仮面ライダーアマゾンズ(シーズン1)の第1話

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仮面ライダーアマゾンズ(シーズン1)の第1話 - (2022/08/29 (月) 04:48:16) の1つ前との変更点

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#center(){|CENTER:&br()&bold(){&big(){&i(){Episode 1&br()&big(){AMAZONZ}}}}&br()&br()|} 雨の中、1台のワゴン車が町はずれの民宿のもとに到着。消毒服姿の者たちが降りる。 リーダーの志藤 真、大滝竜介、三崎一也、前原 淳、マモル、紅一点の高井 望。 「害虫・害獣駆除作業中」の看板を置き、民宿へと入ってゆく。 通りかかった女性が、興味津々で話しかける。 女性「ねぇねぇ、何これ? ちょっと、ちょっと! 害虫?」 三崎「いやいや、どうってことはないんですよ~。こんにちはぁ。これねぇ、ちょっとした害虫駆除なんですよ~」 女性「あらぁ、うちも今度お願いしようかしら?」 三崎が女性に応対している間、民宿の中では一同が消毒服を脱ぎ捨て、戦闘服姿となる。 民宿の中は、何者かが暴れ回ったように荒れ放題。 望「後の掃除、面倒臭ぇぞ……」 前原「清掃の奴ら、泣いて喜びそうだな」 志藤「竜介。『ムシ』のポイント、いくらっつってたっけ?」 大滝「あ──、ボーナスはあんまり期待できないっスね。ランクはDで、ポイント120っス」 一同「チッ……」「はぁ……」 志藤「さっさと狩るぞ」 一同が銃を手にし、慎重に奥へと進んでゆく。人間と思しき肉片が散乱している。 前原「志藤さん…… 食べ残しです。」 大滝「あ──、オヤツだらけだ。」 志藤「大食いだな」 望「志藤さん。マモルが『2階だ』って」 一同が2階に昇り、奥へ奥へと進む。一室に、人間大のクモのような怪物── クモアマゾンが巣食っている。 志藤「竜介。『ムシ』確認。狩り、開始。福!」 外の車内で待機している福田耕太が、放送を流す。 『こちらは害虫・害獣駆除サービスです。ただ今、作業のために大きな音が発生することがあります。ご迷惑をおかけして申し訳ございません──』 志藤「マモル、いけるな?」 マモル「み、三崎くんは?」 志藤「チッ、あの野郎」 望「いつまでやってんだよ? 野次馬対応。いいから、いけよ」 マモル「全員でやらないと! チームは大事だから!」 志藤「だよな。ったく。来るぞ!」 クモアマゾンが突進。志藤らは銃撃で、望はナイフと電撃仕込みのブーツのキックで応戦する。 ようやく三崎が、一同に合流。 三崎「いやぁ~、中はひでぇや」 マモル「三崎くん、こっちこっち!」 志藤「遅ぇぞ、カズ!」 望「あんたは話が長げぇんだよ!」 三崎「悪ぃ、悪ぃ」 望「マモル、三崎さん来たからいいだろ!? おい!」 マモル「うん」 三崎「わぁ、ちょ、ちょっと待って、待って!」 マモル「うぅおお──っ!!」 マモルが自分の服を引き裂き、激しい熱と蒸気が全身から吹き出す。 三崎「熱、熱熱、熱!」 マモルもまた、怪人態・モグラアマゾンに変身し、クモアマゾンに応戦する。 三崎「だからいつも言ってんのに、もう、やってられないよぉ!」 窓を突き破り民宿の外へ、隣接した倉庫の中へと場所を移しつつ、戦いは続く。 大滝がタブレットで情報を解析する。 大滝「マモル、背中だ!」 モグラアマゾンが渾身の力で、クモアマゾンの背に鉤爪を突き立て、心臓部を抉り出す。 たちまちクモアマゾンの体が崩れ、ドロドロの液体となって溶け、消滅する。 残されたのは、クモアマゾンが嵌めていた腕輪のみ。 