―――280年12月下旬
―――月匣内
―――月匣内
紅い月が昇るその空間。
そこは、月匣と呼ばれる。
生命の力を吸い尽くすために、侵魔が展開する結界。
そして今。
その結界の中には、一組の少年少女がいた。
そこは、月匣と呼ばれる。
生命の力を吸い尽くすために、侵魔が展開する結界。
そして今。
その結界の中には、一組の少年少女がいた。
「………来た。ご主人様、気をつけて」
「…気をつけてどうにかなるならそうするけど」
「…気をつけてどうにかなるならそうするけど」
少年―――北郷一刀と、呂布奉先の名を持つ少女。
二人の視線は、同じ場所に向いていた。
二人の視線は、同じ場所に向いていた。
先ほどした、獣のような声。
声の主は、黒い犬。
犬は犬でも、その大きさは尋常ではない。
獅子より巨大な犬。
声の主は、黒い犬。
犬は犬でも、その大きさは尋常ではない。
獅子より巨大な犬。
いや、犬と呼ぶのも語弊がある。
それは、化け物だ。
それは、化け物だ。
「…見逃してくれるかな?」
「…………たぶん、無理」
「…逃げる?」
「…」
「…………たぶん、無理」
「…逃げる?」
「…」
一刀の言葉に、呂布はこくり、と頷く。
同時。少女は少年を抱えて。
同時。少女は少年を抱えて。
「うわっ!?」
「……ご主人様。口は閉じてて」
「……ご主人様。口は閉じてて」
駆け出した。
■■■
―――同刻
―――???
―――???
「あら、まだこんなところにもいたのね。
あの忍者以外、このあたりに残っているウィザードなんかいないと思ってたけど」
あの忍者以外、このあたりに残っているウィザードなんかいないと思ってたけど」
少女の姿をしたソレは、手にした手鏡を弄ぶ。
そこには、月匣の中を、少年を背負い駆ける少女が写っている。
そこには、月匣の中を、少年を背負い駆ける少女が写っている。
「それともイノセントかしら。
どっちでも、あのプラーナは魅力的ね…面白くなってきたじゃない」
どっちでも、あのプラーナは魅力的ね…面白くなってきたじゃない」
と、そこで手鏡に映っている映像が変わる。
写ったのは、寝ている男。
隣にいる女が、男の頭を殴って、男は体を起こす。
そんな映像を見て。
写ったのは、寝ている男。
隣にいる女が、男の頭を殴って、男は体を起こす。
そんな映像を見て。
「…ふふっ。やっと来たわね」
優雅に足を組み、侵魔の王は微笑んだ。
■■■
『ウィザード無双~武将だらけの三国志魔法大戦~』
オープニングシナリオ・後編「目覚めと謀」
■■■
―――280年12月下旬
―――月匣内
―――月匣内
駆ける。駆ける。駆ける。駆ける。
わき目も振らず、少女は走る。
わき目も振らず、少女は走る。
思いはひとつ。
ただ、『ご主人様』を安全な場所へ。
ただ、『ご主人様』を安全な場所へ。
自分に居場所を与えてくれたご主人様。
自分を怖がらなかった、ご主人様。
恋の大好きな、ご主人様。
自分を怖がらなかった、ご主人様。
恋の大好きな、ご主人様。
ご主人様を傷つけるわけにはいかない。
きっと、愛紗は髪を逆立てて怒るだろう。
もしかしたら、星や鈴々、翠だって怒るかもしれない。
きっと、愛紗は髪を逆立てて怒るだろう。
もしかしたら、星や鈴々、翠だって怒るかもしれない。
それは、いやだ。
怒られるのもいやだし、ご主人様が痛い思いをするのも嫌。
怒られるのもいやだし、ご主人様が痛い思いをするのも嫌。
だから、少女は走る。
「…恋!おい、恋!!」
真名。
本当に大切に思っている人にだけ呼ぶことを許す、自分の本当の名前を呼ばれ、呂布は自分の手元に目を落とす。
すると。
恋の大切な人が、ひどく汚れていた。
本当に大切に思っている人にだけ呼ぶことを許す、自分の本当の名前を呼ばれ、呂布は自分の手元に目を落とす。
すると。
恋の大切な人が、ひどく汚れていた。
「ご主人様。ボロボロ」
「恋が引きずったの!
