激走戦隊カーレンジャーの第30話

※ ここまでのあらすじは激走戦隊カーレンジャーの第29話をご覧ください。


前回の敗北のショックからまだ立ち直れないカーレンジャーの面々。
そこへ、自動車会社ペガサス社長の息子・市太郎が第18話に登場した恵美を連れて現れた。

市太郎「りんどう湖から恵美ちゃんが来たよ!」
恵美「国語辞典を、東京でやってる『国際学習図書見本市』に買いに来たの」

しかし、5人とも無気力・無反応のまま。

恵美「みんな、どうしちゃったの?」
市太郎「恵美ちゃん、行こう」

市太郎が恵美を連れて国際学習図書見本市へ。
ぼんやりとそれを見送る5人──。



衝撃のデビュー! はたらく車!!



バリバリアン内のドックには、ブレーキングと並んで鹵獲されたRVロボが立っている。

ゼルモダ「ケッ! RVロボめ、今までよくもボーゾックを痛めつけてくれたな」
リッチリッチハイカー「まぁ、宇宙一邪悪となった悪のコンサルタント・リッチリッチハイカー教授にかかれば、RVロボの1台や2台、軽いものです」
ゼルモダ「うぉーい、グラッチ! 中の具合はどうなんでぇ?」
グラッチ「かなりすごいって感じだぞグラッチ!」

グラッチとワンパーたちはRVロボの内部を調べている。

リッチリッチハイカー「では引き続き調査を進めろ」
ゼルモダ「頼むぞ」

リッチリッチハイカーとゼルモダは広間「BBサロン」へ。

リッチリッチハイカー「ボーゾックも学習する宇宙暴走族となったし……」

そう言う割に、ワンパーやゴロツキたちは今までと同じく遊んでばかりいる。

リッチリッチハイカー「コラ! 何ですか、漫画なんか読んで! 大儲けして宇宙を支配するには、賢いボーゾックにならねば。ちゃんと学習しないボーゾックは、こうです!!」

リッチリッチハイカーが手にした鞭から電撃を浴びせ、ワンパーの1人を焼き殺してしまう。
慌ててトランプや漫画を片付けるゴロツキたち。

リッチリッチハイカー「もっと難しい本を読ませて、学習させてあげます。そうだ、確か地球(チーキュ)日本(ニッポンポン)に行けば……」

リッチリッチハイカーの手には、国際学習図書見本市のパンフレットが。


一方、ボーゾックを追放されたガイナモとゾンネットは──

ガイナモ「ん? スタッフ募集?」

ガイナモがパチンコ屋のアルバイト募集のチラシを見ている。

ガイナモ「『夫婦・住み込み可能』……」
ゾンネット「夫婦と思われるの、嫌」
ガイナモ「そんじゃあ、父と娘ということで働くか」
ゾンネット「嫌。おじいちゃんと孫!」
ガイナモ「そ、そんな、ゾンネットちゃん……」

