ウルトラマンネクサスの第36話

「ウルトラマンネクサスの第36話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ウルトラマンネクサスの第36話 - (2020/07/29 (水) 13:34:56) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

夕闇の市街地を舞台に、ウルトラマンネクサス(&ruby(せん){千}&ruby(じゅ){樹}&ruby(れん){憐})、ナイトレイダーと二体のスペースビーストの死闘が続く。 ノーチラスタイプビースト・メガフラシにハイパーストライクチェスターのハイハーストライクバニッシャーが炸裂。 その横で、ネクサス・ジュネッスブルーのシュトローム・ソードがフィンディッシュタイプビースト・ガルベロスを切り倒す。 崩れ落ちるビーストたち。 しかし、二体の死体は粒子となって、空に開いた「アンノウンハンドの闇((端的に言えば、スペースビーストを生み出しているモノ。))」に吸い込まれていく。 闇の向こうに、新たなるスペースビーストの影が蠢いていた。 吉良沢「これは……」 咆哮するビースト。 やがて闇が消え、ネクサスも消えていった。 夜。 体育館の一室で、疲れ果てた憐が眠っている。メモリーポリスの少女・&ruby(みず){瑞}&ruby(お){生}が憐を介抱していた。 前回、TLTから離反したナイトレイダーは、憐を守るために体育館の周囲を見張っている。 凪「どうだった?」 石堀「町の封鎖は解かれていない。住民は皆、町の東側に避難しています」 弧門「憐は?」 詩織「向こうで瑞生ちゃんが看てる。……さーて、そろそろ誰かさんがあたしたちをとっ捕まえに来る頃じゃない?」 和倉隊長の通信機に、松永管理官からの通信が入る。 松永「松永です。ナイトレイダーの処分については、現在上層部が討議中です。相応の覚悟をしておいて下さい」 和倉「分かっています」 松永「処分が決定するまで、ナイトレイダーはその場で待機を」 和倉「やはりまだ、このニュータウンにアンノウンハンドが?」 今度は吉良沢からの通信が来た。 吉良沢「CICです。しかも、その波形は異常な振幅を示しています」 和倉「何が起こってるんですか?」 吉良沢「アンノウンハンドの闇の中で、何かが成長しています。アンノウンハンドは、時を置かずに仕掛けてくるでしょう。すでに、憐にメタフィールドを張る力はない。次は、未曾有のビーストを相手に、市街地で戦うことになります。恐らく…… それが憐の最後の戦いです」 弧門「そんな……」 #center(){|&bold(){&italic(){Episode36&br()&big(){&big(){決 戦}}&br()- フェアウェル ー}&br()}|} 憐が目を覚ます。 見つめ合う憐と瑞生。 瑞生「私は…… 憐が好き。憐の未来がどんなものでも、私の気持ちは変わらない。ずっと変わらない……」 扉の向こうから見ていた弧門は、静かにその場を離れた。 瑞生「なんか、食べるもの買ってくるね」 ぎこちない作り笑いを浮かべて、瑞生が部屋から出ていく。 泣きながら走り去る瑞生。 憐も天井をじっと見つめ、やがて慟哭する。 憐「……俺は、馬鹿だ! 俺じゃあ、瑞生に何もしてやれないのに……」 憐が顔を横に向ける。机に置かれた瑞生のメモレイサー((メモリーポリスが使う携帯電話型記憶消去装置。実際メン・イン・ブラックな。))が目に留まった。 体育館の外。弧門と和倉が高台から人気のない町を見つめている。 弧門「僕には何もしてやれない。見ていることしかできないのが…… 悔しいんです。代わってやれるものなら……」 和倉「人の人生は肩代わりできない。