21世紀深夜アニメバトルロワイアル@ウィキ

Phantom Beats...

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Phantom Beats...◆5YzaoxPYTw



――立華かなで 
――00:00:00


闇の中、蒼い髪の少女が立っている。
暗さに慣れない目で辺りを見回し、自分がどこかの団地の屋上にいるのだと理解する。
さらに詳しい現在位置を知るために、抱えていたディパックに触れ。

『――死んだ人間は生き返りませんよ。当然』

「…………」

先程の光景は現実なのだと、少女は再確認させられた。
無表情であった顔が僅かに曇り、不安げな色が瞳に混じる。

『……さて、それでは始めましょうか――殺し合いを』

――〝赤〟がフラッシュバックする。

「…………っ」

心を覆わんとするのは悲観か、痛みか。
どちらにも受け取れる、沈痛な面持ちだった。
食いしばるような、堪えるような長い沈黙の後で。
俯いたままの少女はただ一言、ポツリと呟いた。
彼女にとってただ一つの未練であったはずの、彼の名を口にした。

「…………結弦」

これが、とある世界で『天使』と呼ばれていた一人の少女。
立華かなでにとってのゲームスタートであった。


――大沢マリア
――00:30:25


ここに至るまで、彼女はずっと走りっぱなしだった。

「……はぁー……私、なにやってんだろ……」

三流ゴシップ雑誌の駆け出しカメラマン。
大沢マリアは黒い海を見つめながらうなだれていた。
普段は太陽のような明るい笑顔を湛えている彼女も、今は暗い表情を抑えきれない。

「…………カナン」

ここに至るまで、何度その名を呼んだろうか。
開幕の空間で巻き起こった惨劇。それに対する衝撃に加え、
名簿に記された親友の名前を見れば、居ても立ってもいられなかった。
マリアはカナンを探して走った。
長い金髪を揺らして、全身が汗だくになるまで。
カナンは強い。鉄の闘争代行人と称されるほどの人物だ。
自分よりも殺し合いの世界においては遥かに生存率も高いだろう。
けれども、そんなことは関係なく。
大沢マリアにとって、カナンは大切な友達なのだ。
自分に出来る事が少なくても、彼女の傍にいたいと思う。
こんな時にこそ、友達として駆けつけなければならない。

「でも駄目だよね……こんなやりかたじゃ……」

真っ黒い海と潮風、波の音。
それらはマリアの心を少しばかり落ち着けてくれた。
上気した頬の熱が引いていくにしたがって、冷静さも戻ってくる。

気持ちがどうあれ、この状況で闇雲に走って友を探すなど明らかな危険行為。
冷えた頭ならすぐに分ること。

「しっかりしなくちゃ……。こんな時だからこそ……」

今やるべき事はカナンを見つけることだけではない。
問題の根本的解決を目指すこと。
確かにカナンは心配だ。しかしそれと同じくらいマリアはカナンのことを信じている。
友達だからこそ、ここは信じるべき所なのだ。
なのに自分が冷静さを欠いて、危険を冒して死んでしまったら、それこそ親友に申し訳が立たない。

そしてなによりも、マリアは決めたのだから。
輝いている彼女の傍で照らして貰うのではない。
自分から輝けるようになる、と。
だからカナンを頼り切るような心構えではいけない。
彼女に心を囚われていてもいけない。

「大丈夫、カナンはこんな所で死なない。だから私は、私の出来る事から始めなくちゃ」


その為の第一歩。
マリアにはカナン以外に味方の知人はいない。
しかし、そこをなんとかしてここで仲間を得なければならない。
状況を打開する光を掴む為に。

「よし……行こう……!」

空元気でも、せめて表面上は明るく振舞おうとマリアは決めた。
これまでのように、これまで通りに、決して自分を見失わないように。
心を無理やり鼓舞して前へと進む。

「……何をしているの?」

横合いから声を掛けられたのは、そんな決意を固めた時だった。

「……ひゃぁっ!」

不意打ちにマリアは跳び上がり、恐る恐る隣を見た。
そこには一人の少女が立っていた。
黒いショートカットの髪型。ノースリーブに丈の短いスカート。
そんな格好の少女がこちらを見つめている。
いつの間にそこに居たのか。
声を掛けられるまで、まったく察知できなかった。

「……ごめんなさい。驚かせてしまったわね」

少女の表情は明らかなる作り笑顔。
恐怖に押しつぶされそうになりながらも、必死に前へと進むために浮かべるもの。
殺し合いに巻き込まれたただの少女として分相応な。
まさに今のマリアと同じ表情だった。

「私は……大沢マリア。あなたは……?」

困惑しながらも、マリアは少し安心して、名を名乗る。

「……良かった。あなたは乗っていないみたいね」

その答えに、彼女もまた安心したのか。
小さく微笑むと、名乗りを返してくれた。

「私の名前は、アイン」

――アイン
――00:05:57

大沢マリアとの邂逅より三十分ほど前。

その少女――アインは海岸を歩いていた。
さくさくと、靴音だけが小さく鳴る。
強い潮風にショートカットの髪がなびき、スカートがはためいている。
周囲に人の姿は無い。虫の一匹もいない。

