人外と人間

悪魔×少女 オカンな悪魔 完

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オカンな悪魔 完 0-14様

繊細なバイオリンの旋律のクラシックが会話を邪魔しない程度の音量で静かに流れている。
ピンと張られたシミ一つ無いクロスが敷かれたテーブルには香りを押さえた花が飾られ、壁には美術展で見るような重厚な質感の油絵が掛けられている。
東京ミシュランにも掲載された創作フランス料理の高級レストラン。
価格破壊の激しい最中、ワインだけで十万円以上取られるレストランの個室で、優香は目の前の白い皿の濃厚なソースの掛ったステーキを苦労して腹に収めていた。
去年の春から同居している、口うるさいが料理の腕は天下逸品の悪魔の作る薄味の和食のせいで、夕食に重いモノは胃が受け付けてくれない。
お腹に溜まる食事に小さく息をつくと最後の肉片を飲み込み、背の高いグラスから水を飲んだ。
食が中々進まないのはテーブルに同席している一組の男女のせいもある。
ブランドのスーツを普段着のように自然に着こなした薄い顔の男と、一回ン十万円のエステのお陰で未だに一つの皺も弛みも無い整った顔の女。

「うむ…例のミシュラン掲載以来、少々味が濃くなったな。」
「押し掛ける大衆客向けに味を変えたのかしら。」

お互い作ったような笑顔で自分に笑い掛ける二人…自分の両親に優香は聞こえないよう深く息を吐いた。

最後に運ばれてきたデザートにほっと息をつくとスプーンを取り上げる。
これまた濃厚な味ののムースに胸焼けしながらも、これで最後と無理をして食べていると、隣で食後酒を飲んでいる父がチラリと優香を見た。

「お前も今年で中学三年生か…。」
「えっ?そうなの?」

母が驚いた声を上げる。そんな母に小さく苦笑を口端に刻むと父は、彼がいつも取引相手にそうするように優香を上から下まで値踏みするような目付きで眺めた。

「進学先は決めておくから、今度のテストの結果を送れ。成績次第では受験まで学習プランを立てねばならん。」
「…学校はどこにするの?」

優香の消え入りそうな声の問いにグラスを傾けつつ唸る。

「如月グループの娘に相応しいところだ。全く母さんにも困ったものだ。
あんな平凡な学校に決められたお陰で三年間が無駄になってしまった。」

無駄ときっぱりと言われ、優香の持つスプーンが小さく震え、皿に固い音を立てる。

「だから私が言ったでしょ。海外の学校が良いって。お母様ったらそれでは優香が一人で可哀想なんていうんだもの。今度こそ海外のお嬢様学校にしましょうよ。良い自慢になるわ。」
「…それじゃあ、今のお友達と離れちゃうよ…。」

小さく抗議する娘に母がコンマ一ミリ単位で整えた細い眉をピクリと動かす。

「あんな一般の学校の子なんてどうでもいいでしょう。新しい学校でもっと格式のある家の子と付き合えば良いじゃない。」

優香は小さく唇を噛んだ。
いつもこうだ。父と母は自分言うことなど少しも聞きはしないし、自分の気持ちを考えることなど最初からしようとすらしない。
虚しさの漂う会話に、もうこんな不快な時間は早く終わらせようと無理矢理、皿のムースを口に押し込む。

「それと最近お前のマンションに一緒に住んでいるという男のことだが…。」

父の言葉に優香の口の動きが止まった。

「やだ、この子ったらこの歳で男を部屋に引っ張り込んでいるの?」

母が嘲るような笑みを父に向ける。「誰に似たのかしら?」

「お前だろう。」

あっさりと眉一つ動かさず父は母に言ってのけると優香に向き直り言葉を続ける。

「母さんの知り合いの親戚の男という触れ込みらしいが調べはついている。
どこの馬の骨かはしらんが早々に追い出すからな。代わりに家庭教師兼任の家政婦を入れる。
今度は住み込みで勉強も生活面も厳しくしつけてくれる者をな。」