家族でも、恋人でも友達でも、どんなに大切な人間であっても…… だからこそ、人は心を尽くして、人と絆を結ぼうとする……」 互いに視線を合わせる弧門と和倉。 和倉「見ていることしかできないなら、見ていてやれ。最後まで」 瑞生が帰ってきた。 憐「瑞生、メモレイサーって正確にはどんな記憶を消せるの?」 瑞生「ビーストと、ウルトラマンと、それにまつわる記憶。どうして?」 憐「瑞生の仕事のこと、あんま聞いたことなかったから……」 少し元気を取り戻したように見える憐を見て、笑みを浮かべる瑞生。 瑞生「なんか暖かい飲み物、作るね」 憐はコップにお湯を注ぐ瑞生の背中を見つめながら考えを巡らせる。 憐(ビーストとウルトラマンとそれにまつわる記憶…… じゃあ&ruby(デュナミスト){適能者}のことも忘れる……?) 憐が瑞生のメモレイサーから、かつて自分が贈ったストラップを外した。 瑞生「できたよ」 飲み物を出そうとした瑞生にメモレイサーを突きつける憐──しかし、瑞生はメモレイサーをそらし、憐との取っ組み合いの末に、彼を押し倒した。 瑞生「ふざけないでよ!! 全部忘れろって言うの!? 憐のこと…… 顔も名前も…… 憐がこの世にいたってことも…… みんな忘れてしまえって言うの!?」 今まで見たことがないほどの剣幕で怒る瑞生に、憐は何も言い返せない。 瑞生「冗談じゃないわよ!! 一緒にいた時間がどんだけ大事か、どうして分からないの!? ……どうしてそれが分からないの……?」 瑞生が憐から顔を背け、泣き崩れる。 憐「ごめんな……」 体を起こし、背中から瑞生を抱きしめる憐。 憐「ごめんな、瑞生……!!」 静まり返った部屋に、二人の嗚咽だけが響く──。 ナイトレイダー基地。 その一室の中に、前回、アンノウンハンドに襲われた&ruby(かい){海}&ruby(もと){本}((憐の出生の事情を知るTLT関係者。))が倒れていた。 一方、CICでは── 吉良沢「……誰か呼んでる」 海本の危機を察知した吉良沢が自分のホログラムを海本の下に送り、倒れている海本に呼びかける。 吉良沢「海本先生!」 辛うじて生きていた海本が、ゆっくりと目を開ける──。 翌朝。 外に出れる程度には回復した憐が、木のそばに座っていた。 そこへ弧門が来る。 弧門「何してたんだ?」 憐の隣に座る弧門。 憐「考えてたんだ。“光”は、何故俺の所に来たんだろうって」 弧門「同じことを考えてた人がいるよ」 憐「同じことを?」 弧門「&ruby(ひめ){姫}&ruby(や){矢}&ruby(じゅん){准}。君の前の&ruby(デュナミスト){適能者}だ」 回想──今の憐と弧門と同じように、並んで座りながら語り合う弧門と姫矢。 変身アイテム・エボルトラスターをじっと見つめながら、姫矢が語る。 姫矢「俺はこの光を得た。この光の意味が何なのか…… お前を助けた時、俺は感じたんだ。過去は変えられないが、未来なら変えることができるかもしれない」 弧門「憐。“光”はもしかしたら、人に託された希望なのかもしれない。だから“光”は、人から人へ受け継がれていく」 憐「“光”は、受け継がれていく希望……?」 その時、ビーストの咆吼が轟き、空に「アンノウンハンドの闇」が開いた。 瑞生が来る。 瑞生「憐!!」 憐「瑞生……」 弧門の通信機に、吉良沢からの通信が入る。 吉良沢「CICです。プロメテの子((優秀な遺伝子を組み合わせて人工的に天才児を作る計画で生み出された試験管ベビー。憐と吉良沢もこの一人。))たちが、『ラファエル((遺伝子疾患を抱える憐のために研究されていた延命薬。))』を完成させた! ラファエルと医療スタッフが、城北大学病院で憐の到着を待っている!!」 弧門「本当ですか!? ……憐、すぐに病院へ向かうんだ!」 憐「あいつらが……?」 吉良沢「いいか憐! この状態で戦えば…… 君は助からない!」 