ピリカの正体は、あらゆる物を食い尽くす宇宙爆蝕怪獣ウーラーの対抗装置として、宇宙人によって造られたアンドロイドだった。 地球に出現したウーラーから皆を守るため、ピリカはウーラーの体内へと飛び込む。 しかし、このままピリカがウーラーの生命を停止させれば、ピリカ自身も死んでしまう。 音声&i(){『ウルトラマンタイガ!』} ヒロユキがタイガに変身し、ウーラーと対峙する。 ヒロユキ「僕がピリカさんを救ってみせる…… 絶対に!!」 #center(){|BGCOLOR(#ff4000):COLOR(black):CENTER:&br()&big(){&bold(){第25話&br()&big(){バディ ステディ ゴー&i(){!!}}}}&br()&br()|} 街中では、ウーラーの出現をきっかけに、人々と宇宙人の衝突が激化している。 宇宙人のガルメス人、ピット星人が、デモ隊の青年たちに迫害されている。 「お前らのせいで怪獣が来ちまったじゃねぇか!!」 「とっとと俺たちの地球から出て行けぇ!!」 ウルトラマントレギアこと霧崎は、その様子を見て、ほくそ笑んでいる。 霧崎「さぁ、どうする?」 ウーラーがタイガの腕に噛みつき、エネルギーを吸い取る。 タイガ「うわぁっ!! このおぉっ!」 霧崎「フフ……」 タイガ「ストリウムブラスター!!」 タイガが零距離の密着状態から、ストリウムブラスターを放つ。 だがウーラーは、その光線エネルギーをも飲み込んでしまう。 タイガが力を使い果たして変身が解け、ヒロユキが地上に投げ出される。 ヒロユキ「ピリカさん!?」 ウーラーは土煙を上げて、地中へ姿を消す。 ヒロユキが苦汁を飲んでいると、誰かが近づく。 ヒロユキ「あなたたちは!?」 E.G.I.S.本部のカナたちと、警視庁外事X課の佐倉警部。 テレビ報道が、スクリーンに映し出されている。 『怪獣は現在、世田原市の地中を北東に移動しており、今後は──』 佐倉「なぜ怪獣は動きを止めない? 生命維持システムを止めに行ったはずじゃ?」 カナ「ピリカ……」 ヒロユキが、傷だらけの姿で帰還する。 ホマレ「ヒロユキ! お前……」 カナ「ヒロユキ!?」 ヒロユキ「大丈夫です。でも、ピリカさんが……」 スクリーンに、ピリカの姿が映る。 カナ「ピリカ!?」 ピリカ『もう時間が無いので、手短に言います。今、私はウーラーの中です。そこでウーラーの心と接触してみて、わかったんです。この子はおなかがすいているだけで、悪気は無いんです! 生まれてから、ずっと飢えに苦しみながら、誰かに助けを求め、広い宇宙をさまよい、でも空腹は収まらず、星々の文明を食べ続けた結果、怨みや憎悪をも取り込んで、禍々しい姿に……』 ヒロユキ「……」 ピリカ『私は、この子の心を救ってあげたい! だから、お願いです。力を貸してください! この子の飢えを満たして、心を満たせたら、その後で私は、この子と一緒に……』 佐倉「すべてを終わらせる、ってことか」 ピリカ『この子と出会えたのは、奇跡なのかもしれない。私だから、この子の心をわかってあげられるんだと思う! だから、何としても助け──』 映像が切れる。 カナ「私は…… 私は、ピリカの想いに応えたい」 佐倉「そう言うと思ったよ」 カナ「アンドロイドのあの子が、奇跡的に心を宿して、この地球に流れ着いたのは、ウーラーの心を救うためだったのかもしれない」 ヒロユキ「でも…… それでも、ピリカさんは……」 タイガ『ヒロユキ。ピリカの覚悟を、お前が受け取れ! お前の覚悟を、俺が受け取ったようにな』 カナ「みんな、これ見て」 スクリーンに、ウーラーの解析映像が表示される。 カナ「ウーラーが食べても食べても満たされないのは、体内で形成された疑似ブラックホールが、すべてのエネルギーを吸いこんでしまうからだと思う。まずは、これを何とかしないと」 佐倉「何とか? えっ!? ブラックホールを!?」 声「何とかなるぜ」「どうも」 ホマレ「お前ら!?」 なんと宇宙犯罪組織ヴィラン・ギルドのマーキンド星人とマグマ星人が現れる。 マグマ「共同戦線、ってのはどうだ?」 カナ「どういう風の吹き回し!?」 マグマ「今回だけ、特別だ。