善意の果てに── おまけ 1-59様
「……あら?」
夏の木洩れ日が心地良い昼下がり、山を散歩していた少女はそこにはあるはずのないものを見つけた。
「……パン?」
それは半分に千切られたロールパンだった。しかもカビている所はどこにもないことから、まだ新しいことが分かる。こんな今ではろくに人が通らない山道を使う人がまだいたとは。随分と物好きな旅人である。
しかし、パンなどという人の作った食べ物を見るのは何時以来だろうか。もう一年以上果物や木の実しか食べていなかったから、こうした人間染みたものを見ると懐かしい気持ちになる。
それに幸運なことに、このパンはまだ食べられるようだ。こんなについていることはない。きっと今一緒に過ごしている同居人もこれをもって帰って見せたら目を見開いて驚くのではないだろうか。
腹ごなしの散歩で、いつもより遠くへ行こうと思いついてラッキーだった。
「っと、そろそろ帰らないと」
同居人が心配してそわそわと尻尾を振り始めている頃だろうか。
少女は拾ったパンを大事に抱えて愛すべき同居人の元へと駆けて行った。
そうだ、帰ったらこの半分このパンを更に半分こにして一緒に食べよう。
「竜さん、喜ぶかしら」
少女は大きくて優しい同居人と並んで食べるところを想像してにやけながら帰っていった。
暗い、暗い、森の奥へと……。
夏の木洩れ日が心地良い昼下がり、山を散歩していた少女はそこにはあるはずのないものを見つけた。
「……パン?」
それは半分に千切られたロールパンだった。しかもカビている所はどこにもないことから、まだ新しいことが分かる。こんな今ではろくに人が通らない山道を使う人がまだいたとは。随分と物好きな旅人である。
しかし、パンなどという人の作った食べ物を見るのは何時以来だろうか。もう一年以上果物や木の実しか食べていなかったから、こうした人間染みたものを見ると懐かしい気持ちになる。
それに幸運なことに、このパンはまだ食べられるようだ。こんなについていることはない。きっと今一緒に過ごしている同居人もこれをもって帰って見せたら目を見開いて驚くのではないだろうか。
腹ごなしの散歩で、いつもより遠くへ行こうと思いついてラッキーだった。
「っと、そろそろ帰らないと」
同居人が心配してそわそわと尻尾を振り始めている頃だろうか。
少女は拾ったパンを大事に抱えて愛すべき同居人の元へと駆けて行った。
そうだ、帰ったらこの半分このパンを更に半分こにして一緒に食べよう。
「竜さん、喜ぶかしら」
少女は大きくて優しい同居人と並んで食べるところを想像してにやけながら帰っていった。
暗い、暗い、森の奥へと……。