‘裏料理界‘の本拠地、『梁山伯』でのアルカンとの炒麺決戦に勝利したマオは、 自害しようとしたアルカンを止め、そして厨房で暴れ出した・・・ マオ「お前らおかしいぞ―――――!!何で人が――――料理の犠牲にならなきゃいけないんだよ―――――!!」 「リエンさんだってそうだ!![[ショウアンだって>真・中華一番!の第50話]]、ジュチだってみんな料理に滅ぼされたんだ―――――!!」 「バカヤロ―――――!!‘裏料理界‘なんて消えてなくなっちまえ――――!!」 マオが裏料理界の象徴である黒雲麒の旗に槍を突き刺した。 #center(){ &bold(){第97話 時代を創る者たち}} マオ「・・・・は-・・・はー・・・料理は・・・人を幸せにするものだよ・・・」 巨漢の鱗厨師、ロダツがマオの胸ぐらを掴んだ。 ロダツ「・・・ぬるいこぬかしやがってこの小僧!!いいか!!『梁山伯』に生まれた者、落ちのびてきた者はことごとくマトモな幸せなんて放棄してんだ――――!!」 「カイユ様は教えてくれた。腕を磨き生死を賭けて生きのびるここちよい達成感を!!『梁山伯』でのぼりつめた後、野に放たれた時全人民はわしらの下部だと!!今さら・・・」 アルカンがロタツの肩に手を置いた。 ロタツ「ア・・・アルカン様!!」 アルカン「劉昴星よ、こやつは‘花和尚‘ロタツ。「冷菜」にかけては並ぶ者無しとうたわれた達人だ。済南で法外な税を貪る悪徳役人を殴り殺し、この梁山伯に落ちのびてきた・・・こんな罪人でも、人を幸せにできるというのか?」 マオ「逃げればいいだろ!!済南から何万里も遠くへ逃げて逃げて、そこでそのすごい腕を無償でふるえば町中は幸せ者さ。誰もロタツさんを罪人だなんて言わないよ!!」 ロタツ「・・・・・!?」 ゴヨウ「わ・・・私は中国茶を極めた‘智多星‘ゴヨウ。官有林に誤って入山し茶葉を盗んだおたずね者・・・わ・・・私にも、その資格があるというのか・・・・?」 マオ「何万人の人がため息をつくくらいの‘幸福の茶‘を毎日毎日沸かせばいいじゃないか!!そんなつまんない前科すぐ水に流れちゃうよ!!」 鱗厨師たち「コラァ――――!!」 「お前言ってることがムチャクチャだぞ――――!!」 「そうだ!!無責任なたわごとぬかしてんじゃね――――!!」 「今さら後もどりなんてできるか――――!!」 マオが腰を下ろした。 マオ「・・・・気持ち次第だよ!!みんなの‘時代‘は今ここから始まるんだよ!!」 鱗厨師「オ・・・オレたちの‘時代‘・・・・?」 アルカン「貴様等気づいていたか・・」 鱗厨師「!?」 アルカン「こやつが足かせで血をながしながらも、食材置き場を歩き回り集めた――――おびただしい具材の‘数‘を・・・・」 鱗厨師「・・・・・!?」 アルカン「「百八」だ・・・・!!「百八」とは我らの始祖たる義賊頭目の人数、いわば我らを象徴する‘数‘・・」 鱗厨師「!!」 アルカン「我らもまた「大陸英雄」とみなした。そうだな、劉昴星」 マオ「・・・・・」 鱗厨師たち(オ・・・オレたちが・・「英雄」だと・・・・!?) ざわめきだした鱗厨師たちを、カイユは冷ややかな目で見ていた。 カイユ「・・・・!!」 (危険だ・・・あの小僧危険すぎる・・・・・!!私が永い年月をかけて築き上げてきた全てを――――、一瞬にして崩壊に導こうとしている・・・・!!) 鱗厨師「英雄・・・」 カイユ「フン・・・私の‘愛‘を解さぬ――――」 (愚か者どもめ・・・・!!) カイユが奥に下がっていった。 アルカン「―――確かに、貴様の言葉は道理が合わぬ・・・」 マオ「・・・・」 アルカン「だが何故か―――心を揺さぶられる・・」 「思い出す・・・貴様の母パイとこの『梁山伯』で勝負した日のことを・・・・」 マオ「!!」 アルカン「すさまじくねばり・・・そして強かった・・・ついに勝敗つかず引き分けに終わった時、あの女は言った・・・」 パイ「惜しい・・・あまりに惜しいわアルカン・・あなた程の腕があれば、今後どれだけの人を救うことができるかしら」 パイは一人の赤子を抱いていた。 アルカン(当時)「・・・・・」 パイ「きっと今にわかるわ。料理は人を縛り操るためのものじゃない。料理は人を解放し、幸せにするものよ!!」 アルカン(当時)「・・・・・!?」 アルカン「‘裏‘に生まれ、‘裏‘に育ちやみくもに修行してきたオレには――――理解できなかった・・・」 アルカン(当時)「放り出せ」 パイ「ア・・アルカン!!」 アルカン「――――だが今は貴様と闘い、ようやくおぼろげに理解できた気がする・・・人が料理に何を求めるかが・・・・」 鱗厨師たち(「幸せ」・・・本当にオレたちの料理が・・・人を「幸せ」に・・・・) 鱗厨師たちが穏やかな顔つきになりだしたが・・・・ 鱗厨師たち「・・・・んん・・・?」 「おい、何だこの地響きは・・・・・・!?」 壁を突き破って、水が噴き出し、鱗厨師たちを押し流した。 鱗厨師たち「「「のわ―――――!!」」」 マオ「な!?」 鱗厨師たち「ぐわ!!」 「ごわ―――!!」 「だ――――!!」 壁や床から、次々に水が噴き出してきた。 鱗厨師「うおお」 シロウ「なな、何だ!?いったい何が起こったんだ―――――!!」 アルカン「クッ・・・・『梁山泊』大貯水庫が爆破されたようだな・・・・・・!!」 マオ「え!?」 アルカン(ついに『梁山泊』さえ切り捨てたか、カイユ・・・・) カイユは小舟で梁山泊から離れていく。 カイユ「クククク、どうやら私の‘愛‘が足りなかったようだな・・・まァ・・・‘鱗厨師‘などまたいくらでも育てればよい。新たなる‘時代‘を創るのは、この私よ。クククク・・・・」 カイユの乗る小舟には、マオ達が持ってきた伝説の厨具『魔聖銅器』とエンセイが泰山で入手した伝説の厨具『貪狼壺』が積まれていた。 リコ「どんどん水かさが増してるわ!!メイリィちゃん、シロウくん早く乗って!!」 メイリィ「ありがとうリコちゃん!!」 水が入り込む中、リコが用意した小舟にメイリィとシロウが乗り込み、 カイユの『破魔八陣』で瀕死となったジュチも乗せられていた。 マオ「・・・・・」 リコ「さあ昴星くんも!!」 メイリィ「大丈夫マオ!?しっかり!!」 シロウ「ううマオ兄!!この水でこんな大鉄球が一緒じゃ逃げきれねーよ!!」 マオの足には、アルカンとの決戦の際に付けた鉄球が付いたままだった。 水の中からアルカンが浮かび上がり、マオの足に付いた鎖を掴んだ。 マオ「!!!、アルカン!!」 メイリィ「ひ・・・・ひどいケガ・・・!!」 アルカン「フッ、この水の中、オレの‘熱‘がどこまで通じるか・・・」 マオ「や・・・やめろアルカン!!」 アルカン「行け劉昴星、北京だ!!カイユは貴様等から奪った『魔聖銅器』と‘地図‘、そして‘泰山の厨具‘を携え―――北京へ向かうはずだ」 「それともう一人、『五虎星』がいる・・・・・!!‘浪子‘エンセイ。用心しろ、オレすらも全貌を把握できん男だ」 マオ「ア、アルカンいいよ!!もういいよ!!」 アルカン「ぬァァァ・・・『五虎星』を――――なめるなァ――――!!」 アルカンが己の熱で、マオの鎖を焼き切った。 シロウ「好!!(やった)切れたぜマオ兄!」 リコ「昴星くん舟へ上がって!!」 マオ「アルカン!!」 アルカン「早く逃げろ劉昴星、また大水流が来る・・!!」 マオ「ま、待って、アルカンだって足に鉄球が・・!!」 リコ「ア・・・アルカン様!!」 リコが水に飛び込み、アルカンに寄り添った。 アルカン「もう・・・オレの‘熱‘は・・・カラッポだ・・・」 リコ「アルカン様、リコはどこまでもお供いたします」 アルカン「フッ・・・いつもすまんなリコ・・・・」 アルカン「フフ・・・見える。オレには見えるぞ劉昴星、貴様の創る新しい大陸料理界がな・・!!」 マオ「ア・・・・アルカ―ン!!」 アルカンとリコは水流の中に消えていった・・・ 脱出したマオ達は水を吹き出し続ける『梁山泊』を見ていた。 マオ「・・・・・・行かなきゃ・・北京へ・・・・・」 (最後の料理をつくりに・・・・・・!!) 『梁山泊』の前に作られた小さな石塚に、マオが炒麺決戦の時に掘った人参のパンダと一輪の花が添えられていた・・・・ #center(){ &bold(){つづく}}