あのお嬢ちゃんの決意に免じてな」 マーキンド「それに、そちらのお兄さんにも頼まれましたしね」 カナ・ホマレ「えっ!?」 ヒロユキ「ありがとうございます!」 スクリーンに、マーキンド星人の用意した映像が映し出される。 マーキンド「こちらは『ヴァイス・ストライク』。爆発と同時に疑似ホワイトホールを発生させる、危険なミサイルです」 佐倉「なるほど。ブラックホールにホワイトホールをぶつけて中和し、無力化させるってわけだ」 マーキンド「ただ、発生させられるのは、わずかな時間です」 マグマ「チャンスは一度きり、ってことだ」 ホマレ「で、どうやって怪獣を地中からおびき出す?」 マグマ「餌で釣るのさ。マグマウェーブなら絶対に食らいつく。問題は、エネルギーが持つかどうかだ」 佐倉「わかった! 世界各国にバックアップを要請しよう」 ホマレ「おびき出し、ミサイルを撃ち込み、ブラックホールを無力化できたとして、あとはどうやって怪獣を腹一杯にしてやるかだな」 マグマ「さすがに、マグマウェーブじゃ無理だぜ」 カナ「タイガがいる!」 ホマレ「そうか! タイガの光線エネルギーなら」 佐倉「しかし、ウルトラマンにそれをどうやって頼むよ!?」 カナ「はいっ! 頼んだわよ、ヒロユキ!」 ヒロユキ「えっ!? ……何のことだろう?」 ホマレ「プッ! お前、本当にとぼけんの、へただな」 カナ「うん! 純粋というか、素直というか、馬鹿正直というか」 ヒロユキ「えっ…… 知ってたんですか!? ずっと?」 カナ・ホマレ「うん!」「あぁ!」 ヒロユキ「え…… いつから!?」 カナ「ヒロユキ!」 ヒロユキ「はい!」 カナ「ピリカの最後の願い、叶えてやって」 ヒロユキ「……はい!」 ヒロユキが駆け出す。 マグマ「はぁ? どういうこと?」 マーキンド「え? えっと……」 佐倉「今、君ら、凄いことを凄くさらっと言ったな。な?」 ヒロユキが街外れに立つ。 ヒロユキ「チャンスは1回……」 タイガ『おいおい、緊張してんのか?」 タイタス『大切なのは、平常心だ』 フーマ『今はやれるって信じるっきゃねぇだろうが」 E.G.I.S.本部では、カナたちがマーキンド星人と共に、作戦準備を進めている。 マーキンド「出ま──す」 マグマ星人の宇宙船に乗り込んだホマレの姿が、スクリーンに映る。 ホマレ「こちら、ホマレ。照射準備完了。いつでも行けます」 カナ「OK。作戦名、『バディ・ステディ・ゴー』!」 衛星軌道上で、各国の人工衛星から、ホマレたちのもとへエネルギーが照射される。 ホマレ「バックアップ来たぞ!」 マグマ「マグマウェーブ、照射!」 宇宙船から地球上へ、エネルギー光線・マグマウェーブが照射される。 マーキンド「釣れました。ウーラー、地上に上がって来ます!」 地中からウーラーが、マグマウェーブを飲み込みながら、姿を現す。 ホマレ「ヴァイス・ストライク、スタンバイ!」 マグマ「1発しかねぇんだ。外すんじゃねぇぞ!」 ホマレ「ピリカ…… お前の想い、必ず叶えてやるからな。発射ぁぁ!!」 マグマ「行っけぇぇ!!」 宇宙船からヴァイス・ストライクが発射される。 ウーラーがマグマウェーブごと、ヴァイス・ストライクを飲み込む。 マーキンド「ブラックホール、無力化に成功しました!」 佐倉「急げ、時間が無いぞ!」 カナ「頼んだわよ、ヒロユキ!」 ヒロユキ「行くよ、タイガ!」 タイガ「あぁ!」 ヒロユキ「バディ──・ゴーッッ!!」 ヒロユキがタイガに変身し、ウーラーと対峙する。 デモ隊の人々が、タイガに声援を送る。 霧崎「タイガ、見ているか? これが地球人だ! ウルトラマンも宇宙人だろう? お前たちが迫害してきた、な。だが、怪獣やヴィランから自分たちを守ってくれる存在は特別扱い。ハハハ! アッハッハ! 正に、これこそが混沌だ……!」 霧埼がトレギアアイを装着し、ウルトラマントレギアに変身する。 タイガ「さぁ、腹一杯食いな!」 タイガがウーラー目がけて、ストリウムブラスターを発射する。 しかしトレギアが立ち塞がり、キックで光線を蹴散らしてしまう。 タイガ「トレギア!!」 トレギア「フフフ、最後の足掻きを見届けに来たぞ」 ウーラーがトレギアに襲いかかり、トレギアがウーラーを蹴散らす。 ウーラーがビルに衝突する。 デモ隊の青年たち2人に、瓦礫が落ちて来る。 「うわあぁ──っ!!」 青年たちに迫害されていたガルメス人とピット星人が、2人を救う。 ピット「大丈夫ですか?」 ガルメス「危なかった……」 タイガ「トレギアぁぁ!!」 トレギア「寝ていろ……」 ウーラーを足蹴にするトレギアに、タイガが挑みかかり、タイガとトレギアの戦いとなる。 タイガ「スワローバレット!」 タイガの光線をトレギアが防ぎ、反撃する。 すかさずタイガは、ウルトラマンフーマに変身する。 フーマ「疾風怒涛! 俺がてめぇをぶっちぎる!」 フーマが超スピードでトレギアを翻弄しつつ、攻撃を繰り出す。 トレギアが狙いを定め、光線でトレギアを仕留める。 フーマ「うわぁっ!」「な──んてな!」 爆発したと見せかけ、フーマが空から攻撃の嵐を降り注がせる。 さらにフーマが、ウルトラマンタイタスに変身する。 タイタス「賢者の拳は、すべてを砕く!!」 タイタスの豪腕のパンチが、トレギアに炸裂する。 トレギア「ひどいことするねぇ、賢者のくせに」 タイタス「特別だ!」 マーキンド「ホワイトホール消失まで、あと数分です!」 佐倉「まずい…… ブラックホールが復活したらアウトだ!」 マグマ「こっちもエネルギー切れだ。地中に逃げられっぞ!」 ホマレ「黙ってろ! あいつはやる。ヒロユキなら、必ず!」 カナ「ヒロユキ、信じてるからね!」 トレギア「そろそろ遊びは終わりにしようか」 タイガが強化形態のフォトンアースに変身し、トレギアに挑む。 デモ隊の青年たちと、ピット星人たちが共に、戦いに見入る。 ピット「ウルトラマンは地球に滞在するとき、地球人の体を借りて、共に戦うことがあるらしいわ。誰だろうと関係なく、手を取り合えるって、傷つきながら証明しているのかもね」 トレギアが光線の構えを取る。 ウーラーがトレギアの腕に噛みついて、攻撃を阻む。 タイガ「ウーラー!?」 佐倉「ウルトラマンを、助けた!?」 カナ「わかるのよ。自分を救ってくれるのが、誰なのか」 トレギアがウーラーを殴り飛ばす。 タイガ「やめろぉ!」 トレギア「はぁ? 怪獣との絆とか、言い出すんじゃないだろうな?」 トレギアの猛攻がタイガに直撃し、フォトンアースの強化変身が解ける。 タイガがガックリと跪き、カラータイマーが点滅を始める。 トレギア「いいねぇ。無力感、敗北感を味わって、再び闇に墜ちろ!」 トレギアが必殺光線、トレラアルティガイザーを放つ。 タイガはその光線をかわすことなく、真っ向から受け止める。 トレギア「!?」 タイガ「うぅおぉ──っっ!!」 音声&i(){『カモン!』『プラズマゼロレット・コネクト・オン!』} タイガ「&bold(){ワイドタイガショット!!}」 タイガが自らの必殺光線で、トレギアの光線を押し戻す。 ヒロユキ「届けえぇ──っっ!!」 タイガとトレギア、2人分の光線エネルギーが、ウーラーの口の中に叩き込まれる。 ホマレもカナたちも、固唾を飲んで様子を見守っている。 トレギア「ハハハ! 邪魔者は排除する。結局それが、お前らの答か」 ヒロユキ「行くぞ、タイガ!」 タイガ「あぁ!」 タイガが真っ赤な光球と化し、自らウーラーの口の中へと飛び込む。 ウーラーの体内では、ピリカが光球状のウーラーの心を抱きしめている。 2人の頭上に、ウルトラマンの光線エネルギーが、タイガのエネルギーが降り注ぐ。 ピリカ「おなか一杯になったね…… お昼寝しよっか」 ウーラーが、まるで赤ん坊のような歓喜の声を上げつつ、大爆発──!! カナ「ピリカぁぁ!?」 ホマレ「くっ……」 爆発跡から、ウーラーの心が光の球となり、空へ昇ってゆく。 上空で光球が散開し、無数の光の粒子となり、空一面に散らばる。 デモ隊の青年たちも、空の光を見上げつつ、ピット星人たちと笑顔を交す。 ホマレもカナたちも、言葉を失ってその光を見つめる。 そしてトレギアも、我を忘れたかのように空を見上げている。 トレギア「温かい…… この光は……」 爆発跡から、タイガが立ち上がる。 タイガ「俺1人のパワーだけじゃ、不可能だった。俺とお前、ウルトラマン2人の光の力が、あの怪獣の心を救ったんだ!」 