志藤「『ムシ』狩り終了…… 清掃班に連絡。撤収!」 帰りの車内。志藤は雇い主である、野座間製薬の本部長・水澤令華に報告の電話を入れている。 志藤「識別コード・S-203の駆除、完了。宿泊客9人の内、1人が『ムシ』──実験体だったようで、他の8人はほぼ奴のオヤツになってました」 令華「気持ちのいい表現じゃありませんね」 志藤「事実ですよ。ま、食べ残しは清掃班が片づけます」 令華「遺体が出ない限りは行方不明事件として扱うよう、公安に話が通っています。確実に処理してください。いいですね?」 志藤「清掃班に言ってくださいよ! 俺たちの担当は、駆除までですから」 令華「で、『M』の様子は?」 志藤「マモルですか? 変わりなしです」 車内では、一同が傷の手当てをしている。変身を解いたマモルは半裸姿。 望「マモル。いちいち制服、破くなよ。これじゃ、何枚あっても足りねぇだろ」 三崎「しょうがないでしょうよ、儀式みたいなもんなんだから。マモちゃんの変身スイッチだもんな」 大滝「ま、その内ほかの方法にシフトしていけばいいでしょ。な?」 前原「そっすね。ま、制服タダなんだから、気にすんな」 志藤「……ねぇ、本部長さん。もう教えてくれてもいいんじゃないですかね? 俺たちが駆除している実験体、マモルもですけど、あんたたちが『アマゾン』って呼んでるあいつらは、何なんですか?」 志藤たちの車にバイクが並び、密かに車体に盗聴器を仕掛ける。 どこかのマンション。スマートフォンから、志藤らの会話の声が漏れる。 志藤「ヤバイもんってことは、見ればわかりますよ。それを、いくらあんたのところが大企業だからって、警察や自衛隊も動かさずに、俺たちみたいな別会社を作って、処理しようとしてるってのがねぇ……」 令華「あなたたちは実験体を駆除する以外に関与しない── その条件で雇ったはずです」 志藤「たまたまネットで見たんですけどねぇ…… 2年前、あんたたちの研究所で事故が──」 令華「条件が飲めないなら──」 志藤「──わかってますよ! 無駄話はここまで。俺たちは、今日のポイント分のボーナスを貰えれば、それで。なぁ、お前ら? じゃ、報告終わりです」 電話を切ると、車内ではマモルが大泣きしている。望が一同の戦闘服とは別の服を手にしている。 志藤「どうした?」 望「もう制服の在庫ねぇから、これ着ろよっていったら、真に受けちゃって」 マモル「うぇ~ん! チ、チームは同じじゃないと……」 大滝「ったくもう。あんまりマモルからかうなよ!」 望「ごめんごめん、マモルちゃ~ん、嘘だよぉ!」 志藤たちの通信を盗聴していたマンション。 1人の男性が屋上に上がり、雨の中、ニワトリ小屋に餌を蒔く。 一方の令華と、秘書の加納省吾。 加納「これで、今年に入って駆除した実験体は、8体になります。去年が2体のみだけだったことを考えると、事故から2年目に始まるというのは、正しかったという他ありませんね」 令華「これからです…… アマゾンたちが目覚めるのは」 令華の自宅、水澤家。娘の&ruby(みづき){美月}が学校から帰って来る。 主人公、令華の養子である水澤 &ruby(はるか){悠}が1人、食事をとっている。 食卓には最低限の固形物とサプリメントのみ、まるで宇宙食のような食事。 美月「悠、今頃ごはん?」 悠「美月、お帰り。ちょうど良かった!」 美月「えっ?」 悠「ちょっと待ってて。すぐ食べちゃうから」 悠の部屋。熱帯魚の水槽がある。 美月「私にできるかな?」 悠「大丈夫。レイアウトに決まりなんかないし」 美月「でも……」 悠「水槽って、一つの世界なんだ。森でも町でも、好きな物をイメージして作るといいよ。それが、美月の世界になるから」 美月「私の?」 