弧門「行くんだ憐! 早く!!」 「アンノウンハンドの闇」から降り立ったビーストは、これまでに現れてきたビーストのパーツが合体した姿をしていた。 人々が逃げ惑う中、ビーストがビルを砕き、口から光線を吐いて辺りを破壊していく。 進撃するビーストを睨む憐。 憐「優、弧門…… 俺は俺の光を走りきる!!」 瑞生「憐……」 憐、瑞生に向き直り、 憐「必ず戻る」 うなずく瑞生。 憐がエボルトラスターを取り出し、走り出したが、途中で転んてしまい、膝をついた。 弧門と瑞生の顔がこわばる。 憐「……うぁぁぁ────っっ!!!」 歯を食いしばりながら立ち上がった憐がエボルトラスターを抜き、ウルトラマンネクサスとなった。 ビーストとネクサスが相対する。 ネクサスはアンファンスからジュネッスブルーに変身し、ビーストに突っ込んでいった。 ネクサスとビーストが組み合うも、ビーストはネクサスをはね除ける。 再度ネクサスはビーストに向かっていき、格闘戦を繰り広げる。 やがて、4機のクロムチェスターが駆けつけ、ビーストを攻撃し始めた。 ネクサスはパンチ、キックでビーストを責め立てるが、ビーストはネクサスが組みついた隙を突いて、右腕にあるラフレイアの花弁から花粉を放ってきた。 不意打ちを喰らったネクサスが蹴飛ばされ、ビルに叩きつけられて、押し倒される。 &ruby(憐){ネクサス}の戦いを固唾を飲んで見守る弧門──。 ビーストの右肩にあるメガフラシの顔からの電撃がネクサスを苛む。 ネクサスは電撃を弾いて、蹴りを返したが、今度はビーストの左手首がゴルゴレムの口吻に変形して伸び、ネクサスを背中から攻撃する。 吉良沢「あいつは…… 恐らく、過去のあらゆるビーストの攻撃能力を備えていると思われます。最強のビースト──コードネーム『イズマエル』!」 イズマエルの左腕のゴルゴレムの口吻からの火球、右膝のペドレオンの顔からの熱線、尻尾の先端にあるグランテラの砲口からの火球、左肩のリザリアスの顔からの破壊光線の一斉射撃を受け、ネクサスが倒れる。 倒れたネクサスを踏みつけようとするイズマエルを、クロムチェスターが攻撃。 その隙にネクサスが飛び退く。 イズマエルは空へ光線を乱射し、その攻撃がクロムチェスターβとクロムチェスターγを掠め、二機は墜落していった。 さらに凪のクロムチェスターαも墜落。ただ、それを見ているしかできない弧門。 リザリアスの顔からの熱線をネクサスはバック転でかわしていき、胸にあるバンピーラの顔からの粘糸攻撃もかわして、ボードレイ・フェザーを撃ち返し、再び格闘戦に持ち込んだ。 避難していた人々がネクサスとイズマエルの戦いを見始めた。 イズマエルに、右腕のノスフェルの爪で三度切りつけられ、ネクサスが倒れる。 弧門「くっそぉぉっ!!」 クロムチェスターδがアビロックミサイルを撃ったが、イズマエルの口からの光線に撃ち落とされ、光線はそのままクロムチェスターδを掠めた。 弧門「うわぁぁぁぁぁ……!!」 クロムチェスターδが墜落していった。 それを見たネクサスは、完全に倒れ伏した。 ネクサスの胸のコアゲージが点滅する。 CICから吉良沢が憐にテレパシーを送る。 吉良沢(憐! 憐、聞こえるか? 憐…… “光”を信じろ!!) 憐(“光”……) イズマエルは口からの光線で辺りを破壊していた。 憐(“光”は、人に受け継がれる希望……) ネクサスが拳を握り締め、そして立ち上がる。 憐(俺は、戦う…… 俺は生きる! 生きて、この光を繋ぐ!!) 振り向くイズマエル。 ネクサスは走り出し、そして飛び上がった。 イズマエルが口から光線を撃つも、ネクサスは上昇してかわし、そのままの勢いで巨大な矢状の光線「オーバーアローレイ・シュトローム」を放つ。 オーバーアローレイ・シュトロームはイズマエルを貫き、ネクサスが着地すると同時に、倒れたイズマエルが大爆発──!! 