ゼンダマンの第31話


クックンの大航海!
____ゼンダマン




ある日のアクダマン基地。

トボッケー「私はあんたに言いたい。現在までどうして、ゼンダオジャママンに負けているか? ずばりメカにあったのである、そうメカだ。そこでだ、あのにっくきゼンダライオンをやっつけるにはどうすればよいか、不肖トボッケーが捻りに捻り、考えに考えて、そしてついに閃いた」

というわけで、ベールに包まれた今週の悪玉メカが姿を見せる。

トボッケー「目には目を、歯には歯を、ライオンにはライオンを!」

と言ってトボッケーがベールを取ると、ゼンダライオンのようなメカが現れた。
「カラオケスタートだい」と言ってED曲を流す悪玉メカ。

ムージョ「何だい? このライオン」
トボッケー「ゼンダライオンはのど自慢ですから、その向こうを張ってこちらも歌で勝負するライオンを作ったのです」
ムージョ「でも、もう少し違う顔にしたら良かったじゃないか。アタシね、どうもこのライオンっていうのが嫌いなの」

ゼンダライオンを思い出して好きになれないムージョ。

メカ「俺もおめえのような女は好かねえ」
ムージョ「なんだって!? ライオンメカのくせに、女の好みを言うのかい?」
トボッケー「はい、特に優れたコンピューターを使用しましたから」

とトボッケーが自慢げに言っている間に、メカは外のさくらに気付いた。

メカ「お~、可愛い子ちゃんやな。俺の好きなのは、あの子のような清くて美しい子だ。それに比べて、こっちは井戸端会議のオバハンに近いな」
ムージョ「それは誰の事?」

おばはん呼ばわりされ、憤るムージョ。

メカ「どうしても比べるとすると月とスッポン、新車と中古車だ」
ムージョ「おにょれ言わせておけば~!」

ムージョは歯軋りし、トボッケーは同意する。

トボッケー「そう言えば、あの子は段々美しくなる。ところが一方、ムージョ様はどんどん年も増え、シワも増え、醜いオババと成り下がり……」

それを聞いたムージョは鬼の形相と化す。

ムージョ「誰が醜いオババに成り下がるって?」
トボッケー「あ、冗談、冗談よ? ね、冗談」
ムージョ「ニャラちゃん、今日はウルトラ掻きでいこうね」
ニャラボルタ「そうだニャ、ウルトラ掻きのシュワッチニャ!」

ニャラボルタにULTRAの形の引っ掻き傷をつけられるトボッケー。
そこへ紋者博士の新しい動きを知らせるアラームが鳴り響く。
早速アクダマンは陰謀を開始した。

紋者博士「キャプテン・クックンは南太平洋で様々な島を発見、ついに最後にはこの世で最も大切な物を手に入れたとある」

それが“命のもと”と思う博士。海図を調べると1772年6月21日イギリスはプリマス港のことと分かる。その時呼び声がした。

影の主1「風もないのにマフラー揺れて、光ないのに影映る」
影の主2「実体あるのにケチして見せず、この世に悪のあるところ、じわじわはびこりお邪魔する」

「呼ばれもせずに現れる、ゼンダマンここに参上!」と声を合わせてゼンダマン1号・2号に扮したトボッケーとムージョが降り立ち、ポーズを決める。
壁を破り、「はーい、お初にお目にぶら下がります」と言って例のライオンメカが現れ、アマッタンに扮したドンジューローも「わいはアマッタンコッタン」と見栄を切る。
言葉巧みに海図を渡させるが、去り際にドンジューローの帽子がとれて正体が露見する。
アクダライオンと名乗るそのメカで1772年を目指すアクダマン。紋者博士の話を聞いたさくらと鉄ちゃんも追う。


プリマス港では「イギリスのため命に代えても幻の島を発見してまいります」と意気軒昂なクックンが出港しようとしていた。
しかし自分達を気遣ってほしい船員達は乗り気でない。

ナレーターの富山敬「解説しておこう。幻の島の黄金を求めて威勢よく出発はしたが、クックン船長の持っている海図は半分しかなかったのである!」

海底のアクダライオンから様子を見てムージョは一計案じ海図の片方を手に協力を申し出る。

ムージョ「幻の島にある命のもとをいただければ、残りはあんたにあげるわよ」
クックン「命のもと? そんなもんは知らんぞ」
ムージョ「まぁおトボケになって、キャプテン・クックンのいけず、スカポンタンのスカプラチンキ~」
トボッケー、ドンジューロー「「だぁ~!!」」

しかしアクダマンは甲板に仕掛けられていた落とし穴に落ち、そのまま海に捨てられる。
海図の残り半分を手にするクックン。

クックン「ほぉー、これで幻の島を発見したも同然だ。悪く思わんでくれよ、これもすべてお国のためなんだ」
ムージョ「国のため国のためって、そういうやつに限って後で泣き見るよ~!」