彼女の心内は大半が空虚で占められている。
意志も、目的も、生きる理由も。
すべて希薄。
ネジの切れた機械のようだ。

「………………」

けれど、残る思いはあった。

心の奥底に二つだけ。

一つは使い手。
アインの身体に目的と意味と機能を付与する一人の男。
彼の命令によって、己は真にただ一つの道具に成り果てることが出来る。
なにも考えず、自己の無い、使われるだけの道具で在れる。

もう一つは希望。
アインと同じく全てを奪われ、それでも自分の意志を捨てなかった一人の少年。
道具でなければ耐えられなかった自分とは違う。
闇ばかりであった彼女の人生にとって、それは唯一の光と言えた。
彼は生きている。まだこの世界のどこかで戦っている。
その事実がある限り、どんなに苦しくても生きてこられた。

今の状況がどれほど異質であっても、彼女はあまり気にしていなかった。
なぜならアインにとって最も重要な事とは、使い手と希望。その二つだけなのだから。
彼女に唯一意味をくれる人か、彼女が唯一意志を向ける人か。
どちらかを求めて彼女は歩く。

数分間、海岸沿いを歩き続け、
そうして堤防から黒い海を見下ろした時、背後から一つの足音が聞こえてきた。
存在を隠そうとする事のない、むしろ逆に誇示するかのような無警戒な足音。
ある種の確信と共に、アインはゆっくりと振り返り、その人物を視界に入れる。


――大沢マリア
――00:55:21


「それでね、私とカナンは……」

小さく、しかし明るい声が響く。

マリアはアインと共にガラリとした商店街を進んでいた。
二人は堤防で出会いを果たした後、ひとまず一緒に行動する事になった。
行動経路を商店街を通っての消防署と定め、
互いの支給品を明かし、今は情報交換の真っ最中である。

話せば話すほど、マリアにはアインが普通の女の子のようにしか思えなかった。
明るい性格ではないものの、どんよりと暗いわけでもない。
時に小さく笑顔も見せる。
どこか儚げだが、敵意や害意はまったく見せていない。
けれでもマリアと同じく、この状況に確かな恐怖を抱いている。
そんな、どこにでもいる普通の女の子。

「アインも最近中国で起こった国際テロは知ってるでしょ? 私もあの時は現地にいて……」

重要なのは情報。
それはアインとて同じ意見であったらしく。
マリアの話を真剣に聞いてくれている。
とはいえマリアの知識ではアインに伝えられた事はごく少ない。
親友のカナンのこと、アルファルドとリャン・チーのこと。

それともう一つ。

「中国の……テロ……?」

本題のついでにそれを語った途端、アインの眼差しが少し鋭くなった。

「え? ……うん。そうだけど……?」

アルファルト率いる「蛇」が引き起こした中国のテロ騒動。
その実態は置いても、発生した事を知らぬ筈が無いだろう。
マリアはそう思っていたのだが、アインの反応は不可解だ。
彼女の反応は分りにくいが、まるで初耳だと言わんばかりに見える。

「……ん、そうね。続けて」

しかしすぐに表情は元に戻り、彼女は先を促す。追求も無い。
多少違和感を感じながらもマリアはひとまず自分の話を完遂させる事を優先とした。

「――まあ大体こんな感じかな……。質問とかはある?」

「ありがと。そうね……マリアはやっぱり、そのカナンって人が心配……よね……?」

話の終わりに向けられた質問はそれだけだった。
答えの決まっている問いかけ。

「うん」

即答する。
偽る必要など、どこにもない。

「やっぱり心配だし、逆に今頃心配かけてるんだろうなっていう自覚もある。
 助けられてばっかりだったし。でも今は、私に出来る事をしないと」


マリアは視線を下げる。
無意識に、自分の左手が胸元に当てられていた。
そこに愛用していたフィルム式のカメラは無い。
確かに持っていたはずなのだが、いつの間にか没収されてしまったようだ。
落ち着かないような、心細いような気分になる。
当たり前にあったものを喪失すると、心に一抹の空虚が過ぎるものだ。

「出来る事っていうのが……それ?」

顔を上げるとアインがマリアの右手を指差していた。
正確には、そこに握られたデジタルカメラを。

「……うん。その一つ、ではあるのかな」

今度は即答できなかったが、頷く事が出来た。
自分は駆け出しとは言え、一人のカメラマン。
その自覚と誇りがある。
人には「この状況でなんだそれは」と笑われるかもしれない。
しかしこれも彼女ができる仕事の一つだ。
真実を記録し、伝えること。

「だから、ありがとね。デジカメ」

マリアは改めてアインに礼を言った。
このデジカメは元はマリアの支給品ではなく、アインのものだった。
互いの支給品を明かしあったときに譲ってもらったのだ。

「礼なんていいわ。元々、私の物ではないもの」

「ううん。それでも、ありがと。……それじゃあ、これで私の話はおしまい。次はアインの話を聞かせてくれる?」

マリアから告げる事は全て伝えた。次はアインの話を聞く時だ。
小さくてもいい、確かな第一歩を期待して、マリアは返答を待つ。
そして、

「……」

返答の代わりに向けられるアインの左手には、黒い銃が握られていた。

ベレッタM92FS、それが銃の銘である。

……再び時間は遡る。

――アイン
――00:07:57


ある種の確信と共に、アインはゆっくりと振り返り、その人物を視界に入れた。

「…………マスター」

「まさか最初に出会う相手がお前とはな。
 所詮ささやかな幸福にすぎんが、それでも必要な工程を三つほど短縮できる。
 感激せずにはいられんよ」

男は以前と何も変わらずそこにいる。
白一色の服装も、粘りつくような声も。

「しかし……これは、面白い事になったな……アイン?」

状況を噛み締めるように男――サイスマスターは言った。
深く落胆するようで、同時に楽しんでいるようにも聞こえる声で。

「さてアイン、邪魔な手順など廃して本題だ。お前はこの状況をどう見る?」

「敵の正体及び背景は一切不明。所有戦力は不鮮明かつ――」

「ああ、不明不鮮明不明瞭。現実的視点で見るのも馬鹿らしい。ようは何も分らない、そうだろう?
 まったくお笑い種だな。
 誰よりも現実主義者の集団にあった我々が、かくも不条理に巻き込まれて『何も分らない』ときた!」

くっくと笑いながら、
サイスマスターはつまらない冗談を言うように吐き捨てる。

「こうなってはもう意味などあるまい。昨日までの計画、昨日までの勝利、一切の常識が無意味だ」

アインも同意見だった。
この状況に至っては昨日までの倫理理屈に縛られていても死を近づけるだけである。
半端な現実主義は現実の崩壊堪えられないだろうが、彼らは筋金入りの現実主義者。
現実が切り替わったのなら、焦りも嘆きも無く、ただ受け入れる。
そして新たな現実における適切な手を打つのみだ。



「絶望的状況、相違ない。私一人では骨の折れる事態だ。
 しかしここにはお前がいる。私のファントムがここにいる。
 これは大きな要素の一つだろう。」

「……」

その発言の違和感は追求しない。
重要ではないからだ。

「一切が無意味。そう、だが私の意味を譲る気など、ない。私と私の作品が負けるなど許さんよ。
 ――故にアイン、お前に命令を与える」

救いと諦観。
その二つを胸にアインは自分の道を知る。
男が目の前に現れた瞬間に、こうなる事は分っていた。
むしろそれを望んでいたはずだ。
これで己は一つの機械となれる、道具となれる。

ネジが、巻かれていく。

「私を勝たせろ。それだけだ。方法は問わない、行動は一切限定しない。
 お前の全てをもって私を勝利へと導け。
 インフェルノ最高のスナイパー、ファントムの称号を持つ者として――」

亡霊が動き出す。

「……はい、マスター」

アインに揺れる心など無い。
今は空虚など欠片もない。
あるのは任務を遂行するという存在意義だけだ。

そうして二人は今後の方針を一通り決め、支給品をいくつか交換する。
10分後、サイスマスターはアインとの同行を選ばず、一人その場を後にした。

アインが大沢マリアと出会うのは、その少し後のことである。


――立華かなで
――00:54:02

立華かなで――天使は夜の路地裏をひた歩く。
スタート地点たる団地を抜けた後は、ゆっくりと北にむかって進んでいた。
目指す目的地は、E-5にある施設――学校。
そこを目指す理由は、他に目指すべき目標がなかったことと。
彼女がもと居た世界において、至極馴染み深い場所であったことに起因する。
そして学校は彼女だけでなく、彼女が知る者にとっても馴染み深い場所なのだ。
『彼』や彼の仲間達もそこを目指している、ような気がする。

「…………」

迷路のような路地裏の終わり、商店街の大通りが見えてきた。という時である。
前方から小さな声が聞こえてきた。この島では始めての人の気配。
天使は気持ち急ぎ足で路地裏を抜けて、大通りを覗き込む。
そこには二人の少女がいた。長い金髪の少女と、黒髪ショートカットの少女。
後ろから見ている限り、仲は良好な様子で明るく話し込んでいる。
これならば大丈夫かもしれない。話が出来る。
彼について聞くことも出来るかもしれない。一緒に行動する事が出来るかもしれない。
そう思ったのか、天使は彼女達に背後からゆっくりと近づいていった。
大きな声で話しかけようとしなかったのは、彼女の性格上の問題か。

トコトコと、早歩きで、距離を詰めていく。
そして彼女は見た。

「…………っ!」

天使の足が止まる。
黒髪ショートの少女が後ろ手に拳銃を取り出していた。
金髪の少女はまだ気づいていない。
銃を隠し持つ少女と笑顔で会話を続けている。

あの銃で、金髪の少女を撃つのだろうか。
人を殺すのだろうか。
死ねばもう誰も生き返らない世界の中で。

命を奪うのか。
『彼』が生前、最も尊いと信じたものを。

「…………駄目」

声は小さい。
距離は遠い。

後ろに隠されていた銃が、するりと流れるような動作で金髪の少女に向けられた。
金髪の少女の表情が強張っていく。銃を握る少女の気配が剣呑なものに変わる。
最悪の想像は現実の物になる。引き金が、引かれる。
きっと数秒も掛からない。

「…………駄目っ」

声は届かない。
伸ばした腕は届かない。
もはや絶対に間に合わない。
だから天使の使い手は、

「たすけなきゃ」

自分(天使)の力に頼る事にした。

――大沢マリア
――00:54:03


あまりに突然のことだった。

ベレッタM92FS。
今この時、大沢マリアに向けられている銃の銘である。
彼女はそれを一体どこに隠し持っていたのだろう。
そんなもの互いの荷物を確認しあった時には出してこなかったのに。

「なん……で……?」

「……」

返されるアインの視線は凍てついていた。
これまでの問答では考えられないほど突然に、唐突に、冷徹に、切り替わっている。
視線だけではない。
表情、立ち振る舞い――存在。
それら全てが急激に切り替わる。
別人に、否、ベツモノに変貌していく。

冷たく、冷たく、冷たく。

凍てつく。

貼り付けていた虚飾装飾を取り払い。
人の温かみの無い一種の道具へと、変貌する。
仮初の人格は泡沫のように消えていく。
偽りの光が、アインの眼から消え失せる。
名を名乗った際の少女の面影はどこにもない。

「……ぁ……あ……!」

恐怖がマリアの全身を縛りつけた。
心に浮かび上がる最悪の予想。
このタイミング、まるで聞くべき事は全て聞いたと言わんばかりだ。
鑑みれば、アインはこれまで自分の名前以外の情報は一切漏らしていない。
彼女の話術に乗せられて一方的に情報を引き出され、大沢マリアは殺される。
その確信に近い予感に、声も出せなくなる。

目の前の人物が普通の少女なのだと。
ほんの一分前まで、自分でそう思っていたことが信じられない。
違う。
違う。
これは絶対に違う。
何もかもが普通とは違う。

この機械のような玲瓏こそが、おそらくは少女の本来の姿。
優しさも怒りも悲しみも、人間らしい感情を全て取っ払ったキリング・マシーン。
ほんの一瞬だけ、マリアは己の親友に近い者かとも思ったが。
やはり違う。それどころかまったくの逆だ。
カナンがマリアにとって輝ける光であるのなら、今目の前にしている少女は影。
どこまでも暗い、奈落の様な存在。
人の負が作り出した極限。


「…………あ……」


そして、黒い銃口が、ゆっくりと、マリアの胸を、


素通りして、


「死にたくなければ、早く逃げて」


マリアの脇の下にアインの腕が差し入れられ、

銃弾はマリアの背後、商店街の一角に発射された。



――アイン
――01:00:00


そうして、今がある。


下された任務はサイスマスターを勝利させること。
いつも通り、これまで通りの任務だ。
殺害、工作、諜報、情報操作。
あらゆる全ての手段を尽くして挑むのみ。

そのために、殺す。
アインはもう一度ファントムとして人を殺す。
目的達成の為の最短の手段。
それを行使する。

目標、敵、確かな脅威に向って。
つまり背後、商店街の路地裏に続く曲がり角から、こちらに向って超スピードで走り抜けてくる、
学生服を着た蒼い長髪の少女を狙い撃つ。

隣にいた大沢マリアを正面から抱きしめるようにして、身体を密着させる。
マリアの肩越しに狙いをつけ、彼女の脇に腕を差し込み。
ベレッタの引き金を三連続で引いた。

飛翔する三発の弾丸。

向ってくる敵の速さはさっそく人外だが、真っ直ぐ一直線に掛けるのみの単純な軌道。
当てる事は造作もない。
脳天、心臓、太腿、三発の銃弾全てが急所を捉える。
その直前、対敵の口元が小さく動いた気がした。

そして着弾。
三発全ての弾丸が想定通りの部位に命中する。
が、その瞬間に弾けた衝突音はどういうことか。
命中は即ち敵の死、ならばその音は肉を抉る歪なものでなければならない。
赤い花を咲かせる血飛沫の音でなければならない。

だというのに、この音は。
まるで銃弾が金属に衝突したような。
華々しい鉄の音はなんなのだ。

そう、崩落した理屈も道理も、当然の形で視覚情報に突き刺さる。

弾丸は一発残らず弾かれた。
蒼髪の少女に触れた瞬間に、蒼い光と火花を散らして自ら逸れていく。
不条理ここに極まれり。
かくして少女の疾走は止まらない。
こうなっては陳腐にしか感じられない鋼鉄の弾丸を軽々と突破して。
駆ける蒼髪の少女の姿はものの数秒でアインの眼と鼻の先にあった。

刹那の間隙に、アインと蒼髪の少女は顔を突きあわせる。
視線が交差する。
共に無表情、無言、無反応。
形作る表情など持たない。
語るべき言葉など持たない。
与える意志など示さない。

そのままの距離で、アインはもう一度ベレッタを敵の顔面へと撃ちこんだ。
またしても散る火花、蒼光。
想定内、もう想定の程などアインには半分無意味になってきているが、想定内に弾丸は弾かれる。
焼きなおしのように繰り返される予定調和のふざけた防御。

無論、それに見惚れる間も無く、蒼髪の少女の攻撃が開始される。
蒼髪の少女の口元がゆっくりと動き、小さな声が発せられる。
この距離ならば、アインにも聞き取ることができた。

「……ガードスキル、HandSonic」

詠唱と同時、蒼髪の少女が着る学生服の左袖口、そこから甲剣が飛び出した。
やはり異質なものであったが、これまでの超常現象的じみた挙動を見せ付けられた後では、驚きも感心もしない。
よって剣の刃が狙う先、それを見極める事もまたアインには容易だった。

武器破壊。

させはしない。
アインはマリアの身体を引き倒しながら、振り下ろされる刃を回避する。
ベレッタを一刀両断にするはずだった白刃はアインの腕の肌を薄く切って地面に突き刺さった。
マリアと共に倒れたアインと、剣を地に突き刺した蒼髪の少女。
次の動作はコンマの差でアインが速かった。
蒼髪の少女が剣を地面から抜き取った直後のタイミングで、
アインはマリアの身体に覆いかぶさったまま、両手で下半身を持ち上げて蹴り上げを放つ。
特にダメージは期待していない。
単なる牽制のつもりだった。

しかしその攻撃は、なんの障壁も無く蒼髪の少女へと直撃する。

少女の腹に突き刺さる踵。

「……つぅっ……」

対敵は初めて無表情を崩し、苦痛の声が漏を漏らして数歩下がる。

これはアインにとっても意外なことであった。
驚くより先に体が動く。
アインは身体のばねを活かして跳るように立ち上がり、靴から小型のナイフを抜き取る。
これもまた、隣で倒れたままのマリアには見せていなかったものだ。

一瞬だけマリアの目を見る。

マリアの反応はアインの予想以上に素早いものだった。
彼女はアインに一つだけ頷くと、振り切るように拳を握って、立ち上がる。
そして背をむけて走り出し、何度も振り返りながら商店街の路地裏に消えていった。

迷わぬ逃走。
戦う力は不足していながらも、人の足を引っ張るという事態をよく知っている人間の反応だ。
つまりマリア自身が戦いに巻き込まれた経験がそれなりにある事の裏づけ。
これで彼女が話していた幾つかの情報に多少の信憑性が付加される。
アインは大沢マリアに関する思考をそこで打ち切った。
今は情報の整理よりも目の前の蒼髪の少女への対応が先なのだ。

一人だけ人数の減った商店街の大通り。
たった二人で対峙する。
初戦の相手にして、蒼髪の少女はアインの想定を大きく上回るスペックの持ち主。
正面から相手にするのは出来るだけ避けたくあったが、こうなってしまっては仕様がない。

敵の情報を統合する。
対敵――蒼髪の少女、服装は見知らぬ学校の制服。
武装は甲剣一つのみ。
これまでに放った銃弾は命中したが成果を発揮せず。
ただしこちらの肉体により直接触れる事は出来る模様。
なお最初に見せた高速移動は以後使用していない。

纏めた情報から最適な攻撃方法を選び出す。
今はまだ状況はイーブンに見えるが、敵の武力は現時点で圧倒的にこちらを上回っている。
しかも未だに底は見えていないのだ。
長期戦は望めないし、望まない。
ならばこそ、次は最良の一手で望む必要が有る。
氷りつくような時間の中で、アインはその機を待っていた。



――立華かなで
――01:03:43


エンジェルプレイヤーのスキルはこの世界でも使用可能であった。
しかし、幾つかの不調が散見される。
問題は不調がある、ということよりも不調の正体が掴めないことであったが。

天使にはいまいち理解できていなかった。
目前にいるショートカットの少女が何を考えているのか。
最初は一緒にいた金髪の少女に危害を加えようとしてるのかと思った。
だからこそ、天使はそれを止めようと、咄嗟に飛び出してしまったのだ。

しかし、目前の少女はその段階になって唐突に銃口の矛先を変えた。
隣を歩いていた金髪の少女から、天使へと、標的を切り替えたのだ。
更には金髪の少女をあっさりと逃がしている。
これではまるで、天使が悪者のようだ。
金髪の少女にはショートカットの少女が、自分を天使から守ったように見えたことだろう。

いやもしかすると本当にそうなのかもしれない。
天使が誤解していただけで、目の前の少女は金髪の少女を殺そうとしていた訳ではない、かもしれない。
その可能性も少なからずある。
しかし目前の少女は天使を殺すための動作を止めようとはしない。
油断無く、こちらに襲い掛かる契機を待っている。
なんにせよ、目の前の少女は最初に見た通りの無害な人物ではない事は確かだった。

天使は表情には出さなかったが、心中で苦みを感じずにはいられない。
慣れたことではあった。悪者にされる事は慣れている。
誤解されて、敵対して、銃を向けられて、分ってもらえない。
ここに来るまでにも、何度も何度もあった事だ。
SSSのメンバーと衝突する毎日。
音無結弦が彼女の前に現れるまで、それは幾度も繰り返された風景だった。

ただしあの世界とは決定的に違う事が一つある。
今度は、人が死ぬ。
失敗すれば、命が消えてしまう。
あの世界と同じやり方ではいけない。
加減一つ間違えれば、殺してしまうし、殺されてしまう。

全力で敵を無力化して止める。
厳しいが彼女が選んだ選択はこの一択。
天使は誰も殺したくなど無かったし、
彼女が今、会いたいと願う彼もきっと同じ選択をすると思うからこそ。

「「……………」」

天使も黒髪の少女も、やはり何も語らない。
仮面のように色の無い表情を向かい合わせながら、時間だけが流れていく。


――商店街
――01:05:05


一交錯は開始された。

アインは片手に持っていたベレッタを後方に投げ捨てた。
同時に抱えていたディパックも、口を開けた状態のまま後ろに滑らせる。
今は対敵に効果を及ぼさぬ要素など不要である。
現状で意味を持つものは握るナイフ一本に限定されているのだ。

天使はその動作を見送る事も無く、踏み込みを開始する。
先手必勝。一歩前に踏み出せば既に甲剣の斬撃範囲。
リーチは彼女が勝っているのだ。
更にこれで動作は天使が先んじた事になる。
動作もリーチも初手で凌駕し、甲剣はアインのナイフを斬り飛ばさんと迫り行く。

が、そんな順当な結果など許すはずも無く、続いてコンクリート蹴るアインの両足。
同時、屈んで折りたたんでいた上半身を一気に伸ばす。
壮絶な瞬発力。目にも留まらぬ猛禽の如き一挙動であった。
最大限引き付けていた剣を空振らせ、天使の首筋へとナイフの刃が伸びていく。

「ガードスキル、HandSonic、version.3」

またしても、詠唱がアインの耳に届いた。
直感に任せてナイフを手平で回転させ、逆手に持ち変える。
空振りに終わった左の甲剣など既に脅威に値しない。
だが引き絞られていた天使の右手にはたったいま、確かな脅威が付与された。
天使の右袖口から飛び出してくるもう一本の刃。
今度はただの甲剣ではなくトライデント状の刺殺武器。

フォークのように三つに枝分かれした先端の鋼鉄。
それが迫るナイフを挟み込むように受け止めた。

止まる両者。
止められたアイン。
一交錯は終わる。

暫し流れる静寂の中で、
ナイフは滑っていく、トライデントの上を。
対敵の肉へと近づいていく。

「…………っ!」

その危機に、天使の眉間がピクリと動く。
逆手の持ち替えが間に合った事はアインにとって僥倖だった。
接近戦の技術ならば並ぶ者なしと言われた手捌きが披露される。
アインをもってしても天使の高速移動は厄介な代物であったが、
こうして鍔迫り合いのような状況に持ち込んでしまえば、後は技で勝る彼女の有利。

「――!?」

なればこそ、次の一瞬で己の手が上半身を巻き込んで地面に落下したという事態には、アインをしても驚愕を感じずにはいられなかった。

天使は特に変わったことなどしていない。
技術面では、彼女はアインに劣る。
彼女はただ人間の常識を遥かに超えた怪力で、技など関係なく無理やりアインのナイフを地面に押し込んだだけのこと。
トライデントはコンクリートをぶち破って地に突き刺さる、アインのナイフを巻き込んだまま。
それを離さなかった、否、離す間すら与えられなかったアインの腕も同様に下方に連れて行く。
当然腕が繋がっている胴体も引っ張られて、アインはつんのめるような格好になる。

パッシブスキル――Overdrive.

高速移動、銃弾無効化、武器生成、更には常軌を逸した怪力。
爆撃機並といわれる天使の戦闘能力のまだ一端。

もう両腕では何をしようとも間に合わない。
武器は封じられ、さらに甲剣の腹がアインの首に迫り来る。
勝敗ここに決する――

――かに見えた。

しかしまだ、終わらない。
底が知れぬはファントムとて同じだった。

アインは、つんのめる勢いのまま地面につけていた左手に加え右手も地につけて。
両の腕の力でアスファルトを押し込む。連動して両足が地を蹴り飛ばして跳ね上がる。
アインの体勢の上下が、逆転する。
そして、右手を地面から離し、自分の懐に差し込み、『それ』を取り出した。

片手逆立ちの体勢。

その手に顕現するは核鉄。

唄われる詠唱。


「武装錬金――バルキリースカート」


空気を幾重にも切り裂いて、鋼の音が鳴り響く。

天へと緩い曲線を描いて伸ばされたアインの両足、その太腿に一つの武装が構築される。
重力に従い捲くれたスカートから飛び出してきた四本の黒いアームと、そこから続く漆黒の死の鎌(デスサイズ)。
それぞれの鎌が別個の意志を持つように旋回し、
アインの全身ごと急激回転しながら天使の頭上へ殺到する。

ここに、黒竜巻の如き斬撃乱舞が展開された。

「ガードスキル、delay――――!」

初戦における終末の攻防。

襲い来る死神の姿。

天使は瞠目と共に迎え撃つ。


――大沢マリア
――01:15:23


マリアは再び走っていた。

鞄とデジカメを握り締め、
商店街の裏路地を駆け抜ける。

あの時、アインがマリアを引き倒した時、彼女の声が聞こえていた。

『もう一度しか言わない、早く逃げて。消防署で待っていて……すぐに追いつくから』

正確な状況はマリアにもよく分らない。
アインはあの蒼い髪の少女からマリアを助けてくれたのだろうか。
単純に見ればそうなる。
しかしアインとて銃を隠し持っていた。
カナンのように戦いなれた姿を見ても、普通の女の子とはもう露ほども思えない。

「アイン……あなたは……それにあの子はいったい……」

せめて、
殺し合いに乗った者が迫っていたからこそ銃を取ったのだと。
そう信じたい気持ちはあるが、確信的な事は何もいえない。

アインの正体。青い髪の少女の正体。
まだ何も分らない。
残ったものは自分の命と、アインの言葉と、

「これだけ……」

逃げる直前に咄嗟にデジカメで撮影した一枚の写真のみであった。

【一日目 G-2 路地裏 深夜】


【大沢マリア@CANAAN】
[状態]:疲労(小)
[装備]:デジタルカメラ@現実
[道具]:基本支給品×2、確認済み支給品0~3
[思考]
基本:カナンを探す。自分の出来る事を見つける。
1:消防署を目指す――?
2:青い髪の少女(立華かなで)を警戒。
3:アインに対する疑念。
※デジタルカメラで立華かなでとアインの戦闘を撮影しました。

――立華かなで
――01:22:02

天使は商店街の路地裏をふらふらと、壁に手を付きながら歩いていた。
揺れ続ける視界の中を手探りで進んでいく。

「…………っ……ぁ……」

どうにか逃げ切ることは出来たらしい。
天使があの四本の鎌を凌ぎきった、と思った途端のこと。
黒髪の少女は後ろに飛んで、待機させてあったディパックから閃光手榴弾を取り出して投げつけ、
天使の目と耳を潰してきた。天使とて感覚器官に作用する攻撃は有効打の一つ。
前後不覚に陥った直後、脇腹に熱を覚えた瞬間には離脱を決行していた。

「…………つぅっ……」

そうして、迷い込んだ路地裏で、天使は遂に膝をついた。
こみ上げる吐き気と、ぐわんぐわんに歪む視界、限界。
脇腹から滴り落ちる血液。――傷は一向に塞がる気配を見せない。

(……倒れる)

思ったときには視界いっぱいにアスファルトが広がっている。
意識が闇に落ちていく。
そうして、天使は気を失う直前に、

「おやおや、こんな所でいかがされました? お嬢さん」

正面に立つ男性の、粘りつくような声を聞いた。


――アイン
――01:20:14


戦闘が終わってから既に数分の時がたっていた。

結果は痛み分け。
敵に傷を一つ負わせ、こちらは無傷ですんでいたが、いかんせん消費した武装が痛い。
閃光手榴弾の使用は有効ではあったが、取り返しの付かない損失だ。
この消費は後に自分の首を絞めかねない。

敵の撤退を許し、自らも撤退したのはリスクがリターンを上回った事に起因する。
ナイフが止められた時点で、彼女は戦いを終わらせるつもりだった。
無理に殺しに掛かっても現在の装備ではこちらが死ぬか、武装がからきしになる可能性があった。

あくまでアインは暗殺者。
正面きっての戦闘など、確実な勝利が約束されていなければ続行しない。
敵も今すぐに倒させねばならない相手ではなかった。

商店街の大通り北側の路地裏で、アインは武器の点検と共にもう一度情報の整理を行なっていた。

今回の行動の総括として。
アインはマリアを殺す寸前に、行動の指針を切り替えていた。
寸前で察知できた蒼髪の少女の接近。
マリアを殺害している間など消し飛んでいた。
あの速度を見せられただけでも、サイスマスターに危害のある人間と判断。
マリアより優先して排除を決断した。

あれにくらべれば、大沢マリアはとても鉄火場で戦える人物ではなく、性格上も人畜無害。
殺そうと思えばいつでも殺せる対象なのだ。
アインが殺さなくても誰か別の人間が殺すだろう。
ならばいちいちこちらが血を被る事はない。
だからこその即興の芝居。

