ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGAの第1話


惑星O-50(オーフィフティ) 戦士の頂。

その頂上に燃える光は
優れた資質をもつものを見極め──

光の戦士となる力を授けるという



惑星O-50の秘境。

激しい吹雪の中、主人公の青年・ガイが険しい岩肌を登り切り、息を切らしつつ頂上に辿り着く。
頂上では、神秘的な光の環が宙を舞っている。
そしてもう1人の青年、ジャグラーも頂上に辿り着く。

ガイ「ジャグラー!?」
ジャグラー「ガイ……」

ガイよりもジャグラーが先に、光の環へと駆け出し、手を差し伸べる。
しかし電撃のような光が飛び散り、ジャグラーは跳ね除けられてしまう。

ジャグラー「ぐわぁっ!?」

ガイが光の環に歩み寄り、決意と共に手を差し伸べる。
まばゆい光があふれ、聖剣オーブカリバーが出現し、ガイの手に収まる。

ガイ「俺を選んだのか!?」
ジャグラー「なぜだ? なぜ、お前なんだ!?」

オーブカリバーの光がガイの胸を照らす。
ガイの体が光に包まれ、ウルトラマンオーブへと姿を変えてゆく。
テレビ版『ウルトラマンオーブ』に登場したオーブオリジンよりも最初期の形態、オリジン・ザ・ファースト──



episode 1 きらぼし ~ 煌星 ~



変身を解いたガイ。

ジャグラー「何人が挑んだと思っている? 覚悟を決めろ。お前がウルトラマンオーブなんだ」
ガイ「俺よりすげぇ奴がいる。お前だよ、ジャグラー。なのに……」
ジャグラー「オーブの光は、お前を選んだ。泣き言を言っても仕方がない」

オーブカリバーから光が空へ伸び、空中に文字が浮かび上がる。

ガイ「なんだ、あれは?」
ジャグラー「成すべきことを伝えている。お前に…… いや、俺たちに」

文字が消える。

ガイ「俺たちのファーストミッションか」
ジャグラー「お前をサポートしろというなら、従う。だが、あまり手を焼かせるな」

ガイがオーブカリバーを掲げると、ガイとジャグラーが光と化し、宇宙へと飛び立つ。

ガイ「どこへ向かっている? 読み終える前に消えちまった」
ジャグラー「まずはスターゲートに向かう。ゲートを通過したら、射手座銀河まで飛ぶことになる。そこで宇宙悪魔ベゼルブっていうのが、派手に暴れている。お前の任務は、ベゼルブを操る黒幕を捕えることだ」
ガイ「俺たちの、だろ」

目指す先に、巨大な光の環が見える。

ジャグラー「ゲートだ。別の宇宙が、あの向こうにある」


地球、日本海溝。
潜水艇が、深海4000メートルへと潜航してゆく。
乗員は若き生物学者、森脇翔平と西岡結衣の2人。

結衣「翔平、発光プランクトンがこんな深度でも光ってるわ」
翔平「あぁ、棲息域をさらに深いところに移しているんだな」

やがて、海底に古めかしい神殿跡が見えてくる。

翔平「神殿だ! すっげぇ~! 大発見!」
結衣「すごい、すごいすごい!」
翔平「あそこ!」


ガイたちの目指す射手座銀河、王立惑星カノン。

『我が名はサイキ、ドクター・サイキ。私に女王を差し出せ。さもなくば、宇宙悪魔ベゼルブを遣わし、命の木を破壊する。我が名はサイキ、ドクター・サイキだ。私に女王を差し出せ。さもなくば、宇宙悪魔ベゼルブを遣わし、命の木を──』

王宮。
戦神の血を引く女王アマテ、将軍ライゴウ、近衛隊長シンラ、副官ブゲンたち。

アマテ「宇宙悪魔ベゼルブ、命の木……」
ライゴウ「すべての命を生み出した聖なる木。それを失えば、この星が滅びます」
シンラ「だからと言って、女王陛下を差し出せるわけがない」
アマテ「サイキという者は、何者ですか?」
ライゴウ「何者であろうが、この男は本気です」
ブゲン「我がカノンの衛星軌道に、怪物の群れが周回しております」
アマテ「ベゼルブ……」

王宮の壁画には、カノンの神話につたわる巨人・戦神(いくさがみ)が、怪物を倒す場面が描かれている。

ライゴウ「神話の再現なら、戦神が宇宙悪魔を退治し、駆逐します」
シンラ「再現ではなく、覆そうとしているのです! 戦神を倒せる勝算があるから、敢えて女王に戦いを挑んできた──」
アマテ「私の命が狙いなら、なぜ直接ベゼルブに襲わせないの?」
シンラ「何か、裏があるのです」
ライゴウ「表も裏も関係なく、先制攻撃をすべきです」
アマテ「……戦争が、始まるのですか?」