辛くも勝利したネクサスは、瑞生とナイトレイダーに見守られながら憐に戻っていった。 吉良沢の瞳が潤む。 憐は精神世界でネクサスと向き合っていた。 まるでネクサスに返還されるようにエボルトラスターがエナジーコアと一体化し、ネクサスの姿が消えていく。 憐(ありがとう…… さよなら) 憐と瑞生のこれまでの思い出が回想される── 憐「名前、なんてゆーの? ねぇねぇ、名前は? 俺、千樹憐ね」 憐「ここ来るの初めて?」 憐「みーずお」 倒れた憐を、医療スタッフが搬送する。 それを追いながら瑞生が叫ぶ。ナイトレイダーもその場に来た。 瑞生「憐! 憐、目を開けて!! 憐、目を開けて!! 憐、憐!! お願い! 目を開けて!!」 憐は死んだように動かない。 瑞生は、憐に唇を重ねた──。 ややあって、憐がうっすらとだが目と口を開いた。 瑞生「憐…… 憐!!」 憐が救急車に入れられていく。 連はゆっくりと左手を上げ、弧門たちにVサインを見せた。 瑞生も救急車に乗り、弧門たちに頭を下げた。 扉が閉まり、救急車が発進する。 弧門(憐は生きる──僕たちはそう信じた。でもあの時、僕たちは憐を離れた“光”が誰を訪れるのか、まだ考えてもいなかった。そして…… それに続く、恐ろしい出来事も……) かつて&ruby(デュナミスト){適能者}に選ばれた姫矢や憐が幻視した、石化したストーンフリューゲルの鎮座する異空間。 そこへ来たのは──凪。 凪がストーンフリューゲルに触れると、ストーンフリューゲルが光りだす──。 #center(){|BGCOLOR(#00000f):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){&i(){Next:The Final Episode}}}}&br()&br()|} ※この続きは[[本家エンディングドットコム>http://neoending.web.fc2.com/anime/agyou/nexsus.htm]]をご覧ください。
夕闇の市街地を舞台に、ウルトラマンネクサス(&ruby(せん){千}&ruby(じゅ){樹}&ruby(れん){憐})、ナイトレイダーと二体のスペースビーストの死闘が続く。 ノーチラスタイプビースト・メガフラシにハイパーストライクチェスターのハイハーストライクバニッシャーが炸裂。 その横で、ネクサス・ジュネッスブルーのシュトローム・ソードがフィンディッシュタイプビースト・ガルベロスを切り倒す。 崩れ落ちるビーストたち。 しかし、二体の死体は粒子となって、空に開いた「アンノウンハンドの闇((端的に言えば、スペースビーストを生み出しているモノ。))」に吸い込まれていく。 闇の向こうに、新たなるスペースビーストの影が蠢いていた。 吉良沢「これは……」 咆哮するビースト。 やがて闇が消え、ネクサスも消えていった。 夜。 体育館の一室で、疲れ果てた憐が眠っている。メモリーポリスの少女・&ruby(みず){瑞}&ruby(お){生}が憐を介抱していた。 前回、TLTから離反したナイトレイダーは、憐を守るために体育館の周囲を見張っている。 凪「どうだった?」 石堀「町の封鎖は解かれていない。住民は皆、町の東側に避難しています」 弧門「憐は?」 詩織「向こうで瑞生ちゃんが看てる。……さーて、そろそろ誰かさんがあたしたちをとっ捕まえに来る頃じゃない?」 和倉隊長の通信機に、松永管理官からの通信が入る。 松永「松永です。ナイトレイダーの処分については、現在上層部が討議中です。相応の覚悟をしておいて下さい」 和倉「分かっています」 松永「処分が決定するまで、ナイトレイダーはその場で待機を」 和倉「やはりまだ、このニュータウンにアンノウンハンドが?」 今度は吉良沢からの通信が来た。 