悠「こうやって見てると、自分もその世界に入り込んだような気がして…… すごく落ち着く」 美月「あのさ…… もしかして悠、ここ出たい?」 悠「えっ?」 美月「うちのお母さん、悠に厳しいでしょ? いくら体が弱いからって、家から出ちゃいけないとか行き過ぎだし、私にも、あんまりここに来るなって。悠が疲れるから」 悠「そっか……」 美月「うちに来なければ良かったって、思ってない?」 悠「いや、僕なんか引き取ってくれて、母さんにはすごく感謝してる。家に閉じこもってるのも、全然悪くないし」 美月「本当?」 悠「うん。この部屋は、僕の水槽ってことかな」 美月「……」 そこへ、令華が帰って来る。 令華「美月、何してるの!?」 美月「お母さん……」 悠「お帰りなさい」 令華「早く着替えてらっしゃい!」 美月が言い返せずに、部屋を去る。 令華「悠。明日、研究所の人間が定期健診に来るから、そのつもりで」 悠「いや、でも、先月やったばかりじゃ?」 令華「こまめにチェックして、悪いことはないわ」 悠「でも、いつまで……」 令華「薬は? 毎日ちゃんと打ってるわね?」 悠「はい。ただ、あの薬、あんまり好きじゃないというか……」 令華「好き嫌いの問題じゃありません!」 悠「……はい」 令華「いい? 今はこうしていられるけど、あなたは2年前まで寝たきりだったのよ。それを忘れないで」 悠「……はい」 令華が部屋を去る。 悠「僕の、水槽……」 令華の部屋に、制服姿のままの美月が駆け込んで来る。 美月「お母さん!」 令華「まだ着替えてないの?」 美月「お母さん、悠の病気って何? どうして自由にさせてあげないの?」 令華「それを調べてるの。悠のことはお母さんに任せて、あなたは自分のことをなさい。テストがあるんでしょ?」 美月「……」 令華「美月?」 美月「……」 令華「美月!」 美月「……はい」 悠は自室で、注射器を取り出す。 悠「これだけは嫌だな。打つと、いつもあれが……」 脳裏に浮かぶ映像。薄暗いどこかで、金網の向こうに閉じ込められて暴れ回る、緑色の怪物── 悠は思わず注射器をしまい、薬を投与せずにベッドに倒れ込んでしまう。 未明。林の中をキャンピングカーが走っている。 運転手の男性が息を荒げ、助手席では女性が不安そうにしている。 「ねぇ。やっぱり道、間違えてるよ。戻ろ。なんか怖い」 「あぁ…… はぁ、はぁ、はぁ……」 「どうかしたの? ねぇ!」 「う…… は、腹が…… 減った……」 運転手の男の形相が、みるみる人でないものへと変化してゆく。 「きゃあぁ──っっ!!」 女性が無我夢中でドアを開けると、1人の男が立っている。 「助けて! 助けてください!」 しかし、その男もまた異形へと変化してゆく。女性を車内に押し込め、ドアを閉める。 「きゃあぁ──っっ!!」 何かが激しく飛び散る音── 水澤家。息を荒げつつ寝床についていた悠が、不意に目覚める。 志藤たち「駆除班」のマンション。一同は酒盛り後のコタツで雑魚寝している。パソコンから通信音が響く。 三崎「……はい、駆除班」 通信の声『調査班です。実験体の識別コードを確認しました。識別コードはB-008と、S-208。マップ、転送します』 望「おい、行くぞ。おい、マモル…… 起きろ!」 一同はだるそうにしながらも、ワゴン車で出動する。 志藤「2匹かよ…… 二日酔いにはキツイか」 望「おい、マモル、起きろ」 車内でも寝ているマモル。大滝はびっしょりと汗をかき、息を荒げている。 前原「竜介さん、どうしたんスか?」 大滝「あぁ…… 呑み過ぎたらしい」 前原「同じくです……」 三崎「安い酒ばっかり呑んでっから、こうなんだよなぁ~」 駆除班を盗聴していたマンションの男性。 