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携帯×少女 微エロ

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携帯×少女 3-325様

部屋に携帯電話の着信音が響いた。
「何? この曲」
寝転んで雑誌をめくっていた手を止めて詩織は辺りを見回した。
緩い弧を描く肩口で切りそろえられた黒髪がふわりと揺れる。
聞き覚えのない曲に詩織は首を捻った。
雑誌をひっくり返し起き上がると音の出所を探る。
それは脱ぎ散らかしたままの学校の制服から発せられているようだった。
「もしかして誰かのケータイ、持って帰っちゃったのかな」
つぶやきながら詩織はポケットを探る。
ストラップごと引き出されたのは手のひらに収まる見慣れた携帯電話。
表面に施された控えめなデコレーションには詩織の名前が施されている。
イルミネーションが点滅を繰り返していた。
「何?」
詩織は眉をしかめて自身の携帯電話を眺める。
音は鳴り続けているが、小窓には何の表示もない。
着信ではない。
アラームでもない。
そもそも鳴り続けているこんな曲は落とした覚えもなかった。
ストラップを支点にぶら下げられた携帯電話はゆっくりと一回転する。
そこで音が鳴り止んだ。
『はじめまして てん もおかしいかな』
携帯電話から奇妙なイントネーションの合成音が発せられる。
何かの故障かと慌てて携帯電話を開くと勝手にメモ画面になっていた。
そこには今しがた読み上げられた言葉が打ち込まれている。
使ったことは無かったが文章を読み上げる機能があることは詩織も知っていた。
それ自体はおかしくはない。
しかし、その文字列は詩織が打ち込んだものではなかった。
『びっくり しないでほしい まる ぼくは てん きみのケータイなんだ まる』
携帯電話はつらつらと読み上げを続ける。
瞬きすら忘れ画面を見つめ携帯電話を握り締めたまま詩織は微動だにしなかった。
『しおり よくきいて』
名前を呼ばれ我に返ると詩織はめちゃくちゃにキーを押す。
しかし、どのボタンを押しても全く反応しなかった。
『ぼくは てん きみがすきだ』
その一言に、とうとう詩織は悲鳴を上げた。

「詩織、なに大きな声だしてるの」
「お、お母さんお母さん。ケータイが、ケータイが壊れちゃった」
顔を覗かせた母に半ベソで携帯電話を見せる。
しかし母はちょっと弄っただけで大げさに呆れて見せた。
「大げさなんだから電源が落ちてるだけで何処もおかしく無いじゃない」
「うそ。だって今、このケータイが勝手に喋りだして‥‥‥」
返された携帯電話は未読メールのお知らせがあるだけで、いつもと変わりなかった。
「はいはい、分かったから。暇なんだったらお風呂に入っちゃいなさい」
「はーい」
ドアを閉めてベッドに腰掛けると詩織は携帯電話をにらみつけた。
そして恐る恐る携帯電話を開くと指を踊らせる。
新着情報の確認から、スケジュール、アラームの設定、インターネットへの接続。
何の問題も無く、いつも通りに操作ができた。
「気のせい、だったのかなー‥‥‥」
ぽふり、と身を倒し使い慣れた携帯電話を胸に抱いて安堵の息を吐いた。
『ぼくのこと てん きにしてくれてるの』
急に発せられた音声に驚いた詩織は握り締めていた携帯電話を取り落とした。
肌に触れた少し重みのある冷たい感触に慌てて身を起こす。
『しおり てん すきだよ』
詩織の動きに後押しされ携帯電話は抵抗も無くすべらかな体の下へと滑り込んだ。
「ど、どこ、どこ?」
形の見えない不安に駆られ辺りを探るが、見つからない。
『ここだよ』
くぐもった音声は箱座りになった体の真下から聞こえた。
気づいた詩織が腰を上げるより早くバイブ音が響く。
「あっ!はぅ‥‥‥っ」
局部への不意の刺激に詩織は体をくねらせた。
『しおり てん きもちいい はてなまーく』
「ふぁっ、ああ!そ‥‥‥そこ」
股の間に手を入れ引き離そうと試みるが、すべすべしている携帯電話は焦れば焦るほどに上手く掴むことはできない。
それどころか詩織の手が触れる度に携帯電話はバイブモードを変化させたため、違う角度と強さの刺激になり詩織は体を跳ねさせた。

結局、充電が切れるまで詩織は携帯電話を引き離すことは出来なかった。

<終?>






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