…じゃなくて。
いくら逃げても無駄みたいだぞ、ここ」
「…?」
「恋が引きずったの!
…じゃなくて。
いくら逃げても無駄みたいだぞ、ここ」
「…?」
やっぱり気づいてなかったか、と
一刀は溜息をつき、汚れた制服のまま立ち上がる。
一刀は溜息をつき、汚れた制服のまま立ち上がる。
あれだけ走ったのに、まったく風景は変わっていないのだ。
紅い月も。遠くに見える山も。
そして、そこら中に散らばっている矛や鎧の残骸も。
何一つ、変化していなかった。
紅い月も。遠くに見える山も。
そして、そこら中に散らばっている矛や鎧の残骸も。
何一つ、変化していなかった。
「わかった?」
「…………」
「…………」
子供に諭すような言葉にこくり、と頷く恋。
一刀は、頷くまでの時間が短かったことに安心して、もう一度周囲を見渡した。
一刀は、頷くまでの時間が短かったことに安心して、もう一度周囲を見渡した。
「しかし、何なんだ、これ」
「…わからない」
「…わからない」
先ほど繰り返された問答をもう一度。
その後口を開いたのは、恋だった。
その後口を開いたのは、恋だった。
「でも。
変な感じ。まるで、生きてる感じがしない」
「うーん」
変な感じ。まるで、生きてる感じがしない」
「うーん」
言ってみれば、異常に過ぎる状況ではある。
とはいえ、二人とも随分と落ち着いていた。
とはいえ、二人とも随分と落ち着いていた。
「身一つで放り出されたあのときにくらべれば、どうってことはないか」
「……………?」
「……………?」
首をかしげる恋。
そんな彼女に、一刀は頭の上に手を置き。
そんな彼女に、一刀は頭の上に手を置き。
「頼りにしてるってことだよ」
「…」
「…」
一瞬、恋が瞳を揺らめかせ。
そして、恥ずかしげに視線を逸らす。
少女の愛らしい反応に、一刀はこんな状況だというのに笑みを抑え切れなかった。
そして、恥ずかしげに視線を逸らす。
少女の愛らしい反応に、一刀はこんな状況だというのに笑みを抑え切れなかった。
「…さて。どうしよう。
朱里に聞きたいところだけど…」
「今は、いない」
「恋。やれるか?」
「………………………」
朱里に聞きたいところだけど…」
「今は、いない」
「恋。やれるか?」
「………………………」
しばらくの逡巡の後、恋は頷く。
その微妙な間に、一刀は迷う。
その微妙な間に、一刀は迷う。
「あの」呂布奉先が、勝つとは言い切れなかったのだ。
ならば、逃げるか―――と考えた、その刹那に。
ならば、逃げるか―――と考えた、その刹那に。
「……大丈夫。ご主人様は、私が護る」
え、と言葉を発する間もなかった。
三国一の武の使い手、と呼ばれたその少女は。
再び、疾風のごとく、走り始める。
三国一の武の使い手、と呼ばれたその少女は。
再び、疾風のごとく、走り始める。
「恋っ!?」
速い。わずか数秒の間に、恋の背中は小さくなっている。
「くそっ…!!」
悪態をつき。
小さい背中を追って、一刀もまた、走り始める。
小さい背中を追って、一刀もまた、走り始める。
―――280年12月下旬
―――月匣内
―――月匣内
足を前に。息を切らせ。全力で。
地を踏みしめ、走る。
が。全く少女の背中は大きくならない。
むしろ、小さくなっていく一方だ。
むしろ、小さくなっていく一方だ。
当たり前といえば、当たり前だ。
自分はただの学生。
少し愛紗や星に手合わせしてもらうこともあるとはいえ、その体力はただの人間の域を出ない。
だが、恋は違う。
自分はただの学生。
少し愛紗や星に手合わせしてもらうこともあるとはいえ、その体力はただの人間の域を出ない。
だが、恋は違う。
三国無双、呂布奉先。
足は疲れることをしらず、腕はあの巨大な戟を手に抱き続け。
兵万人に値する関羽と張飛という二人の将。
彼女らを相手に、余裕を持って戦うことすらできる。
足は疲れることをしらず、腕はあの巨大な戟を手に抱き続け。