屋上のニワトリ小屋から卵を採り、自室でジョッキに数個の卵を割り入れ、生のまま飲み干す。 ベッドで寝ている同居の女性にキスを残し、マンションを発つ。 一方で悠が、朦朧とした意識のままベッドから起き上がり、家を出て、どこかへと歩き始める。 志藤たちは、林の中に到着。 大滝「1匹は昨日と同じタイプだが、ランクはBだ。問題はもう1匹のほうだな。識別コード、B-008。ランクは…… Aだ」 前原「よし」 望「Aなんて、初めて…… いくらになるかな?」 三崎「呑める、呑める」 志藤「バカ野郎。稼げる分、これまでみたいにはいかねぇってことだよ。全員、気をつけろ。ボーナスも、生きて帰ってこそ、だ」 マモル「いるよ、近くに」 どこからかクモの糸が伸び、大滝を締め上げる。 マモル「大滝くん!?」 クモアマゾンが大滝を捕えたまま走り去り、志藤たちが追う。 志藤「福!」 マモル「うぅおぉぉ──っ!!」 福田は車を走らせ、マモルはモグラアマゾンに変身してクモアマゾンを追う。 だがもう1体のアマゾン、コウモリアマゾンが宙を舞ってモグラアマゾンに一撃を見舞う。 志藤「ったく! 全員、マモルのフォローに回れ! 福、隆介を頼む!」 福田の銃撃で大滝がクモアマゾンから解放されるが、今度は福田がクモアマゾンの攻撃をまともに食らう。 福田「うわあぁ──っ!」 その頃、悠は朦朧とした意識のまま、ふらふらとした足取りで、その林までやって来ている。 悠「はぁ、はぁ…… 僕は、何でこんなところに……!?」 志藤「一也、淳! ここを頼む!」 三崎たちにコウモリアマゾンを任せ、志藤と望は福田たちのもとに回る。 志藤「福、大丈夫か!? 立てるか!?」 クモ糸の拘束を解いた大滝が、ふらふらと立ち上がる。 志藤「竜介、下がってろ!」 大滝「悪かった…… 黙ってて悪かった……」 志藤「竜介!」 大滝「俺も…… はぁ、はぁ…… 俺も!」 志藤「竜介!?」 なんと竜介もまた怪人態、トンボアマゾンへと変身する。 志藤「竜介ぇ!!」 モグラアマゾンは、自在に宙を舞うコウモリアマゾンに苦戦を強いられている。 志藤「グダグダになってきたか…… やべぇぞ」 突如、激しいクラクションの音が響く。志藤たちの車の中に、先ほどのマンションの男──鷹山 仁。 頬杖を突く肘で、クラクションを鳴らしている。もう片方の手には、奇妙なベルト。 志藤「おい、何してる!? ここは危険だ!」 仁は不敵な表情のまま、ベルトで卵を割り、生のまま口に放り込む。 望「何だ、お前ぇ!?」 仁は臆することなく一同の前に進み出て、ベルトを腰に巻く。 &i(){『Alpha』} 仁「アマゾン……」 爆炎のような高熱と衝撃を放ち、仁もまた変身する。 志藤「何だ、ありゃ!?」 それは野獣のような真っ赤な姿、アマゾンアルファであった。 水澤家では令華が、悠の失踪と、放置された注射器に気づいている。 令華「昨日の分を打っていないのね!?」 襲いかかるクモアマゾンを、アマゾンアルファはたやすく蹴散らす。 アマゾンアルファの突き、蹴りが次々に決まる。 アマゾンアルファ「じゃあな」 渾身の爪の一撃が決まり、クモアマゾンから心臓部を抉り出す。 アマゾンアルファ「気持ち悪ぃな」 クモアマゾンの体が溶け、液化して消滅してゆく。 その戦いの一部始終を見ていた悠の息遣いが、次第に獣のように荒々しくなってゆく。 悠「はぁ…… はぁ…… な、何だ、これ!? はぁ、はぁ、い、嫌だぁ…… はぁ、はぁ」 脳裏に浮かぶイメージ── 緑色の怪物が金網を突き破り、奇声を上げる。 悠「わああぁぁ──っっ!!」 野獣のように大きく跳躍。そして、志藤たちの戦いの場に降り立つ。 前原「またアマゾン!?」 望「嘘…… どんだけいんだよ?」 その悠の姿は、脳裏に浮かんだ姿と同様、緑色の怪物へと変貌を遂げていた──! ※ この続きは[[仮面ライダーアマゾンズ(シーズン1)の第2話]]をご覧ください。