一方、ゼンダマンは……

ナレーターの富山敬「解説しよう。今日のゼンダライオンはどうしても海を渡らなければならないので、特殊水上用キャタピラを装備したのである。水上列車ってのもオツだよね」
ゼンダマン1号「早くキャプテン・クックンの船を探さなくっちゃ」
ゼンダマン2号「そうね。でも、海は広いから大変よ」

クックンの船を探すゼンダマン。

ナレーターの富山敬「一方、海図を手に入れたクックンの船は、南へ南へと走っていった。熱帯を通り過ぎ、いつしか辺りは寒くなっていた。もう南極なのである」

クックンは南を目指すあまり南極に着き、氷海に閉ざされてしまう。
船員は船を捨てようとするが、クックンはお国の船は捨てられないと頑なだ。そこにアクダマンがやってきた。
クックンは見返りが目当てと思うが、トボッケーの「無料奉仕の助け合い運動よ」という言葉に途端に笑顔を見せて助けを乞う。
アクダライオンが船を曳き、ある程度進むと風が吹いてクックンは縄を切った。
縄を切られた勢いでアクダライオンが氷山に激突。

ナレーターの富山敬「こうして無事、氷の世界から脱け出したキャプテン・クックンの船は、再び幻の島へと、長い、苦しい旅を続けていったのである」

南極は脱出したが、船員がビタミンC不足による壊血病に苦しみ始めた。しかしクックンはまたも「お国のため」と言い続ける。
そしてついに幻の島を発見し、国旗を立てたものの、クックンは船員達によって島に置き去りにされてしまう。
そこにゼンダマンが着いた。彼らも宝が目当てと疑うが、アクダマンの人相書きで誰が悪か解するクックン。そのアクダマンも来た。

ゼンダマン1号「誰だっ!?」
ムージョ「この世に正義のあるところ、悪のマントが風に舞う!」
トボッケー「悪意の塊・アクダマン、ここに参上!」

頭文字のAの一文字を作ろうとして、ムージョはトボッケーとドンジューローの首を折る。自分では決まったと思うが、すぐに二人がずり倒れ、大きく足を開かれる。

ゼンダマン1号「はははは、中年には無理な芸当さ。見本を見せよう、こうするのさ!」

2号と手をつないで見事なZの字をなす。年甲斐なく悔しがるムージョをよそに、メカ戦を挑むトボッケー。
ゼンダライオンとアクダライオンは歌で勝負することにした。

アクダライオン「俺の声を聞きてえのは、誰だ?」
アマッタン「ありゃあ、ゼンダライオンの偽物だ。ゼンダライオン、やれ!」
ゼンダライオン「面白い。どっちが上手いか、のど自慢大会をやるか?」
アクダライオン「無駄だ。俺の声はコンピューターが作り上げた最高の声だ」
ゼンダライオン「歌は清い心で歌うものなのだ」
アクダライオン「メカに心があってなるものか、まずは黙って俺の歌を聞けえ!」

アクダライオン「♪アクダやらねば誰がやる」
ゼンダライオン「♪正義の味方ゼンダライオン」
アクダライオン「♪悪は栄える 正義は滅ぶ」
ゼンダライオン「♪そうはさせじと頑張るぞ」
アクダライオン「♪ゼンダの命も今日限り」
ゼンダライオン「♪おいらの鉄拳 受けてみろ」

アクダライオン「やめろ! おめえの声は北京原人のインフルエンザの声だ」
ゼンダライオン「な、なんだと!? おいらは怒ったぞー」

ゼンダライオン、アクダライオン「「やるか!? 決闘だ」」

ぶつかり合ってから西部劇よろしく後退りして鬣から光線を放つ両者。
ゼンダライオンの威力が勝り、アクダライオンの頭部は高熱で溶解した末爆発してシャレコウベメカが現れる。

シャレコウベメカ「きゃらきゃらきゃ」
ムージョ「あら!?」
トボッケー「こうなりゃ奥の手でいきましょう」

アクダマンが乗り込み、トボッケーが「メカ衣替え」と言うとアクダライオンの胴から発声器が現れて「ゼンダライオン」の替え歌で音波攻撃をする。

アクダライオン「♪アクダ、ゼンダ、アクダ、ゼンダ、アクダゼンダアクダゼンダ…」
ゼンダライオン「あ~、聞くに堪えない鉄の錆びる恐ろしい声」
ゼンダマン2号「あ~!」

ゼンダマン2号も耳を塞ぐ。ゼンダライオンのボディがひび割れていく。

トボッケー「どうだどうだ、このライオンの美声でぶっ壊してやる」
ムージョ「やるねぇお前は、日本一だね、いや世界一だね、ほらおだてブタちゃんも出てきたよ、世界一の、いや宇宙一番のひどい顔!」