…モウンと別れさせられちゃう…。

スプーンを握る指が震えながら白くなる。微かにぼやけ始めた視界の向こうで父と母がお互いに皮肉りながら自分の進路を話し合っている。
完全に自分を置いてけぼりにした会話を聞きながら、優香は必死に二人の前で泣き出してしまわないように唇を噛み締めていた。

「遅い。」

マンションの入り口でオートロックを開けて、自分の部屋の玄関のドアを潜った途端、玄関で正座で待ち受けていた割烹着姿の黒い牛頭の悪魔が文句を言う。

「ごめんなさい。」

小さく謝ると大きな手を伸ばし優香の手のバッグを受け取る。

「お前に言っているんじゃない。全く中学生をこんな夜中まで引き回してお前の両親は何を考えているのだ?」

既に日付が変わった時計の針を睨むモウンに、「自分達のことしか考えて無いよ。」と答えそうになって優香は口をつぐんだ。

「風呂が沸いている。入って来い。着替えももう用意してある。」
「うん。」

いつものように手際の良い悪魔に素直に頷く。
次々と先回りして世話を焼いてくれるモウンの隣がいつも以上に心地良い。バッグの手入れをする為、自分の部屋に向かう大きな背中に急にすがりつきたくなって手を伸ばしかける。

…別れたくない…!!

先程見た父の薄い笑みが脳裏を横切る。少女は一つ息をつくと腕を下ろし風呂場へと向かった。


風呂場は柔らかなラベンダーの香りが満ちていた。
この一年の付き合いでモウンは、彼女が両親と会ったときは心身共に疲れて果てて帰って来るのを知っている。
薄紫色のお湯に満たされたバスタブで細い手足を伸ばして、優香は湯気の向こうの白い壁を眺めた。

『優香ちゃん、お風呂が沸いているから入ってらっしゃい。』

優しい祖母の声が聞こえる。祖母も彼女が両親と出掛けて帰って来た時は、この香りのするお風呂を用意してくれていた。

「おばあちゃん、あたしね、モウンに出会ったとき、おばあちゃんの代わりをしてくれる人に会えたと思ったの…。」

小さな声が風呂場に響く。

「でも…今は違うんだ…。」

あの、いっしょに居てくれると言ってくれた晩のキス以来、モウンの態度はわずかながら優しくなってきている。
初めは自分のコレクションの「お嬢様」を育てる為の、手は込んでいるが事務的な世話だったのが、少しずつ優香の気持ちに合わせてくれるようになっていた。
いつもどんなに遅くなっても玄関で待っていてくれる。落ち込んでいると黙っていても優香の好きな食事を作ってくれ、なるべく側にいてくれる。
いつも態度はそっけないが、そこには自分への気持ちが込められている気がした。

「…別れたくない、離れたくないよ…。」

声が涙を帯びていく。
ずっと側にいて欲しい。世話を焼いてくれなくていいから、「お嬢様」コレクションのひとつでいいから、ずっとずっといっしょにいて欲しい。

「…モウン…。」

喉の鳴る音が重なる。湯気以上にぼやけた視界に優香は両手を顔に当てた。ずっと堪えていた涙が零れ落ちる。
しかし、父はやるといったらやる男だ。いずれは自分がそうしたように自分の都合良く嫁がせる一人娘に悪い噂が立たないよう、モウンをどんな手段を使っても優香から引き離すに違いない。

