昔・・・地球上には残虐超人、悪魔超人という人類征服をもくろむ悪行超人どもが多数いた。 そこに人類を救うべく正義超人がさっそうと現れ、悪行超人たちに格闘技によるフェアな対決を挑んだ。 中でも正義超人キン肉マンは他の超人にはない‘火事場のクソ力‘を駆使して次々に撃破する大活躍!そして正義超人たちの平和奪回の格闘は最後の敵・・・邪悪の五大神が作り出した運命の王子たちを破ることで[[すべて終結した>キン肉マンの最終回]]。 再び地球には平和と静寂が蘇り―――- 正義超人たちは戦いの傷を癒やすため長い休息に入った・・・ キン肉マンもキン肉星第58代大王を継ぐためキン肉星へと帰っていった! #center(){|&big(){&bold(){伝説の序章~1~血を受け継ぐ男、万太郎!}}|} 平穏な日々の中28年の歳月が流れ20XX年―――大キン肉星雲第5惑星キン肉星! マッスルガム宮殿。 ?「さあ来い」 超人バッキーが筋骨隆々なキン肉族の超人に向かう。 ?「猛進力に逆らうことなく敵の頭を左腕で捕獲」 バッキー「うっ・・・」 ?「同時に頭を敵の左肩下にもぐり込ませる」 「両腕の絡みを強固にして、大地の巨木を引き抜く心構えで敵の体を高くさしあげる」 「そして、両内腿をおさえ体の自由を奪ってしまう!」 「このまま鷹のごとく高く舞い上がり、稲妻のごとき勢いで敵をマットにたたきつければ、首・背骨・腰骨、左右の大腿骨の五カ所が粉砕される。これぞキン肉族48の殺人技のひとつ・・・五所蹂躙絡み!!」 「またの名をキン肉バスターという!!」 キン肉族の超人がバッキーをキン肉バスターの体制に固めたが・・・ 執事「い・・・いけません、ジャンプしては」 ?「うっ・・・おわ~~~っ」 キン肉族の超人がバッキーを放り出し、倒れた。 お付き「ああ、やっちゃった」 「はやく肉じゅばんをぬがして」 ?「痛い~~~っ!!」 肉じゅばんを着て、キン肉バスターをかけようとしていた超人は、 キン肉星第58代大王キン肉スグル(54歳)だったが、その体は痩せ細っていた。 スグル「ひ~~~~」 バッキー「スグル大王さまとんだご無礼をしました・・・!!」 医師「大丈夫です。骨には異常ありません」 ビビンバ「だから無茶はいけないって言ってるでしょ~~~~っ!!」 その場に大王妃キン肉ビビンバ(50歳)が入ってきた ビビンバ「どきなさい、練習超人バッキー!!」 バッキー「ひっ」 スグル「ビビンバよ、おまえも結婚する前はカワイイ女だったが、最近はとみに死んだママそっくりのオニババになってきたのう」 「だがそれ以上にキン肉バスターができなくなったことがくやしい~~~~っ!!」 ビビンバ「わかります、宇宙広しといえでもあなたしかできない超難技でしたから」 「しかしあなたはもうあの頃のピチピチの肉体じゃないんですよ!」 「あの頃は20代で・・・自慢の筋肉も鍛えこまれてはちきれんばかり・・・1tの超人だって楽々持ち上げることは可能だったでしょう」 「でも今じゃ長い戦いの後遺症でヒザの靱帯は断裂!腰は椎間板ヘルニア・・・他にも老眼、痔持ち・・・」 「もうキン肉マンならぬキン骨マンなんですよ!」 スグル「・・・・・・い、いや~~~~っ!ワシは気力も・・・体力も・・・衰えてはおらんぞぉ~~~~!!」 「超人バーベル500kgぐらい平気じゃあ!」 ビビンバ「ムリはやめて!」 スグル「食欲だってまだまだあるぞ!」 ビビンバ「胃潰瘍なんだからミキサーにかけた牛丼でないとダメなのよ!」 真弓「スグルの好きにさせてやってくれい・・・」 スグル「あっパパ!」 執事「ハハー、真弓先帝さま!」 前大王、先帝キン肉真弓(110歳)が来た。 真弓「ビビンバさんよ、今になってなんでスグルがこんな特訓を始めたか・・・あんたも知ってるじゃろ。