Wild mummys人物紹介
トートの巫女。気の強い脳筋少女
古代エジプトから来た少女
テレサ•メロディ
カルキノスの神装巫女。厨二病気味のカニ娘。
『Wild mummys』のマネージャー兼リーダー。何かと器用なギャンブラー。
前回までのあらすじ
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あるところに、5歳にも満たない少女がいた。
オシリス神から寵愛を受けた彼女は、魂をつかさどる不思議な力を持っていた。
それに目をつけたエジプトの神官は、彼女を呼び出し、魔道と魂を融合させ、現世に組み込む為の人体実験を始めた。
10年がすぎた頃、その実験は成功した。
彼女は、「人間の肉体と魂を隔てる物質」を生み出せるようになった。
その代償として少女は、痛覚を失い、感情を失い。その頭の中にあるのは、「魂を死後の世界へ導く」為の知識だけになった。
こうして、アザリーの先祖から代々続いてきた、1000年以上にも及ぶ研究は終わりを迎えた。
変貌を遂げた少女を、楽園へ導く者として、人々は
「死者の書」と呼んだ。
「み、見逃してもらえた…ってコト!?」
アザリーは、うんと返事した。
「ありがとう、テレサちゃん。君が隣にいると心強いよ。」
テレサは顔を赤くして、照れ隠しにアザリーの肩をバンバンと叩いた。
ひとまずはこれで一安心。
……というわけでもない。
根本的な問題がまだ残っている。
結局、此度のギリシャにおける太古の虫、「ザーダ」を大量発生させたのは何者なのだろうか?
アザリーにそんな能力はないし、偶然発生したにしてはタイミングが出来すぎていた。
あるいは──────。
その後、深夜にヒエロから連絡があった。
「今後の方針を決めたいから、海岸の洞窟で作戦会議をしよう」と、位置情報も送ってくれた。
なんにせよ、このギリシャから離れるのが一番だ。
誰が何を企んでいたとしても、彼女が姿をくらませばすべてが無駄になる。
生きる事を、第一に。
アザリーは、『wild mummys』に別れを告げる決心をし、歩き始めた。
山の麓にて、レイナ・ブラックローズは他の巫女達に今すぐギリシャから離れろと忠告し解散させた。
レイナは自分のスマホの画面を見る。
そこには先程アザリーに抱きついた時、こっそり仕込んでおいたGPSの位置が示されていた。
彼女達は今、南の海岸に向かって動いている。
そして、レイナの周りにはさきほど感じた異様な気配はもう感じられなかった。
つまり、それらは今、アザリーの後をつけている。
「アハハ!困っちゃうなぁ!
お祭りなら、ボクも混ぜてもらわないと!」
レイナは再び、2人の後を追い始めた。
「ここからは、オリュンポスの巫女として。
働かせてもらおうかな。」