#center(){|CENTER:&br()謎の誘拐団・暗闇一族によって、&br()小学生の男の子が次々とさらわれるという&br()事件が起こっていた。&br()悪辣な誘拐に怒った&ruby(ま){魔}&ruby(てん){天}&ruby(ろう){郎}は、&br()微笑みを消して「&ruby(いか){怒}り仮面」に変身した!&br()&br()おもいっきり探偵団 &ruby(は){覇}&ruby(あ){悪}&ruby(ど){怒}&ruby(ぐみ){組}は、敢然と挑戦した。&br()だが、&ruby(サトル){悟}、&ruby(ススム){進}、&ruby(タケ){猛}&ruby(オ){夫}の3人がさらわれ、&br()そして落合先生と&ruby(ヒロシ){洋}も、恐るべき魔の手によって、&br()千尋の谷に転落してしまったのである。&br()&br()|} #center(){|&br()&big(){&big(){&bold(){怒り仮面}}&bold(){の}&big(){&bold(){逆襲}}}&br()&br()|} 暗闇一族の屋敷──その地下牢で、落合先生が目を覚ます。 落合先生「タケオ! サトル! ススム、ヒロシ! おい、おい!」 目を覚ました4人を抱き寄せる落合先生。 落合先生「みんな無事だったか!」 ススム「先生ーっ!」 4人もこぞって先生に抱き着き、涙を流す。 そこに暗闇一族の幹部の男女が現れた。 落合先生「おい、約束が違うぞ。身代金を届ければ、一郎((暗闇一族の被害者の一人。覇悪怒組のクラスメイト。))を返してくれるはずだ」 幹部・男「棟梁がお呼びだ。出ろ」 落合先生「棟梁? 大工の棟梁か!」 幹部・男「言葉を慎め! 我らが暗闇一族の、棟梁がお呼びだ」 落合先生「か~っこつけてくれちゃって。なぁ?」 言うことを聞かない落合先生と覇悪怒組を見かねて、幹部2人が牢の鍵を開ける。 幹部・女「出なさい」 落合先生「命令口調が、気に食わないね! 『出てください』と、どうして言えないの?」 幹部・女「うるさい!」 女幹部が落合先生にビンタを食らわせた。 屋敷の渡り廊下には、戦国時代の武者鎧がたくさん飾られている。 ススム「これ本物かな?」 タケオ「本物だよ」 ヒロシ、サトル「すげー」 渡り廊下の奥の階段に、暗闇一族の棟梁が立っていた。 棟梁「はははは、驚いたか。みんな、わしのコレクションじゃ。落合先生、覇悪怒組の諸君、さあ来たまえ」 上階に通される5人。 畳敷きの部屋に、暗闇一族が誘拐した小学生男児が集められ、全員正座で待機させられていた。 一郎「落合先生……」 落合先生「一郎! 無事だったか!」 覇悪怒組「一郎!」 覇悪怒組の4人が一郎に駆け寄る。 ススムの手を取る一郎。 一郎「みんなに会えてうれしいよ!」 一郎が安堵のあまり泣き出してしまう。一郎を慰める覇悪怒組。 それを見て、落合先生が暗闇一族の棟梁に詰め寄る。 落合先生「あんた! 子供たちをこんなところに集めていったい、何を企んでるんだ? お金が欲しいんだったら汗水たらして働いたらどうなんだ!」 棟梁「私の目的は身代金じゃない」 落合先生「じゃ、いったいなんなんですか?」 棟梁「私が欲しいのは、優れた子供だ。学問・スポーツ・武芸、すべてにわたってパーフェクトな子供だ! その上に、強い運の持ち主でなければならない」 落合先生「なんですと!?」 棟梁「いつの日か日本を支配し、地球を支配するような男の子が、私は欲しいのだ」 落合先生「あんた、頭おかしいんじゃないの!?」 棟梁「黙れ!」 棟梁が落合先生を鋭く睨む。しかし落合先生も負けていない。 落合先生「いいえ、黙りませんよ! 子供はみんな夢を持っているんです。その夢を、膨らませたり、縮めたりして、大きくなっていくんです!」 棟梁「くううっ、この男をぶちのめせ!!」 幹部の男が部屋の隅に立てかけられていた木刀を2本取り、1本を落合先生に投げ渡した。 