激走戦隊カーレンジャーの第31話

※ ここまでのあらすじは激走戦隊カーレンジャーの第30話をご覧ください。


カーレンジャーの5人は神社でお参りをしていた。

恭介「どうか…… ボーゾックに奪われたRVロボが、無事でありますように」


その頃、バリバリアンのドックでは、奪われたRVロボの横で、前回VRVマシンに撃退されたブレーキングが改造されていた。

リッチリッチハイカー「む~、カーレンジャーめ! いつの間にあんなマシンを! 今度会った時には、この改造ブレーキングで徹底的に痛めつけてやります」
グラッチ「リッチリ~ッチハイカー教授! カーレンジャーの新戦力に関する資料が集まったぞ、ほれ」

グラッチが持ってきた冊子には、VRVマスターも載っていた。

リッチリッチハイカー「ん? この胡散臭い奴は……」

カーレンジャー秘密基地。
冬眠しているダップの側にVRVマスターが現れ、おもむろにヘルメットを外す。
その素顔は誰にも見えない。

恭介「VRVマスター!」

恭介たちが戻ってきた。ヘルメットを被るVRVマスター。

VRVマスター「何だ」
恭介「みんな…… 不安なんだよ」
VRVマスター「不安?」
菜摘「5台のVRVマシンでリッチリッチハイカーのブレーキングと互角に戦えることは分かったけど……」
実「リッチリ~ッチハイカーの奴、今度はもっと凄い作戦で戦いを挑んでくるに決まっとる」
恭介「その時、俺たちカーレンジャーはどうやって戦えばいいんだ?」
VRVマスター「その答えは…… 公園にある」
恭介たち「公園?」




フルモデルチェンジだ!
______VRVロボ




恭介たちは公園でバレーボールをさせられていた。

恭介「何で……」
菜摘「こんな時……」
実「5人で……」
直樹「バレーボール……」
洋子「しなきゃいけないの?」
VRVマスター「つべこべ言わずにやるんだ。上手く出来たら褒美をやる」
実「褒美? 褒美って何?」
VRVマスター「よそ見をするな」
実「はい」
恭介「実! 行ったぞ!」
VRVマスター「ボールを落とすなよ」

菜摘がボールを止めた。

菜摘「VRVマスター! このバレーボールがリッチリッチハイカーと戦うのにどう関係があるの?」
VRVマスター「赤いスイッチを押せ」

そう言ってVRVマスターは去って行った。

菜摘「ちょっと!?」
直樹「赤いスイッチを押せ?」
恭介「答えになってないぞ、おい!」
洋子「やっぱり本当は訳の分かんない奴なんじゃないの?」
実「何だか、不安にさせる方よね……」
菜摘「ねぇ、みんな…… まだ、バレーボールやる?」
実「まぁ、とりあえずやな、褒美っちゅうのが気になるから、やってみようやん。行くで!」


VRVマスターは、パチンコ店にいた。

VRVマスター「パチンコ…… 大宇宙の法則の全てがここにはある」

そのパチンコ店で、リッチリッチハイカーにボーゾックを追い出されたガイナモとゾンネットが働いていた。

ゾンネット「ガイナモ!」
ガイナモ「はい、ありがとうございました」
ゾンネット「ガイナモ!」
ガイナモ「え? 何だね、ゾンネット」
ゾンネット「いつまでこうしてるつもり? あんた、腐ってもボーゾックの総長でしょ!」
ガイナモ「ゾンネット、物事にはタイミングってものがあるだろ? それより美味しい焼肉でも食べて、基礎体力を付けておこう」
ゾンネット「いいけど、オイキムチ絶対付けてよね!」
ガイナモ「え、ええ……」
VRVマスター「すまないが、これを頼む」
ガイナモ「あぁ、失礼しました」