「やだよ…だって…あたし、モウンのこと…。」

父や母からすれば今の自分の想い等、爪の欠片程にも気にならないモノだろう。
手で顔を覆ったまま優香はどうにも出来ないむなしさにポロポロと泣き続けた。

風呂から上がってパジャマに着替えリビングに入ると、テーブルの上に可愛い花柄のカップが置いてある。

「ジャスミンティーだ。口の中がさっぱりする。」

隣に座った世話焼きな悪魔の声に暖かな金色のお茶を啜る。涼やかな花の香りと共に口の中に粘ついたまま残っていたムースの味が溶けて流れていく。

「後、これも飲んでおけ。胃薬だ。お前は夜中に重い食事を取ると必ず胃がもたれるからな。」

トレイに乗せて差し出された水と粉薬を受け取り飲み込む。薬の苦味に顔を顰めてジャスミンティーの残りで口をゆすいでいると大きな黒い手が頭の上に乗った。

「いやに長風呂だと思っていたら、泣いていたのか?気にするな。お前の両親等、俺にかかればどうにでも出来る。」

内容は物騒だが優しい響きの声に顔を上げる。赤い瞳はあの墓参りの出来事以来、どこかいつも自分に暖かい。

…モウン…。

優香は思わず彼に飛びついた。

「おい!?」

いきなり首に抱きついてきた少女にモウンが驚きの声を上げる。
それに構わず優香は彼の背中に手を回すと思いっきり叫んだ。

「あたしを今すぐ魔界に連れて行って!!」
「はぁ!?」
「お願い!あたしを今すぐにモウンのお城に連れていって!!」

抱きつく手に力を込め、呆然としている悪魔に訴える。

「お願い、向こうでモウン好みの「お嬢様」になるから、もしなれなかったらメイドさんでもなんでもやるから、あたしをモウンの側に置いて!!」
「…おい、優香…。」
「お父さんがモウンをここから追い出すって…。」

また涙が零れ出す。

「お父さんはするっていたら、何でもやってしまう人なの。あたし、モウンと別れさせられちゃう…。」
「おい、お前は俺をいったい何だと…。」
「別れたくないの!!離れたくなんてないの!!」

ギュッとしがみ付き、暖かな大きな肩に顔を埋める。

「…あたし、モウンが好きだよ。大好きだよ。だから、お願い、ずっと側に居させて。」

赤い瞳を丸くしている悪魔に顔を上げ、涙に濡れた目を向ける。
優香はそっと柔らかなビロードのような短い毛に覆われた首から頬へと手を撫でるように回した。
そのままモウンの頬を両手で挟む。ゆっくりと顔を近づけ自分の唇を彼のいかつい唇に重ねると、目を閉じて強く押し付けた。

…全く、この娘は…。

目を閉じ、すがりつくように自分に口付ける少女の背に腕を回して抱き寄せる。

…どこまで、俺を惑わせれば気が済むんだ…。

いつもなら、連れて行けと訴えた段階で嬉々として魔界に連れて行くところだ。…普通の人間なら。
ゆっくりと唇を動かし、優香の小さな下唇を挟む。そのまま上唇を上げて少女の口を開けると舌を暖かな口内へと滑り込ませた。

「…んっ…。」

モウンの厚い舌に優香が小さく呻く。チロチロと舌を動かし中をまさぐるとおずおずと彼女は自分の舌を絡めてくる。
一度唇を離し、今度は彼女の口を覆うように口を重ねる。モウンは再度舌を彼女の口の中に潜り込ませた。
拙い動きの優香の舌に強引に舌を絡める。舌を離すと歯列を頬の内側を舌先でなぞる。
クチャリと湿った音がお互いの頭に響いた。

「…ふ…っ…。」

塞がれた口から篭った呻き声が漏れる。
小さな少女の口には余る大きな牛の舌を受け入れているというのに優香は引こうとはしない。
手を首に回しすがりつく少女の身体をモウンはしっかりと抱き締めた。
自分と契約した様々な人間の顔が浮かぶ。永遠の美貌と若さを求め、自ら淫魔となることを望んだ少女、悪魔の与える快楽を求め身体を投げ出した女、自分から見れば、つかの間の現世での富と名誉を求め悪魔を喚んだ男、すべて望みを敵えた時点で自分の格を上げる魂のコレクションとして魔界に連れて帰った。

だが…。

暖かな少女の口内を思う存分味わいながらモウンは満たされるような心地良さに酔った。

この娘は、優香は違う。

大きな手で少女の身体をまさぐる。背中から前へ、未発達な小ぶりな胸を軽く揉むと腕の中の細い身体がビクリと跳ねる。だが、優香は唇を離そうとしない。小さな舌が口の内を嘗め回すモウンの大きな舌を撫でている。

