#center(){|BGCOLOR(skyblue):COLOR(red):CENTER:&br()&big(){&bold(){&big(){&i(){美しき終焉}}}}&br()&br()|} [[前回>ウルトラマンXの第20話]]で、謎の宇宙電波の正体が母からの呼びかけと判明し、大地は宇宙電波研究所跡地で、通信を試みている。 その様子を見つめていたアスナが、飲み物を勧める。 アスナ「一息入れない? もう3日目だよ。ろくに寝てないんでしょ?」 大地「ありがと」 アスナ「お母さんの声…… 本当にここから発信されたの?」 大地「ここは、時空の特異点なんだと思う。だからウルトラフレアのときも、この場所だけ別の時空に飛ばされた」 アスナ「時空の特異点……」 大地「母さんはずっと、宇宙の電波の中には、未来から飛んで来たものがあるって研究をしてたんだ」 アスナ「それって未来がわかるってこと?」 大地「化石の発掘みたいに、断片を見つけてはそれを解析してたみたいだけど。それに、父さんはこの場所で何か、大昔の遺物を発掘した。その場所に宇宙電波の研究所を建てたんだ。変だと思わない?」 アスナ「……お父さんが発見した遺物と、未来からの電波には関係があった?」 大地は休む様子もなく、機器に呼びかける。 大地「母さん、聞こえる? 俺だよ。大地だよ!」 アスナ「大地…… 少し休も」 大地「ここには絶対何かあるんだ。母さんと父さんが、一緒にここで何か未来に関る研究をしていた。その母さんが、今俺に何か伝えようとしてる。母さん、聞こえますか? 父さん、俺の声聞こえる?」 月面上空。ワタルとマモルの乗るスペースマスケッティが、宇宙空間を行く。 ワタル「うぅん…… このマスケッティ、新型機つったって、一体どこが変わったっていうの?」 マモル「驚いてください。この2号機には最強の──」 ワタル「ビーム砲か!?」 マモル「最強の、空間エネルギー測定器が搭載されてるんス」 ワタル「……何だそれ」 マモル「空間エネルギー量の変化を測定することで、ダークサンダーエナジーの発生源をばっちり見つけられちゃう、大発明っス!」 ワタル「普通に、最強のビーム砲は搭載されてないってことですか」 マモル「……強力な力に、強力な兵器で対抗って、その考え方は時代遅れっしょ」 ワタル「強力な武器じゃなかったら、どうやって地球を守るっていうんだよ」 マモル「さぁ……」 ワタル「『さぁ』って……?」 マモル「最終的には、愛じゃないっスかね」 ワタル「愛? この顔で、愛を語りますかぁ。えぇ?」 マモル「ワタルさんは、地球好きっスか?」 ワタル「う、うん、もちろん」 マモル「二度と、あの星に戻ることはできないって言われたら、泣きますか?」 ワタル「……泣く」 マモル「それは、地球を愛してるってことっス。その愛が、地球を守るっス」 Xio基地オペレーションベースXのハヤト、タケル、チアキ。 タケルがマモルたちの会話をモニターしつつ、笑みをこぼす。 ハヤト「ワタルたちから何か報告は?」 マモル「『愛が地球を守る』ですって」 マモル「……何だそれ」 チアキ「もうお昼だねぇ~。買い出しジャンケンでもしますか?」 タケル「俺、蕎麦って気分なんだけど」 ハヤト「蕎麦なら、俺の親父の打った蕎麦、食わしてやりたいよなぁ」 タケル「あぁ、長野でも有名な老舗でしたよね」 チアキ「でも遠過ぎて、出前は頼めないですねぇ~」 ハヤト「まぁな」 一同「おし!」「最初はグー!」 ルイとグルマン博士も、ラボで昼食でありついている。 ルイ「うん、美味っ! これ出前とかすれば結構人気出るかも」 グルマン「だろぉぉ! ファントン特製、ヨーグルト蕎麦!」 ルイ「まさに驚天動地の珍味だね、博士! あっ、これチェーン展開しちゃおうよ。ルイルイヨーグルトヌードル!」 グルマン「何でお前の名前を付けるんだ!?」 ルイ「ふふ~ん、てへっ!」 