人気の少ない夜の街に、未練を残した霊の影が4つ集まる。
「気づいてるか。」
「ああ。」
二人は生前からの友人であり、この霊界に至っても共にいることを選んだ、筋金入りの親友である。
「よし、次はあいつらだ、狩るぞ」
「はいよ、兄ちゃん!」
二人は兄弟であり、死因はまったく異なるものの、同時期に死に至り、そして同時期にこの霊界に現れた存在である。
「ああ。」
二人は生前からの友人であり、この霊界に至っても共にいることを選んだ、筋金入りの親友である。
「よし、次はあいつらだ、狩るぞ」
「はいよ、兄ちゃん!」
二人は兄弟であり、死因はまったく異なるものの、同時期に死に至り、そして同時期にこの霊界に現れた存在である。
彼らの戦いは、ここに始まる。
_____
走ってきている音が耳に入る。
ばちり、ばちりと自らの死因に由来した力が駆動している音が耳に入る。
ばちり、ばちりと自らの死因に由来した力が駆動している音が耳に入る。
「よう!
そう言い、相棒が迫ってきた敵相手に電線を叩きつけた。
「ちいっバレてたか!」
そう、後ろから迫ってきていた一人が言う。そう、一人だ。
ぎうりん…
「二人相手に一人で挑みかかってくるとは度胸あるねぇ!」
「そうだな、俺一人で十分かもしれないが…」
ぎうりん…ぎうりん…
まだだな。あと数秒。
そう言い、相棒が迫ってきた敵相手に電線を叩きつけた。
「ちいっバレてたか!」
そう、後ろから迫ってきていた一人が言う。そう、一人だ。
ぎうりん…
「二人相手に一人で挑みかかってくるとは度胸あるねぇ!」
「そうだな、俺一人で十分かもしれないが…」
ぎうりん…ぎうりん…
まだだな。あと数秒。
「隙を見せたなっ…!」
もう一人が陰から俺に向かって飛び出す。
隙じゃなくて準備だよバカヤロー
そう、ヘルメットと保護メガネをつけた俺は考える。
目配せをする。お互いに助けは不要らしい。
ぎうりん…ぎうりん…ぎうりんぎうりんぎうりんぎうりん!
「それは良かったなあ!」
俺はそう言いながら無防備に近づいてきたバカにチェーンソウを生成し、向ける。
「てめっ!」
チッ、紙一重で避けられたか。
もう一人が陰から俺に向かって飛び出す。
隙じゃなくて準備だよバカヤロー
そう、ヘルメットと保護メガネをつけた俺は考える。
目配せをする。お互いに助けは不要らしい。
ぎうりん…ぎうりん…ぎうりんぎうりんぎうりんぎうりん!
「それは良かったなあ!」
俺はそう言いながら無防備に近づいてきたバカにチェーンソウを生成し、向ける。
「てめっ!」
チッ、紙一重で避けられたか。
領域が混じり始める。
だが…これは…どうなっている?
すさまじい勢いで情景が移り変わっていく。
四人の領域が混じり合ったからか…あるいは全員の領域の親和性が無さすぎたりしたのか?
だが…これは…どうなっている?
すさまじい勢いで情景が移り変わっていく。
四人の領域が混じり合ったからか…あるいは全員の領域の親和性が無さすぎたりしたのか?
未だに領域は安定しない。
いや…だが。今のうちにこれをすれば…主導権を握れるんじゃないか?
いや…だが。今のうちにこれをすれば…主導権を握れるんじゃないか?
「俺の名前は!」
「俺の名は!」
しかし、相手の一人も同時に同じ結論に辿り着いたらしい。
そして、一歩遅れて、相棒とあともう一人もそれを始めた。
「ここに確かに存る俺の名は!」
「ぼ、僕の名前は!」
「俺の名は!」
しかし、相手の一人も同時に同じ結論に辿り着いたらしい。
そして、一歩遅れて、相棒とあともう一人もそれを始めた。
「ここに確かに存る俺の名は!」
「ぼ、僕の名前は!」
「「「「我が死因は!