VRVマスターがパチンコ屋から退店。
彼の様子を、リッチリッチハイカーが遠巻きに観察している。

リッチリッチハイカー「パチンコをした後、ところてんを食べて、床屋さんに行くのが、この男の地球(チーキュ)における生活パターンですね」

VRVマスターが床屋に入った。

床屋「いらっしゃいませ~!」
VRVマスター「親父、今日も頼むぜ」
床屋「へいへい、かしこまりましたー」

床屋がにこやかに笑いながら、散髪の用意をするが、VRVマスターが床屋の腕を掴む。

VRVマスター「お前、いつもの親父じゃないな? いつもの親父は」

VRVマスター「親父、今日も頼むぜ」
床屋「……ああ」

VRVマスター「不愛想で、もっと無口だ。宇宙の一匹狼、このVRVマスターに、いったい何の用だ」
床屋「VRVマスター…… リーッチッチッチ!」

床屋はリッチリッチハイカーの変装だった。

VRVマスター「いつもの親父はどうした!」

本物の床屋は、縛られてクローゼットの中に監禁されていた。

VRVマスター「貴様、何者だ!」
リッチリッチハイカー「初めまして、リッチリ~ッチハイカー教授です」
VRVマスター「悪い奴ほど名刺を渡したがる」

リッチリッチハイカーが名刺を渡したが、VRVマスターは破り捨てた。

リッチリッチハイカー「この! おのれ!」

リッチリッチハイカーが鎖を投げつけて、VRVマスターを縛り、ムチで叩く。


公園──

洋子「もう疲れた!」

座り込む洋子。

恭介「洋子!」
洋子「え?」

慌てて立ち上がり、レシーブ。

洋子「あ~!」
直樹「いつまでやるんですか?」
実「もう褒美なんていらん……」
菜摘「もうかなり上手くなってきたし、いいんじゃない?」
恭介「やめる切っ掛けがないのだ!」

恭介のアタックが木に跳ね返り、恭介はボールを受け止めた。
その時、アクセルチェンジャーがボーゾック発生を知らせるコール音を鳴らす。

実「切っ掛けなのだ!」
恭介「ボーゾック発生だ!」
5人「激走・アクセルチェンジャー!!

5人がカーレンジャーに変身。

レッドレーサー「行くぞ!!」
ブルーたち「おう!」


町はずれの工場の裏手で、縛られたVRVマスターがリッチリッチハイカーに痛めつけられている。

リッチリッチハイカー「VRVマスター、お前はいったい何者ですか? カーレンジャーと、どういう関係があるのです? しゃべりなさい!」
VRVマスター「貴様のようなペテン師に、しゃべる必要などない!」

苛立ったリッチリッチハイカーがVRVマスターをムチで叩く。
それをグラッチとゼルモダが制止。

グラッチ「リッチリ~ッチハイカー教授!」
ゼルモダ「おい、おんまり殴ると死んじまうぜ」
リッチリッチハイカー「おお、わたくしとしたことが。そうだ、こいつをいざという時のための人質にしましょう…… む?」

そこへ、レッドレーサーがペガサスサンダーに乗って空から登場。

リッチリッチハイカー「カーレンジャー!?」
レッドレーサー「ペガサスレーザー!!」

ペガサスサンダーがリッチリッチハイカーたちを攻撃してから着地し、残りのメンバーの乗るドラゴンクルーザーも来た。

リッチリッチハイカー「貴様たち!」
ピンクレーサー「VRVマスター!」
レッドレーサー「お前ら、いったい何を企んでるんだ!?」
リッチリッチハイカー「それは、言えませんね…… ゼルモダ!」
ゼルモダ「おう! ワンパー!!」

ゼルモダが壺から戦闘員・ワンパーを出した。

レッドレーサー「行くぞ!!」

カーレンジャーがワンパーと戦う。

レッドレーサー「レッドレーサー!!」
ブルーレーサー「ブルーレーサー!!」
グリーンレーサー「グリーンレーサー!!」
イエローレーサー「イエローレーサー!!」
ピンクレーサー「ピンクレーサー!!」
5人「戦う交通安全!! 激走戦隊、カ~~~~、レンジャー!!
リッチリッチハイカー「おのれ! 改造ブレーキング!!」

雷鳴と共に改造ブレーキングが現れた。

ブルーレーサー「ブレーキング!!」
グリーンレーサー「改造されとる!?」

リッチリッチハイカーが改造ブレーキングの頭のコクピットに乗り込む。

リッチリッチハイカー「お前たちの運命もここまでです」

改造ブレーキングが目から光線を撃ち、カーレンジャーが吹き飛ばされる。

レッドレーサー「ビクトレーラー、出動!!」

VRVマシン格納庫「ビクトリードック」から、VRVマシン運搬用超大型車両「ビクトレーラー」が出撃する。
東京ドームを割って、地表へ踊り出すビクトレーラー。
5人がそれぞれのVRVマシンに乗り込み、ビクトレーラー1号車両からVファイヤーが発進。