吉良沢「CICです。しかも、その波形は異常な振幅を示しています」 和倉「何が起こってるんですか?」 吉良沢「アンノウンハンドの闇の中で、何かが成長しています。アンノウンハンドは、時を置かずに仕掛けてくるでしょう。すでに、憐にメタフィールドを張る力はない。次は、未曾有のビーストを相手に、市街地で戦うことになります。恐らく…… それが憐の最後の戦いです」 弧門「そんな……」 #center(){|&bold(){&italic(){Episode36&br()&big(){&big(){決 戦}}&br()- フェアウェル ー}&br()}|} 憐が目を覚ます。 見つめ合う憐と瑞生。 瑞生「私は…… 憐が好き。憐の未来がどんなものでも、私の気持ちは変わらない。ずっと変わらない……」 扉の向こうから見ていた弧門は、静かにその場を離れた。 瑞生「なんか、食べるもの買ってくるね」 ぎこちない作り笑いを浮かべて、瑞生が部屋から出ていく。 泣きながら走り去る瑞生。 憐も天井をじっと見つめ、やがて慟哭する。 憐「……俺は、馬鹿だ! 俺じゃあ、瑞生に何もしてやれないのに……」 憐が顔を横に向ける。机に置かれた瑞生のメモレイサー((メモリーポリスが使う携帯電話型記憶消去装置。実際メン・イン・ブラックな。))が目に留まった。 体育館の外。弧門と和倉が高台から人気のない町を見つめている。 弧門「僕には何もしてやれない。見ていることしかできないのが…… 悔しいんです。代わってやれるものなら……」 和倉「人の人生は肩代わりできない。家族でも、恋人でも友達でも、どんなに大切な人間であっても…… だからこそ、人は心を尽くして、人と絆を結ぼうとする……」 互いに視線を合わせる弧門と和倉。 和倉「見ていることしかできないなら、見ていてやれ。最後まで」 瑞生が帰ってきた。 憐「瑞生、メモレイサーって正確にはどんな記憶を消せるの?」 瑞生「ビーストと、ウルトラマンと、それにまつわる記憶。どうして?」 憐「瑞生の仕事のこと、あんま聞いたことなかったから……」 少し元気を取り戻したように見える憐を見て、笑みを浮かべる瑞生。 瑞生「なんか暖かい飲み物、作るね」 憐はコップにお湯を注ぐ瑞生の背中を見つめながら考えを巡らせる。 憐(ビーストとウルトラマンとそれにまつわる記憶…… じゃあ&ruby(デュナミスト){適能者}のことも忘れる……?) 憐が瑞生のメモレイサーから、かつて自分が贈ったストラップを外した。 瑞生「できたよ」 飲み物を出そうとした瑞生にメモレイサーを突きつける憐──しかし、瑞生はメモレイサーをそらし、憐との取っ組み合いの末に、彼を押し倒した。 瑞生「ふざけないでよ!! 全部忘れろって言うの!? 憐のこと…… 顔も名前も…… 憐がこの世にいたってことも…… みんな忘れてしまえって言うの!?」 今まで見たことがないほどの剣幕で怒る瑞生に、憐は何も言い返せない。 瑞生「冗談じゃないわよ!! 一緒にいた時間がどんだけ大事か、どうして分からないの!? ……どうしてそれが分からないの……?」 瑞生が憐から顔を背け、泣き崩れる。 憐「ごめんな……」 体を起こし、背中から瑞生を抱きしめる憐。 憐「ごめんな、瑞生……!!」 静まり返った部屋に、二人の嗚咽だけが響く──。 ナイトレイダー基地。 その一室の中に、前回、アンノウンハンドに襲われた&ruby(かい){海}&ruby(もと){本}((憐の出生の事情を知るTLT関係者。))が倒れていた。 一方、CICでは── 吉良沢「……誰か呼んでる」 海本の危機を察知した吉良沢が自分のホログラムを海本の下に送り、倒れている海本に呼びかける。 吉良沢「海本先生!」 辛うじて生きていた海本が、ゆっくりと目を開ける──。 翌朝。 外に出れる程度には回復した憐が、木のそばに座っていた。 