樹木による圧死!」
ビルからの転落死!」
電線からの感電死!」
植物による服毒死!」
樹木による圧死!」
ビルからの転落死!」
電線からの感電死!」
植物による服毒死!」
急速に領域がまとまっていく。
電柱が地より生まれる。
それに色づいた植物が絡まり合う。
樹木が次々と芽生える。
それらを破砕しながらビルが一気に建築されていく。
ビルの一部は植物どもに侵食され朽ちた。
電柱は木々に混ざりながら互いに電線を伸ばし、電線に触れた植物は燃え始めた。
電柱が地より生まれる。
それに色づいた植物が絡まり合う。
樹木が次々と芽生える。
それらを破砕しながらビルが一気に建築されていく。
ビルの一部は植物どもに侵食され朽ちた。
電柱は木々に混ざりながら互いに電線を伸ばし、電線に触れた植物は燃え始めた。
それぞれが死した場所が、まぶたの裏に焼き付いて離れない風景が、混じり、干渉しあい、奪い合い、混じり合った。
結果的にはポストアポカリプスのようなと例えたい、自然の脅威が、人の脅威が、互いにぶつかり合い均衡を保つような情景へと夜の街は塗り替えられた。
中心にはビルが聳え立ち、そこを囲むように電柱と樹木が生えて、そのどちらでも良いと言わんばかりの毒草が絡みついている。
自然の中にも、人の領域の中にも火が立っており否が応でも長期戦はどちらも死ぬだけだということを突きつけられる
そして相棒、つまりは傳も相手の気弱そうな方…花鳥だったかも今ここにはいない。
相棒は…ビルの中にいた。
そして花鳥は森の奥地にいた。
どちらも領域が生成され切る前に自身にとって有利なフィールドに陣取ったらしい。
そしてこの場にいる俺たちは、お互いに敵が陣取る陣地へと目の前にいる敵を無視して駆け出す。
ここで戦うのも、自分の仲間の方へ行くのも事態を膠着させ、共倒れを招きかねないからだ。
相棒は…ビルの中にいた。
そして花鳥は森の奥地にいた。
どちらも領域が生成され切る前に自身にとって有利なフィールドに陣取ったらしい。
そしてこの場にいる俺たちは、お互いに敵が陣取る陣地へと目の前にいる敵を無視して駆け出す。
ここで戦うのも、自分の仲間の方へ行くのも事態を膠着させ、共倒れを招きかねないからだ。
とりあえず今もっているチェーンソウは別のチェーンソウを新しく呼び出せることもあって、そこらに置いてそのまま森へと駆け出す。
森に踏み出すと、気づく。ここは完全に相手の陣地、それも「ダンジョン」のような陣地と化していると。当然俺の死因の要素も混じっているから俺のよく知る人工林でも確かにあるが…まあ見たことのない植物の多いこと。
確かあいつは「植物による服毒死」だったか。なら、ここに生えている見知らぬ植物は大抵毒を持つと考えた方がいいか。
森に踏み出すと、気づく。ここは完全に相手の陣地、それも「ダンジョン」のような陣地と化していると。当然俺の死因の要素も混じっているから俺のよく知る人工林でも確かにあるが…まあ見たことのない植物の多いこと。
確かあいつは「植物による服毒死」だったか。なら、ここに生えている見知らぬ植物は大抵毒を持つと考えた方がいいか。
とはいえ、別に触れたり近づかないようにすれば問題はない。普通の山道と同じことだ。
甘く見るのは良くないが…地味で、かつ強い毒を持つ植物はそうありはしない。そして俺たちに食事は不要、摂食して致命に至ることはない。
そう考えながら、急ぎ、走り、敵の元へ辿りつこうとする。もし早く倒せればもう一人を挟み撃ちにできる。そうすれば負けはない。
甘く見るのは良くないが…地味で、かつ強い毒を持つ植物はそうありはしない。そして俺たちに食事は不要、摂食して致命に至ることはない。
そう考えながら、急ぎ、走り、敵の元へ辿りつこうとする。もし早く倒せればもう一人を挟み撃ちにできる。そうすれば負けはない。
そう考えながら、走っていると、足で何かを踏んでしまった感覚があった。
なんだ?何を踏んだ?