コケるトボッケー。

おだてブタ「ブタも出たけどズッコケる」
ゼンダマン1号「いかん、救援メカ発進だ!」
アマッタン「救援メカ発進!」

アマッタンがホイッスルを吹く。
ゼンダマン基地のインベーダー式コンピューターはゼンダシロクマを選んだ。

ムージョ「何だい、あれは。ゼンダベアベアじゃないか」
トボッケー「白熊!」

ゼンダシロクマが砂を巻き上げ、発声器を詰まらす。

ゼンダマン2号「今よ、愛の鞭!」

打たれて今週のシステムメカを発進させるゼンダライオン。トランクからパイプが出る。

アマッタン「組み立て開始!」

無数のパイプがどんどん合体していく。

ムージョ「何だい、何だい、何だい? 竿竹屋さんでも始めるのかい」
トボッケー「しかし毎週毎週面白いな~」
ドンジューロー「おっ、うわーっ」

ドンジューローはパイプが「スカプラチンキ」の字を作ったのに気付いた。

ムージョ「あらぁ!?」
トボッケー「おのれ! あたしたちをバカにする武器なのね。よーし、あんなものぶっとばしてやる」

トボッケーが砲撃で散らすと「ではいくぞ」「できそこないライオンかくごしろ」「いけどりさくせん」「かいし」のメッセージを次々見せてからパイプが鳥籠となる。

ムージョ「何だい、これじゃ出る~に出られ~ぬ籠の鳥じゃないか。何とかおしよ」
トボッケー「分かってますよ、こっちだって切り札ってのがあるんですからね」

アクダライオンのトランクから切れ目の入った花札を出して切り札と言うトボッケー。

ムージョ「トボッケー、お正月のゲームなんかでやる、あれ花札じゃないの?」
ドンジューロー「ええ、それが切れてるの」
ムージョ「……それで『切り札』か。ほれ」

ムージョがニャラボルタを差し向ける。

ニャラボルタ「花札迷惑ニャ~、切り裂き掻きニャ!」

引っ掻かれるトボッケー。

トボッケー「くそっ、こうなったらめっちゃめちゃに暴れてやるからな!」

なんとかアクダライオンが脱出しようとすると支えが折れて鳥籠は転げ、宙に浮く。

ムージョ「やったー」
トボッケー「やりましたでしょ」
ムージョ「今のうちに逃げるんだよ!」
トボッケー「はいはい、全速前進出発進行!」

尚も足掻いて今度は車輪を回すハツカネズミのようになるアクダライオン。

ムージョ「これじゃハツカネズミと同じじゃないかよ」
オシイ星人「オーシーオーシー オーシーオーシーナー モウチョトーイ」

やがて鳥籠が狭まり始めた。

アクダライオン「うるせえ、うるせえ、うるせえ!」
ムージョ「やめて、やめて、絞めつけられてきた。あ、もうだめ、つぶされる、自爆~!」
トボッケー「待ってましたそのお言葉!」

押しつぶされて爆発するアクダライオン。

ゼンダマン2号「やったわ!」
ゼンダマン1号「じゃ、一丁いくか!」
ゼンダマン2号「ええ!」
アマッタン「勝利の確認!」
ゼンダマン「ゼンダ」
アクダマン「アクダ」
ゼンダマン「ゼンダ」
アクダマン「アクダ」
アマッタン「また勝っタン!」
アクダマン「みじめ~」
ゼンダライオン「♪これまたアクダマン~」

クックンは船員にジュースを飲ませてもらって意識を回復。

クックン「うまい、こんなジュースは生まれて初めてだ。ありがとう」
船員「キャプテン、置いてけぼりにしてすみませんでした」
クックン「おお、お前たちか! 無事だったのか」
船員「俺達話し合ったんだ。少し自分たちのことばかり考えすぎたって」「それにひきかえキャプテンは……」
クックン「人間は自然の中の一部にすぎぬことを知るべきだった。自然は一つの国のものではなくみんなのものだ」
船員たち「キャプテン!」
クックン「国のため、国のためと言ってお前達のことは考えなかった。今まですまなかったな」
ゼンダマン2号「結局、命のもとはなかったのね」
ゼンダマン1号「いやあ、人間の手垢のついていない自然…… それも、命のもとかもしれないよ」


場面は変わり、今週のお仕置きのコーナー。

裁判マシーン「では本日の判決を申し渡す。リーダーのムージョを、裸踊りの刑に処す」
ムージョ「何と!?」
トボッケー「あら、ぼくちゃんそういうの大好き!」
ドンジューロー「わいも好きや!」
裁判マシーン「吾輩もだ!」

ズッコケるアクダマン。
お仕置きは冷たい箱の中で執行された。ガラスに付いた霜を払うトボッケー。

トボッケー「折角の踊りをこんな寒い装置の中で踊るとは」
ドンジューロー「裁判メカもいけずやなあ」
ムージョ「もうちょっと温度を上げて! ……上げると氷が溶けて見られちゃう。下げて下げて下げて、下げてったら!」

ムージョがどうすべきか困る頃、悠然と冷凍の魚を食べるニャラボルタ。

ニャラボルタ「まぁ、そっちは勝手にやってちょうだいね」



(つづく)

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最終更新:2023年01月19日 12:20