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ドキッ乙女だらけのいらん子中隊

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ドキッ乙女だらけのいらん子中隊 ◆x/rO98BbgY



「ところで朱里ちゃん……ここ、どこなんだろう」

生死の狭間から生還出来た興奮が、ようやく静まったらしい巡が疑問の声を発する。
問われるまでもなく、それは朱里が先程から考えていた事だった。

あの時、巡の肩に担ぎあげられていた朱里は、確かに見た。
巡の背後。何もない空間から、滲むように現れた華蝶仮面の姿を。
そして彼女に抱きつかれた直後、自分達はここへと転送されたのだ。
前後の状況を考えれば、彼女があのホテルからこの場へと、自分達を連れ出してくれたという事なのだろうが……。

「わかりませんけど、地図によればこの島に森らしき地形は三か所だけです。
 とりあえず、森から出てみれば現在位置も判るんじゃないでしょうか」
「うん、そうだねー」

よく判らない事を考えてもしょうがない。
今は現実的な対策を考えるより、他にはない。

憶測は出来る。
華蝶仮面――星には、空間を転移する術などない。
朱里が知る限り、それは于吉の如き妖術師の業だ。
ならば、張三姉妹が于吉に力を与えられたように、参加者の中には妖術の力を宿したアイテムを支給された者もいるのかもしれない。
だが、その力には危険が伴う可能性がある。

張三姉妹の張宝がそうなったように、悪の想念に呑みこまれてしまう恐れがあるのだ。
まったく別種の力を使っている可能性もあるが、とりあえず自重して欲しいと朱里は思う。

まぁ星に確認が取れない今、ただの憶測に過ぎない話なので、朱里はそれを巡には話さず、自分の心中にのみ留め置いた。
そして、自分達から見て二千年後の人間――巡は、果たしてこの不思議な現象をどう考えているのだろうと、そっとその顔色を窺う。

「それにしてもさ。華蝶仮面様カッコよかったねー。いったい何者なんだろ。名簿には載ってないみたいだけど……」
「さ、さぁー。誰なんでしょうねー。あはは」

どうやら巡は、瞬間移動した事については、あまり深く考え込んでいないようだった。
それは、彼女の生活環境から来る慣習なのか、はたまた頭が少し残念な人なのか、朱里には判断が付かなかったが、
おかしな状況に即応出来るセンスは、こういう場においては強みとなる事もあるのかもしれない。


それはさておき、二人は暗い森の中から抜けだし、居場所を確認する為に動き出した。
薄気味が悪い、夜の森。
そんな道中で、年若い少女たちは自然と雑談をはじめ、沈んだ空気を華やいだ雰囲気に作り変える。
置き去りにしてきてしまった日向や、殺し合いについての話題を努めて避け、話題の中心となるのは互いの仲間の話だった。
まったく違う環境で育った二人には、互いの話が興味深く、大いに盛り上がった。

「でね、その時永澄君ったら――」
「あはは、本当ですかぁー、その話」
「ホントだってェー、それで燦ちゃんが」

だが、朱里は会話を楽しみながらも、考えずにはいられない。
やはり殺し合いなんて絶対出来ない、普通の人たちも大勢連れて来られているのだと。
最初に全員が集まった場にいたのは、ほとんどが十代の少年少女たちだった。
そしてそんな彼らの中で、一際異彩を放つように剣呑な雰囲気を持つ者たちがいた。
たとえば、あの桃色の髪の少女たちのような。

『見ての通り、彼女のように、皆さん八十人の中には殺人を厭わない者も多く含まれます』

あの時、彼女たちの力を示す為に殺された、四人の人間がいた。
主催側の力を示す為の見せしめとするなら、強い力を持つ者を一人殺せば、それで済むはずだ。
だが、于吉たち主催者たちの言動からは、弱い者はいくら減っても大して困らないというニュアンスを感じた。

それは、彼ら弱い人間は、殺し合いの呼び水となるべく集められた存在に過ぎないという事だ。
于吉たちの狙いは、八十人全員ではなく、何か特別な力を持つ強者たちの側にあるという事だ。