地球では、翔平たちの目の前で、海底の神殿跡が崩れ始める。

翔平「あそこ!」

海中を浮かび上がってゆく神殿の破片の一つ、種子とおぼしき物体を、潜水艇が捕える。


ガイとジャグラーは射手座銀河に辿り着き、宇宙空間を突き進んでいる。

ガイ「ようこそ射手座銀河へ、って看板はないのかよ?」
ジャグラー「まさか、歓迎を期待してたのか?」
ガイ「……聞こえる!」
ジャグラー「何? おい、どこへ行く気だ!?」


カノンの王宮を守る女近衛兵、ミコットとリッカ。

リッカ「毒針がベゼルブの一番の武器なの」
ミコット「刺されたら、どうなるの?」
リッカ「『クグツ』っていう毒があって、体に入ったら自分の意思が消えて、ベゼルブに操られちゃうの」

射手座銀河の惑星ルーリン。
ベゼルブが住人を襲う。
住人2人がベゼルブから逃げ惑うが、ベゼルブの毒針に刺されるや、人が変わったように、住人同士で争い始める。
幼い子供が2人を止めようとするが、逆に吹っ飛ばされ、気を失う。

ルーリンの地に、ガイとジャグラーが降り立つ。

ガイ「悲鳴が聞こえた……ような気がした」
ジャグラー「勘で動くな。宇宙で悲鳴が聞こえるわけがない。おい」
ガイ「救助隊にいた頃、聞こえるはずのない悲鳴を何度も耳にした。悲鳴は音じゃない、心から心への救難信号なんだ」

先ほど吹き飛ばされていた子供に、ガイが気づく。

ガイ「おい! おい、大丈夫か!?」

毒に侵された先の住民2人が、ジャグラーに襲いかかる。
ジャグラーはとっさに、徒手空拳で応じる。

子供「○○□□××! (異星の言葉)」
ガイ「その2人は、この子の親だ!」

空から舞い降りたベゼルブが地上に降り立ち、住民2人はその巨体に踏み潰される。


アマテ「戦争は嫌です。親が子を遺して死ぬようなことは、絶対に嫌」
シンラ「平和に解決する策が、きっとあります」
ライゴウ「では聞こう。衛星軌道の怪物を、どうするおつもりか?」
シンラ「……」
ライゴウ「策がないなら、私の案を提案させていただく。ただちに、サイキの基地がある無人惑星ザインへと、我が軍を送り込み、先制攻撃をかけるのです。相手は科学者1人、すぐにも制圧できます」
シンラ「女王を最前線に立たせるおつもりですか!?」
ライゴウ「そのための、王家の血ではありませんか?」
アマテ「……将軍。私は、戦神になるつもりはありません」


ガイがオーブカリバーを天にかざしてウルトラマンオーブに変身、ベゼルブに立ち向かう。

ジャグラー「宇宙悪魔ベゼルブだ! 絶対に毒を受けるな!」

オーブがオリジウム光線を放つが、その威力にオーブ自身が振り回され、光線は的を外れて岩山に当たってしまう。

ジャグラー「何をしている!? 腰を安定させろ!」

オーブが狙いを定めて光線を放ち、ベゼルブに命中。
左手の鉤爪が砕ける。

ジャグラー「よし!」

しかしベゼルブが光球で反撃し、オーブが吹き飛ばされる。
カラータイマーが点滅を始める。
変身が解け、オーブは光の粒子と化してガイの姿に戻ってしまう。

ガイを残し、ベゼルブは空へと飛び去る。


惑星カノンでは、ライゴウたちが憤慨して王宮を去る。

ライゴウ「あんな臆病な小娘が、我らの最終兵器だとはな」

王宮内では、シンラもアマテのもとを去ろうとしている。

アマテ「待って!」

アマテが首飾りを外し、シンラに渡す。

アマテ「王家に代々伝わる物です。災いを避けるお守り」
シンラ「なぜ、私に?」
アマテ「あなたに、お願いがあるの」

惑星カノンから、シンラが単身で乗り込んだ宇宙船スザーク号が飛び立つ。

ミコット「交渉で戦争を回避できるのかな?」
リッカ「隊長1人でザインに乗り込むなんて……」
ミコット「戦争だけは避けたい。アマテ様も必死なのよ」


惑星ザイン。
ベゼルブたちの蔓延る大地に、シンラが降り立つ。
ドクター・サイキの基地で、小型ロボットのパーテルがシンラを迎える。

パーテル「ようこそ! 近衛隊長シンラさん!」

そしてドクター・サイキ。

サイキ「やぁ! 君の女王様は賢いね。無駄な争いは避けて、対話を選択したんだからさぁ。知的生命体だなんて言いながら暴力で解決する、野蛮人とは大違いだ」
シンラ「いきなりよその星を脅迫するあなたは、野蛮ではないと?」
サイキ「プッ、ハハハ! おもしろい! 私が野蛮だと思ってるなんて、最高のジョークだ! じゃあさ、今から面白いものを見せてあげるよ」