#center(){|CENTER:&br()&bold(){&big(){&i(){Episode 1&br()&big(){AMAZONZ}}}}&br()&br()|} 雨の中、1台のワゴン車が町はずれの民宿のもとに到着。消毒服姿の者たちが降りる。 リーダーの志藤 真、大滝竜介、三崎一也、前原 淳、マモル、紅一点の高井 望。 「害虫・害獣駆除作業中」の看板を置き、民宿へと入ってゆく。 通りかかった女性が、興味津々で話しかける。 女性「ねぇねぇ、何これ? ちょっと、ちょっと! 害虫?」 三崎「いやいや、どうってことはないんですよ~。こんにちはぁ。これねぇ、ちょっとした害虫駆除なんですよ~」 女性「あらぁ、うちも今度お願いしようかしら?」 三崎が女性に応対している間、民宿の中では一同が消毒服を脱ぎ捨て、戦闘服姿となる。 民宿の中は、何者かが暴れ回ったように荒れ放題。 望「後の掃除、面倒臭ぇぞ……」 前原「清掃の奴ら、泣いて喜びそうだな」 志藤「竜介。『ムシ』のポイント、いくらっつってたっけ?」 大滝「あ──、ボーナスはあんまり期待できないっスね。ランクはDで、ポイント120っス」 一同「チッ……」「はぁ……」 志藤「さっさと狩るぞ」 一同が銃を手にし、慎重に奥へと進んでゆく。人間と思しき肉片が散乱している。 前原「志藤さん…… 食べ残しです。」 大滝「あ──、オヤツだらけだ。」 志藤「大食いだな」 望「志藤さん。マモルが『2階だ』って」 一同が2階に昇り、奥へ奥へと進む。一室に、人間大のクモのような怪物── クモアマゾンが巣食っている。 志藤「竜介。『ムシ』確認。狩り、開始。福!」 外の車内で待機している福田耕太が、放送を流す。 『こちらは害虫・害獣駆除サービスです。ただ今、作業のために大きな音が発生することがあります。ご迷惑をおかけして申し訳ございません──』 志藤「マモル、いけるな?」 マモル「み、三崎くんは?」 志藤「チッ、あの野郎」 望「いつまでやってんだよ? 野次馬対応。いいから、いけよ」 マモル「全員でやらないと! チームは大事だから!」 志藤「だよな。ったく。来るぞ!」 クモアマゾンが突進。志藤らは銃撃で、望はナイフと電撃仕込みのブーツのキックで応戦する。 ようやく三崎が、一同に合流。 三崎「いやぁ~、中はひでぇや」 マモル「三崎くん、こっちこっち!」 志藤「遅ぇぞ、カズ!」 望「あんたは話が長げぇんだよ!」 三崎「悪ぃ、悪ぃ」 望「マモル、三崎さん来たからいいだろ!? おい!」 マモル「うん」 三崎「わぁ、ちょ、ちょっと待って、待って!」 マモル「うぅおお──っ!!」 マモルが自分の服を引き裂き、激しい熱と蒸気が全身から吹き出す。 三崎「熱、熱熱、熱!」 マモルもまた、怪人態・モグラアマゾンに変身し、クモアマゾンに応戦する。 三崎「だからいつも言ってんのに、もう、やってられないよぉ!」 窓を突き破り民宿の外へ、隣接した倉庫の中へと場所を移しつつ、戦いは続く。 大滝がタブレットで情報を解析する。 大滝「マモル、背中だ!」 モグラアマゾンが渾身の力で、クモアマゾンの背に鉤爪を突き立て、心臓部を抉り出す。 たちまちクモアマゾンの体が崩れ、ドロドロの液体となって溶け、消滅する。 残されたのは、クモアマゾンが嵌めていた腕輪のみ。 志藤「『ムシ』狩り終了…… 清掃班に連絡。撤収!」 帰りの車内。志藤は雇い主である、野座間製薬の本部長・水澤令華に報告の電話を入れている。 志藤「識別コード・S-203の駆除、完了。