こいつを見てみい」 ビビンバ「は・・・はい・・・」 真弓がモニターを点けると、そこには地球人たちが悪行超人たちに蹂躙されている様が映っていた。 真弓「こやつら悪行超人どもが28年ぶりに蘇って再び地球征服に乗り出したのがその理由!」 スグル「こ・・・ここまでひどくなっていたなんて。わ・・・わしの第二の故郷、地球をこんな無残な姿に!」 「ビビンバわかってくれい」 ビビンバ「しかし!」 万太郎「ママー、今日も出かけてくるから」 キン肉スグルの息子、キン肉星王子、キン肉万太郎(14歳)はその様に構わず、出かけようとしていた。 お付きたち「「これは王子さまおはようございます!」」 万太郎「フン」 ビビンバ「おはようボーヤ!」 スグル「近頃よくカバンもって出かけるがどこ行っとるんじゃ?」 万太郎は返事をせずに行こうとする。 スグル「・・・・・万太郎なぜ返事をせん!」 万太郎「返事はしてあげたいけど・・・その万太郎って名前はキライだから呼ばないで!」 スグル「な・・・何が嫌なんじゃ・・・あの超スーパーヒーロー、ウルトラマンの兄弟の中にもウルトラマンタロウっていうのがいるんだ。わが家の苗字は‘キン肉‘でおまえの名前は‘万太郎‘!ふたつ合わせてキン肉マンタロウ、すばらしいネーミングではないか!」 万太郎「そんな語呂あわせみたいな名前気に入るわけないだろ」 スグル「そうかのう、これでも必死で考えたんだけどなあ・・・」 万太郎「やれやれ・・・だから格闘家などという体を鍛えることしか能のない人たちはダメなんだよ!」 真弓「何~~~っ!」 スグル「万太郎、いったいコソコソとどこへ行く?何か陰で悪いことでもやっとるんじゃないのか」 万太郎「そんなんじゃないよ。学校の先生よりおもしろい授業をしてくれる先生の所へ行くのさ!!」 スグル「バ・・・バカモノ、この非常時に何が勉強だ~~~~~!!これを見てみい!!」 ボーン・キラー「ガハハ、口ほどにもないやつらよ!」 モニターの向こうの地球では、スグルの友の正義超人たちが倒されていた。 スグル「ああ、バッファローマン、ブロッケンJr、ウルフマン!ウォーズマン、ジェロニモ、ロビンマスクも!そ・・・そんな!せ・・・・正義超人が血の海に・・・!!」 テリー「まだ・・・まだまだだぜ・・・」 ボーン・キラー「まだ悪いめをみたいとみえる」 立ち上がってきたテリーマンが悪行超人の一人、ボーン・キラーに机に叩き付けられる。 スグル「テリーマン!!」 ボーン・キラー「あんたら年寄りに人間を救うなんてしょせんムリさーーー!!オリャッーーー」 ボーン・キラーが鉄柱からのムーンサルトブレスをテリーマンに食らわせた。 テリー「うう・・・」 スグル「見たか、万太郎。今地球は最大のピンチを迎えておるんじゃ」 万太郎「それで?」 スグル「お・・・お願いじゃ万太郎。ワシと一緒に地球に行って悪行超人退治に力を貸してくれ~~~~~!!」 スグルが膝を付いて万太郎に頼んだ。 ビビンバ「あ・・・あなた!」 万太郎「なんでボクが縁もゆかりもない人間たちを助けなきゃいけないのさ」 スグル「ワシたち超人が優れた格闘能力を持つのは人間を助けるために神が授けてくれた力なんだ。だから超人は人間の危機には駆けつけねばならんのだ」 万太郎「だってボクは格闘技なんかやったことないんだよ」 スグル「大丈夫じゃ。キン肉族の代々の王位継承者には、火事場のクソ力というとてつもないパワーが肉体の奥底にそなわっておるんだ!!」 万太郎「ボクはそんな野蛮なことはやんないよ!ボクはいっぱい勉強して・・・将来は科学者か弁護士になりたいんだ」 万太郎が出ていった。 スグル「万太郎!」 真弓「おまえたちが甘やかすからこうなるんじゃ・・・」 スグル「40すぎてからやっとできた子供だからそりゃかわいくて叱ったこともなかったし・・・スーッと平和で万太郎に格闘技を授ける必要もなかったもんな・・・」 テリー「キン肉マン、キン肉スグル聞こえるか・・・」 倒れたテリーマンが目の前に設置されていた小型モニターからスグルに話しかけてきた。 