そこへ弧門が来る。 弧門「何してたんだ?」 憐の隣に座る弧門。 憐「考えてたんだ。“光”は、何故俺の所に来たんだろうって」 弧門「同じことを考えてた人がいるよ」 憐「同じことを?」 弧門「&ruby(ひめ){姫}&ruby(や){矢}&ruby(じゅん){准}。君の前の&ruby(デュナミスト){適能者}だ」 回想──今の憐と弧門と同じように、並んで座りながら語り合う弧門と姫矢。 変身アイテム・エボルトラスターをじっと見つめながら、姫矢が語る。 姫矢「俺はこの光を得た。この光の意味が何なのか…… お前を助けた時、俺は感じたんだ。過去は変えられないが、未来なら変えることができるかもしれない」 弧門「憐。“光”はもしかしたら、人に託された希望なのかもしれない。だから“光”は、人から人へ受け継がれていく」 憐「“光”は、受け継がれていく希望……?」 その時、ビーストの咆吼が轟き、空に「アンノウンハンドの闇」が開いた。 瑞生が来る。 瑞生「憐!!」 憐「瑞生……」 弧門の通信機に、吉良沢からの通信が入る。 吉良沢「CICです。プロメテの子((優秀な遺伝子を組み合わせて人工的に天才児を作る計画で生み出された試験管ベビー。憐と吉良沢もこの一人。))たちが、『ラファエル((遺伝子疾患を抱える憐のために研究されていた延命薬。))』を完成させた! ラファエルと医療スタッフが、城北大学病院で憐の到着を待っている!!」 弧門「本当ですか!? ……憐、すぐに病院へ向かうんだ!」 憐「あいつらが……?」 吉良沢「いいか憐! この状態で戦えば…… 君は助からない!」 弧門「行くんだ憐! 早く!!」 「アンノウンハンドの闇」から降り立ったビーストは、これまでに現れてきたビーストのパーツが合体した姿をしていた。 人々が逃げ惑う中、ビーストがビルを砕き、口から光線を吐いて辺りを破壊していく。 進撃するビーストを睨む憐。 憐「優、弧門…… 俺は俺の光を走りきる!!」 瑞生「憐……」 憐、瑞生に向き直り、 憐「必ず戻る」 うなずく瑞生。 憐がエボルトラスターを取り出し、走り出したが、途中で転んてしまい、膝をついた。 弧門と瑞生の顔がこわばる。 憐「……うぁぁぁ────っっ!!!」 歯を食いしばりながら立ち上がった憐がエボルトラスターを抜き、ウルトラマンネクサスとなった。 ビーストとネクサスが相対する。 ネクサスはアンファンスからジュネッスブルーに変身し、ビーストに突っ込んでいった。 ネクサスとビーストが組み合うも、ビーストはネクサスをはね除ける。 再度ネクサスはビーストに向かっていき、格闘戦を繰り広げる。 やがて、4機のクロムチェスターが駆けつけ、ビーストを攻撃し始めた。 ネクサスはパンチ、キックでビーストを責め立てるが、ビーストはネクサスが組みついた隙を突いて、右腕にあるラフレイアの花弁から花粉を放ってきた。 不意打ちを喰らったネクサスが蹴飛ばされ、ビルに叩きつけられて、押し倒される。 &ruby(憐){ネクサス}の戦いを固唾を飲んで見守る弧門──。 ビーストの右肩にあるメガフラシの顔からの電撃がネクサスを苛む。 ネクサスは電撃を弾いて、蹴りを返したが、今度はビーストの左手首がゴルゴレムの口吻に変形して伸び、ネクサスを背中から攻撃する。 吉良沢「あいつは…… 恐らく、過去のあらゆるビーストの攻撃能力を備えていると思われます。最強のビースト──コードネーム『イズマエル』!」 イズマエルの左腕のゴルゴレムの口吻からの火球、右膝のペドレオンの顔からの熱線、尻尾の先端にあるグランテラの砲口からの火球、左肩のリザリアスの顔からの破壊光線の一斉射撃を受け、ネクサスが倒れる。 倒れたネクサスを踏みつけようとするイズマエルを、クロムチェスターが攻撃。 その隙にネクサスが飛び退く。 