宿泊客9人の内、1人が『ムシ』──実験体だったようで、他の8人はほぼ奴のオヤツになってました」 令華「気持ちのいい表現じゃありませんね」 志藤「事実ですよ。ま、食べ残しは清掃班が片づけます」 令華「遺体が出ない限りは行方不明事件として扱うよう、公安に話が通っています。確実に処理してください。いいですね?」 志藤「清掃班に言ってくださいよ! 俺たちの担当は、駆除までですから」 令華「で、『M』の様子は?」 志藤「マモルですか? 変わりなしです」 車内では、一同が傷の手当てをしている。変身を解いたマモルは半裸姿。 望「マモル。いちいち制服、破くなよ。これじゃ、何枚あっても足りねぇだろ」 三崎「しょうがないでしょうよ、儀式みたいなもんなんだから。マモちゃんの変身スイッチだもんな」 大滝「ま、その内ほかの方法にシフトしていけばいいでしょ。な?」 前原「そっすね。ま、制服タダなんだから、気にすんな」 志藤「……ねぇ、本部長さん。もう教えてくれてもいいんじゃないですかね? 俺たちが駆除している実験体、マモルもですけど、あんたたちが『アマゾン』って呼んでるあいつらは、何なんですか?」 志藤たちの車にバイクが並び、密かに車体に盗聴器を仕掛ける。 どこかのマンション。スマートフォンから、志藤らの会話の声が漏れる。 志藤「ヤバイもんってことは、見ればわかりますよ。それを、いくらあんたのところが大企業だからって、警察や自衛隊も動かさずに、俺たちみたいな別会社を作って、処理しようとしてるってのがねぇ……」 令華「あなたたちは実験体を駆除する以外に関与しない── その条件で雇ったはずです」 志藤「たまたまネットで見たんですけどねぇ…… 2年前、あんたたちの研究所で事故が──」 令華「条件が飲めないなら──」 志藤「──わかってますよ! 無駄話はここまで。俺たちは、今日のポイント分のボーナスを貰えれば、それで。なぁ、お前ら? じゃ、報告終わりです」 電話を切ると、車内ではマモルが大泣きしている。望が一同の戦闘服とは別の服を手にしている。 志藤「どうした?」 望「もう制服の在庫ねぇから、これ着ろよっていったら、真に受けちゃって」 マモル「うぇ~ん! チ、チームは同じじゃないと……」 大滝「ったくもう。あんまりマモルからかうなよ!」 望「ごめんごめん、マモルちゃ~ん、嘘だよぉ!」 志藤たちの通信を盗聴していたマンション。 1人の男性が屋上に上がり、雨の中、ニワトリ小屋に餌を蒔く。 一方の令華と、秘書の加納省吾。 加納「これで、今年に入って駆除した実験体は、8体になります。去年が2体のみだけだったことを考えると、事故から2年目に始まるというのは、正しかったという他ありませんね」 令華「これからです…… アマゾンたちが目覚めるのは」 令華の自宅、水澤家。娘の&ruby(みづき){美月}が学校から帰って来る。 主人公、令華の養子である水澤 &ruby(はるか){悠}が1人、食事をとっている。 食卓には最低限の固形物とサプリメントのみ、まるで宇宙食のような食事。 美月「悠、今頃ごはん?」 悠「美月、お帰り。ちょうど良かった!」 美月「えっ?」 悠「ちょっと待ってて。すぐ食べちゃうから」 悠の部屋。熱帯魚の水槽がある。 美月「私にできるかな?」 悠「大丈夫。レイアウトに決まりなんかないし」 美月「でも……」 悠「水槽って、一つの世界なんだ。森でも町でも、好きな物をイメージして作るといいよ。それが、美月の世界になるから」 美月「私の?」 悠「こうやって見てると、自分もその世界に入り込んだような気がして…… すごく落ち着く」 美月「あのさ…… もしかして悠、ここ出たい?」 悠「えっ?」 美月「うちのお母さん、悠に厳しいでしょ? いくら体が弱いからって、家から出ちゃいけないとか行き過ぎだし、私にも、あんまりここに来るなって。