スグル「おお・・・テリーマン大丈夫なのか・・・!?」 テリー「フフ・・・恥ずかしいが見てのとおり正義超人は全滅さ・・・」 スグル「しかしラーメンマンの姿が見えんぞ・・・」 テリー「ラーメンマンはまっ先にやつらに挑んで玉砕してしまった・・・重傷を負って病院に入ったらしいが、その後行方知れずさ・・・」 スグル「そうか、ラーメンマンほどの実力者でもダメか・・・」 テリー「キン肉マンよ、正義超人の敗因は・・・この28年間・・・あまりにも平和だったもので・・・若い超人を育てなかったことだと思う・・・その間、悪行超人は地下深く潜伏し・・・若い超人を研き上げ、力を充分蓄えて、オレたち正義超人に逆襲する機会をうかがってやがったんだ!」 スグル「そうか・・・今からじゃもうおそい・・・」 テリー「いや、やつらに一矢報いる手がひとつだけある・・・おまえの息子の万太郎だよ。彼ならおまえと同じ火事場のクソ力を持っているはず!必ず悪行超人を倒してくれる!」 スグル「いっ・・・!?し・・・しかしのぅ・・・」 テリー「どうした、新王子の万太郎はいないのか・・・」 スグル「い・・・いやいるような、いないような・・・・・」 小型モニターがボーン・キラーに踏み壊され、テリーマンも他の悪行超人に顔を踏みつけられる。 テリー「・・・・・」 ボーン・キラー「まさか・・・キン肉マンに息子がいたとは・・・いいことを聞かせてもらったぜ!キン肉マン、おまえに息子がいるのなら、その力が強大になる前にその芽をつんでしまわんとな。行くか、キン肉星へ」 モニターの映像が消えた。 スグル「・・・・・あ・・・危ない、万太郎が・・・」 その頃万太郎は山の中の洞窟に入っていた。 万太郎「三つ編みのおじさん、また勉強を教えてもらいに来たよ」 洞窟の奥には、長い髪を三つ編みにして、どじょうヒゲを生やした男がいた。 おじさん「少年よ、今日は両親とケンカしてきたな!親は大切にせいといつも教えているのに!しかしワシの大好物、カップ麺を持って来てくれたから許そう」 万太郎「エエーーーッ、な・・・なんでそこまでわかるの!?」 おじさん「目に見えることだけが真実ではない。真実は心の目で見るのだ」 万太郎「フーン」 万太郎がカップ麺にお湯を注ぐ。 おじさん「しかし恩にきるぞ。山で倒れているワシを助け、毎日食料や薬を運んでくれたおかげでだいぶ元気になった・・・」 万太郎「ううん、お礼を言うのはいつも勉強を見てもらってるボクの方さ!」 おじさん「そういえば昨日の物理のテストはどうだった?」 万太郎「ホラ25点」 三つ編みのおじさんがずっこけた。 万太郎「これでもすごい進歩なんだよ、今まで0点ばっかりだったんだから」 おじさん「そうか。では勉強の前にこれだ!」 万太郎「あっ、バトルエクササイズボール!なんでいつも勉強前に攻撃をかわす練習をやるの?」 おじさん「牛乳を配達する人間はこれを飲む人間よりも健康である・・・つまり頭にばかり栄養を与えても真の知は得られん。さあ構えて!」 三つ編みのおじさんがバトルエクササイズボールを放った。 万太郎「ひ・・・肘は肋を離れず、手は心を離れずでしたね!」 万太郎がバトルエクササイズボールからのパンチをよけていく。 万太郎「ホッ、ホッ、ホッ」 おじさん「目の力に頼るな。心の力でボールの動きを予測するんじゃ!」 万太郎(このエクササイズさえ終われば今日は数学を教えてもらえる・・・) 「ホッ」 おじさん(10年以上の格闘技経験のある超人が挑戦しても半年間はボールに打たれっぱなしというのに・・・こやつ2週間でよけきれるようになりおった。