兵万人に値する関羽と張飛という二人の将。
彼女らを相手に、余裕を持って戦うことすらできる。
「だからって…!」
その先の言葉は、息が切れて口にはできない。
情けなさすら思い浮かばない。
一刻も早く彼女のもとへ。
ただひとつ、その思いを核にして、走る意志を奮い立たせる。
情けなさすら思い浮かばない。
一刻も早く彼女のもとへ。
ただひとつ、その思いを核にして、走る意志を奮い立たせる。
何かができるわけでもない。
だけど。あの、あまりに考えなしで、純粋な彼女に、せめて、退くときの判断を誤らせたくはなかった。
だけど。あの、あまりに考えなしで、純粋な彼女に、せめて、退くときの判断を誤らせたくはなかった。
「―――!!」
いつの間にか、視界の中で、彼女の姿が大きくなっていた。
その先にいるのは、獣。
黒い獣。
その先にいるのは、獣。
黒い獣。
恋は、その獣と素手で渡り合っている。
勝負は、互角。
勝負は、互角。
獣を爪を、恋は軽やかにかわし。
次々と拳を叩き込んでいる。
あるいは、獣を追い詰めているのかもしれない。
化け物相手に、恋が優位に立っていること以上に、恋が無事である事実に一刀は安堵した。
次々と拳を叩き込んでいる。
あるいは、獣を追い詰めているのかもしれない。
化け物相手に、恋が優位に立っていること以上に、恋が無事である事実に一刀は安堵した。
が、その安堵も長くは続かなかった。
獣の口に、炎。
そして、その炎が、急激に大きくなっていく。
獣の口に、炎。
そして、その炎が、急激に大きくなっていく。
「…!」
恋の顔は見えない。
だが、その挙動はどこか戸惑っているようにも見えた。
まずい。あれが、あの炎が。
彼女を、包んだら。
だが、その挙動はどこか戸惑っているようにも見えた。
まずい。あれが、あの炎が。
彼女を、包んだら。
「…恋!」
声は届いた。
彼女はこちらを向く。
同時、その火が、少女に向かって。
彼女はこちらを向く。
同時、その火が、少女に向かって。
「恋――――――っ!!」
何も考えず。届くはずのない手を、一刀は伸ばした。
…その瞬間。
北郷一刀の中で、何かが、変わった。
北郷一刀の中で、何かが、変わった。
―――280年12月下旬
―――月匣内
―――月匣内
届くはずがない。
当たり前だ。
当たり前だ。
く、と吐き出した息を引き戻そうとするが、肺に空気は入らない。
気が遠くなる。酸素が足りない、とは理解できなかった。
ただ、意識もせずに、前に足を進めようとして。
気が遠くなる。酸素が足りない、とは理解できなかった。
ただ、意識もせずに、前に足を進めようとして。
「げほっ!?」
衝撃。そして視界の回転。
体中に感じたのは、地面の感触だった。
体中に感じたのは、地面の感触だった。
考えるより先に起き上がろうとしたが、動かない。
自分の上に、錘が乗せられているような。
ふに。
自分の上に、錘が乗せられているような。
ふに。
「…ふに?」
どこか感じた覚えがあるような。
いや、毎日相手は違えど味わいつくした感覚が、何か。
いや、毎日相手は違えど味わいつくした感覚が、何か。
「…………ご主人様?」
「…へ?恋?」
「…へ?恋?」
聞き覚えのある声に。ただ、相手の名前を返すだけ。
背中の感触は、少女の肌のもの。
何が起こったのかはわからない。
何で、どうして、自分の背中に恋が移動したのかはわからない。
ただ、どうやら。
背中の感触は、少女の肌のもの。
何が起こったのかはわからない。
何で、どうして、自分の背中に恋が移動したのかはわからない。
ただ、どうやら。
「良かった…無事なんだな」
「………?」
「………?」
どこか、首をかしげるような気配。
一刀はすでに疲れ果てた体で、ただ溜息をつく。
安心した後で。
一刀はすでに疲れ果てた体で、ただ溜息をつく。
安心した後で。
「でも、何でだ?いったい、何が」
「…わからんな。お前さんの『月衣』を通ってきたのかもしれんが。