と、その時、前回唐突に出現した宇宙の一匹狼・VRVマスターがパチンコ屋の中から出てきた。かなり儲かったようだ。
呆然と、その後ろ姿を見送る2人。


カーレンジャー秘密基地。
冬眠に入ったダップはまだ起きない。

恭介「ダップ…… RVロボを奪われた俺たちは、これからボーゾックとどうやって戦えばいいんだ!?」

ダップは瞼を開ける気配さえない。

恭介「ダップ…… 教えてくれよ……」

そこへボーゾック発生サイレンが鳴る。ブレーキングが現れたのだ。

リッチリッチハイカー「ここから道なりに行って…… あっちか!」

国際学習図書見本市会場のあるビルを目指し、リッチリッチハイカーを乗せたブレーキングが進撃を開始する。

恭介「ボーゾック発生だ!! みんな、行くぞ!!」

ペガサスのガレージを飛び出す恭介。直樹たちも呆けるのをやめて後を追う。

5人「激走!!」

変身するためにアクセルキーを取り出すが──

菜摘「ちょっと待った!」
実「なんや?」
菜摘「私たち、どうやってボーゾックと戦うの?」
直樹「そうでした…… RVロボはなかったのでございました」
洋子「リッチリッチハイカーはきっとまたあのブレーキングで襲ってくるに違いないわ!」
実「そうや恭介、オートブラスターやギガブースターだけではブレーキングには勝たれへん」
恭介「勝てなくても…… たとえ、負けるとわかっていても…… 戦いを挑むのが、本当の勇気・本当の正義ってもんだろ。そして…… それができるのは、俺たちカーレンジャーしかいない。みんな、そう思わないか?」
実「そうやな……」
直樹、洋子「うん!」

うなずく4人。

VRVマスター「勝手に思え」

そこへVRVマスターが水を差す。

恭介「あっ、あんた!」
VRVマスター「敵か味方か、宇宙の一匹狼・VRVマスター」
恭介「あんた、もしかして、俺たちがカーレンジャーであることを?」

無言で肯定するVRVマスター。

実「なんで? なんで知ってんの? なあ、なんで、なんで!」
VRVマスター「神が教えてくれた、とでも言っておこうか」
恭介「神?」
直樹「胡散臭い奴でございます」
洋子「あいつ、胡散臭い通り過ぎて怪しいよ」
菜摘「私もそう思う」
VRVマスター「光栄だ」

VRVマスターは意に介さない。

VRVマスター「そんなことよりお前たち、俺が宇宙から持ってきたすごいマシンを使ってボーゾックと戦う気はないか?」
恭介「宇宙から持ってきたすごいマシン!?」
VRVマスター「名付けて『VRVマシン』」
恭介たち「VRVマシン!?」

VRVマスターは恭介たちを連れて、なぜか東京ドームの中へ向かう。

VRVマスター「『Victory Ranger Vehicle』、略してVRV。絶対に勝つことを約束されたレンジャービークルだ」
実「あの、どうでもええけど、ここ東京ドームなんですが」

東京ドームの地下には、いつの間にか立派な秘密基地が作られていた。

恭介「ここは!?」
VRVマスター「宇宙一大きなガレージ、とでも言っておこう」

VRVマスターが基地のモニターに映った5台の車を指し示す。

VRVマスター「これがお前たちの乗る新しい車、VRVマシンだ! レッドレーサー、『Vファイヤー』」

消防車型VRVマシンが大写しになる。

恭介「Vファイヤーって、これ消防車じゃねぇか!」
VRVマスター「ブルーレーサー、『Vポリス』」

パトカー型VRVマシンが大写しになる。

直樹「ぱ、パトカー…… でございますか?」
VRVマスター「うむ。グリーンレーサー、『Vダンプ』」

ダンプカー型VRVマシンが大写しになる。

実「ほほう、そう来よったか」
VRVマスター「イエローレーサー、『Vドーザー』」

ブルドーザー型VRVマシンが大写しになる。

恭介「なんで私がブルドーザー?」
VRVマスター「ピンクレーサー、『Vレスキュー』」

救急車型VRVマシンが大写しになる。

洋子「救急車って、よくわかんない…… あっ、そういえばダップが冬眠する前、言ってたわ」

ダップ「見知らぬ宇宙人の甘い言葉には気を付けるダップ。もしかしたら、ボーゾックかもしれないダップ!」

恭介「VRVマスター、俺たちカーレンジャーはダップの言葉に従う」
VRVマスター「どうしてもか」
恭介「わけもわからず、いきなり消防車に乗れって言われたって、無理な話だ……」

直樹たちもうなずく。

VRVマスター「……そうか。残念だ」
恭介「帰ろう」

立ち去ろうとする5人。

VRVマスター「待て」
恭介たち「ん?」
VRVマスター「パチンコで取った景品だ。よかったら、食べてくれ」
洋子「あ~、ドロップ! そういえばダップが冬眠する前に、こうも言ってたの」