なんだ?何を踏んだ?
粉が俺の足元から噴出する。安全メガネはしているがマスクはしていないため、もろに吸い込んでしまう。
コホッ!ゴホッ!
咳が出てくる。足元を再確認する。そこには、キノコがあった。
「ホコリタケか!」
思わずそう叫ぶ。
本来そこには毒性はない。しかし、粉末を大量に吸い込んでしまったり、その人がアレルギーを持っていたりすれば、「キノコ胞子肺」という重篤なアレルギー性肺炎を生むこととなる。
ホコリタケは古くなると内部が粉状になり、踏みつけると煙のように胞子を噴出する。
あの野郎はそれを誘引しやがった。
咳が出てくる。足元を再確認する。そこには、キノコがあった。
「ホコリタケか!」
思わずそう叫ぶ。
本来そこには毒性はない。しかし、粉末を大量に吸い込んでしまったり、その人がアレルギーを持っていたりすれば、「キノコ胞子肺」という重篤なアレルギー性肺炎を生むこととなる。
ホコリタケは古くなると内部が粉状になり、踏みつけると煙のように胞子を噴出する。
あの野郎はそれを誘引しやがった。
本来近づいて粉を吸い続けたり、閉鎖環境でもなければそうはならないが、その問題点は異常な数を群生させることで強引に解決したらしい。
「植物じゃなくてゴホッ!キノコだろうがよ!」
そう叫んだとて解決はしない。
「植物じゃなくてゴホッ!キノコだろうがよ!」
そう叫んだとて解決はしない。
そして、煙が迫ってきていた。そういえば相棒の電線のせいで燃えてたか。
とはいえここは青空の下、煙を軽く吸い込む程度じゃ問題にはならないはずだが…
嫌な予感がする。吸い込みたくはない、吸い込みたくはないのだが、肺炎がそれを許さない。
そして、その嫌な予感はすぐに顕在化した。
肌がかぶれ始めたのだ。
そして、同じく気管支も。
「漆かよ…!」
漆は普通にしていれば問題などない、問題などない、のだが…燃えると、かぶれを引き起こすのだ。
拙いな…呼吸器系統が一気にやられた。短期決戦を仕掛けるしかなさそうだが…
今の所進めたのは森の半分程度。間に合うかどうかはわからない。しかし、やるしかないだろう。
とはいえここは青空の下、煙を軽く吸い込む程度じゃ問題にはならないはずだが…
嫌な予感がする。吸い込みたくはない、吸い込みたくはないのだが、肺炎がそれを許さない。
そして、その嫌な予感はすぐに顕在化した。
肌がかぶれ始めたのだ。
そして、同じく気管支も。
「漆かよ…!」
漆は普通にしていれば問題などない、問題などない、のだが…燃えると、かぶれを引き起こすのだ。
拙いな…呼吸器系統が一気にやられた。短期決戦を仕掛けるしかなさそうだが…
今の所進めたのは森の半分程度。間に合うかどうかはわからない。しかし、やるしかないだろう。
ぎうりん…ぎうりん…ぎうりん…ぎうりん…
もう一つの相棒がうなりを上げる。
ギウリンギウリンギウリンギウリンギウリンギウリン!
まるで映画の殺人鬼になったようにそれをふり上げる。
息も絶え絶えだが、それも相まって熟年の俳優のような恐怖を感じられる所作になっているのかもしれないな、と自嘲する。
もう一つの相棒がうなりを上げる。
ギウリンギウリンギウリンギウリンギウリンギウリン!