さすがは火事場のクソ力を持つキン肉スグルの血を引く男・・・地球を救えるのはこやつしかいない・・・) ?「グオッフォフォ、とうとう見つけたぞ、キン肉マンの息子・・・」 万太郎「えっ」 聞こえてきた声に気を取られた万太郎がバトルエクササイズボールのパンチを受けた。 万太郎「だ・・・誰・・・!?」 岩盤を突き破ってボーン・キラーが来た。 万太郎「なんでここを・・・!?」 ボーン・キラー「キン肉星の一カ所にオレ達悪行超人を倒したいと強く念じる・・・ある正義超人の&ruby(グラッジ){怨波}が充満しておったので、そこをたどったらここへ着いたってわけよ・・・おまえがキン肉マンの息子・・・万太郎か!」 万太郎「ひっ・・・」 ボーン・キラー「オレたちの先輩達はおまえのオヤジによって血の海に沈まされてきた!そんな歴史を繰り返さぬよう、この新世代悪行超人ボーン・キラーさまがおまえの処刑にきた」 万太郎「し・・・心配しなくてもボクはケンカの弱いただの中学3年生だから」 ボーン・キラー「小学生だろうが中学生だろうが、火事場のクソ力を潜在させる者は根絶やしにせねばならない・・・くらえ、ボーンクラッシュクロスーッ!!」 ボーン・キラーが胸の十字マークが万太郎目がけて伸ばしたが、 三つ編みのおじさんが庇い、胸に受けた。 おじさん「うっ・・・」 万太郎「おじさん・・・・・」 ボーン・キラー「ほぅ、宇宙に充満していた正義の怨念はおまえのものであったか!よほどオレたちにやられたのが無念だったとみえるな、ラーメンマン!」 万太郎「エエ!?それじゃおじさんはうちのパパと同じ正義超人のラーメンマンなの――――っ」 ラーメンマン「すまぬ、だまっていて・・・」 万太郎「でもどうしてボクの身代わりに・・・」 ラーメンマン「い・・・今でこそ正義を名乗っているが、そ・・・その昔・・・わたしは残虐超人として悪の限りを尽くした時代があった・・・そんなわたしを正義超人として目覚めさせてくれたのがおまえの父、キン肉マンだった・・・そ・・・その時のお礼だ・・・・」 万太郎「・・・・・お・・・おじさん・・・」 万太郎が涙を流した。 ラーメンマン「だまっていたが、じつはわたしはおまえに正義超人として・・・地球を守ってもらうために迎えに来たんだ・・・・」 ボーン・キラー「ケッ・・・死にぞこないどもの話はやめろ!!」 ボーン・キラーがラーメンマンを蹴りつける。 ラーメンマン「ううっ・・・」 万太郎「や・・・やめろ。三つ編みのおじさんもうちのパパも・・・・・死にぞこないなんかじゃない・・・立派な正義超人の戦士だ・・・うお~~~~おお、おお」 万太郎の筋肉が盛り上がり、服を破っていく。 そして、額に「肉」の字が浮かび上がった。 ラーメンマン「おお・・・万太郎の額にキン肉マンと同じ・・・肉のマークがうかびあがった!」 ボーン・キラー「そうか、やる気になったようだ。こっちも無抵抗の者を殺すよりいいってもんだ。死ね」 ボーン・キラーがボーンクラッシュクロスを放つも、万太郎はかわした。 ボーン・キラー「何ィ・・・」 万太郎がボーン・キラーの体をつかみ、持ち上げていく。 ボーン・キラー「おっ・・・こいつ」 万太郎「うわああ、うおお・・・」 ラーメンマン「ま・・・まさか、あ・・・あの技を・・・・・」 万太郎「うおおおおお」 万太郎がボーン・キラーを抱え、ジャンプした。 その体勢は先程スグルが放とうとしたあの技・・・ ラーメンマン「宇宙の超人界でもキン肉マンしかできない超難技・・・キン肉バスタ――!!」 万太郎「うおおおお」 万太郎のキン肉バスターがボーン・キラーに炸裂した。 ボーン・キラー「し・・・信じられん」 ボーン・キラーが血反吐を吐き、倒れた。 万太郎「な・・・なんだ・・・このとてつもないパワーは・・・」 ラーメンマン(しかとこの目で見たぞ、キン肉マンⅡ世の誕生の瞬間を!) (つづく)