トレギア「……」 タイガ「どんなに否定しようと──」 タイガ・ヒロユキ「お前は、ウルトラマン!」 タイガ「光を守護する存在なんだ! お前なんだろう? 光の国を離れた、父さんの友達っていうのは! お前がもう一度、光を守護する者として歩みたいなら──」 トレギア「……フフフ。何度も言わせるな。この世には光も闇も無い!」 トレギアは答の代りのように、タイガ目がけて光線を放つ。 タイガ「俺は…… 光を信じる!!」 タイガが最強形態のトライストリウムに変身し、再びタイガとトレギアの戦いとなる。 タイタス「タイタスバーニングハンマー!!」 フーマ「風真烈火斬!!」 タイガ「タイガブラストアタック!!」 タイタス、フーマ、タイガのパワーでの連続攻撃。 トレギアが防御するものの、防御し切れずに、大きく後ずさりする。 タイガがトライストリウムブレードを手に、上空へ舞い上がる。 眩い太陽を背にしたその姿は、まるで── トレギア「タロウ……!?」 タイガ「そうだ! 俺はタロウの息子! ウルトマンタイガだ!!」 ヒロユキ「クワトロスクワッド!」 タイガ「&bold(){&big(){クワトロスクワッドブラスタ──ッッ!!}}」 タイガ、タイタス、フーマ、そしてヒロユキ、4人のパワーを込めた最強光線が炸裂する。 トレギア「ハハハ…… ハハハハハハ!!」 トレギアは、避けるでも防ぐでもなく、両手を広げて自ら光線を浴びる。 光線が直撃し、トレギアが大爆発した──!! 街外れでヒロユキとタイガが、空一面に広がった光の粒子を見上げている。 タイガ『ヒロユキ、見てるか?』 ヒロユキ「あぁ。君と僕が…… いや、ピリカさんと皆で一緒に救った想い! これからは一緒に生きていくんだね」 後日のE.G.I.S.本部。 マーキンド星人とマグマ星人が、E.G.I.S.の社員証をつけている。 マグマ「警備士です」 マーキンド「会計です」 マグマ「ヘッヘッヘ」 マーキンド「へへへ、社員って、いい響きですねぇ」 マグマ「なんか、照れくせぇなぁ」 カナ「新しい仲間に、拍手──!」 佐倉「おめでとう! 良かったな!」 マーキンド「よろしくお願いします」 ホマレ「こいつらが、新入社員ですか!?」 カナ「そ!」 ヒロユキ「やっと後輩ができた!」 タイガ『まさかあいつらが、ここで働くなんてなぁ』 フーマ『おもしれえぇ。トラブルが起きそうじゃねぇか』 タイタス『いや、いいチームになると、私は思うぞ』 カナ「本当にうちが、政府公認のモデルケースでいいんですか?」 佐倉「いいんじゃない? カナちゃんの目指してた世界だろう」 カナ「ですね。アハハ!」 佐倉「あ、それからね。あの、あともう1人だけ、雇ってもらいたい人材がいるんだがね」 カナ「え?」 佐倉「入んなさい!」 スーツ姿で現れた女性── なんと、復活したピリカだった((復活した理由は超全集に収録された『ウルトラマンタイガ監督インタビュー 市野龍一』によると「ウーラーの中でタイガがピリカの手を伸ばした際に何かを掴み、それをピリカドライブに入れることで記憶と意識が復活し、外事X課を通じてピリカ03を製造した宇宙人であるエオマップ星人から送られてきたピリカの空ボディに入れ直したもの」だということが明かされている。))。 ホマレ「ピリカ!」 カナ「ピリカ!?」 ヒロユキ「……お帰りなさい!」 カナがピリカと抱き合い、ヒロユキとホマレが歓喜する。 #center(){|CENTER:&br()これは宇宙人たちとの共存へ&br()大きな一歩を踏み出した&br()若者たちの奇跡の物語である。&br()&br()|} #center(){|BGCOLOR(red):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&bold(){&color(orange){ウルトラマンタイガ} ここに完結&br()&color(blue){応援}ありがとうございました!}}&br()&br()|} そして、物語はそれから半年後を描く「[[ニュージェネクライマックス>ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックスのオープニング]]」へと続いていく…。