まるで映画の殺人鬼になったようにそれをふり上げる。
息も絶え絶えだが、それも相まって熟年の俳優のような恐怖を感じられる所作になっているのかもしれないな、と自嘲する。
「いくぞ!」
このままよく知る道を通っていると、罠のコンボを決められいずれ死ぬことになる。
ならば…
邪魔な障害物は切り捨てて、直線でぶちぬくのが最適解だ。
このままよく知る道を通っていると、罠のコンボを決められいずれ死ぬことになる。
ならば…
邪魔な障害物は切り捨てて、直線でぶちぬくのが最適解だ。
罠を警戒するところだが、敵は道に罠を集中させていると賭ける。
これは、ゲームにおける壁をぶち抜くという、順路を無視する不正。
道に沿っていく方が肺にも優しい気もするが…まあいいだろう。
細かいことは考えない。
今必要なのは敵を自分のために、相棒のために、ぶちのめさなきゃいけないという意志だけだ。
これは、ゲームにおける壁をぶち抜くという、順路を無視する不正。
道に沿っていく方が肺にも優しい気もするが…まあいいだろう。
細かいことは考えない。
今必要なのは敵を自分のために、相棒のために、ぶちのめさなきゃいけないという意志だけだ。
走り抜ける。息も絶え絶えだが、どうやらこれは相手の致命攻撃そのものではなく、副産物のようなものらしい。
だからまだ走れる。敵の方へと向かえる。
毒々しい色をした草どもが俺の行く手を阻む。よし。なら木を切って真正面から越えよう。
ぐうりんぐうりんとチェーンソウが鳴き、それなりにでかい木を3秒ほどで切り取る。どうやら能力化したことで性能が飛躍したらしい。
だからまだ走れる。敵の方へと向かえる。
毒々しい色をした草どもが俺の行く手を阻む。よし。なら木を切って真正面から越えよう。
ぐうりんぐうりんとチェーンソウが鳴き、それなりにでかい木を3秒ほどで切り取る。どうやら能力化したことで性能が飛躍したらしい。
「嘘だろ…!」
相手の漏れた声が近づく。
これでも体力のいる仕事をしていたものでね…!20分程度の運動でへばったら親父に怒られる!
相手は生成され切る前に行けるところまで行き、待ち構える戦法をとっていたらしく、案外近かった。
相手の漏れた声が近づく。
これでも体力のいる仕事をしていたものでね…!20分程度の運動でへばったら親父に怒られる!
相手は生成され切る前に行けるところまで行き、待ち構える戦法をとっていたらしく、案外近かった。
思いっきり振りかぶり、木を切り倒す。
どれだけ毒のある植物を生やそうと、当然木のある場所には毒をばら撒けないし、絡みつかせることはできても、木ごと切り倒せば関係などない。
どれだけ毒のある植物を生やそうと、当然木のある場所には毒をばら撒けないし、絡みつかせることはできても、木ごと切り倒せば関係などない。
急げ…
急げ…
急げ!
急げ…
急げ!
────────────
敵は、ビルを「割り」ながら上り詰めていた。
「転落死がどうしてんなもんにつながるんだよ…!」
そう呟き、俺─傳はそれを上から防ごうとしていた。
俺がいるのは9F、そしてあいつが今いるのは5Fだ。
そして俺は次々と「感電」に関する罠を設置していく。
水たまりに電線が垂れるようにした。
壁のさまざまな所に危険な電盤を置いた。
絶縁コードの剥がれたコードはそこかしこにある。
「転落死がどうしてんなもんにつながるんだよ…!」
そう呟き、俺─傳はそれを上から防ごうとしていた。
俺がいるのは9F、そしてあいつが今いるのは5Fだ。