レッドレーサー「Vファイヤー!!」
ピンクレーサー「Vレスキュー!!」
グリーンレーサー「Vダンプ!!」

ビクトレーラー2号車両からVレスキューとVダンプが発進。

ブルーレーサー「Vポリス!!」
イエローレーサー「Vドーザー!!」

ビクトレーラー3号車両からVポリスとVドーザーが発進。
VRVマシンが全車出撃した後、ビクトレーラーもバトルモードへと変形を遂げる。

レッドレーサー「行くぞ! 食らえっ!!」

Vファイヤーが放水するも、改造ブレーキングはものともしない。

リッチリッチハイカー「リ~ッチッチッチ! そんなものは効きません」

VダンプとVドーザーが改造ブレーキングの両足に体当たりする。

リッチリッチハイカー「何の何の」

改造ブレーキングは、VダンプとVドーザーを蹴り飛ばした。

リッチリッチハイカー「キングスラッガー!!」

改造ブレーキングの角飾りがブーメランとなって、道路を切り裂きながら飛んでいく。
VポリスとVレスキューはギリギリで避けた。

リッチリッチハイカー「先週と同じとは限りません。これを見なさい」

改造ブレーキングがVRVマスターを閉じ込めた檻を取り出す。

レッドレーサー「VRVマスター!?」
リッチリッチハイカー「VRVマスターが人質に取られていては攻撃できまい。それでは、改造ブレーキングの威力を見せてあげましょう!!」

改造ブレーキングが胸の大砲から爆弾を撃つ。
VRVマシンが爆発に飲み込まれる。

グリーンレーサー「人質がいては、どないも出来ん!」
レッドレーサー「どうすればいいんだ!?」

レッドレーサーがコンソールを叩く。
その時、レッドレーサーの目に赤いスイッチが留まる。

レッドレーサー「あっ!? これは!」

「赤いスイッチを押せ」

レッドレーサー「赤いスイッチがあった…… 訳の分からないことじゃなかったんだ! みんな、手元の赤いスイッチを押すんだ!!」
4人「OK!!」
レッドレーサー「よし」

5人が各マシンのコンソールにある赤いスイッチを押すと、VRVマシンは5体の人型ロボットに変形した。

リッチリッチハイカー「ありゃ!? VRVマシンがロボットになった!?」

「ファイヤーファイター」に変形したVファイヤーが改造ブレーキングの目前に飛び、VRVマスターを入れた檻を取り上げる。

レッドレーサー「VRVマスターを返してもらうぜ!」
リッチリッチハイカー「人質が!」

ファイヤーファイヤーが檻を地面に下ろす。
VRVマスターが目を覚ます。

VRVマスター「VRVファイター……!!」
レッドレーサー「ファイヤーファイター!!」
ブルーレーサー「ポリスファイター!!」
グリーンレーサー「ダンプファイター!!」
イエローレーサー「ドーザーファイター!!」
ピンクレーサー「レスキューファイター!!」
5人「VRVファイター!!
リッチリッチハイカー「こうなったら、私の本気を見せてあげます!!」
レッドレーサー「行くぞ!!」
4人「おう!!」

VRVファイターは改造ブレーキングの光線をものともせず進み、数の力で翻弄する。
ポリスファイターが改造ブレーキングの尻尾で叩かれ倒れるも、Vポリスに変形し、破壊されたビルを走り飛んでから、再度ポリスファイターに変形した。

ブルーレーサー「ポリスファイターキック!!」

ポリスファイターのキックが改造ブレーキングに炸裂した。

イエローレーサー「いくわよ!」
ピンクレーサー「OK!!」

ドーザーファイターとレスキューファイターの連係攻撃が改造ブレーキングに炸裂。
続いてダンプファイターが改造ブレーキングと互角に戦うも、ケンカキックを受け、転倒した所を踏みつけられる。