ダップ「ドロップ好きの宇宙人は、信用してもいいダップ。地球のドロップは、ハザード星の匂いがするダップ! 懐かしいママの匂い。そして、パパの匂い……」

恭介「VRVマスター、俺たちカーレンジャーはダップの言葉に従う。俺たちは、VRVマシンを乗りこなしてみせる!」
VRVマスター「うむ!」

そんなやり取りの間にも、ブレーキングは進撃を続けていた。
逃げ惑う人々。

リッチリッチハイカー「おお、そこのビルです、勉強の本がたくさんあるビルは! では、スピードアップ」

ブレーキングが国際学習図書見本市会場のあるビルを破壊光線で攻撃。

リッチリッチハイカー「あっ、間違ってビームボタンを押してしまいました!」


東京ドーム地下秘密基地──

恭介「あっ! このビルは、恵美ちゃんと市太郎がいるビルだ。よし、みんな行くぞ!!」
実、菜摘「おう!!」
直樹、洋子「おう!!」
5人「激走・アクセルチェンジャー!!

心を入れ替えた5人が変身を完了。

5人「戦う交通安全!! 激走戦隊、カ~~~~、レンジャー!!
VRVマスター「行け! カーレンジャー!!」

VRVマシン格納庫「ビクトリードック」から、VRVマシン運搬用超大型車両「ビクトレーラー」が出撃する。
東京ドームを割って、地表へ踊り出すビクトレーラー。そのコクピットには、VRVマスターがいる。

VRVマスター「VRVマシン、発進準備」

ビクトレーラーの車体が開き、VRVマシンが顔を見せる。

VRVマスター「どうだ、気分は? お前たちなら、きっと乗りこなせるはずだ。この勝負に勝ったら、甘くてほろ苦い『アレ』を、俺がおごるぜ!」
レッドレーサー「『アレ』って、よくわかんないけど…… 行くぜ! Vファイヤー!!」