そして俺は次々と「感電」に関する罠を設置していく。
水たまりに電線が垂れるようにした。
壁のさまざまな所に危険な電盤を置いた。
絶縁コードの剥がれたコードはそこかしこにある。
上司が見たら怒るってところじゃ済まないんだろうな。
「安全対策は何より優先しろ、だったか」
そう、呟く。俺は同僚の不注意から死んじまったけど…上司は善い人だったし、俺が死んじまったあと自分の責任を問い続けるんだろうなと関係ないことを考え始める。
「安全対策は何より優先しろ、だったか」
そう、呟く。俺は同僚の不注意から死んじまったけど…上司は善い人だったし、俺が死んじまったあと自分の責任を問い続けるんだろうなと関係ないことを考え始める。
屋上に辿りつく。
敵が壁から登ってきていることにようやく気づく。壁を割って、ボルダリングのように登ってきていた。
上からいくつもの電線を垂らし、室内へと追い払う。拙いな…いくつかの階層をスキップされちまった。今あいつは8Fか。
俺の設置した罠の数々を、時には壁に、時には天井に貼り付き、さらに時には無力化しながら奴は進んで来ていた。
敵が壁から登ってきていることにようやく気づく。壁を割って、ボルダリングのように登ってきていた。
上からいくつもの電線を垂らし、室内へと追い払う。拙いな…いくつかの階層をスキップされちまった。今あいつは8Fか。
俺の設置した罠の数々を、時には壁に、時には天井に貼り付き、さらに時には無力化しながら奴は進んで来ていた。
改造しているとはいえ、さすがは自分の死の舞台となった場所ということか…
そして、俺は一階下がり、9階で俺たちは顔合わせをする。
そして、俺は一階下がり、9階で俺たちは顔合わせをする。
「あ゛あ゛!だるい罠ばっか置きやがってよ!」
「丁寧に置いてやっただろ?」
「悪意に満ちてるってだけのことを言い換えるんじゃねぇよ!」
相手をイラつかせることには成功していたらしい。もっと煽るか。
「みっともねぇなぁ!大人が叫んで暴れるんじゃねぇよ!」
「みっともねぇなぁ!大人が叫んで暴れるんじゃねぇよ!」
「うるせぇよ!死ね!」
相手は突進してくる。バカだな、全く!
相手は突進してくる。バカだな、全く!
持っていたライターに火をつけて、ビルに元々備え付けられていたスプリンクラーに投げつける。
水がばら撒かれ、突進してきたあいつに見事にかかる。
「何を…!」
水がばら撒かれ、突進してきたあいつに見事にかかる。
「何を…!」
「じゃあな!」
電気の通った数々のトラップと、大量のコードを奴に差し向ける。これ以上ないほどの感電という死を迎え入れさせる状況を整え、俺は屋上へと退避する。
巻き込まれかねないほどに漏電させたため、そのまま居続ければ自滅となりかねなかったからだ。
電気の通った数々のトラップと、大量のコードを奴に差し向ける。これ以上ないほどの感電という死を迎え入れさせる状況を整え、俺は屋上へと退避する。
巻き込まれかねないほどに漏電させたため、そのまま居続ければ自滅となりかねなかったからだ。
とはいえ警戒体制は緩めない。
自分が上がってきた階段に罠を設置し、コードをいつでも動かせるようにしておく。
自分が上がってきた階段に罠を設置し、コードをいつでも動かせるようにしておく。
何か、音がする。なんだ…?
いや!まさか!
俺は背後を急いで見る。そこには、屋上へと天井を破り、無理やり移動した敵の姿があった。
「嘘…だろ!?」
思わず口から漏れる。
いや!まさか!