一同「じゃんけん、ほい! ほい! ほい!」 ハヤト・タケル「よっしゃぁ!」 チアキ「キーッ! じゃあ、行ってきますね~」 ハヤトたち「行ってらっしゃ~い」「落っことすなよぉ」 緊急通信が入り、すかさずタケルとチアキは厳しい顔に一転、配置につく。 チアキ「UNVERジュネーブ本部からです。ダークサンダーエナジーの最新データが来ました。未だ発生源が特定できていないようですが、18日前は水星、3日前のものは、金星周辺だったようです」 神木「まさか、地球に近づいて来ている…?」 橘「マモルたちに知らせて。2人の現在位置からなら、もっと厳密な場所が特定できるはず」 マモル「了解。では、数値のチェックを開始します。ワタルさん」 ワタル「はいよ。えっと…… 空間エネルギー量、3」 マモル「おもしろいこと言いますね」 ワタル「何がおもしろいんだよ?」 マモル「空間エネルギー量は絶対、レベル5以下にはなりません」 ワタル「そうか…… 今、2になったぞ」 マモル「だからぁ、おもしろくないし……」 マモルが機器に目をやると、確かに表示の数字は「2」。しかも、どんどん低下している。 マモル「あれ? いや、そんなはずは……!?」 大地とアスナは依然、宇宙電波を測定中。 機器から声が聞こえる。 『──大地、お母さんの声が聞こえますか? ──』 大地「母さん? 母さん!!」 音が消えてしまう。 アスナ「どうしたの!?」 マモルたちのもとでは、空間エネルギー量の数字がついに「0」と化す。 マモル「ヤバいっしょ! これ、絶対!」 やがて2人の前方の宇宙空間に、奇妙な発光体が出現する。 ワタル「……何だ?」 その様子を、Xio本部でもモニターしている。 チアキ「綺麗……」 マモル『スペースマスケッティより本部! 正体不明の発光体が出現! 空間エネルギー量が0なんて有り得ない──』 画面の映像が消え、マモルの声も途切れる。 タケル「通信途絶! スペースマスケッティ、レーダーから消えました!」 アスナたちのもとにも、そのことが通信で届いている。 アスナ「すぐに戻ります。行くよ!」 ハヤト「ワタル! おい、ワタルぅぅ!」 ルイ「マモルぅ、聞こえる? こら、返事しろぉ~!」 グルマン「通信映像を再生してくれ」 タケル「了解」 映像とマモルの通信が再生される。 画面に再び、マモルたちの前に現れた謎の発光体が表示される。 『正体不明の発光体が出現! 空間エネルギー量が0なんて有り得ない──』 ルイ「はっ! 捜してたのは、こいつだよ。博士!」 グルマン「なるほど…… 謎だったのは当然だ! ダークサンダーエナジーの発生源は、存在しない物だったんだ」 神木「存在しない物!? しかし現に、あそこに──」 グルマン「空間エネルギー量が0ってことは、スペースマスケッティの前には何も無かったということだ。こいつは全くの『無』なんだ。ゼロ。虚無。情報の無い物を脳が無理に視覚化したのが、このキラキラだ」 橘「あの発光体がダークサンダーエナジーの発生源だと、UNVER本部に知らせて!」 タケル「了解!」 神木「月面基地、各国の衛星を駆使して、スペースマスケッティとあの発光体の行方を追え!」 一同「了解!」 発光体が地球上に降下、UNVERネバタ支部が一瞬にして壊滅にする。 タケル「発光体、UNVERネバダ支部を直撃。半径1キロが消滅!」 チアキ「監視衛星の映像、来ました」 ネバダ支部の壊滅跡より、発光体が不気味な人型の怪獣と化し、姿を現す。 アスナの運転するトレーラー・ジオポルトスで、アスナと大地も本部へ向かっており、2人もその映像を見ている。 アスナ「何なの、あれ!?」 エックス『グリーザだ』 大地「えっ!?」 エックス『大地、緊急事態だ! 私から直接、Xioのみんなに話す!』 大地「ちょ、直接!?」 アスナ「どうしたの?」 大地のエクスデバイザーに加え、アスナのジオデバイザーにも、エックスが姿を現す。 アスナ「えっ!?」 そして、本部の神木隊長以下、隊員全員のジオデバイザーにも。 神木「エックス!?」 エックス『私はウルトラマンエックス』 ルイ「エックスから直電!?」 エックス『神木隊長。今アメリカを襲ったのは、グリーザです』 神木「あなたがこんな通信をしてくるということは、よほどの非常事態ということですか!?」 エックス『グリーザは、星の生体エネルギーを狙い、全てを無へと変換します』 橘「生き物を、消し去るということ?」 エックス『えぇ。3つもの生命豊かな星を消失させたグリーザを追って、私はこの太陽系までやって来たのです』 [[15年前、太陽上空での、赤と紫の発光体の激突──>ウルトラマンXの第1話]] エックス『地球を狙うグリーザを、私は太陽に突き落とすことで、ようやく倒すことができました。15年前のことです」 橘「15年前……』 グルマン「それがウルトラフレアの原因か」 エックス『しかし、倒したはずのグリーザが復活してきた!』 グリーザが、ネバダ支部から飛び立つ。 チアキ「グリーザ、西に向けて飛行を開始」 エックス『奴は生体エネルギーの強いものから消していきます。地球の場合は、怪獣』 橘「ネバタ支部は、世界最大のスパークドールズ保管施設……」 神木「スパークドールズが引き寄せたのか……」 ルイ「二番目は…… ここだね」 エックス『そう。次に狙われるのは、Xio日本支部です』 グルマン「そして奴は最終的に、この地球から全ての生命を消滅させようとしているわけか」 エックス『グリーザは、今までの怪獣たちとは格が違う。私だけでは倒せないかも知れない。共に基地を守り抜き、奴を倒しましょう!』 神木「わかりました。副隊長、非常事態宣言だ! この基地を中心とする、半径20キロの住民に、緊急避難指示発令! 基地内の非戦闘員も総員退避!」 一同「了解!」 Xio基地から、隊員たちが次々に退避してゆく。 「退避命令だ! 総員退避」 神木「博士、エナジーシールドを最大出力で、基地全体を覆ってくれ」 グルマン「最大出力でも足りん! ルイ、パワーアップだ! よぉし、行くぞ!」 ルイ「ガッテンテン!」 神木「ハヤト、スカイマスケッティで迎撃!」 ハヤト「了解!」 チアキ「Xio USA、太平洋上空のグリーザに、ペルセウスミサイルを発射。交戦を開始しました!」 太平洋上。上空のグリーザを目がけ、艦艇からミサイルが注がれる。 しかしグリーザにはまったく効果が無く、逆にグリーザの反撃の前に、艦隊は全滅してしまう。 ハヤトは格納庫に向かいつつ、ジオデバイザーで、実家の父に電話をかけている。 ハヤト「いや、別に急用じゃないよ」 父『暇なのか? だったらたまには戻って来て、店、手伝え』 ハヤト「正月には帰れるから。父さんの打った蕎麦、食いたいし」 父『フフッ。蕎麦食うんなら、大晦日に帰って来い』 ハヤト「帰るよ…… 必ず!」 音声&i(){『ジオマスケッティ、ラウンジします。ジオマスケッティ、オンザウェイ』} ハヤト「ジオアトス・ジョイント・トゥ ジオマスケッティ!」 音声&i(){『スカイマスケッティ・コンプリート』} ハヤトの乗ったジオアトスがジオマスケッティと合体、スカイマスケッティとなって空に飛び立つ。 ラボではルイとグルマン博士が、シールドの作業を進めている。 ルイがマモルたちと共に撮った写真を見やり、感情を押し殺すように唇を噛む。 タケル「グリーザ、あと9分20秒で基地に到達します!」 神木が胸に手をやる。 常に胸に忍ばせている、愛娘が描いた、妻の死を描いた一枚絵── 神木「副隊長、基地最終防衛システムを起動!!」 橘「了解!!」 アスナのジオポルトスが、本部へと急ぐ。 神木『アスナ、基地に戻り次第、サイバーゴモラでグリーザを迎え撃て!』 アスナ「了解!」 神木『大地はアスナをサポート!』 頭上の空中に、グリーザの姿が見える。 大地「間に合わない!」 エックス『行こう、大地!』 アスナ「ちょっ、どういうこと!?」 大地「アスナ、停めて!」 アスナ「えっ!?」 大地「早く停めて!!」 アスナが車を停め、大地が飛び出す。アスナが慌ててしがみつく。 アスナ「大地!! 何やってんの!?」 グリーザはどんどん、本部を目がけて降下して来る。 大地「アスナ、今まで黙っててごめん」 アスナ「だから何を!?」 大地「俺とエックスで、あいつを止めてみせる!」 アスナ「ちょっ、大地ぃ!?」 大地がアスナをふり切り、駆け出す。 大地「エックス、ユナイトだ!!」 エックス『よぉし、行くぞ!!』 大地「&bold(){エックスウゥゥ──ッッ!!}」 大地がウルトラマンエックスと化し、空へと飛び立つ。 アスナは、自分の目の前で起きた信じられない光景を、呆然と見つめる。 橘『アスナ、急いで!』 アスナ「大地が……」 橘『大地が!? どうしたの、何があったの!?』 アスナ「大地が…… 大地は、グリーザ迎撃に向かいました」 神木「グリーザを迎撃……!?」 アスナ「大地がエックスだったんです!!」 その事実に、Xio本部の神木たちが、驚愕に包まれる。 アスナ「大地とエックスを援護します!」 エックスは一気にエクシードエックスに強化変身し、空中にグリーザと激突する。 アスナ「一緒に戦おう、大地!」 音声&i(){『サイバーゴモラ、ロードします。リアライズ』} サイバー怪獣・サイバーゴモラが実体化し、登場する。 エックスが空中でグリーザと組み合い、地上に引きずり降ろす。 神木「博士、エナジーシールドは!」 ルイ「できたぁ!!」 グルマン「ハイパーエナジーシールド、起動!!」 本部基地がシールドに包まれる。 それを背に、大地のユナイトしたエックス、アスナの操るサイバーゴモラ、ハヤトの駆るスカイマスケッティが、グリーザを迎え撃つ。 一同「行くぞおぉぉ!!」 エックスたちとグリーザの、最終決戦が始まる。 3体がかりで次々に攻撃をしかけるものの、グリーザにはまったく歯が立たない。 スカイマスケッティが被弾し、火を吹いて墜落してゆく。 ハヤト「うわあぁっ!!」 アスナ「ハヤトぉ!?」 大地が気をとられた隙に、エックスにもグリーザの攻撃が直撃する。 大地「うわあぁっ!!」 アスナ「大地ぃぃ!?」 ゴモラもまた攻撃を受け、衝撃がアスナを襲う。 グリーザの超音波がエクシードエックスを苦しめ、Xio基地内のシステムを狂わせる。 エックスがガックリと、膝をつく。 エックス「大地…… 君と一緒に戦えて、良かった」 大地「これが最後みたいに言うなよ。今できること、やるべきことがある! それに集中すればいいんだ!」 エックス「君は強くなった!」 大地「エックスのおかげだよ。行くぞ!」 エックス「あぁ!」 大地「エクスラッガー!!」「&bold(){エクシードエクスラッシュ!!}」 エクシードXの最強技、エクシードエクスラッシュが炸裂──!! 大地「わああぁぁ──っっ!!」 エクシードXがグリーザ目掛けて突進する。 しかし、グリーザの展開する光の壁に阻まれ、そのまま吸収されてしまう。 アスナ「大地いぃぃ──っっ!!」 エックスを吸収したグリーザは内部崩壊を起こし、爆散する。 凄まじい爆風に、アスナが吹き飛ばされる。 ルイ「エックスが…… 大くんがぁぁ!? 嫌…… 嫌あぁぁ!!」 グルマン「ルイ……」 ルイ「嫌だぁぁ──っ!!」 ハヤトはかろうじて、墜落したスカイマスケッティから脱出し、生還している。 ハヤト「大地……?」 エックスとグリーザが消滅した跡には、カラータイマーが墓石のように地面に突き立っているのみ。 アスナが絶叫しつつ、駆け寄ってゆく。 アスナ「大地!! はぁ、はぁ…… 大地いいぃぃ──っっ!!」 ※ この続きは[[ウルトラマンXの最終回]]をご覧ください