あるいは何かしらの力で空間をつなげたか。
ま、覚醒したばかりのウィザードにはよくあること…だな」
「…わからんな。お前さんの『月衣』を通ってきたのかもしれんが。
あるいは何かしらの力で空間をつなげたか。
ま、覚醒したばかりのウィザードにはよくあること…だな」
返ってきたのは、男の声だった。
「へ?」
「しかし、魔物使い…かよ。
そっちの嬢ちゃんは魔物には見えないが…な」
「しかし、魔物使い…かよ。
そっちの嬢ちゃんは魔物には見えないが…な」
そこにいたのは、声の通り、男性だった。
妙な間をとったしゃべり方。
腰には剣を二本。
細い目は狐のようにも見える。
妙な間をとったしゃべり方。
腰には剣を二本。
細い目は狐のようにも見える。
「………」
そこで、背中が軽くなっていることに気づく。
見れば、恋が。自分と男の間に立っていた。
見れば、恋が。自分と男の間に立っていた。
「……………」
「…と、待て待て。
お前さんとご主人に危害を加えるつもりはない。
俺はウィザード…ってもわからんか。
とりあえず、あの化け物を倒して、この『月匣』からお前さんたちを出すために来た」
「…と、待て待て。
お前さんとご主人に危害を加えるつもりはない。
俺はウィザード…ってもわからんか。
とりあえず、あの化け物を倒して、この『月匣』からお前さんたちを出すために来た」
何を言っているかはわからないが。とりあえず。
「大丈夫。嘘は言ってない」
その言葉尻は、比較的やわらかいものだった。
恋がそう言うなら間違いはないのだろう。
あのわけのわからない説明が嘘かどうかはともかく、恋が敵意を顕にしてないのなら、多分大丈夫だ。
恋がそう言うなら間違いはないのだろう。
あのわけのわからない説明が嘘かどうかはともかく、恋が敵意を顕にしてないのなら、多分大丈夫だ。
と、そこで。
何度目とも知れぬ獣の声がした。
空気を震わせる、轟音。
思わず、その音に目をしかめ、体を震わせてしまう。
雷と同じだ。
巨大な音は、それだけで人の動きを止める。
何度目とも知れぬ獣の声がした。
空気を震わせる、轟音。
思わず、その音に目をしかめ、体を震わせてしまう。
雷と同じだ。
巨大な音は、それだけで人の動きを止める。
が、どこからともなく現れた、謎の男は。
「さて。
自分が請け負った仕事ぐらいはせんと…な」
自分が請け負った仕事ぐらいはせんと…な」
表情を揺るがすことなく、そう言った。
―――280年12月下旬
―――月匣内
―――月匣内
地を蹴って、巨大な犬が迫りくる。
その瞳にあるのはこちらへの敵意だけ。
碌な知能は感じられない。
その瞳にあるのはこちらへの敵意だけ。
碌な知能は感じられない。
「『地獄の猟犬』…か。
てめえがルーラーじゃないことはわかってる。時間はないんでな」
てめえがルーラーじゃないことはわかってる。時間はないんでな」
言葉とともに、男の呼吸が変わる。
深く、長い呼吸が紡がれる。
そして、その呼吸に合わせるように、男の体から、燐光が浮かび上がった。
深く、長い呼吸が紡がれる。
そして、その呼吸に合わせるように、男の体から、燐光が浮かび上がった。
「な、何だ…?」
「……………?」
「……………?」
若い主従の驚きに。男は、ニィ、と口元に笑みを浮かべる。
再び呼吸が、元の拍へと戻っていく。
が、光は消えない。
むしろ、収束され、光は輝きを増していく。
再び呼吸が、元の拍へと戻っていく。
が、光は消えない。
むしろ、収束され、光は輝きを増していく。
『気功』。
一部の間でそう呼ばれる能力によって凝縮された生命力は、男の体に纏わりついてゆく。
その形状は、蛇か―――あるいは。
一部の間でそう呼ばれる能力によって凝縮された生命力は、男の体に纏わりついてゆく。
その形状は、蛇か―――あるいは。
まさしく、龍のように。
「――――――!!!」
その時にはすでに、黒い巨犬は数歩で男に飛びかかれる位置に到達していた。