それでは何を狙っているのかと問われれば、それはまだ朱里にも判らない。
なにせ朱里たちも于吉という妖術師を知るとはいえ、その実態は何も知らないに等しい。
彼の出自。
操る妖術の体系。
大陸の混乱を裏から操り、何を望んでいたのか。
そうした事に詳しく、于吉と対立関係にあったのは五斗米道の華佗であり、自分達はただ、その場その場の対処を手伝っただけだ。
結果として于吉を封じる大役を担ったとはいえ、劉備たち一行と于吉の間に、ほとんど接点はないのだ。

「ううう……。ゴッドヴェイドーーー!!」
「うわっ、なに? どうしたの? 朱里ちゃん」
「い、いえ……なんでもないです……ごめんなさい」
「はは……わかるわかる。あたしだって叫びたくなるもん」

考えが煮詰まり、つい朱里は大声で五斗米道の名を叫んでしまう。
この事態を収束させる役割は、本来華佗のはずなのだ。
なんの準備も無くこんな殺し合いに参加させられて、朱里たちに何かが為せるはずもない。
そんなストレスを感じて、らしくもなく奇行に走った朱里の髪の毛を、巡が優しく撫で撫でする。

「大丈夫だよ。朱里ちゃんは巡が絶対守ってあげるからね」
「はわわ……」

そんな風に言ってくれる巡に、何もしてあげられない事を朱里は歯がゆく感じる。
自分の考えが正しいとすれば、彼女の仲間たちは、到底この島を生きて出る事は叶わない。
そして、それは朱里たちについても同じ事だった。

于吉の狙いは判らないとはいえ、それが劉備たちへの復讐などではない事だけは理解していた。
復讐が目的であれば、ここまで大がかりな殺し合いを開く必要などない。
そして、劉備たちに再び于吉を滅ぼせる可能性があるのなら、そもそも招いたりはしないだろう。
あの時は于吉の知らない切り札が、こちらにあったからこそ策が立てられたが、ここは彼が用意した舞台だ。
そんなイレギュラーなど、起きるはずもない。
竜の爪『靖王伝家』がここに有ったら有ったで、それは既に于吉の脅威足りえないのだろう。

そう、ここは朱里たちの知らない21世紀の世界。
おそらく于吉は、その長い時間をかけて、あの時を遥に上回る力を蓄えたのだ。
そうして得た力を、誇示する為だけに劉備たちを呼んだのだろう。

だからきっと、自分たちが呼ばれたのは、ただのついで。
この殺し合いの中で、劉備たち一行に宛がわれた役は、大して重要でもない端役に過ぎない。
二千年の文明の進化は、朱里たちが知る戦の様相をまったく違うものに変え、あの関羽ですらも弱者の枠の中に入れてしまうだろうという事を、
銃や爆薬の脅威を知った朱里は、理解せざるを得なかった。



そして、闇の中を歩き続けた少女たちは、ようやく森の中を抜けた。
森の外は気付かない内に少しだけ明るくなっており、視界を遮る物が無くなった目の前には、四車線の広い道路がある。

「森を東の方に抜けて、三差路の道路があるって事は……ここは地図の座標だとD-4あたりかな?」
「そのようですね」

巡が広げた地図とコンパスを見ながら、朱里は相槌を打つ。
ここは北に行けば病院。
南なら警察署。
東に進めば学校という交通の要衝だった。
さて、どの方向へと進むべきか。
文字通り運命の分かれ道とも言うべき岐路を前に、朱里は少し考え込む。

「ねえ、それじゃ学校に行ってみようよ」
「学校……ですか?」

学び舎。
巡が指示したそれは、朱里の中では先生と呼び慕う水鏡と共に過ごした庵のイメージだ。
戦乱に焼け出された朱里を、優しく迎え入れてくれた記憶が朱里の胸の中に懐かしく蘇る。

「うん、みんなそこに集まってるかもしれないし……行ってみようよ!」
「そう……ですね。それもいいかもしれませんね」

地理的に言えば、島のほぼ中央にあるその建物は、どの方面からも人がやってくる危険な立地条件だ。
しかし、人を集めるというのは、朱里たち弱者が生き残る為、絶対にクリアする必要がある生存のための第一条件だった。
もちろん人を集める事、それ自体にも高いリスクはあるのだが、とりあえず行動しない事には始まらない。

そう考えた朱里は、巡の提案に乗り、学校を目指した。
伸るか反るかの賭けになるかもしれないが、躊躇っている時間的余裕などなかった。
こうしている間にも、仲間になってくれる人は、減っているかもしれないのだ。
周囲に気を配りながらも、誰か友人がいる可能性を信じて巡たちの足取りは自然と早まる。
幸い襲撃者とも出会うことなく、太陽が昇る前には二人は学校へと辿り着いた。

しかし、そこで少女たちが見たのは建物の一部が崩壊した、無惨な校舎の姿だった。
どのような戦闘が、この場であったのだろう。
コンクリートで出来た教室の壁が崩壊し、窓ガラスという窓ガラスが砕けている。
どうすれば、こんな事になるのか想像もつかない。
朱里は誰かいないのかと辺りを見渡し――巡に、強く腕を掴まれる。

「ど、どうしたんですか? 巡さん」
「あ、あれ……桃色の髪の……」

巡の震える指が差した方向にいるのは、校庭の芝生の中に座り込んでいる桃色の髪の少女だ。
だが、それは最初の会場にいた、あの少女たちではなく――

「劉備さん! 大丈夫ですよ巡さん、あの人はさっき話した私の仲間ですから」

中山靖王の末裔、劉玄徳。真名は桃香。
その人柄はボケボケなところもあるが、正義感が強くて包容力のある優しい女性だ。
こんな殺し合いに乗るはずもない、朱里の仲間である。

「劉備さーん!!」
「あ、孔明ちゃん。ふえーん、助けてぇー」

劉備の元に駆け寄っていった朱里は、彼女の膝枕の上に頭を乗せているブロンドの少女の存在に気付いた。
傷病者の看護でもしているのかと思ったが、違う。
その少女は、よだれを垂らしながら、ただ寝ているだけだった。

「むにゃむにゃ……あと三時間……いや、四時間……」
「ああーんもうっ、いい加減起きてくださいよー!!」

ハルトマンと呼ばれたこの黒衣の少女は、先程の戦闘のあと、昏々と眠り続けていた。

『まだ夜じゃないか……寝る』

との事だった。
それ以来、劉備がいくら揺すっても起きる兆候すら見せないという。
優しい劉備には、それほど強硬な起こし方が出来なかったのも原因なのであろうが。

「うわーーん。もう、足が痺れちゃったよぉー!!」
「……いったい、何があったんですか?」

こんな戦場の中で、いつもと変わらない劉備たちの様子に、朱里と巡は呆れるやら和むやらで、複雑な心境であった。


【一日目 E-5 学校 早朝】

【銭形巡@瀬戸の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:シグザウアー P232(8/8)@現実
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~2、予備弾倉×4
[思考]
基本:巡がみんなに社会の常識(ルール)教えてあげなきゃ、だけど……
1:みんなを探す
2:この人たち何してるの?

【諸葛亮@真・恋姫†無双】
[状態]:健康
[装備]:ワルサー P99(エアガン)@CANAAN
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:再び于吉を倒す
1:とりあえず、戦力集め
2:星さん自重
3:劉備さん無事だったんですね

【エーリカ・ハルトマン@ストライクウィッチーズ
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0~3
[思考]
基本:まだ眠い
1:すべすべでぷにぷにで、寝心地のいい枕だなzzz

【劉備@真・恋姫†無双】
[状態]:健康
[装備]:リャン・チーの中華刀@CANAAN
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0~2
[思考]
基本:殺し合いを止めたい
1:この人いったいなんなんですかー?
2:孔明ちゃん助けて!


047:I Was Born to Love you 投下順に読む 049:座敷童子の親心
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020:悪魔が目覚める日 エーリカ・ハルトマン 000:[[]]
劉備
022:チャオ ソレッラ 諸葛亮
銭形巡

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