俺は背後を急いで見る。そこには、屋上へと天井を破り、無理やり移動した敵の姿があった。
「嘘…だろ!?」
思わず口から漏れる。
ずぶ濡れとなった敵は、怒りのままにこう叫び、俺の元へと接近する。
「言ってなかったなぁ…!」
「俺の死因は!地震によるビルからの転落死だ!」
そう奴が叫ぶと、突如ビルが揺れ始める。
「破る力は、地震の副産物ってことかよ…!」
「言ってなかったなぁ…!」
「俺の死因は!地震によるビルからの転落死だ!」
そう奴が叫ぶと、突如ビルが揺れ始める。
「破る力は、地震の副産物ってことかよ…!」
足元がおぼつかない。接近する相手に俺はなんの抵抗もできず…
屋上から、落とされてしまった。
────────────
屋上から、落とされてしまった。
────────────
突き進む。無理に走ったせいで口から血が出てくる。
唾のように吐き出し、そのまま足は止めない。
足元などに触れた際に毒性を発現する植物があったが、林業に関わっていただけあって死んだ時の服装のおかげで実際には殆どダメージを受けなかったし、急拵えらしく軽く避けることもできるのが大多数だったためそこまでではなかった。
唾のように吐き出し、そのまま足は止めない。
足元などに触れた際に毒性を発現する植物があったが、林業に関わっていただけあって死んだ時の服装のおかげで実際には殆どダメージを受けなかったし、急拵えらしく軽く避けることもできるのが大多数だったためそこまでではなかった。
そして、目の前に敵がいるところへと辿りつく。
敵は自らを囲むようにトラップを置いていた。
あと10mだ。たった10mだが…あまりにも遠い10mだった。
敵は自らを囲むようにトラップを置いていた。
あと10mだ。たった10mだが…あまりにも遠い10mだった。
普通に通るなら、だが。
俺はそこらに生えている杉の木を丁寧に切り倒し、敵のいる方向へと倒れるように調整する。
「何を…!」
急いで敵は後へと引き下がり、それを避ける。
確かに俺の死因はそれだ。だが今回の狙いはそうじゃない。
倒れた木を橋代わりとして、俺はその上を走るというだけのこと。
倒木に飛び乗り、そこを走り抜ければ、相手との直接対決に漕ぎ着ける。
だが、しかし──────
「何を…!」
急いで敵は後へと引き下がり、それを避ける。
確かに俺の死因はそれだ。だが今回の狙いはそうじゃない。
倒れた木を橋代わりとして、俺はその上を走るというだけのこと。
倒木に飛び乗り、そこを走り抜ければ、相手との直接対決に漕ぎ着ける。
だが、しかし──────
その時、突如地面が揺れ始めた。強い地震だ。当然俺は丸太の上を全速力でチェーンソウを持ったまま走り抜けるなんてことをしていたため、落ちてしまう。
落ちた先は、水たまりだった。
そのまま落ちてしまったため、いくつか肌に触れてしまい、それどころか口にも軽く含んでしまった。
そのまま落ちてしまったため、いくつか肌に触れてしまい、それどころか口にも軽く含んでしまった。
変化はすぐに訪れた。めまいがする。吐き気も。あと数m先にいる敵が何重にも見える。
手脚が痺れてきている。
神経毒だとすぐに思い至る。
奴は、水たまりの中にいくつもの毒を仕込んでいたらしい。
手脚が痺れてきている。
神経毒だとすぐに思い至る。
奴は、水たまりの中にいくつもの毒を仕込んでいたらしい。
多分俺は、あと10秒もしないうちに再起不能になるのだろう、そんな予感がした。
────────────
────────────
「ちいっ!」
俺は元々用意していた命綱を使用し、一命を取り留める。
ちょうど俺は屋上の壁に直角に張り付いているような形となった。
俺は元々用意していた命綱を使用し、一命を取り留める。
ちょうど俺は屋上の壁に直角に張り付いているような形となった。
敵は落ちかけている俺に走って近づいてきて、俺の足を触る。
嫌な予感がし、何よりもそれから逃れることを優先し、命綱を解除するが…しかし、それでも判断が遅かったらしく
敵は振動を操る力を使い、骨を折ってきた。
俺の口から悲鳴が漏れる。痛みを抑えることなどできず、冷静さを保てなかった。
嫌な予感がし、何よりもそれから逃れることを優先し、命綱を解除するが…しかし、それでも判断が遅かったらしく
敵は振動を操る力を使い、骨を折ってきた。
俺の口から悲鳴が漏れる。痛みを抑えることなどできず、冷静さを保てなかった。
それでも必死に生きようとして命綱をもう一度呼び出し、なんとか落ちずに済む。
ここはおそらく5階程度。
相手は屋上にてこちらを見据えている。どうやら勝利を確信しているらしい。
ここはおそらく5階程度。
相手は屋上にてこちらを見据えている。どうやら勝利を確信しているらしい。
逆転の手立てを探す。このままいけば出血でジリ貧だ…
何か…何かないか…?
何か…何かないか…?
そこで俺は、それを見る。
「あいつの死因は、切り倒された…」
もしかしたら行けるかもしれないが…
いや、やるしかないだろう。
「あいつの死因は、切り倒された…」
もしかしたら行けるかもしれないが…
いや、やるしかないだろう。
俺は、敵ではなく、地面へと向かう。
あいつが残した力を目掛け、滑るように向かう。
────────────
あいつが残した力を目掛け、滑るように向かう。
────────────
視界が歪む。
毒が回ってきたのを実感する。
偶然か必然か、利き手は使えるが左手は既に使えない。
つまり、既にチェーンソウは使えなくなっている。
伐採するものという認識から片手斧を喚び、握る。
あと数秒で木を伐採し、それで相手を倒す事はできないだろう。近づいて相手の首を刈ることもだ。
つまり、俺の致命攻撃はもう既に死んでいる。
毒が回ってきたのを実感する。
偶然か必然か、利き手は使えるが左手は既に使えない。
つまり、既にチェーンソウは使えなくなっている。
伐採するものという認識から片手斧を喚び、握る。
あと数秒で木を伐採し、それで相手を倒す事はできないだろう。近づいて相手の首を刈ることもだ。
つまり、俺の致命攻撃はもう既に死んでいる。
ならば…
簡単なことだ。
───────
「「相棒の死因を、使えばいい。」」
そして俺は、
地面にあったチェーンソウを、
森に掛けられた電線を、
見定めた。
そして俺は、
地面にあったチェーンソウを、
森に掛けられた電線を、
見定めた。
────────────
俺は斧を全力で投げる。
それがあいつには最後の悪あがきに見えたらしい。
「斧も僕に当たらなかった…!これで…これで!僕の勝ちだ!」
ちがう、俺が狙ったのは…!
「お前の後ろの、電線だよ馬鹿野郎!」
剥き出しの電線が斧によりちぎられ、敵の方へと落下していく。
それがあいつには最後の悪あがきに見えたらしい。
「斧も僕に当たらなかった…!これで…これで!僕の勝ちだ!」
ちがう、俺が狙ったのは…!
「お前の後ろの、電線だよ馬鹿野郎!」
剥き出しの電線が斧によりちぎられ、敵の方へと落下していく。
ここで講座を開いてやろう。何、そう長くはかからない。
「剥き出しの電線には、近づくなってだけだ!」
俺の方だけを見て、電線の方を見ていなかったやつは、避けることすらできずに電線に触れ…
声も出せずにそのまま逝った。
声も出せずにそのまま逝った。
俺は毒が抜けていくのを実感する。呼吸が正常に戻っていくのを実感する。
あいつの植物が、毒が、領域ごと抜けていくのがわかる。
あいつの植物が、毒が、領域ごと抜けていくのがわかる。
俺は相棒が戦っているであろうビルへ充血が抜けてきた目で見やる。
そして、思わず声を漏らす。
そして、思わず声を漏らす。
「…何やってんだ、あいつ。」
そりゃあそうだろう。だって、あいつは…
ビルの側面を飛び回りながらチェーンソウでビルを切り裂いていたのだから。
ビルの側面を飛び回りながらチェーンソウでビルを切り裂いていたのだから。
────────────
「はっははははははは!」
笑う。笑う。笑いが止まらない。
ギウリンギウリンと相棒の電鋸がうなりをあげる。
「なあ、そうだろう!
だっておまえは、切り倒し、人を殺したものなのだから!」
「はっははははははは!」
笑う。笑う。笑いが止まらない。
ギウリンギウリンと相棒の電鋸がうなりをあげる。
「なあ、そうだろう!