幹部・男「来い」 落合先生「冗談じゃない、私は剣道なんか知りませんよ!」 だが、幹部の男は落合先生を無視していきなり襲いかかってきた。 子供たちが慌てて避難する。 ヒロシ「落合先生、負けるな!」 しかし、落合先生は幹部の男の攻めに防戦一方。 落合先生「危ないっ、危なーいっ!! ……木刀は無茶だ、頭が割れる! 竹刀にしよう、竹刀に!」 幹部・男「黙れっ!!」 幹部の男はやはり落合先生の抵抗を無視し、その顔めがけて木刀を振り下ろしてきた。 とっさに木刀を掲げて防ぐ落合先生。 幹部の男が落合先生を突き飛ばす。落合先生は柱に顔面をぶつけて倒れこんだ。 棟梁「見たか、お前たち。こんなだらしない大人にはなりたくないだろう。この男を牢獄にぶち込んどけ!」 落合先生に駆け寄る覇悪怒組。 サトル「先生、しっかりしろよ!」 ヒロシ「先生!」 ススム「先生っ!」 落合先生「私は大丈夫だ。ヒロシ、みんな、これから何があろうと、生きることをあきらめるなよ。死のうなんてするな? 『ネバー・ギブアップ』だ!」 そこに暗闇一族の雑兵が現れ、落合先生を連れていく。 落合先生「がんばれ、みんな…… がんばれ、みんな!」 覇悪怒組「先生ーっ!!」 幹部・男「座ってろ!」 落合先生に駆け寄ろうとする覇悪怒組を、幹部の男が引き留める。 無理やり座らされる覇悪怒組。 棟梁「みんな、聞けい! これからあらゆる分野にわたって、選抜テストを行う。最後に勝ち残った者1名を、我が暗闇一族の後継者とする」 ヒロシ「暗闇一族の後継者!?」 ススム「勝ち残れなかった者はどうなるの?」 棟梁「そんな奴は生き残る価値がない! 我ら一族の奴隷とする」 覇悪怒組「奴隷!?」 顔を見合わせる子供たち。 一方、落合先生は再び地下牢へ──。 学力テストが始まった。 算数のテスト用紙には分数の掛け算・割り算などが載っている。 ススム「こんなの習ってねーよ……」 ヒロシ「習ってたってできないってのにさ」 サトル「おいみんな、見せ合おうぜ」 4人で問題を解こうとする覇悪怒組を見とがめた幹部の男が𠮟責する。 幹部・男「こらっ! カンニングはマイナス10点だ。マイナス点が100点になった者は、その場で奴隷にするぞ!」 慌ててそれぞれのテスト用紙に向き合う覇悪怒組。 続いて、体力テスト。 タイヤを引きながら屋敷の周囲を走らされる小学生男児たち。 疲労のあまり倒れた一郎を、雑兵が無理やり立たせる。 覇悪怒組「一郎っ!」「大丈夫か!」 覇悪怒組が雑兵を押しのけて一郎に駆け寄る。 すると、幹部の男がアサルトライフルを中空に向けて撃った。ひるんだ覇悪怒組はその隙に列に戻され、一郎も走らされる。 雑兵「ぼやぼやするな! さっさと走れ!」「ほら、走れ走れ!」 覇悪怒組が屋敷の一室に滑り込む。 タケオ「俺、もうダメだ! 死にそうだよ!」 ヒロシ「バーカ。ここで死んでどうするんだよ?」 サトル「だけどさぁ、いつまでこんなテスト続けるんだよ?」 ススム「ちっきしょう、死んだほうがマシだよ」 ヒロシ「あきらめるな! 生き抜いてここを脱出するんだ。『ネバー・ギブアップ』、落合先生もそう言ったじゃないか!」 覇悪怒組「ネバー・ギブアップ!」 とは言っても、状況を打開する方法がすぐに思いつくわけもない。 ススム「……あーあ、家に帰りてぇなぁ」 ふいに、外で車のエンジン音がした。 窓に走る覇悪怒組。 スーツ姿の初老の男が、男女の秘書を連れて白い高級車に乗り込もうとしていた。 ヒロシ「あっ、あの車は!」 その車は、暗闇一族が小学生男児誘拐に使っていたものと同じ車だった。 ヒロシ「サトル、カメラだ!」 サトル「OK!」 サトルが、隠し持っていたカメラで車のナンバープレートを撮影する。 車はそのままどこかへ走っていった。 覇悪怒組はネガを小さな筒の中に入れ、サトルが連れてきた伝書鳩の足に結わく。 サトル「よし……!」 伝書鳩は大空高く、覇悪怒組の通う竹早小学校で待つ&ruby(ヤ){矢}&ruby(ス){須}&ruby(コ){子}のもとへ飛んでいった。 サトル「頼むぞ!」 一郎の家では、一郎の両親が息子の無事を祈り続けている。 ヒロシの両親も気が気でない。 ヒロシの父「金子さん、一郎くんは帰ってきましたか!?」 一郎の母「それがまだなんですよ。ヒロシくんたちはまだですか!?」 ヒロシの父「……ヒロシも落合先生も誰一人帰ってこないんですよ……」 一郎の父「ああ~、一郎~!」 ヒロシの母「ヒロシ~……」 ヒロシの父「もう、こんなことだったらヒロシをやるんじゃなかった! つい、あんたの口車に乗せられてしまった……」 一郎の父「……口車とはなんですか! 犯人が指名してきたんだからしょうがないじゃないですか」 一郎の母「そうですよ!」 ヒロシの父「あんたが金持ちだから悪いんだ!」 ヒロシの母「そうですよ! 大体ねぇ、あくどいことしてお金儲けるから子供を誘拐されるんですよ!」 一郎の母「あくどい!? あくどいとはなんですか! お金がどんどん入ってくるんだもん、しょうがないじゃないですか!」 一郎の父「そうですか、わかりました。そこまでおっしゃるなら、一郎が無事に戻った時には、一郎の身代金・一千万、あなたに差し上げましょう!」 一郎の母「ああ、あげましょう!」 ヒロシの父「それ本当ですか!?」 一郎の父「ええ」 ヒロシの母「あなた!! あたしたちはそんなものは要りませんよ。まったくあさましい!」 そこに警察官と刑事が入ってきた。 彼らは身代金を持たされた覇悪怒組と落合先生を護衛していたのだが、まんまと暗闇一族の罠にかかり、ボコボコに痛めつけられて逃げ帰ってきたのだ。 一郎の父「け、刑事さん、どうしたんですか!?」 刑事「申し訳ない! 落合先生もヒロシ君たちも、みんなさらわれてしまった!」 一郎の父「な、なんですって!?」 刑事「すみません……」 一郎の両親が抱き合いながら泣き崩れる。 その頃、伝書鳩は無事に竹早小学校に到着していた。 ヤスコ「あっ! サトル君の伝書鳩だわ」 ヤスコが口笛を吹き、伝書鳩を降下させる。 伝書鳩の足に結わかれた筒に気づくヤスコ。音楽教諭の順子先生が筒を開く。 |&i(){落合先生も僕たちも無事です。&br()ネガを現像して犯人を突き止めてくれ! 覇悪怒組}| 現像は学校内の暗室で行われた。 順子先生「車だわ! 品川33・は・60-40……」 |調査の結果、車の持ち主は、&br()吉岡不動産会社社長・吉岡作蔵氏と判明した。| ヤスコ「信じられない! 吉岡不動産って言ったら、超一流会社よ? その社長が誘拐犯人だなんて……」 順子先生「まだ犯人かどうかはわからないわ。でも、何か関係があることだけは確かね」 ヤスコ「先生、どうしましょう?」 順子先生「落合先生やヒロシ君たちのためだもの、どんな人か会ってみましょうよ」 ヤスコと順子先生は吉岡不動産の本社ビルに向かった。 秘書・女「何か?」 ヤスコ「竹早小の新聞部代表なんですが、社長さんにインタビューをしたいんですけど」 順子先生「新聞部部長の菊田です。よろしく」 順子先生が名刺を差し出す。いぶかしげに見つめる秘書の男女──。 ヤスコと順子先生は社長室に通された。 社長室には戦国時代の武者鎧が飾られている。 吉岡「君たちかね? 私にインタビューをしたいというのは」 ヤスコ「はい。よろしくお願いします」 吉岡「うむ。なんでも聞いてください」 ヤスコ「……最近、誘拐事件が相次いで起こっていますが、社長さんはどうお考えですか?」 吉岡「誘拐事件……? 私はまた、土地に関する質問かと思ったんだが。誘拐事件ねぇ…… くだらん。私は興味ないね」 順子先生「社長さんにはお子さんがいらっしゃらないようですね? お子さんがいたら、興味ないなんて決して言えないはずですわ!」 吉岡「私には立派な息子がいるんだ。学問・スポーツ・武芸、すべてにパーフェクトな素晴らしい息子だ! 帰りたまえ、インタビューは終わりだ」 憮然とした様子で部屋を出る吉岡。男の秘書がその後ろに続く。 尻尾をつかんだことを確信し、ヤスコと順子先生が顔を見合わせた。 |ヤスコと順子先生の調査の結果、意外な事実が判明した……。| 吉岡不動産の本社ビルにほど近いカフェテラスで、順子先生がヤスコに数枚の写真を見せる。 順子先生「吉岡社長には、ミツル君という小学5年生の息子がいたのよ。でもそのミツル君が、半年前に、ビルの屋上から飛び降りて、自殺してしまったの……」 ヤスコ「自殺!? そんな……」 写真の中には、アスファルトの地面に叩きつけられ、後頭部に血溜まりのできた少年の遺体を写したものも含まれていた。 ヤスコ「でも、そのことと誘拐事件が結びつくんですか?」 順子先生「吉岡社長は、ミツル君は死んだと思いたくないのよ。だから、ヒロシ君たちを誘拐して……」 ヤスコ「ミツル君の身代わり……!?」 暗闇一族の体力テストが再び始まった。 落合先生が囚われている地下牢の前で、マット運動やトランポリンをやらされる小学生男児たち。 幹部の男が、前転に失敗して倒れこんだ一郎の胸ぐらをつかんでねじり上げた。 雑兵「やる気があるのか、お前は!」 幹部・男「忍耐力のない人間は、支配者にはなれんぞ」 そこへヒロシが止めに入る。 ヒロシ「冗談じゃないよ!! 支配されるのも、支配するのもまっぴらだっての!」 幹部・男「うるさいっ!」 雑兵「ガキのくせに生意気なこと言うな!」 マットの上に押し倒されたヒロシの体に、雑兵たちが容赦なく鞭を打ち込む。 落合先生「ヒロシ~!! 負けるな、がんばれ!!」 立ち止まり、ヒロシを助けるべきか迷う小学生男児たちに、女幹部が檄を飛ばす。 幹部・女「早く続けて!」 落合先生「みんな、がんばれ!!」 体力テストはなおも続く。 土嚢を担がされ、ひたすら歩かされる小学生男児たち。土嚢を降ろした者はもれなく鞭打たれる。 長時間のしごきで限界に達した一郎は、もはやまともに歩くことすらできず、倒れて動かなくなった。 ヒロシ「一郎っ!」 幹部・男「余計なことするんじゃない!」 一郎に駆け寄ろうとするヒロシを幹部の男が捕まえ、往復ビンタを見舞う。その様子はまるで大日本帝国じみている。 ススムたちが助けに入るも、雑兵に引きはがされ、同様にビンタを食らって倒れる。 そこへ、怒り仮面となった魔天郎が姿を現した。 怒り仮面「許さんぞ…… 許さんぞ!!」 ヒロシ「怒り仮面だ! 怒り仮面が助けに来たんだ!!」 幹部・男「こしゃくな…… かかれ!!」 暗闇一族の雑兵たちが怒り仮面に群がる。 だが怒り仮面はマントを翻して敵を寄せ付けず、怒りに満ちた格闘術で次々と返り討ちにしていく。 怒り仮面の猛攻から辛うじて逃れた幹部の男が、屋敷の支柱の裏側に隠されたスイッチを押す。 すると、怒り仮面の足元に隠されていた落とし穴が開き、怒り仮面は真っ逆さまに落ちていった。 怒り仮面「うわわわわーっ!!」 幹部・男「フフフフフ、この下は奈落の底だ! いくら魔天郎でも、これでおしまいだな」 ススム「魔天郎が死んじゃった…… もうダメだよ!」 幹部・男「お前ら、何やってる! 戻れ! さあ、早く!」 覇悪怒組以外の小学生男児は、全員が疲労困憊となって倒れていた。 幹部・男「ほら続きだ続きだ、担げ担げ!」 ヒロシ「魔天郎が死んでたまるか! みんな、弱音を吐くな。歩くぞ、いいな? ネバー・ギブアップ!!」 覇悪怒組「ネバー・ギブアップ!!」 覇悪怒組は「ネバー・ギブアップ」を合言葉に、必死に自分たちを励まし続けた。 重い土嚢を担ぎながら洞窟の中を通り、切り立った崖に出た。 幹部・男「よーし、荷物を降ろせ。さすが覇悪怒組だ、ここまでの難関を突破してきたのはお前たち4人だけだな」 ヒロシ「もうたくさんだ!! 俺たちを家に帰してくれ!!」 幹部・男「そうはいかん。これから最後のテストを行う」 ススム「最後のテスト?」 幹部・男「お前たちの運が強いか弱いか、試すテストを行う」 サトル「な、何をさせるんだ!」 幹部・男「この崖から飛び降りて…… 命が助かった者こそ、本当に運の強い人間だ。その人間こそ、我らの次の棟梁になられるお方だ!」 サトル「じょ、冗談じゃないよ!」 ヒロシ「ふざけるな!! こんなところから飛び降りたら、死んじゃうよ!」 幹部の男がヒロシにアサルトライフルを向ける。 幹部・男「飛び降りないなら、この場で射殺する!」 命がかかっているだけあり、覇悪怒組の誰も飛び降りることができない。 崖下に移動した女幹部が命じる。 幹部・女「突き落としなさい!」 雑兵たちが、一斉に覇悪怒組を落とした。 ススム、サトル、タケオはもろに地面に叩きつけられて失神したが、ヒロシだけは、落下の恐怖に気を失いながらも偶然近くに生えていた蔦を掴んで落下を免れていた。 ヒロシは吉岡不動産本社ビルの社長室に連れてこられた。 秘書(幹部)・男「お連れしました」 吉岡「黒樹 洋。君は、勇気と忍耐を兼ね備えた、素晴らしい少年だ。見たまえ」 吉岡がカーテンを開ける。経済都市・東京の夜景が眼下に広がる。 吉岡(暗闇一族・棟梁)「君は、私の後継者として、このビルのオーナーになり…… やがてはこの街を支配し、日本を支配する立派な人間になるんだ!」 ヒロシ「お断りだ。誰があんたの後継者になんてなるもんか! 俺には父さんと母さんがいるんだ、父さんと母さんの所に帰してくれ!」 吉岡「聞き分けのない奴だ。私の後継者になるのはどうしても嫌か?」 ヒロシ「ああ、嫌だ! 俺が好きなのは父さんと母さんだ、あんたの子供になんてなるもんか!」 吉岡「君には私の後継者になる資格はないようだな…… この子供をぶち殺せっ!!」 逃げ出すヒロシを秘書の男女が追う。 前方からも、吉岡が雑兵たちを引き連れて迫り来る。 挟み撃ちにされるヒロシ。秘書の男がヒロシに拳銃を向けた──その時! 怒り仮面が投げつけた魔天郎カードが、悪人どもに炸裂した! ヒロシ「怒り仮面! 生きていたんだな!?」 怒り仮面「ヒロシ、私は不死身だ。その者たちはどうしても許せん、私が成敗する!」 怒り仮面が鞭を振るい、雑兵たちを薙ぎ払う。 そして秘書2人をも一瞬で無力化し、逃げる吉岡を捕らえた。 怒り仮面「吉岡作蔵! 子供を事故で失った悲しみはわかるが、ヒロシたちを誘拐して息子の身代わりを作ろうなどとは、許せんぞ!!」 吉岡「私は、息子に小さい頃からエリート教育を受けさせた! 息子は、学問・スポーツ・武芸、すべてに秀でた息子だった…… 将来は、日本の指導者になるはずだったんだ!!」 食い下がる吉岡に、怒り仮面が鞭を突き付ける。 怒り仮面「&bold(){馬鹿者!! お前の過大な期待がミツル君を押しつぶして自殺させたことがまだわからんのか!? 子供には子供の夢を与えよ!! 大人の打算で子供を苦しめるなっ!!!}」 怒り仮面の鞭が吉岡を容赦なく打ち据える。 怒り仮面「これは、さらわれた子供たちの苦しみ!!」 さらに、秘書2人にも鞭を浴びせる。 怒り仮面「これは、さらわれた子供たちの親の悲しみ!!」 その時、ヤスコと順子先生が警察を連れてビルに踏み込んできた。 ヤスコ、そして順子先生と怒り仮面の視線がかち合う。 怒り仮面「さらばだヒロシ、また会おう!」 怒り仮面は憤怒を解き、魔天郎の姿に戻ると、非常ドアから非常階段へ出て、上空に跳ぶ。 魔天郎を乗せた気球は、夜の闇に消えてすぐに見えなくなった。 翌朝、落合先生とススムたち、そしてさらわれた小学生男児が全員暗闇一族のアジトから生きて帰ってきたことは言うまでもない。 しかし、魔天郎は子供の味方なのか? 犯罪にすべてを懸ける怪盗紳士か? それはまだ、誰にもわからない──。 #center(){&big(){(続く)}}