悠が疲れるから」 悠「そっか……」 美月「うちに来なければ良かったって、思ってない?」 悠「いや、僕なんか引き取ってくれて、母さんにはすごく感謝してる。家に閉じこもってるのも、全然悪くないし」 美月「本当?」 悠「うん。この部屋は、僕の水槽ってことかな」 美月「……」 そこへ、令華が帰って来る。 令華「美月、何してるの!?」 美月「お母さん……」 悠「お帰りなさい」 令華「早く着替えてらっしゃい!」 美月が言い返せずに、部屋を去る。 令華「悠。明日、研究所の人間が定期健診に来るから、そのつもりで」 悠「いや、でも、先月やったばかりじゃ?」 令華「こまめにチェックして、悪いことはないわ」 悠「でも、いつまで……」 令華「薬は? 毎日ちゃんと打ってるわね?」 悠「はい。ただ、あの薬、あんまり好きじゃないというか……」 令華「好き嫌いの問題じゃありません!」 悠「……はい」 令華「いい? 今はこうしていられるけど、あなたは2年前まで寝たきりだったのよ。それを忘れないで」 悠「……はい」 令華が部屋を去る。 悠「僕の、水槽……」 令華の部屋に、制服姿のままの美月が駆け込んで来る。 美月「お母さん!」 令華「まだ着替えてないの?」 美月「お母さん、悠の病気って何? どうして自由にさせてあげないの?」 令華「それを調べてるの。悠のことはお母さんに任せて、あなたは自分のことをなさい。テストがあるんでしょ?」 美月「……」 令華「美月?」 美月「……」 令華「美月!」 美月「……はい」 悠は自室で、注射器を取り出す。 悠「これだけは嫌だな。打つと、いつもあれが……」 脳裏に浮かぶ映像。薄暗いどこかで、金網の向こうに閉じ込められて暴れ回る、緑色の怪物── 悠は思わず注射器をしまい、薬を投与せずにベッドに倒れ込んでしまう。 未明。林の中をキャンピングカーが走っている。 運転手の男性が息を荒げ、助手席では女性が不安そうにしている。 「ねぇ。やっぱり道、間違えてるよ。戻ろ。なんか怖い」 「あぁ…… はぁ、はぁ、はぁ……」 「どうかしたの? ねぇ!」 「う…… は、腹が…… 減った……」 運転手の男の形相が、みるみる人でないものへと変化してゆく。 「きゃあぁ──っっ!!」 女性が無我夢中でドアを開けると、1人の男が立っている。 「助けて! 助けてください!」 しかし、その男もまた異形へと変化してゆく。女性を車内に押し込め、ドアを閉める。 「きゃあぁ──っっ!!」 何かが激しく飛び散る音── 水澤家。息を荒げつつ寝床についていた悠が、不意に目覚める。 志藤たち「駆除班」のマンション。一同は酒盛り後のコタツで雑魚寝している。パソコンから通信音が響く。 三崎「……はい、駆除班」 通信の声『調査班です。実験体の識別コードを確認しました。識別コードはB-008と、S-208。マップ、転送します』 望「おい、行くぞ。おい、マモル…… 起きろ!」 一同はだるそうにしながらも、ワゴン車で出動する。 志藤「2匹かよ…… 二日酔いにはキツイか」 望「おい、マモル、起きろ」 車内でも寝ているマモル。大滝はびっしょりと汗をかき、息を荒げている。 前原「竜介さん、どうしたんスか?」 大滝「あぁ…… 呑み過ぎたらしい」 前原「同じくです……」 三崎「安い酒ばっかり呑んでっから、こうなんだよなぁ~」 駆除班を盗聴していたマンションの男性。 屋上のニワトリ小屋から卵を採り、自室でジョッキに数個の卵を割り入れ、生のまま飲み干す。 ベッドで寝ている同居の女性にキスを残し、マンションを発つ。 一方で悠が、朦朧とした意識のままベッドから起き上がり、家を出て、どこかへと歩き始める。 志藤たちは、林の中に到着。 大滝「1匹は昨日と同じタイプだが、ランクはBだ。