獣にとっては、男は餌の前にいる障害物にすぎない。
一振りで吹き飛ばし、その後に食事をするつもりなのだろう。
だが、その障害物は、ただの人間ではない。
獣にとっては、男は餌の前にいる障害物にすぎない。
一振りで吹き飛ばし、その後に食事をするつもりなのだろう。
だが、その障害物は、ただの人間ではない。
「…!」
先手は、最初から男のものだった。
獣が襲い掛かり、爪を振るうその前に、静かに間合いを詰め。
獣が襲い掛かり、爪を振るうその前に、静かに間合いを詰め。
飛んだ。
光が、男から零れ落ちるようにして残像を描き出す。
獣が男の動きに対応するより前。
いや、驚きという感情を生み出すよりさらに前に。
獣が男の動きに対応するより前。
いや、驚きという感情を生み出すよりさらに前に。
男の足は、獣の頭に叩き込まれた。
「!」
ご、という音。
硬く、そして何かが砕けた音が生じる。
獣の頭は潰れ、体から力が失われる。
直後。
黒い獣―――ヘルハウンドの体は、まるで、雲を散らすように消え去った。
硬く、そして何かが砕けた音が生じる。
獣の頭は潰れ、体から力が失われる。
直後。
黒い獣―――ヘルハウンドの体は、まるで、雲を散らすように消え去った。
たん、と軽い音がしたのは、その後。
長い滞空を経て、男が地面に降りた音。
長い滞空を経て、男が地面に降りた音。
「…と。さて、後はコアかルーラーを潰して…」
息をついた後。男は何気なくあたりを見渡し、眉をひそめた。
「ん?」
空に浮かんでいた、紅い月はいつの間にか消え去っている。
空間が、揺らめき。
数秒後。
男と少年、少女がいたのは、近くに城壁が見える、ごく普通の街道だった。
空間が、揺らめき。
数秒後。
男と少年、少女がいたのは、近くに城壁が見える、ごく普通の街道だった。
「もうやったのか…やれやれ、仕事が早い」
戸惑う少年と少女を他所に。
男は、いつものように笑みを浮かべていた。
男は、いつものように笑みを浮かべていた。
―――280年12月下旬
―――北海周辺
―――北海周辺
「…い、今目の前で起こったことをありのままに話すぜ。
恋と一緒にいちゃいちゃして寝たと思ったら、いつのまにかそこは見覚えのある平原になっていて
ちょっと戸惑ってたらみょーな真っ赤な空間にいてさらには黒い化け物がいて
恋が黒い化け物と戦って危ないと思って声をかけたらいつの間にか恋が上にいて
今度は変な男が来て化け物を蹴り飛ばしたと思ったら化け物は消えて
俺は恋と一緒に馬に乗っている…。
な、なにを言っているのかわからねーと思うが俺も何を言っているのかわからない…。
催眠術とか時をとめる能力とかそんなちゃちなもんじゃねー…。
もっと恐ろしい物語の展開上の都合とかそういったものを感じざるを得なかったぜ…」
「………ご主人様」
恋と一緒にいちゃいちゃして寝たと思ったら、いつのまにかそこは見覚えのある平原になっていて
ちょっと戸惑ってたらみょーな真っ赤な空間にいてさらには黒い化け物がいて
恋が黒い化け物と戦って危ないと思って声をかけたらいつの間にか恋が上にいて
今度は変な男が来て化け物を蹴り飛ばしたと思ったら化け物は消えて
俺は恋と一緒に馬に乗っている…。
な、なにを言っているのかわからねーと思うが俺も何を言っているのかわからない…。
催眠術とか時をとめる能力とかそんなちゃちなもんじゃねー…。
もっと恐ろしい物語の展開上の都合とかそういったものを感じざるを得なかったぜ…」
「………ご主人様」
どこかかわいそうなものを見るような目で一刀を見る少女。
一刀の言葉通り、彼は恋とともに、馬に乗っていた。
手綱を取っているのは恋で、彼らが乗っている馬の横には、もう一匹の馬がいる。
一刀の言葉通り、彼は恋とともに、馬に乗っていた。
手綱を取っているのは恋で、彼らが乗っている馬の横には、もう一匹の馬がいる。
その馬には、やはり同様に、男女が一緒に乗っていた。
