#center(){|BGCOLOR(#000000):COLOR(white):CENTER:&bold(){&br()その果実に関する伝説は数多く存在する。&br()&br()黄金のリンゴ。不老不死の果実アンブロシア。&br()&br()そして、アダムとイヴの食べた知恵の実──。&br()&br()禁断の果実を手にする者は、大いなる力を得るだろう。&br()&br()しかし、選ばれるのは戦い、勝ち残った最後の一人だけ。&br()&br()}|} 伝説を示すリンゴの絵から光が浮かび上がり、リンゴの形となって空間を飛んだ後、逆光の中に立つアーマードライダーのシルエットになる。 #center(){|BGCOLOR(#000000):COLOR(white):CENTER:&bold(){&italic(){&br()劇場版 &big(){&color(orange){仮面ライダー}&color(#000099){&ruby(ガイム){鎧武}}} &br()&br()&big(){&color(#ffcc00){サッカー大決戦!黄金の果実争奪&ruby(カップ){杯}!}}&br()&br()}}|} 異世界植物ヘルヘイムに侵蝕され、荒廃した&ruby(ざわ){沢}&ruby(め){芽}市で、仮面ライダー鎧武オレンジアームズ(&ruby(かずら){葛}&ruby(ば){葉}&ruby(こう){紘}&ruby(た){汰})はヘルヘイムが生み出す怪物・インベスの群れと戦っていた。 鎧武「とどめだ! はあっ、りゃー!」 鎧武が刀型の武器「&ruby(ダイ){大}&ruby(ダイ){橙}&ruby(マル){丸}」でインベス達を薙ぎ払う。 辺り一帯のインベスがいなくなったのを確認し、鎧武は変身を解除して紘汰に戻った。 紘汰(オーバーロード((ヘルヘイムの森に居を構える、知性を持つインベスのこと。))が攻めてきてからずっと、沢芽市は封鎖されたままだ。ヘルヘイムの侵蝕も止まらない。この世界を救うために、俺は……) インベスをこちらの世界に呼び込んだ一因である巨大企業・ユグドラシルコーポレーションの本拠地「ユグドラシルタワー」を睨む紘汰。 いつの間にか、そんな紘汰の背後に一人の少年が立っていた。 紘汰が少年に近付く。 紘汰「おい、こんな所にいたら危ないぞ」 少年「ねえ、あれは何?」 少年が指さしているのはサッカーボールだった。 紘汰「何って……ただのサッカーボールだろ」 少年「『サッカー』……何なの、それは?」 紘汰「もしかして……サッカーを知らないのか?」 紘汰がボールを蹴る。 紘汰「こうやって、手を使わずにボールに運んで……。よっと!」 紘汰がボールを蹴り上げ、壁に当たって跳ね返ったボールを受け止めた。 紘汰「相手のゴールにシュートを決めたら1点。こんな風に、互いに点を取り合って競うスポーツだ」 少年「なるほど。戦いのルールなんだね。……それで負けた方はどうなるの? 命を取られるのかい?」 紘汰「はは、そんなワケないだろ。どうにもならないよ」 少年「いや……それじゃどうして戦うの?」 紘汰「どうして? そうだな……楽しいからじゃないか?」 少年「楽しい?」 紘汰「ああ。試合に勝てたら嬉しいし、負けたら悔しいけど次こそは頑張れる。それで充分じゃないか?」 紘汰が少年にボールを渡した。 少年「そうなんだ……そんな戦いもあるんだ」 ボールを両手で弄びながら見つめる少年。 紘汰「おっと、話し込んでる場合じゃないな。またインベスが現れたらまずい。俺が安全な場所まで送る──」 紘汰が振り返ると、少年はいなくなっていた。 紘汰「あれ?」 少年は離れた場所にいた。 紘汰「ちょっ、危ないって!」 紘汰は少年を追いかけるが、すぐに見失ってしまう。 紘汰の耳に、何かが聞こえてきた。 紘汰「あれ? 何か聞こえる……」 紘汰はその音が聞こえてきた方に向かう。 音はいつの間にか、鎧武の名を呼ぶ声援となって聞こえていた。 紘汰(歓声? そんなはずは……) 暗闇の中を進む紘汰。 闇を抜けると、そこは廃墟となったはずの沢芽市ではなく、満員の観客が声援を送るスタジアムだった。 紘汰「ええ──っ!? 何だこれ……? 今の沢芽市にこんなに人がいるわけ……」 ?「紘汰! どこ行ってたの?」 紘汰のチームメイト・&ruby(たか){高}&ruby(つかさ){司}&ruby(まい){舞}が駆け寄ってくる。 だが、なぜか舞は、スポーツチームの監督かマネージャーのような恰好をしていた。 紘汰「舞!」 舞「もう始まっちゃうよ! 早く着替えて!」 紘汰「ああっ、ちょっと! 状況がよく分かんないんだけど……」 舞「忘れたの? チームバロンが、私達チーム鎧武に勝負を挑んできたじゃない!」 紘汰「勝負?」 ピッチでは、チームバロンのキャプテン・&ruby(く){駆}&ruby(もん){紋}&ruby(かい){戒}&ruby(と){斗}が名乗りを上げていた。 戒斗「サッカーだ!」 とりあえずユニフォームに着替えた紘汰だが、まだ状況が呑み込めていない。 紘汰「戒斗!? おい、お前、どうしたんだよその格好!」 戒斗「貴様の方こそ何を呆けてる。今日こそは決着を付けると言ったはずだ」 ?「そうだぞ」 そこに現れたのは、インベスとなってしまい、第1話で紘汰に倒されたはずの&ruby(すみ){角}&ruby(い){居}&ruby(ゆう){裕}&ruby(や){也}だった。 裕也「今日は大切な試合じゃないか」 紘汰「裕也……どうして……」 裕也「おいおい、どうしたんだよ紘汰? お前ちょっと変だぞ」 紘汰「いや、そんな……だって!」 裕也「お前が頼りなんだ。しっかりしてくれよな」 裕也が離れていった。 紘汰「どうなってんだ、一体?」