この娘が求めているのは俺自身だ。

手を少女の股下に伸ばす。パジャマのズボンの上から股間を後ろから前へ何度も撫でる。

「…ふあっ…!」

甘い刺激に反射的に離れようとした頭の後ろに手を回し、強引にキスを続ける。

こいつは俺を…俺そのものを欲しがっている。

太い指で秘裂をなぞる。探り当てた肉芽を指で押し潰すと細い身体が仰け反った。

「…ああっ!!」

強い刺激に優香が思わず口を離す。唾液の糸が二人を繋ぎ、プツリと切れた。
息を乱した少女が濡れた目で自分を見上げている。
モウンは小さく笑むとその細い身体を思いっきり抱き締めた。

「魔界に連れて行けというのなら、連れて行ってやる。」

少女の柔らかな背中を撫でながら、モウンは言い聞かせるように黒い髪の耳元で話し掛けた。

「しかし、本当に良いのか?後悔はないか?人としてやりたいことは残っていないのか?」

畳み掛けるような質問に優香は顔を上げた。

「どうして…そんなことを聞くの?」
「俺は泣いたままのお前を魔界に連れていくつもりはない。」

モウンは顔を顰めると真っ直ぐな優香の視線から目を反らせた。

「どうせなら笑顔の方が良い。その…いつもの笑顔のお前を連れて行きたい。」
「でも…。」
「父親のことなら気にするな。さっきも言ったが俺は悪魔だ。人間の心を変える等造作もない。」
「優しいんだ、モウン。」

優香は思わず笑い出した。両親に今日の夕方、学校から強引に食事に連れていかれて以来、初めて笑ったなと思う。
悪魔は腕の中の少女の笑顔をチラリと横目で眩しそうに見ると大きく息を吐いた。

「…自分でも最近知ったが、どうやら俺は惚れた女にはとことん甘いらしい。」
「え?」

優香は目を丸くした。目の前の悪魔の牛の耳がピクピクと震えている。ゆっくりと言葉の意味を考え、気がついた瞬間、少女の顔が赤くなった。

「それって、もしかして告白?」
「…うるさい。」

モウンが更に顔を顰める。

「…モウンって照れるとしかめっ面になるのよね。」
「…やかましい。」

むっとした声に笑い出す。明るい弾けるような声でひとしきり笑うと悪魔の胸に寄り添い身体を預けた。
学校の友人達の笑顔を思い浮かべる。つい先日彼岸の墓参りに行った祖母の墓も。

「…皆と同じ高校に行きたいな…後、おばちゃんのお墓もひとりぼっちにしたくない…。」
「契約変更だな。」

モウンがニヤリと笑い、優香に真っ直ぐ顔を向けた。

「俺はお前の側にいてお前を両親から守る。その代わり、お前にはその高校とやらを終え、祖母の墓をどうするかを決めた後、俺の「花嫁」として魔界に来てもらう。」

モウンの口から出た「花嫁」という単語に優香の頬が再度赤く染まる。

「…もう「お嬢様」にはならなくていいの?」
「これを知ってしまったからな。」

モウンの太い人差し指が優香の股の間に入り込み、まだ痺れが残る肉芽を弾く。

「やぁん!!」

再度与えられた刺激に優香が大きな胸にしがみ付く。

「うずいているだろう。イカせてやろうか?」
「…うん。」

恥ずかしさから胸に顔を伏せ頷く腕の中の少女に悪魔の喉が更に楽しげに鳴り響いた。

優香をソファーに寝かせ、剥き出しにした細い足の太ももに手を掛けて大きく割り開く。
まだ女に成り切らない少女の秘所を眺めてモウンが小さく鼻を鳴らした。
浅い茂み、男を知らないピンク色に割れ目には小さな肉芽が触れて欲しそうに顔を覗かせている。

「…は、恥ずかしいよぉ…。」

消え入りそうな優香の抗議を無視して秘裂を指で開く。

「…ん…。」

小さく呻く声を聞きながら、そっと奥の窪みを指でつついた。

「…つっ!!」

優香が痛みに息を飲む。

「まだまだ、ここはお子様だな。」

ボソリと呟いた悪魔に「その、お子様にいやらしいことしているのは誰よ!」と声が上がる。

「どれ、どのくらいのモノになるか確かめてみるか…。」

モウンは青黒い大きな牛の舌をヌラリと出すとざらついたそれで優香の秘所を下から上へと舐め上げた。

「ひやぁ!!」

覚悟していたとはいえ、予想していたより遥かに大きく甘い刺激に優香が声を上げる。
ゆっくりと表面を軽く覆うように舐めながら、手をパジャマの中に入れる。
下着の中に手を入れるとまだ未発達な胸を撫で回した。

「…うっ…ああ、あっ、ううん…。」

秘所と胸に与えられる刺激に優香が小さく身じろぐ。薄い胸を寄せるように撫で回し、頂に指を触れさせると更に甘い声が響く。
太い指で両方の頂きをこね、ヌラヌラと舌を動かし秘裂を開くと壁に丁寧に舌を這わす。
ゆっくりと形を確かめるように花弁を嘗め回し、ぷっくりと膨れた肉芽をつついた。

「…あっ!!ああん…はぁ…。」

優香の顔が歪む。小さな手がすがるものを欲しがり彷徨い、パジャマ越しに下腹に当たるモウンの牛の角を掴むとしっかりと握り締めた。
膝裏に手を掛け、足を高く持ち上げる。大きな舌が少女の太ももを這い上がる。
所々強く吸い付き、赤い跡を散らすと優香が甘さを伴う微かな痛みに小さく呻く。
左右の足の付け根に吸い付き、そこにも跡を残す。舌を秘所に戻しほぐすように丁寧に窪みの上をなぞり、つつくと乱れた息と同時に細い身体が震えた。
小さく指を鳴らし、脳裏に自分が愛撫する優香の姿を映し出す。
舌先で肉芽をつつき、くすぐりこねる。最も敏感な部分を弄られて優香が甘い声を上げつつ反射的に足を閉じようとする。
太ももに掛けた手に力を込めて、それを押し返すと彼女は大きく身をよじり、角を掴む手に更に力が篭り指が白く染まった。

「ほお…色っぽいな…。」

感心の声を上げると与えられる刺激に敏感になった肉芽に掛った息だけで感じてしまうのか、優香がぎゅっと唇を噛んで首を振る。ショートヘアの髪がソファーの布に当たりパサパサと音を立てた。

「なかなかのものだ。」

再度股間に顔を埋めると、牛頭の男の角を握り締め、快楽に細い眉を顰め、閉じた紅色に染まった瞼を震わせて鳴く少女の姿が脳裏に映される。
小さな口は初めて他人から与えられる甘い刺激に大きく開き、喘ぎ声と共に透明な唾液が口端から零れた。

「ああ…ああっ…やだ…あん…やだぁ!!」

細い身体が弓なりに仰け反る。ザラザラとした獣の舌に執拗に秘所を嘗め尽くされ、足の指がビクビクと跳ねる。
固く閉じた瞼から涙が零れ落ちた。

「やだぁ…やだよぉ…。」

想像以上の強い快楽に耐え切れず少女が泣き出す。だが、身体自体は反対に素直に刺激に反応し蜜を零す。
それを見て、まだ何も入ったことの無い胎内に悪魔の舌が滑り込んだ。ヌラリとした感触にヒクッっと喉が鳴る。

「して欲しいと言ったのはお前だろう?」
「でも…でもぉ…っ!!」

もう一度、舌が胎内に入り込む。大きな牛の舌は微かな痛みを伴いながら彼女の身体を開き、中で蠢く。
不可解な、だが確かな今までもよりも身体の奥底に響くような未知の快楽に優香は大きく首を振った。