『死にたくないなら、早く逃げて』

小を殺して敵を増やすよりも、利用したほうが有効なのは自明の理。
大沢マリアのような人物ならば、いかようにも使えるとアインは踏んだ。
例えば一度分かれても再度出会うことがあれば、マリアが得た情報を知ることが出来る。
マリアが係わり合い信用を得た人物にも近寄れるようになる。
死んでしまっても、死体から殺した者の情報を得ることが出来るだろう。
等々、他にも色々発展性がある。

暗殺はいかに敵を殺すかだけでなく、いかに敵まで近づくかも重要。

計算外があったとすれば、あまりに蒼髪の少女の動きが速かった為に、攻撃に移行するタイミングが早まったこと。
大沢マリアに銃を隠し持っていた事に関する、偽りの事情を説明する時間がなかった事である。
あれではマリアに対してアインまでも危険人物と認識させた可能性が大いにある。
確信には至っていないだろうが、疑念は植えつけてしまっただろう。
先の戦闘の経緯はベストではない。
ギリギリでベターと言ったところか。

さて、彼女は次の動作を決めなければならない。
大沢マリアに伝えた合流地点に赴くか、それとも違う場所を目指すか。

「…………」

立ち上がる。
方針は決まった。

彼女は次の行動に移る。

道具のように、機械のように。
けれどその胸の内に一つだけ、小さな希望を抱えながら。
その希望が既に消えていることなど知りもせず。

【一日目 G-2 北部路地裏 深夜】

【アイン@Phantom ~Requiem for the Phantom~】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM92FS、飛び出しナイフ@現実、核鉄「バルキリースカート・アナザータイプ」@武装錬金
[道具]:基本支給品、手榴弾セットx3
[思考]
基本:どのような形であれ、サイスマスターを勝利させる。
1:ひとまず消防署を目指す――?
2:利用できる者は利用し、このゲームを有利に進める。
3:使えない者、マスターに害ある者はリスクに応じて速やかに排除する。
4:マスターの優勝または脱出に繋がる情報を得る。
※サイスマスターとは今後の方針などを事前に決めました。
※第二部からの参戦。

――サイスマスター
――01:57:07



「始めたか……アイン」

商店街の路地裏で、サイスマスターは星を眺めていた。

アインの行動の真意を解する者は本人以外にはこの男一人であろう。

これからどのように動くかは、彼女自身からおおよそ聞いていた。
だからこその別行動でもある。
アインがこれから始める行動はファントムとしてのあらゆる手段。
殺害、工作、諜報、情報操作。
しかして行き着く結果必ずしも一つではない。
任務はサイスマスターの勝利。
しかしその勝利の形は一つではないからだ。
大別すれば三つとなる。
1.アインを含む全ての参加者を全滅させ、サイスマスターを優勝させる。
2.サイスマスターをこのゲームから、つまりはこの島から脱出させる。
3.ゲームを強要させる主催者を殺して、サイスマスターを殺し合いの舞台から逃がす。

順当にいけば1の方法を取る事になるが、参加者が化け物ぞろいなのは先刻承知。
その難度があまりに高いことはサイスマスターとて心得ている。
2はまだ現実的ではあるが1と違って具体的な方策が示されていない。
3など今は言うまでもなく却下だ。リスクが不明瞭であれば方策など欠片もない。

これよりアインはマスターの優勝を目指しつつ、脱出の方法を探りながら、利用できる者は最大限利用し、
加えてサイスマスターを害するものをリスクに応じて殺害するというスタンスを取るだろう。

「さて、ならば私も行動を開始するとしようか」

サイスマスターはゆっくりと視線を下ろし、路地裏の薄汚いアスファルトの地面を見る。
そこには思わぬ拾い物、蒼い髪の少女が意識を手放して横たわっていた。

【一日目 G-2 南部路地裏 深夜】


【サイスマスター@Phantom ~Requiem for the Phantom~】
[状態]:健康
[装備]:白い普段着
[道具]:基本支給品、不明支給品(確認済み)
[思考]
基本:どのような形であれ、このゲームに勝利する。
1:蒼い髪の少女(立華かなで)をどうするか……?
2:アインを利用する。策を弄する。
3:適切な行動の為の情報を集める。
※アインとは今後の方針、緊急の連絡方法等を事前に決めました。


【立華かなで@Angel Beats!】
[状態]:疲労(中)、気絶状態、脇腹に刺し傷
[装備]:制服、エンジェルプレイヤー
[道具]:基本支給品、オートマグ@現実、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:殺し合いを止めたい。音無に会いたい。
1:――
2:アインの真意に対する疑問。
3:音無を探す為に学校に行きたい。


013:闇の中の少年 投下順に読む 015:鮫は地を這い、竜は天を撃つ
時系列順に読む 016:トゥルーデは戦場へ行った
000:胎動 立華かなで 029:天使~Angel~
大沢マリア
アイン
サイスマスター

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