スクリーンに、何体ものベゼルブが映し出され、それらを統制するクイーンベゼルブもいる。

サイキ「クイーン、お待たせ」

クイーンが奇声を張り上げると、それに応じてベゼルブたちが怪獣アーストロンとキングゲスラに襲いかかり、クグツの毒を体内に流し込む。

シンラ「あれが、クグツ……」
サイキ「このグラフは怪獣たちのクグツ濃度だ。2匹は今、ベゼルブに支配されている。で、そのベゼルブはクイーンの支配下にある。そして私は、クイーンに指示を出せる。どういうことか、わかる?」
シンラ「──クイーンに命じれば、毒を打たれたすべての生き物を、操れる」
パーテル「わぁ~! よく出来ました!」
サイキ「クイーン、始めてくれる?」

クイーンの指示が、ベゼルブを通じてアーストロンとキングゲスラに送られ、2体が戦いを始める。
やがて、アーストロンが勝利する。

サイキ「グラフ見て! 勝った方のクグツ濃度がググンと上昇してる。そしてこのパワーは、最終的にクイーンに送られる!」
シンラ「クグツ濃度を高めてどうする?」
サイキ「クイーンのパワーを高めて、クグツを全宇宙に広める!」
シンラ「毒の力で宇宙を支配するのか!?」
サイキ「……悪いことみたいだね。君だって、女王様に支配されてるのに」
シンラ「私はアマテ様に操られているわけではない!」
サイキ「そうかな? シンラくんたちもすでに、別の毒で操られているんだよ。自分の星を愛する心、女王様への忠誠心──」
シンラ「……」
サイキ「重要なのは目的! 私たちがクグツを使って成し遂げたいのは、争いのない宇宙の創造だ! 悪いことかな?」


惑星ルーリンでは、ガイがあの子供の手当てをしている。

ジャグラー「来たぞ!」

地面を砕き、地中からベゼルブが出現する。

ガイ「戻って来やがった。頼む!」

ガイは子供をジャグラーに預け、自らはウルトラマンオーブに変身し、再びベゼルブに挑む。
ベゼルブが光球を放つが、オーブは今度はうまくかわす。
しかしベゼルブは、宙を舞って攻撃をしかけてくる。
オーブが、空中のベゼルブ目がけて駆け出す。

ジャグラー「まともに突っ込むな! 下に潜り込め!」

助言を受け、オーブは地面を滑ってベゼルブの真下に潜り込み、頭上目がけて光線を放つ。
オーブの頭上を舞ったベゼルブは光線に斬り裂かれる形になり、大爆発を遂げる。


オーブとしての初勝利を収めたガイは、ベゼルブに踏み潰されて絶命した住民2人の墓を建てる。
遺された少年が、悲しげに泣いている。

ガイ「もう誰も、こんな悲しい目に遭わせない…… ごめん。今はこんなことしか言えない。こんな約束しかできない……」

ガイが悲しげに、少年を抱きしめる。
ジャグラーはその様子を、苦々しく見ている。


惑星カノンの夜。
命の木のもとで、かがり火が焚かれ、人々が集っている。
アマテが人々のもとを訪れる。
幼い少女を連れた母親がいる。

「お母様…… ねぇ、怪物が来るんでしょ?」
「大丈夫よ。女王陛下が戦神になってくださる。きっと守ってくださるからね」

その言葉に、アマテは複雑な面持ちとなる。
母親がアマテに気づき、深々と頭を下げ、アマテは笑顔を返す。

アマテが命の木の幹に触れる。

アマテ「……戦わないで、平和を守ることはできないの?」


一方の地球。
地上に引き揚げた翔平と結衣が、海底遺跡から回収した種子らしきものに目を見張る。

翔平たち「おぉ~!」

翔平が何気なく、その種子に手を触れる。
アマテが幹に触れ、翔平が破片に触れる──
別々の世界にいるはずの2人が同時に、何かの感触に気づく。

アマテ「はっ!?」

翔平「はぁ、はぁ…… 何だよ、今の!?」

アマテ「あなたは…… 誰!?」

翔平「君は…… 誰!?」


to be continued...

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最終更新:2017年11月18日 09:54