イズマエルは空へ光線を乱射し、その攻撃がクロムチェスターβとクロムチェスターγを掠め、二機は墜落していった。 さらに凪のクロムチェスターαも墜落。ただ、それを見ているしかできない弧門。 リザリアスの顔からの熱線をネクサスはバック転でかわしていき、胸にあるバンピーラの顔からの粘糸攻撃もかわして、ボードレイ・フェザーを撃ち返し、再び格闘戦に持ち込んだ。 避難していた人々がネクサスとイズマエルの戦いを見始めた。 イズマエルに、右腕のノスフェルの爪で三度切りつけられ、ネクサスが倒れる。 弧門「くっそぉぉっ!!」 クロムチェスターδがアビロックミサイルを撃ったが、イズマエルの口からの光線に撃ち落とされ、光線はそのままクロムチェスターδを掠めた。 弧門「うわぁぁぁぁぁ……!!」 クロムチェスターδが墜落していった。 それを見たネクサスは、完全に倒れ伏した。 ネクサスの胸のコアゲージが点滅する。 CICから吉良沢が憐にテレパシーを送る。 吉良沢(憐! 憐、聞こえるか? 憐…… “光”を信じろ!!) 憐(“光”……) イズマエルは口からの光線で辺りを破壊していた。 憐(“光”は、人に受け継がれる希望……) ネクサスが拳を握り締め、そして立ち上がる。 憐(俺は、戦う…… 俺は生きる! 生きて、この光をつなぐ!!) 振り向くイズマエル。 ネクサスは走り出し、そして飛び上がった。 イズマエルが口から光線を撃つも、ネクサスは上昇してかわし、そのままの勢いで巨大な矢状の光線「オーバーアローレイ・シュトローム」を放つ。 オーバーアローレイ・シュトロームはイズマエルを貫き、ネクサスが着地すると同時に、その背後で倒れたイズマエルが大爆発──!! 辛くも勝利したネクサスは、瑞生とナイトレイダーに見守られながら憐に戻っていった。 吉良沢の瞳が潤む。 憐は精神世界でネクサスと向き合っていた。 まるでネクサスに返還されるようにエボルトラスターがエナジーコアと一体化し、ネクサスの姿が消えていく。 憐(ありがとう…… さよなら) 憐と瑞生のこれまでの思い出が回想される── 憐「名前、なんてゆーの? ねぇねぇ、名前は? 俺、千樹憐ね」 憐「ここ来るの初めて?」 憐「みーずお」 倒れた憐を、医療スタッフが搬送する。 それを追いながら瑞生が叫ぶ。ナイトレイダーもその場に来た。 瑞生「憐! 憐、目を開けて!! 憐、目を開けて!! 憐、憐!! お願い! 目を開けて!!」 憐は死んだように動かない。 瑞生は、憐に唇を重ねた──。 ややあって、憐がうっすらとだが目と口を開いた。 瑞生「憐…… 憐!!」 憐が救急車に入れられていく。 憐はゆっくりと左手を上げ、弧門たちにVサインを見せた。 瑞生も救急車に乗り、弧門たちに頭を下げる。 扉が閉まり、救急車が発進する。 弧門(憐は生きる──僕たちはそう信じた。でもあの時、僕たちは憐を離れた“光”が誰を訪れるのか、まだ考えてもいなかった。そして…… それに続く、恐ろしい出来事も……) かつて&ruby(デュナミスト){適能者}に選ばれた姫矢や憐が幻視した、石化したストーンフリューゲルの鎮座する異空間。 そこに現れたのは──凪。 凪がストーンフリューゲルに触れると、ストーンフリューゲルが光りだす──。 #center(){|BGCOLOR(#00000f):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){&i(){Next:The Final Episode}}}}&br()&br()|} ※この続きは[[本家エンディングドットコム>http://neoending.web.fc2.com/anime/agyou/nexsus.htm]]をご覧ください。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: