の巨人が扱う短剣は、しかし普通の人間から見れば常識外の大剣であった。
身長を遥に越えたその刀身を、なんなくベクターで持ち上げて、ルーシーは坂東を睨みつける。
ここに事切れた小楯衛が見ていれば、その武器の名称を正しく言い当てただろう。
竜の巨人が扱う短剣は、しかし普通の人間から見れば常識外の大剣であった。
身長を遥に越えたその刀身を、なんなくベクターで持ち上げて、ルーシーは坂東を睨みつける。
「ちょ……待てよ……いくらなんでも、そりゃ反則だろ……何怒ってるんだよオイ……」
「お前に――何が判るっ!!」
「お前に――何が判るっ!!」
仰け反るように飛び退いて、そのまま飛んで行こうとする坂東に向かい、ルーシーは巨人の剣を射出する。
音速を超える速度で打ち出された、流線型を描く剣が坂東の肉体を引き千切る。
そしてそのまま、巨人の剣は虚空の彼方へと消え去って行った。
その結末を、興味を無くしたように冷めた眼で見届けてから、ルーシーは衛の亡骸へと振り返った。
音速を超える速度で打ち出された、流線型を描く剣が坂東の肉体を引き千切る。
そしてそのまま、巨人の剣は虚空の彼方へと消え去って行った。
その結末を、興味を無くしたように冷めた眼で見届けてから、ルーシーは衛の亡骸へと振り返った。
「衛……」
ベクターによって原型を止めないほど破壊された肉体は、彼が何を考えてここへと戻ってきたのか知る背景すら残されていない。
その亡骸に、跪くように擦りよりながら、ルーシーは木の幹に頭を打ち付けた。
何度も、何度も、鈍い打突音が、朝靄の立ち込める森に響く。
その亡骸に、跪くように擦りよりながら、ルーシーは木の幹に頭を打ち付けた。
何度も、何度も、鈍い打突音が、朝靄の立ち込める森に響く。
「済まない……済まない……私は……」
額を割る一筋の血と一緒に、涙が零れる。
この喪失感を、誰かに押しつけてしまいたかった。
この場から消えていなくなってしまいたいと、ルーシーは強く願った。
この喪失感を、誰かに押しつけてしまいたかった。
この場から消えていなくなってしまいたいと、ルーシーは強く願った。
「にゅっ?」
だから、ここに彼女が再び現れたのだ。
ルーシーの、第二の人格。
コウタとの幸せな日常を過ごした、にゅうと呼ばれる人格が。
ルーシーの、第二の人格。
コウタとの幸せな日常を過ごした、にゅうと呼ばれる人格が。
【小楯衛@蒼穹のファフナー 死亡】
【残り48人】
【残り48人】
【一日目 D-3 洋館 早朝(放送間際)】
【ルーシー@エルフェンリート】
[状態]:にゅっ? 額と腕に軽傷 疲労(小)
[装備]:ジェリコ941(8/16)@現実
[道具]:基本支給品、未確認支給品0~2、ジェリコ941の予備弾倉×2
[状態]:にゅっ? 額と腕に軽傷 疲労(小)
[装備]:ジェリコ941(8/16)@現実
[道具]:基本支給品、未確認支給品0~2、ジェリコ941の予備弾倉×2
[思考]
基本:にゅう
1:まもる……
基本:にゅう
1:まもる……
※転倒などの軽度の衝撃、にゅうの睡眠などによって元の人格に戻る可能性があります。
「ちくしょう……あの角女……絶対ぶっ殺してやる……」
ふらふらと、不規則な軌道を描きながら、坂東は飛んでいた。
その左腕は二の腕の半ばから、噛み千切られたかのように酷い断面を見せている。
最初にルーシーに奪われた右腕と両目に続いて、坂東は左腕をも失ったのだ。
その左腕は二の腕の半ばから、噛み千切られたかのように酷い断面を見せている。
最初にルーシーに奪われた右腕と両目に続いて、坂東は左腕をも失ったのだ。
あの時、音速で投げつけられたマインブレード自体は、なんとか避けた。
だが、巨大な質量が放つソニックブームは、ただそれだけで坂東の腕を千切って行ったのである。
だが、巨大な質量が放つソニックブームは、ただそれだけで坂東の腕を千切って行ったのである。
「許……さねえ。許さねぇぞ……」
うわ言のように呟きながら飛ぶのは、そうでもしていなければ意識が保てないからだ。
坂東は、巨大な痛みと喪失感に耐えながらも、ルーシーからの追撃を振りきるべく、森の上空から退避していた。
千切られた腕は、しっかりと握りしめたP90ごと拾って回収している。
とはいえ、この島で坂東が右腕に施されたような施術をしてもらう事など絶望的だろう。
なんとか血を止めて、これからは右の義手だけで戦わなければならないのだ。
坂東は、巨大な痛みと喪失感に耐えながらも、ルーシーからの追撃を振りきるべく、森の上空から退避していた。