ビクトレーラー1号車両からVファイヤーが発進。

ピンクレーサー「Vレスキュー!!」
グリーンレーサー「Vダンプ!!」

ビクトレーラー2号車両からVレスキューとVダンプが発進。

ブルーレーサー「Vポリス!!」
イエローレーサー「Vドーザー!!」

ビクトレーラー3号車両からVポリスとVドーザーが発進。
VRVマシンが全車出撃した後、ビクトレーラーもバトルモードへと変形を遂げる。

VRVマスター「噂に聞いたお前たちの激走、見せてもらうぜ」

ブレーキングが国際学習図書見本市会場のあるビルに組みつく。

リッチリッチハイカー「このビルごとバリバリアンに持っていくとしましょう」

ビルを揺さぶるブレーキング。非難し遅れた市太郎と恵美が転ぶ。

恵美「怖い!」

本棚が倒れる。
市太郎に抱き着く恵美。

市太郎「え、恵美ちゃん、大丈夫! 何があっても、僕は君を守る!」

そう言いながら、無理やり恵美にキスをしようとする市太郎。

恵美「やめて!」
市太郎「いいじゃないですか! いいじゃないですか!」

それはさておき、VRVマシンが現場に到着。

レッドレーサー「市太郎、恵美ちゃん、今助けるからな!」

Vファイヤーがブレーキングに放水攻撃を開始する。
ブレーキングのコクピットには風防がないため、中にいるリッチリッチハイカーがもろに水を浴びる。

リッチリッチハイカー「な、何ですか、あの車は! カーレンジャー、いつの間にあんな車を? しかし、このブレーキングに勝てますかな!」

ブレーキングが破壊光線で反撃。

ブルーレーサー「わたくしに任せて! でございます」

Vファイヤーが後退し、入れ替わりにVポリスがジャンプ台に変形したハイウェーを滑走。体当たりでブレーキングに挑む。

リッチリッチハイカー「何のこれしき!」

ブレーキングがVポリスを叩き落とす。

ピンクレーサー「ブルーレーサー!」
ブルーレーサー「そうは参りませんよ!」

ビルの斜面を滑り台にして体勢を立て直すVポリス。

ブルーレーサー「どんなもんです!」
ピンクレーサー「やるぅ!」
リッチリッチハイカー「チョコマカとうるさい!」

足下を走り回るVRVマシンに手を焼くブレーキング。

ブルーレーサー「激走戦隊をナメてもらっては困るでございます!」
ピンクレーサー「そういうこと!」
グリーンレーサー「さてと、次は俺の出番や! 行くでぇ!」

Vダンプがボデーから大量の鉄球をばらまき、ブレーキングを転ばせる。

リッチリッチハイカー「敵ながらあっぱれ! しかし何としても、勉強の本はいただいていきます!!」

ブレーキングが国際学習図書見本市会場のあるビルを破壊光線で攻撃。ビルが倒れる。

イエローレーサー「市太郎! 恵美ちゃん!」

Vドーザーがバケットを展開し、ビルをキャッチ。市太郎も恵美も無事だ。

恵美「助かったみたい」
市太郎「助かった記念に、キスしていい!?」
恵美「どさくさに紛れて!」

キスを迫る市太郎を辞書で殴り倒す恵美。

イエローレーサー「グリーンレーサー、お願い」
グリーンレーサー「あいよ! あとは任しとけ」

VドーザーからVダンプへ、ビルが移し替えられる。

リッチリッチハイカー「待ちなさい! 逃がしませんよ~!」

ブレーキングがビルの下半分を押し倒してVドーザーを潰そうとする。
バケットでそれを食い止めるイエローレーサー。

イエローレーサー「腕力には!」
リッチリッチハイカー「自信がありますよ!!」

ビルの押し合いが続く。
そこへVレスキューが参戦。

ピンクレーサー「大きなお尻に、お仕置きよ!」

巨大な注射器型ミサイルでブレーキングの尻尾を攻撃。
痛みに悶えるブレーキングは尻尾を激しく動かし、ガスタンクを弾き飛ばして攻撃してきた。
Vファイヤーが放水攻撃で対抗。

レッドレーサー「どりゃあぁ!!」

ガスタンクがブレーキングの方へ転がっていく。

リッチリッチハイカー「ひゃ~、ガスタンクがこっちへ! でも、麻酔が効いて動けません……!」

そのままガスタンクが大爆発!!
ブレーキングは宇宙のかなたまで吹き飛ばされ、バリバリアンに激突して大破した。

レッドレーサー「よっしゃあ!!」
ブルーレーサー「やったでございます!!」
グリーンレーサー「ビクトリー!!」
イエローレーサー「やった!」
ピンクレーサー「うん、やった!!」


無事に救出された市太郎は、必死に恵美に謝っていた。

市太郎「恵美ちゃん、ごめんなさい! ほんの出来心だったんですよ!」
恭介「お~い!」
恵美「あっ!」
恭介「市太郎!」
菜摘「恵美ちゃん!」
恵美「お兄ちゃん、お姉ちゃん!」

恵美が菜摘に抱き着く。

菜摘「恵美ちゃん、大丈夫だった?」

市太郎を睨む恵美。

恵美「大丈夫じゃない!」
市太郎「恵美ちゃん、待ってください! 恵美ちゃん!」

2人と入れ替わりに、VRVマスターがやってくる。
その手の中にあるのは──コーヒー牛乳。

VRVマスター「戦いの後と風呂上りには、甘くほろ苦いこいつがよく似合う。さぁ、心行くまで飲むがいい」
恭介「あ、はい」
実「すんません」
VRVマスター「グッバイ」

歩き去るVRVマスター。

実「え、帰ってまうの?」
恭介「やっぱ、わけわかんねぇ」
実「……ま、えっか!」
洋子「飲もう、飲もう!」

カーレンジャーは、もちろん腰に手を当ててコーヒー牛乳を飲むのだった。



つづく



※ この続きは激走戦隊カーレンジャーの第31話をご覧ください。

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最終更新:2024年05月24日 01:45