問題はもう1匹のほうだな。識別コード、B-008。ランクは…… Aだ」 前原「よし」 望「Aなんて、初めて…… いくらになるかな?」 三崎「呑める、呑める」 志藤「バカ野郎。稼げる分、これまでみたいにはいかねぇってことだよ。全員、気をつけろ。ボーナスも、生きて帰ってこそ、だ」 マモル「いるよ、近くに」 どこからかクモの糸が伸び、大滝を締め上げる。 マモル「大滝くん!?」 クモアマゾンが大滝を捕えたまま走り去り、志藤たちが追う。 志藤「福!」 マモル「うぅおぉぉ──っ!!」 福田は車を走らせ、マモルはモグラアマゾンに変身してクモアマゾンを追う。 だがもう1体のアマゾン、コウモリアマゾンが宙を舞ってモグラアマゾンに一撃を見舞う。 志藤「ったく! 全員、マモルのフォローに回れ! 福、隆介を頼む!」 福田の銃撃で大滝がクモアマゾンから解放されるが、今度は福田がクモアマゾンの攻撃をまともに食らう。 福田「うわあぁ──っ!」 その頃、悠は朦朧とした意識のまま、ふらふらとした足取りで、その林までやって来ている。 悠「はぁ、はぁ…… 僕は、何でこんなところに……!?」 志藤「一也、淳! ここを頼む!」 三崎たちにコウモリアマゾンを任せ、志藤と望は福田たちのもとに回る。 志藤「福、大丈夫か!? 立てるか!?」 クモ糸の拘束を解いた大滝が、ふらふらと立ち上がる。 志藤「竜介、下がってろ!」 大滝「悪かった…… 黙ってて悪かった……」 志藤「竜介!」 大滝「俺も…… はぁ、はぁ…… 俺も!」 志藤「竜介!?」 なんと竜介もまた怪人態、トンボアマゾンへと変身する。 志藤「竜介ぇ!!」 モグラアマゾンは、自在に宙を舞うコウモリアマゾンに苦戦を強いられている。 志藤「グダグダになってきたか…… やべぇぞ」 突如、激しいクラクションの音が響く。志藤たちの車の中に、先ほどのマンションの男──鷹山 仁。 頬杖を突く肘で、クラクションを鳴らしている。もう片方の手には、奇妙なベルト。 志藤「おい、何してる!? ここは危険だ!」 仁は不敵な表情のまま、ベルトで卵を割り、生のまま口に放り込む。 望「何だ、お前ぇ!?」 仁は臆することなく一同の前に進み出て、ベルトを腰に巻く。 &i(){『Alpha』} 仁「アマゾン……」 爆炎のような高熱と衝撃を放ち、仁もまた変身する。 志藤「何だ、ありゃ!?」 それは野獣のような真っ赤な姿、アマゾンアルファであった。 水澤家では令華が、悠の失踪と、放置された注射器に気づいている。 令華「昨日の分を打っていないのね!?」 襲いかかるクモアマゾンを、アマゾンアルファはたやすく蹴散らす。 アマゾンアルファの突き、蹴りが次々に決まる。 アマゾンアルファ「じゃあな」 渾身の爪の一撃が決まり、クモアマゾンから心臓部を抉り出す。 アマゾンアルファ「気持ち悪ぃな」 クモアマゾンの体が溶け、液化して消滅してゆく。 その戦いの一部始終を見ていた悠の息遣いが、次第に獣のように荒々しくなってゆく。 悠「はぁ…… はぁ…… な、何だ、これ!? はぁ、はぁ、い、嫌だぁ…… はぁ、はぁ」 脳裏に浮かぶイメージ── 緑色の怪物が金網を突き破り、奇声を上げる。 悠「わああぁぁ──っっ!!」 野獣のように大きく跳躍。そして、志藤たちの戦いの場に降り立つ。 前原「またアマゾン!?」 望「嘘…… どんだけいんだよ?」 その悠の姿は、脳裏に浮かんだ姿と同様、緑色の怪物へと変貌を遂げていた──! #center(){&big(){(続く)}} ※ この続きは[[仮面ライダーアマゾンズ(シーズン1)の第2話]]をご覧ください。

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