千切られた腕は、しっかりと握りしめたP90ごと拾って回収している。
とはいえ、この島で坂東が右腕に施されたような施術をしてもらう事など絶望的だろう。
なんとか血を止めて、これからは右の義手だけで戦わなければならないのだ。
「ちく……しょう……」
ルーシーの追撃がこないと確信し、直線の道路へとハード・ランディングをすると、坂東の意識は薄れていった。
傷の手当ても出来ぬままに。
傷の手当ても出来ぬままに。
だが、幸運の女神は未だ坂東を見捨ててはいなかったようだ。
なぜなら、そこへとやってきたのは、ハルトマンとリャン・チーの激突で、吹っ飛ばされた宮藤芳佳であったのだから。
高い枝の上からようやく自力で降りた彼女は、自分が飛ばされた方向もわからぬままに、ハルトマンのいる学校を目指して彷徨っていたのだ。
なぜなら、そこへとやってきたのは、ハルトマンとリャン・チーの激突で、吹っ飛ばされた宮藤芳佳であったのだから。
高い枝の上からようやく自力で降りた彼女は、自分が飛ばされた方向もわからぬままに、ハルトマンのいる学校を目指して彷徨っていたのだ。
「ひ、酷い怪我……しっかりしてください。私の声が、聞こえますか?」
「ぐ……俺に、構うんじゃねぇ……」
「ぐ……俺に、構うんじゃねぇ……」
少女の助けを振り払うかのように、力なく身じろぎする坂東を、芳佳は優しく押さえつける。
その心配そうに潤んだ瞳は、坂東の酷い傷跡をしっかりと見据えている。
その心配そうに潤んだ瞳は、坂東の酷い傷跡をしっかりと見据えている。
「今、助けますからっ」
少女がかざした両手から、優しい色の魔力光が放たれる。
千切られた腕をくっつけようというかのように、切断された左腕を傷口に合わせて。
芳佳の家系は、代々治療魔法を伝える一族なのである。
芳佳は、怪我人を助けたいという己の本分に、その意識を集中させていた。
千切られた腕をくっつけようというかのように、切断された左腕を傷口に合わせて。
芳佳の家系は、代々治療魔法を伝える一族なのである。
芳佳は、怪我人を助けたいという己の本分に、その意識を集中させていた。
【一日目 E-5 道路 早朝(放送間際)】
【板東@エルフェンリート】
[状態]:左腕切断 疲労(大)
[装備]:Fw190D-6プロトタイプ@ストライクウィッチーズ、FN P90(26/50)@現実、FN ブローニング・ハイパワー(13/13)@GUNSLINGER GIRL
[道具]:基本支給品×3、ブローニング・ハイパワーの予備弾倉×4、未確認支給品0~4
[思考]
基本:全員殺す。
1:あの角女、絶対殺す
2:人を合法的に撃てるなんて天国じゃねーか。
3:優勝したら、またここに連れてきて貰おう。
※Fw190D-6プロトタイプ@ストライクウィッチーズはまだ使えますが、何回も使えなくなりました。そのさじ加減は後続の書き手にお任せします
[状態]:左腕切断 疲労(大)
[装備]:Fw190D-6プロトタイプ@ストライクウィッチーズ、FN P90(26/50)@現実、FN ブローニング・ハイパワー(13/13)@GUNSLINGER GIRL
[道具]:基本支給品×3、ブローニング・ハイパワーの予備弾倉×4、未確認支給品0~4
[思考]
基本:全員殺す。
1:あの角女、絶対殺す
2:人を合法的に撃てるなんて天国じゃねーか。
3:優勝したら、またここに連れてきて貰おう。
※Fw190D-6プロトタイプ@ストライクウィッチーズはまだ使えますが、何回も使えなくなりました。そのさじ加減は後続の書き手にお任せします
【宮藤芳佳@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0~2、音無と翔子の荷物
[思考]
基本:殺し合いなんて絶対に駄目です!
1:酷い怪我……待ってて下さい
2:酷いですよハルトマンさん
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0~2、音無と翔子の荷物
[思考]
基本:殺し合いなんて絶対に駄目です!
1:酷い怪我……待ってて下さい
2:酷いですよハルトマンさん
[備考]
※音無と翔子の仲間の名前を知っています。
※音無と翔子の仲間の名前を知っています。
※板東の腕がくっつくかどうか、治療の程度は後続の書き手さんにおまかせします。
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