だっておまえは、切り倒し、人を殺したものなのだから!」
超能力となり強化され、そして切り倒すという状況にも強化された電鋸は、まるでチーズを裂くようにビルを切っていた。
「それは…ありえねぇだろうがよぉ!」
屋上から急いで降りてきている相手の怒号が聞こえる。
「あり得ない…?よく言うぜ!てめえも相当なトンチを決め込んできてる癖によ!」
俺はそう返しながら、補強した足を動かし、命綱を蜘蛛のように使いながら飛び回り、ビルを切り裂く。
屋上から急いで降りてきている相手の怒号が聞こえる。
「あり得ない…?よく言うぜ!てめえも相当なトンチを決め込んできてる癖によ!」
俺はそう返しながら、補強した足を動かし、命綱を蜘蛛のように使いながら飛び回り、ビルを切り裂く。
そして、ビルは切り裂き終わった。
ただ切り裂いただけではこうはならないだろう。
だが…
「ありがてぇことに、振動がここにはずっと掛けられてる!」
そうだ。今も地震だ。
そんなものがあれば、すぐに…
ただ切り裂いただけではこうはならないだろう。
だが…
「ありがてぇことに、振動がここにはずっと掛けられてる!」
そうだ。今も地震だ。
そんなものがあれば、すぐに…
ビルは、崩落する。
「ああ、そうか。お前の死因は転落死だったか…」
「なら、俺と相棒と、お前の死因の三重葬だ。喜んで受け取れよ」
「テメェぇぇぇぇ!!!!」
そう叫びながら、やつは落下していく。
抵抗もできずに落ちてゆく。
それはそうだ。だってきっと、実感のない誰かの死を押し付けられるより、自らの死因でもう一度死を迎えた方が怖いに決まっている。
抵抗もできずに落ちてゆく。
それはそうだ。だってきっと、実感のない誰かの死を押し付けられるより、自らの死因でもう一度死を迎えた方が怖いに決まっている。
「じゃあな…地獄があったら、また会おう。」
耳障りな、地面との激突音が聞こえる。
「まあ、ここが地獄、なのかもしれないが」
そしてビルは消え、結界には俺と相棒の死因たる電柱と森だけが残り、そしてそれは、戦いの終わりを意味していた。
────────────
俺と相棒は、1点増した自分と相棒の点数をそれぞれ見る。
「40…と36か」
「いつまでこれ、続くんだろうな。」
「そりゃあお前、死ぬか、100点貯まるか、だろ」
「だけど、俺も傳も、別に生き返りたいわけじゃないんだろ?」
「まあ、そうだな。顔を見せたいやつがいるわけでもなし、一番仲のいいやつは…」
「「隣にいる」」
「だろ?」
「ははっ!」
「ふふ…」
二人とも、どうにも面白くて、笑い始める。
「ふふ…」
二人とも、どうにも面白くて、笑い始める。
「そうだな、なんとかしてドロップアウト…この殺し合いから離脱できる方法があったりすればいいんだが…」
「まあ…そんな都合のいいものはないだろ」
「そうだろうな」
そう言い、彼らは立ち上がり、歩き出す。だが、そこで、後ろから声がかかる。
「そこの君たち…」
幽霊を認識できるのは常に敵たる幽霊のみという事実、そしてその後ろから現れたものが放つ圧倒的な存在感が、自分たちを突き動かした。
最速でチェーンソウと、電線を後ろに立っていた貴族風の男へと向けた。
だが、しかし、電線もチェーンソウも、どこからともなく現れた処刑器具により切断されてしまった。
かなりの消耗をしてしまっている俺たちは、死を覚悟する。
しかし、その男の二言目は、意外なもので…
しかし、その男の二言目は、意外なもので…
「ああすまない。私はただ…君たちのような戦いを積極的に求めていない者、戦えないものを『学校』にへと誘っていてね。」
「君たちもどうかな…と誘いにきたのだよ。何せ、殺し合いから離脱する、などと聞こえたものでね」
俺たちは顔を見合わせ、とりあえず、武器をしまう。
「私はル・シュプリシエ・アンコニュ」
「学校を経営している。死因はギロチンによる処刑だ。」
「シュプリシエでも、貴族でも、校長でも構わない、好きに呼びたまえ」
そう、100点を超える点数を持つ男は俺たちに挨拶した。
「学校を経営している。死因はギロチンによる処刑だ。」
「シュプリシエでも、貴族でも、校長でも構わない、好きに呼びたまえ」
そう、100点を超える点数を持つ男は俺たちに挨拶した。