「やだ!!…やだ、やだぁ!!」

太い指が秘裂を割り、壁を走り、肉芽を撫でる。胎内では大きな舌がうねうねと動く。
直接与えられる鋭い刺激と奥を掘り起こすような刺激、重なる二つの快楽に幼い腰が動き始める。

これは、なかなかのモノになりそうだ…。

上物を手に入れた予感にモウンの口端が綻ぶ。しかも心も自分に夢中の娘だ。

「もう、やだ…やめて、やだ!!…あっ…ああっ!!」

否定の言葉が悪魔をより喜ばせているとは解からず少女が叫ぶ。
自分の身体がより深い快楽を求めて動き出しているとも知らず、腰を振りながら喘ぐ。
奥から蜜が湧き出し、悪魔の舌を刺激する。

ここまでにしておいてやるか…。

ヒクヒクと震える喉と零れる涙に愛おしさを感じながら、モウンは大きく舌を動かし優香の胎内を嘗め上げた。
同時に指で肉芽を摘み押し潰す。

「あっ…あああっ!!」

少女の身体が大きく跳ね、悪魔の舌を締め付ける。甲高い甘い悲鳴の後、細い身体はぐったりとソファーに落ち込んだ。

口の周りについた優香の蜜を青黒い舌で舐め取るとモウンはまだ身体を震わせている少女を抱き締めた。
荒い息をしている口元の唾液を舐め、そのまま軽く口付ける。

「…あの…モウン、その…もう終わり?」

戸惑いつつも聞いてくる声に「最後までして欲しかったのか?」と問うと優香は困った顔で眉を顰めた。

「俺をその辺の年中発情中のがっついた餓鬼と同じにするな。お子様の身体に無理を強いるつもりはない。」
「…お子様じゃないもん…。」

優香がむっとしたように頬を膨らます。「それが、お子様だ。」からかうような悪魔の声に今度は口を尖らせる。

「どうせ、お前は俺のモノだ。これからゆっくりと教え込んでやる。」

モウンは楽しげに喉を鳴らした。

「このまま処女のまま開発して、挿れて欲しさに自分で股を開いてよがりながら、俺の上に跨るように仕立て上げても良いな。」
「モウンの変態…。」

頬を染めて抗議する少女に赤い瞳がいたずらめいた笑みを含んだ。

「悪魔を惚れさせたんだ。それくらい覚悟しろ。」
「…う〜。」
「悪魔に惚れたんだ、それくらい我慢しろ。」
「…う〜。」

不満げに唸りつつも自分から離れようとしない少女の頭をモウンは優しく撫でた。

「風呂場に連れていってやるから、身体を洗って、もう寝ろ。お子様はとっくにねんねの時間だ。」

脱がしたズボンと下着を拾って、腕の中の少女に言い聞かせる。

「…お子様じゃないもん。」
「明日は特別好きな時間まで寝ていていいぞ。起きたら軽い食事を用意しておく。」
「うん。」

口では子供では無いと言いつつも優香は幼女のような甘えた笑みを浮かべる。

「高校とやらは自分で決めろ。お前には俺がついている。父親に化けて手続きを取るのも、後で両親に自分が納得して了解したんだと暗示を掛けるのも簡単に出来るからな。」
「うん!」

心底安心した顔で嬉しそうに笑う優香を黒い牛顔が覗き込む。悪魔はニヤリと笑うと大きく鼻を鳴らした。

「その代わり、これからは「お嬢様」ではなく、俺の「花嫁」に相応しい「淑女」になって貰う。
…もちろん、夜の方もだ。」

黒い手が剥き出しの下腹を撫でる。

「…ん…!」

小さく身を捻り、優香が自分の悪魔を睨み付ける。

「…変態。」
「諦めろ。」

モウンが喉を鳴らして笑った。

「絶対に離さんからな。」
「うん。」

腕を伸ばし、太い首に抱きつく。モウンが優香を抱き上げ、廊下を歩き出す。
二年ぶりに出来た暖かな居場所に少女の顔に花のような笑みが零れる。
優香は自分の悪魔の腕の中に全身を預け、頭を寄せると抱きつく手にしっかりと力を込めた。


(了)





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