グリーンレーサー「なめたら、あかんど~!!」

ダンプファイターがVダンプに変形し、ボデーを展開して改造ブレーキングを押しのけた。
ファイヤーファイターが改造ブレーキングの光線を物とも進む。

レッドレーサー「行くぜ、マシンチェンジ!!」

ファイヤーファイターがVファイヤーに変形して改造ブレーキングの光線をかわし、再度ファイヤーファイターに変形した。
改造ブレーキングは再び爆弾を撃ってきたが、ファイヤーファイターは爆弾を受け止めた。

レッドレーサー「そうか…… あの時のバレーボールは、VRVマシンがVRVファイターになった時のための特訓だったんだ。5体のロボのチームワーク攻撃……!」

VRVマスターは、すでにビクトレーラーの中にいた。

VRVマスター「5体のVRVファイターの華麗なる戦いを、ゆっくり見せてもらうぜ」
レッドレーサー「ファイト!!」
4人「おう!!」

VRVファイターが円陣を組んでセットアップ。

レッドレーサー「特訓の成果を見せてやるぜ。GO!!」

そのまま改造ブレーキングを包囲する。

リッチリッチハイカー「あらららら?」
レッド「行くぞ、レスキュー!」

ファイヤーファイターがレスキューファイターに爆弾をパスし、他のVRVファイターもバレーボールの要領で爆弾をパスしていく。
改造ブレーキングはその動きについていくことができない。

ピンクレーサー「ポリス!」
ブルーレーサー「ダンプ!」
グリーンレーサー「ドーザー!」
イエローレーサー「ファイヤー!」
レッドレーサー「アタック!!」

ファイヤーファイターがアタックした爆弾が改造ブレーキングに炸裂した。

リッチリッチハイカー「うわぁ!!」
VRVマスター「よし、カーレンジャー、今度は青いスイッチを押すんだ」
カーレンジャー「青いスイッチ?」
VRVマスター「押せば分かる」

カーレンジャーが青いスイッチを押すと、VRVファイターが変形し始めた。
ファイヤーファイターが胸部に、ポリスファイターが腹部・腰部に、ダンプファイターが右足に、ドーザーファイターが左足に、レスキューファイターが分離し両腕になって合体し、1体の巨大ロボットになる。

レッドレーサー「おお……」
グリーンレーサー「うわぁ!」
レッドレーサー「すごい!」
リッチリッチハイカー「今度は何ですか!?」
VRVマスター「見たか、『VRVロボ』を!! 行くぞカーレンジャー、ビクトリーツイスター!!」

ビクトレーラーが右腕のVバズーカと左腕のVバルカンを射出。
VRVロボがしっかりとそれを受け取る。

カーレンジャー「ビクトリーツイスター!!

VバルカンとVバズーカの同時砲撃が改造ブレーキングに炸裂した。

リッチリッチハイカー「カーレンジャーって! すごく! 強かったんです…… ねぇぇぇ!!」

改造ブレーキングがリッチリッチハイカーもろとも大爆発。
ついにリッチリッチハイカーは最期を遂げた。

カーレンジャー「やった!!」


その頃、ガイナモとゾンネットは、焼肉屋にいた。
オイキムチに夢中のゾンネット。

ゾンネット「美味しー!」
ガイナモ「たくさん食べてね、ゾンネットちゃん」
キャスター「臨時ニュースを申し上げます。カーレンジャーがリッチリッチハイカーを倒しました」
ガイナモ「な、何ぃ!?」
ゾンネット「えっ!?」

ショックのあまり、ゾンネットがオイキムチの入ったお椀を落とす──。


戦い終わって、恭介たちは公園で沈みゆく夕陽を見ていた。

恭介「VRVマスターが言ってた褒美ってのは、これのことだったのか」
直樹「VRVファイターと、VRVロボ……」
実「そして、勝利! ってことやったんやな」
菜摘「VRVマスターって、ちょっとかっこ付けすぎだけど……」
洋子「まっ、いいか」

VRVマスターは恭介たちから少し離れた木陰にいた。

VRVマスター「この星の夕日は、まぶしすぎるぜ……」

新戦力・VRVロボを得たカーレンジャー。
あとは、奪われたRVロボをボーゾックから取り戻すだけだ!



つづく



※ この続きは激走戦隊カーレンジャーの第32話をご覧ください。

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最終更新:2024年06月16日 13:44