「そこの嬢ちゃんの言うとおり落ち着けって。
どうせなるようにしかならんさ」
「そこのオッサンも少しは説明しようよ!?」
「ああ。だから飯でも食いながら説明するさ。
こんなところで立ち話しても落ち着けるわけないだろ」
「…お腹、すいた」
「むむむ」
どうせなるようにしかならんさ」
「そこのオッサンも少しは説明しようよ!?」
「ああ。だから飯でも食いながら説明するさ。
こんなところで立ち話しても落ち着けるわけないだろ」
「…お腹、すいた」
「むむむ」
そう恋に言われてしまうと、一刀としては何を言うこともできない。
とはいえ、状況もわからないのに、助けてもらったとはいえ見知らぬ人間についていくのはどうなのだろうか。
恋はすでに食欲にとりつかれているし。
とはいえ、状況もわからないのに、助けてもらったとはいえ見知らぬ人間についていくのはどうなのだろうか。
恋はすでに食欲にとりつかれているし。
「気をつけろ。こいつはこうやって人を利用していくんじゃからな」
「…ご忠告どーも」
「…ご忠告どーも」
さっき獣と蹴飛ばした男の後ろ、一緒に馬に乗っている女性。
その女性の言葉に、一刀は投げやりな言葉を返す。
と、そこで男が、手綱をとった手をそのままに、後ろを振り返った。
その女性の言葉に、一刀は投げやりな言葉を返す。
と、そこで男が、手綱をとった手をそのままに、後ろを振り返った。
「人聞きがわりいな。
今は嘘を言ってないぞ。飯をおごるのも本当だし、状況を説明するのも本当だ」
「ふん。その後何を頼むかは言っとらんじゃろうが。
目覚めたばかりのウィザードに、何を吹き込むつもりじゃ、お前は」
「真実だよ。この世界の。
ま、この二人がこの世界の人間とは限らんが…な」
今は嘘を言ってないぞ。飯をおごるのも本当だし、状況を説明するのも本当だ」
「ふん。その後何を頼むかは言っとらんじゃろうが。
目覚めたばかりのウィザードに、何を吹き込むつもりじゃ、お前は」
「真実だよ。この世界の。
ま、この二人がこの世界の人間とは限らんが…な」
言って、男は視線を前に戻す。
一刀は、二人の会話を右から左に聞き流しつつ、空を見た。
空は青い。
そして、異様に広い。
見慣れた日本の空とは大違いだ。
一刀は、二人の会話を右から左に聞き流しつつ、空を見た。
空は青い。
そして、異様に広い。
見慣れた日本の空とは大違いだ。
「なあ、恋。
これから、どうする?」
「…ごはん」
これから、どうする?」
「…ごはん」
予想通りの言葉。
だが、今は、そんな変わらぬ彼女が、彼の支えになっているのだった。
だが、今は、そんな変わらぬ彼女が、彼の支えになっているのだった。
「…はぁ。皆、どうしてるかな…」
言って。彼は、共に住む少女「達」のことを頭に思い浮かべていた。
―――280年12月下旬
―――???
―――???
その存在は、可愛らしい笑みを浮かべ、手鏡を閉じた。
「…まさか、新しいウィザードが二人加わるとはね。
これで、北海のウィザードは、五人。
あの夢使いもおそらく加わるでしょうし…ふぅん。
エミュレイターとウィザードとしても、都市同士の攻防戦としても、割と互角の戦いができそうじゃない。
流石は徳の人、劉備ってところかしら」
これで、北海のウィザードは、五人。
あの夢使いもおそらく加わるでしょうし…ふぅん。
エミュレイターとウィザードとしても、都市同士の攻防戦としても、割と互角の戦いができそうじゃない。
流石は徳の人、劉備ってところかしら」
くすり、と声を立てた後、少女の姿を模した魔王は、立ち上がる。
目指すは下ヒ。
わざわざ芽を蒔いたのだから、それを収穫しなければ。
目指すは下ヒ。
わざわざ芽を蒔いたのだから、それを収穫しなければ。
「さあ、ゲームの始まりよ、劉備玄徳。
あの逃げ出した夢使いと、下ヒの人々を。貴方は、助けてあげられるかしら…?」
あの逃げ出した夢使いと、下ヒの人々を。貴方は、助けてあげられるかしら…?」